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Sequoia Capitalから学ぶスタートアップの強い組織作り

STORY

これまでVCとして日本や東南アジアのスタートアップと働かせて頂く中で、チームの強さとスタートアップの成功には強い相関関係があると感じています。チームの強さは、チームメンバーのソフトスキル・ハードスキルの総和及び事業との適合性、そしてCIや行動規範、カルチャーによる共通認識の醸成度合いに依拠すると考えています。

私たちジェネシア・ベンチャーズも支援先スタートアップの強い組織作りに少しでも貢献すべく、CI策定や採用・PRをお手伝いしたり、組織作りにおける考え方を発信しています。

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マネジメントよりも重要なリーダーとしての在り方

強い組織作りを考えていた時にある出来事を思い出しました。私が2016年にインドに住んでいた頃にSequoia Capital Indiaの投資先スタートアップの経営者の方に何人かお会いさせて頂きました。その時にあるCEOに「Sequoiaは投資後にどのようなサポートをしてくれるの?」と聞いたところ、「組織作りにおけるノウハウやベストプラクティスの共有はもちろん、マネジメントメンバーやトップエンジニアの採用のため、米国のスタートアップや大手テック企業で働く優秀なインド人材をリストアップして紹介してくれる。時には初回面談まで代わりにしてくれたこともある。」と話していました。

また、ジェネシア・ベンチャーズ東南アジア支援先のQoalaBoboboxBuyMedの3社が参加したSequoia Capitalのインド・東南アジア向けアクセラレータープログラムSurgeでは、組織作りにおけるミッションやカルチャーの重要性を初回セッションのテーマとしており、Tokopedia CEOのWilliam氏やOne Championship CEOのChatri氏をゲストスピーカーとして招き、経験談をベースに組織作りについてレクチャーしていました。

今回はそのSequoia CapitalのBuilding World-Class Teamsというブログを参考にして、A+のトップ人材の集まるワールドクラスの組織をどう作り、どうマネジメントすべきかを考えていきたいと思います。

人材

創業期の採用に妥協しない

言わずもがなですが、強い組織を作るためにはトップ人材が不可欠です。特に創業期は会社のブランドも影響力もないため、採用難易度は高いですが、創業期のコアメンバーがトップ人材であれば、彼らがさらにトップ人材を集めて強い組織が形成されていきます。また、トップ人材はセルフマネジメントができ、ビジョンの実現に向けて自走することができ、将来の会社のカルチャーの担い手となります。Sequoiaは永続する企業に必要な要素として「企業のDNAは最初の90日間で決まるため、最初に雇用する数名は賢く選ぶこと」挙げています。会社の成功において重要度の高い人材のスキルセットやマインドセットを定義し、理想の組織を描いた上で可能な限り妥協せずにトップ人材を採用しましょう。

環境を整備して機会を与える

トップ人材は多くの会社やプロジェクトから引く手あまたです。そのため、彼ら/彼女らのパフォーマンス発揮を妨げる要素を排除し、リーダーシップと責任を持って挑戦できる環境を整備しましょう。トップ人材は明確に定義された難易度の高いチャレンジを好みます。スタートアップとして解くべき課題とその解決におけるチャレンジ(≒期待する役割)と解決によるインパクト(≒ビジョン・ミッション)を明確にしましょう

未来のリーダーを育成する

組織のスケールには会社のカルチャーを体現する人材が未来のリーダーとなる仕組みが大切です。マネジメントメンバーが社内人材から生まれることで、彼ら/彼女らは他のメンバーにとってのロールモデルとなり、会社が社内人材を育て、抜擢することの意思表示となります。トップパフォーマーと多くの時間を過ごし、社内のリーダーと接する機会を与え、重要な問題に多くの時間を使えるようにすることで、彼ら/彼女らに適切な成長機会を提供しましょう。

