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3号ファンドを組成し、約100億円で1st closeしました

NOTES

2022年1月31日、ジェネシア・ベンチャーズとして新たなファンド(ターゲット150億円)を組成し、約100億円で1st closeした旨のプレスリリースを出しました。1号ファンド(40億円)・2号ファンド(80億円)に続いての3号ファンドになります。このタイミングで、これまでの振り返りと未来に向けた展望を書いておきたいと思います。

目次

  1. これまでの振り返り
  2. 未来に向けた展望
  3. 最後に

1.これまでの振り返り

これまで私たちは、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョン、「アジアで持続可能な産業がうまれるプラットフォームを創る」というミッションを掲げ、日本と東南アジアのプレシード・シードラウンドのスタートアップへの投資を通じて、100社を超えるスタートアップに伴走してきました。また、デジタル・トランスフォーメーション(DX)領域を含めた大きく3つの事業領域でチャレンジする起業家に積極的に投資してきました。

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特に、デジタル・トランスフォーメーションにおいては、実際の現場で起こっているビジネスモデルやビジネスプロセスの変化を13のフレームワークとして分類(→詳細はこちら)し、チーム全員で育てながら、投資判断や支援先の戦略のブラッシュアップなどに活かしてきました。

また、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンの実現に向け、ジェネシアの仲間一人一人が持つ想いの言語化を進めると同時に、私たちが起業家とともに実現に向かう6つのChallengeを言語化しました。

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私たちは東南アジアでも積極的に投資を実施してきました。東南アジアは、既にリスクマネーの供給量が日本を大きく超えているだけではなく、SPACを通じたGrabのNasdaq上場や、TokopediaとGojekの経営統合で生まれたGo to Groupが2兆円の企業価値評価を受けるなど、既に市場の大きなポテンシャルが顕在化している有望マーケットです。私たちは、前職サイバーエージェントで培った東南アジアにおける地の利や、ベトナム・インドネシアに実際に駐在していることで得られる現場の情報を活かして、ファンド全体の約3割を東南アジアに投資してきました。

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とはいえ、私たちはまだ設立して5年半のベンチャーキャピタルです。加えて、プレシード・シードラウンドのスタートアップに投資をしているため実績として現れるまで時間がかかるのは止むを得ませんが、ジェネシアとしての第1号投資案件であるHRBrainをはじめ、日本・東南アジアの多くの支援先が順調に成長を遂げています。

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2.未来に向けた展望

①プレシード・シード期におけるスタートアップに必要な成長資金が増加していくことを鑑み、1社あたりの最大投資金額を5億円に

2021年度の日本のスタートアップの資金調達額は約8,000億円と言われていますが、日本のスタートアップエコシステムが成長するに従い、私たちが感じていることがあります。それは、今後シード期のスタートアップはより大きな成長資金が必要になっていくということです。

その背景ですが、一つ目は調達環境の変化です。足元マザーズ指数が大きく下がっていますが、上場マーケットにおいて金融相場から業績相場への移行が進み、上場企業と未公開企業の企業価値の乖離幅が縮小することで、主にはミドル・レイターステージの投資家による案件の選別が一段と進むと同時に、国内外の機関投資家による投資アロケーションの見直しが進むと考えています。

二つ目は起業環境の変化です。
・シリアルアントレプレナーの増加や、大型IPOしたメガベンチャーからの独立組の増加などによって、スタートアップエコシステムの厚みが増すと同時に、人材採用を含めた起業環境がCompetitiveになってきていること
・スタートアップが解決すべきペイン/充足すべき欲求が深化していく中で、PMFに到達するまでのリードタイムや必要コストは増加傾向を辿ると考えていること

このような状況を考えると、シード期のスタートアップには今後より大きな成長資金が必要になると考えています。このような状況を鑑み、3号ファンドでは2号ファンド(80億円)の約2倍のファンドサイズ(150億円)を計画していますが、投資社数は2号ファンドと据え置きの60社を想定しています。

Genesia Ventures Update_20220125_メディア様向け_V4を拡大表示

②DXにESGを加えた二軸での経営戦略に移行
私たちは、2021年12月21日にPRI(責任投資原則)に署名しました。これまでは、スタートアップと大企業、スタートアップと投資家など、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を軸に、さまざまなステークホルダーを有機的に繋げ、共創に繋げることを実践してきましたが、今後はDXにESG(Environment、Social、Governance)を加え、DXとESGの二軸にてさまざまなステークホルダーを有機的につなげる役割を担いながら、持続的に新しい産業を生み出す産業創造プラットフォームの実現に挑戦していきます。このあたりの想いはジェネシアのパートナーであり、ESGオフィサーである河合のブログをご覧ください。

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③投資対象事業領域の拡大
これまでの投資対象事業領域に加えて、3号ファンドから、新たにフロンティアテックを加えました。具体的には、ロボティクス・デジタルツイン・宇宙分野などの新たな産業や、マテリアルズインフォマティクスなどの情報科学の応用が生み出す革新的なデジタル・イノベーション周辺領域にも投資領域を拡大させていきます。投資対象事業領域を拡大させる背景ですが、ソフトウェアやセンサー・AIなどのテクノロジーが指数関数的に進化していく中、それらの組み合わせによって解決できる世の中の課題の範囲が急激に広がってきていると考えており、私たち自身もそのような新たな事業領域へ挑戦することにしました。

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3.最後に

ジェネシアを創業してはや5年半が経過し、これまでを振り返って改めて感じることは、ジェネシアの愛すべき仲間や支援先はもちろん、私たちの投資活動を支えていただいているLPの皆さん、大好きな投資家仲間や事業会社のイノベーターのみなさんなど、たくさんの方々に支えていただいて今があるということです。改めて、このようなチャンスをいただいていることに本当に感謝いたします。「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」という私たちのビジョンは、創業者である私の人生を全部注いでも到底実現できるビジョンではありません。だからこそ、チームのビジョンと個人のWillを重ね合わせ、チームとしての強いDNAを育みながら、新たな挑戦を積極的に積み重ねていくことで、数百年と生き残り続ける強いチームを創っていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

筆者

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