STORY
STORY

無意識バイアスに対して私たちができること~無意識バイアスワークショップレポ~

NOTES

メルカリが無償公開していた「無意識(アンコンシャス)バイアスワークショップ」の研修資料を元に、先日、ジェネシア・ベンチャーズでもワークショップ(WS)を実施しました。

メルカリ、「無意識(アンコンシャス)バイアス ワークショップ」の社内研修資料を無償公開

無意識バイアスとは:
目に見える視覚的な情報だけでなく、それ以外の必ずしも目に見えない情報にも基づいて、相手にフィルターをかけた状態で物事を無意識に判断してしまうこと
(メルカリ研修資料より引用)

メルカリの研修資料が公開されたタイミングで社内で話題になったのですが、「各自で読んでおきましょう」ではなくあえて全メンバー参加でのワークショップ型に。この記事ではその背景や当日の様子、そしてWS後の変化についてお伝えしたいと思います。

個がフォーカスされる時代

世の中の大きな流れとして、「個」がフォーカスされるようになっていると感じます。副業の拡大、ジョブ型雇用の導入増加、Diversity & Inclusionに対する感度の高まりといった事象は根底に「個」がその人らしく生きられる社会への転換というテーマがあります。今までは自分の出自や学歴などに基づき「王道」とされる道を歩むことが是とされていた一方で、これからは個人が想い描く自分自身のライフミッションに基づいたライフプランがフォーカスされるようになります。

画像1

外見や出自、学歴、職歴などで人をラベリングや単純化するのではなく、その人をより包括的に、多面的に知らなければ真の相互理解は生まれません。ベンチャーキャピタルであるジェネシアのメンバーは、職業柄日々多くの方々と接しています。起業家、スタートアップのメンバー、大企業や機関投資家の方、他VCのキャピタリスト・・・枚挙にいとまがありません。そのコミュニケーション一つ一つにおいて、相手のありのままを捉えられるようになるべく、今回チームとして取り組みました。

私のバイアスとの体験

私自身、意識的なものも含めバイアスを感じることは過去に多々ありました。アメリカで過ごした高校時代には「アジア人」、大学時代は「帰国子女」「東大女子」、新卒時代は「IB(投資銀行)女子」、産休・育休復帰後は「ママ」。どれも間違ったラベリングではないし、必ずしもマイナスに働いたものでもありません。「アジア人は勤勉だよね」「帰国子女なのに意外と空気読むね」「IB女子、強いね~」「ママだから無理しないでね」といったコメントは自分の振る舞いに基づき発せられたものだと納得感すらありました。一方で、それらのコメントにより自分を無理に型にはめたり、制限をしてしまうことも。「ちょっとやんちゃしたいけど真面目っていうキャラだしなぁ」「ハッキリ言いたいけどわきまえないと」「育休明けだからこそむしろ仕事を頑張りたいのに!」といった他者から見た自分とありのままの自分の間で摩擦が生じたときに、一番苦しみを感じたと思います。

私自身も他者をフィルターを通して見てしまっていることが多々あるはず。でもできれば自分は周りの人を同じ気持ちにさせたくない。そのような想いからWSの開催を推進しました。

チームでのFindings

ワークショップの内容については公式の研修資料に譲るとして、当日メンバーから出たコメントをいくつか紹介します。

バイアスを無くすのは無理。でもまずは気づくところからはじめないとね。

バイアスをかけることによって、意思決定や判断が加速されるのは一理ある。人がバイアスをかけるのは、それなりの合理性があるからなのかもしれない

配慮とバイアスの違いってなんだろう?例えばお年寄りに席を譲る、というのは「高齢者=体が疲れやすく、座りたいだろう」というバイアス?それとも配慮?悪い行動ではないよね。

「女子力」の他に、「女々しい」「リア充」という表現も、マイクロアグレッションと取られかねないね。

個々でみると一概には言えないはずなのに、集合体でみると行動の傾向がある、というのは事実としてあるかも。国民性とか。

やっぱり」という言葉がしっくりこない。自分では行動変容を起こそうとしているのに、「●●さんはやっぱりXXしちゃうよね」という過去の自分の型にはめられると、変われてないのかな、と不安になる。

無意識なバイアス、意識的な(認識されている)バイアス双方が入り混じっていますが、チーム内でも多様な意見が出てきました。

実は今回のWSの裏の狙いとして、同じ課題に対する各メンバーの意見の違いを知りたい、というのもありました。いつも密にコミュニケーションをとっているが故に、きっと他メンバーも同様の考えを持っているよね、という先入観を抱きがちですが、それも思い込みで、皆それぞれ思考することは異なります。実際に、私一人で資料を読み解いているときには思いつかなった観点も多々出てきました。(このチーム内の意識・意見の多様性の顕在化促進、というテーマは今回に限らず、今後意識的に取り組んでいきたいと思っています。)

もし読者に無意識バイアスWSの実施を検討をしている方がいれば、ぜひ、幅広いチームメンバーに参加してもらい、意見を発する機会をたくさん設けてみてください。きっと多様な意見が出てくることと思います!

バイアスに対して私たちができること

画像2

バイアスは世の中にあふれていて、すべて悪、と白黒はっきりと言えるものではないと思います。一つの事象に対するイメージの偏りがあるからこそコミュニケーションが闊達になるケースもあります。例えば「”おひとり様”向け旅行プラン」などOneフレーズでターゲットとプラン内容を想起することが可能になったり、お笑いやコントは一般的な視聴者が持つイメージを前提に笑いを取っています。これらのバイアスを全て排除するべきだ!というのは極端な主張です。

WSを通じて感じたのは、(研修資料の前提でもあるのですが)「無意識な」バイアスについていかに「意識化」するか、が重要である、ということ。無意識は少し時間をおいて考えることにより意識化できる、という研究もあるそうです。

それを踏まえ、私たちが取れる行動として3ステップあると考えています。

① 自分の無意識に持っているバイアスを発見する
② そのバイアスが他者に対して不要あるいは不適切なフィルターをかけるものであれば、是正する
③ 自らの行動を軸に、周りにもバイアスの存在を気づかせる(そして①~③のステップを踏んでもらう)

例えば他人の性的指向についてのバイアスに当てはめると、

① 男性には「彼女いる?」、女性には「彼氏いる?」と何となく聞いていることに違和感を感じる
② 必ずしも異性が恋愛対象であるとは限らないため、「パートナー」という表現を用いるようにする
③ 「パートナー」と表現する自分を見て、他者も「たしかに、そのほうが適切だ」と感じる

といった感じです。

また、もう一つチームで話していたのは、自分からオープンに話すことが相互理解への第一歩につながる、という点です。無意識なバイアスは一種の推測です。「自分はこういう人間だ」ということを自ら発信することにより、その情報をベースに偏見や誤った解釈をせず、フラットな対話を始められるのではないか?と考えました。全てをさらけ出すことは難しいですが、相手に知ってもらいたい自分のことや、アイデンティティなどを積極的に伝えることにより、より率直な関係構築ができるかもしれません。

無意識バイアスのWSについてはGoogleでも研修資料を公開しているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

Google re:Work – ガイド: 無意識の偏見に意識を向ける

著者

BACK TO LIST