INSIGHTS
INSIGHTS

Team ジェネシアの強みの根源とは

NOTES

先日、JVCAとPreqinが共同でとりまとめた国内VCファンドのパフォーマンスベンチマークがリリースされました。BMの対象ファンドは76、ビンテージは2010年からです。ジェネシアの1号ファンド(2016年12月組成)も対象ファンドとしてデータ提出をさせていただきましたが、日ごろチーム全員で頭をひねり、魂を込めて運営しているファンドも1/76かぁ、大きな流れのごく一部なのだな、としみじみ思いました。
しかし、はて、1/76だけれどもユニーク、そして力強い1であることは間違いない、それを改めて伝えていきたい、そう思ったのが今回初めて投稿をするに至った経緯です。
2016年に生まれたジェネシアも一つのベンチャーです。自分たちも試行錯誤しながら強いチーム作りに取り組むことにより、支援先によりリアルなサポートを提供できるようになるのでは、と思っています。

Teamジェネシアとは

VCとしてのジェネシアの強みの根源は3つあります。戦略、組織、そしてWillです。

1. 戦略

ジェネシアの戦略の特徴は3点。DXの型化、優秀な起業家に選ばれるVCとなること、そして東南アジアへの投資です。
DXの型そのものについてはチームの相良が書いている各記事(手前みそですがどれも素晴らしく体系化されている良記事です)に譲るとして、型化しジェネシアの中での教科書ができたことにより得た効果について触れたいと思います。それはずばり投資判断プロセスの最適化。新規事業の検討をする際に、「DXの型」を参照することにより、社会のどのような非効率性・非合理性を改善していく事業モデルなのかをチーム全体が「DXの型」という共通言語を使い瞬時に同じ土台に立ち議論することが可能になりました。シード期投資家として触れる多種多様なビジネスモデルを一つの共通軸を用いて分析することにより、一貫した投資判断を行い、目指すファンドパフォーマンスの実現の確度を高めることができると考えています。
戦略の特徴その②。優秀な起業家に選ばれるVCとなること。大きな産業を創り出そうとしている起業家は非常に優秀で、多くのVCから投資のアプローチを受けています。どうしたらそういった優秀な起業家に選ばれるか。要素は多々ありますが、その中でもジェネシアらしさが出るのが「同じ船に乗り、同じ目線で事業を考えること」。ピッチを受けるのではなく、同じ目線で事業の解像度上げを行う。「あなたたちはどう考えますか?」ではなく、「私たちはどうすればいいのだろうか」。更に担当キャピタリストだけではなく、ジェネシアチーム全体がFor Entrepreneurs精神で起業家と歩みたいと考えています。
戦略の特徴その③。東南アジアへの投資。投資対象としての東南アジアの魅力は周知のとおりですし、弊社河野がそのダイナミズムに触れているのでそちらをご参考いただきたいのですが、特徴として強調したいのは現地に根付いたチームがある、ということ。東南アジア代表の鈴木はインドネシアでベンチャー投資を行い早10年が経っていますし、インドネシア、ベトナム各地にネイティブのメンバーがいます。

2. 組織

ジェネシアメンバーはかなり多様です。10名のうち、女性が4名(母数が10だと割合の計算をせずに済んで楽ですね)。日本以外の国籍の者が2名。大学中退者1名。スタートアップ経験者が4名。商社出身者1名。金融機関出身者が2名。子持ち3名。20代が3名、30代が6名、40代が1名。住所が東京ではない者が5名。うち、4名が国外。支援先が描くビジョンにワクワクしている者10名。多様である=良い、ではないですが、社会を多面的にとらえ、あらゆる視点から新規事業のアイディアを見ることはVCにとって必須要件です。ママ向けのサービスだけどそれが本当のペインなのか?金融業界の厳しいDDに耐えうる内容なのか?電力業界の複雑な構造と非合理性を適切にとらえたサービスか?投資検討時、そしてその後の支援においてもメディアから収集した情報だけでなく、自ら体験した一次情報を活かしてアプローチすることにより、二次情報をつなぎ合わせて生み出した主張よりはるかに鋭い視点を持つことができます。
そして組織は足し算ではもったいない。個性の強いメンバーをいかにフルレバレッジさせ、掛け算のパワーを発揮させるか。チームでも目下考え中ですが、大きな要素の一つはフラットな組織であること。ジェネシアでは全員が投資委員会や経営会議に参加し、遠慮なしの議論を行います。そんなチームの注力スキルの一つが「傾聴力」です。反対意見や意にそぐわない意見も傾聴し、受け止め、その上で自分の意見を述べる。非常にシンプルですが、多様な考えをフラットに交わし、チームとしての最適解を導き出すプロセスを丁寧に行うことにより初めてチーム一丸となって決定事項に向き合うことができるようになります。

3. Will

さて、ここで質問です。皆さんは今日行った作業のうち、何割が自分でやりたいと思って行った作業ですか?この割合が高ければ高いほど、自分のWillで動いているチームになり、より創造的なアイディアが生まれ、取り組みを押し進めるエネルギーも増加します。ではどうすればチームのWillを高められるのか。それはビジョンへの共感と浸透にほかならないと思います。ジェネシアでは私たちのビジョン、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」を合言葉に、先日、今後のチームとしてのアクションプランをゼロベースで考えました。どうすればビジョンを実現できるのか。何が足りないのか。その差分を埋めるためにメンバー一人ひとり何ができるのか。チーム全体で徹底的に話し合うことにより、見えていなかった課題とその対策を、想像力豊かに策定することができました。そして自らが手を挙げたアクションにコミットし、責任をもって実行する。これまたシンプルなことですが大きな山を登るためには一歩一歩、地道な積み重ねが必要です。
リモートワークが広まる中、「いかに社員の働き方を管理するか」が良く取り上げられますが、オフィス環境と同様の管理基準を保つのは容易ではありません。むしろ、時間と働き方に対する個人の自由裁量が増えても、Willを持ち、ベストなアウトプットを出すためにはどのようなチーム運営が必要なのか?を考えるべきなのではないでしょうか。

著者

BACK TO LIST