カルチャー

ボトムアップのカルチャーの醸成

持続的に進化を遂げる組織を作るため、メンバーがプロダクトの成長に貢献することができるボトムアップのカルチャーを醸成しましょう。適切なレベルのマネジメントのもとでメンバーに権限を与えるボトムアップのカルチャーを醸成することで、メンバーの強みを最大限に引き出し、創造性を発揮することにつながります。ツールや仕組みを導入し、社内コミュニケーションの透明性を高めることも重要です。

トップダウンのカルチャーではメンバーは常に経営陣や上司の指示を仰ぐようになり、当事者意識や責任を持つことができず、リーダーの数が少なくなり、メンバーそして会社のポテンシャルが十分に発揮されません。結果としてトップ人材は組織を離れていくこととなります。

会社第一のカルチャーの醸成

強い組織を作るためには、自己中心的な人ではなく、会社、そしてビジョンの実現を第一に考える人材が必要です。特に経営陣や責任者に自己中心的な人がいると経営陣内での不和を生むだけではなく、メンバーから経営陣への信頼も損なわれます。スキルフィットだけではなく、ビジョンへの共感やカルチャーフィットを重視した採用基準と採用フローを策定しましょう。特に責任者クラスの採用時はバックグラウンドチェックも必須です。また、採用後に人材がフィットしていないことが発覚したケースでは対処の遅れが組織崩壊に繋がることも多いため、なるべく早期に断固とした対処を取るべきです。

信頼関係の構築

メンバーが経営陣を信頼できると感じられなければ強い組織を作ることはできません。トップ人材から組織を去ることになり、他に選択肢のない人材が残ることとなります。信頼は様々な要素で形成されますが、オープンで透明性の高いコミュニケーションや強い人間関係の構築、評価制度をパフォーマンスベースとし、必要に応じて明確な意思決定や行動がなされることなどが大切です。信頼は積み上げるのは大変で時間がかかりますが、失うのは一瞬です。メンバーは自分が大事にされており、経営陣が正しいことをしていると感じていることで、初めて仕事で成果を出すことに集中することができます

プロセス

パフォーマンスの追求と高いハードルの設定

組織のスケールによるパフォーマンス低下を招かないためにパフォーマンス追求の仕組みが必要です。メンバーがパフォーマンスの高い仕事がどのようなものか明確に理解し、自分自身やメンバー間で高い水準を求める状態を作りましょう。そのためにもバリュー(行動規範)を策定し、日々のコミュニケーションや評価制度に組み込むことで組織内に浸透させましょう。また、パフォーマンスの追求において重要なのは、他者と競争するのではなく、過去の自分自身と競争するカルチャーです。メンバー間での競争は信頼を損ねて組織の雰囲気を悪化させ、パフォーマンスを低下させる恐れがあります。

インパクト中心主義

A+のトップ人材を採用し、良い文化を形成でき、素晴らしい組織が構築できたとしてもインパクトの最大化に集中していなければ事業成果には繋がりません。インパクトの最大化に向けて、メンバーが会社にとって最も重要な問題に取り組めるようリソース配分の優先順位付けをしましょう。正しい課題に取り組めていなければ、トップ人材がハードワークしても成果に繋がらず、停滞感を生み出すこととなるため、常に全メンバーが会社の成功に最も貢献する仕事に集中できているかを考えることが大切です。

共通目的の浸透

何よりも重要なのは、組織内の共通目的を明確に設定し、浸透させることで、メンバーが帰属意識、当事者意識を持てるようにすることです。強いビジョン、ミッション、バリューにより、組織全体が強固に結びつき、掛け算の関係性を構築しましょう。これらの共通認識を高めることで、意思決定の質とスピードを高めることができます。

最後に

事業内容や組織構造、経営者やメンバーの価値観などによって最適な組織のあり方は異なるため、全てのスタートアップに通用する組織作りの解はありません。一方で、組織作りにおける失敗事例や考えるべきポイントを事前に認識して考えを巡らせておくことは、暗闇を歩く際に周囲を照らす明かりになるはずです。より良い未来の実現のため、これから強い組織を作っていこうとしている方々の思考のきっかけとなればと思います。

筆者

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