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理想の組織図ある/なしで変化する事業成長スピード

NOTES

日々、数多くの国内外の支援先経営チームと喧々諤々と経営会議をしていますが、よくある相談が主に3つあります。

1.組織 / マネジメントの相談
2.資金調達の相談
3.戦略 / 戦術の相談

よく資金調達や戦略 / 戦術の相談が多いのでは?と思われがちなのですが、実は組織 / マネジメントの相談がダントツに多かったりします。
特に我々のように創業期から支援をさせて頂いているステージのVCはこの傾向が強いように感じています。

今日は強い組織を作っていく一環で「理想の組織図」について簡単にまとめてみたいと思います。

1. 強い組織を創るためのシードスタートアップの組織論

こちらはパートナーである田島が以前に書いているので詳細は割愛しますが、ポイントを紹介すると以下3点があります。

1.世界観としてのビジョンをチーム全体で共有することを通じて、向かうべき方向性を明確にすること
2.個人が持っている能力や個性を最大限掛け算しあえるチームワークを育むこと
3.チームワークに関するフィードバックサイクルを廻すことを通じて、進化し続けること

2. シリーズAに向かうシード・スタートアップが組織トラブルを回避するために意識すべき3つのポイント

こちらも(笑) パートナーである田島が以前に書いているので詳細は割愛しますが、ポイントを紹介すると以下3点があります。

1.経営チームの採用は妥協しないこと
2.マネジメント人材をメンバークラスよりも優先して採用すること
3.スキルフィット以上にカルチャーフィットを重視して採用すること

3. 事業成長がどんどん加速していく支援先の共通項

ようやく本題です(笑)。
私自身、VC歴約10年、国内外で30社ほど直接担当して支援をさせて頂いておりますが事業成長がどんどん加速する支援先と、そうではない支援先の違いを考える中で見えてきた一つのポイントがあります。

(実際には起業家のタイプとか複数要因があるので一つではないのですが)
そのポイントは、

1-2年後、次ステージ以降を見据えた理想の組織図が描けているか

資金調達の際に事業計画を描くときに人員計画も一緒に作りますが、
取締役◯名、開発◯名、営業◯名、人事◯名 etc…
と職種別にエクセル上に人員計画が記入されていることが多いのですが、僕がよく起業家・経営チームにする質問があります。

現在の組織図と1-2年後の理想の組織図ってなんですか?

人員計画のみで現在の組織図すらピッチ資料や補足資料にないケースが多い(シード期はそもそも現在の組織図がないに等しいですが……苦笑)ですが、現在の組織図や、次ラウンド以降を見据えた1-2年後の理想の組織図があるかどうか?は事業成長スピードを変える大きなポイントだったりします。

4. リミッターを外して思考する

先日、FASTGROWの新コーナーFASTGROW ANSWERS βでインタビューを受けたのですがそこで「投資先によくしているアドバイスは?」に対して私や、EastVentures金子さんが以下のような回答をしております。

https://www.fastgrow.jp/articles/answers-08
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EastVentures金子さんの言葉を借りるならば「リミッターを外して思考する」ことがスタートアップの悲連続の成長を実現するには欠かせないと考えています。

どうしてもスタートアップは足元の業務に意識を持っていかれますし、実際にタスク量が多いので、視野が狭まりがちです。
そんな時に、リソースが無限にあると仮定して思考すると、改めて理想の状態からの逆算で動くことができるようになります。

組織図に関しても同様で、どうしても「採用しやすい人」を採用してしまうし、「今いる人」から組織を考えてしまうことが多いので、視点を上げてから考えるように問いかけています。

5. 事業成長を加速させる為の組織図

そもそも強い組織を作る意味は、「事業成長を加速させる為」であり、途方もなく遠く、実現が難しいかも知れない我々の「ビジョンを達成させる為」のものです。

その為、組織図も「実現可能」かつ「今の延長線上」で作ってしまっては意味がありません。

どうやったら事業成長を今より加速させられるか?高い事業計画を実現出来るか?と言ったゴールから逆算し、かつ制約条件をなくて理想の組織図を作ることが大事です。

我々の支援先の中でも異常な成長を見せている起業家は、経営会議の場や、常日頃以下のような問いかけをしてきます。

「CXOとして現在、◯◯でCOOやられている▲▲さんを採りたいです、どうにか採る方法がありませんか?
もしくは▲▲さんが無理として、彼のような役割を担えそうな□□と言った経験を持っていて◎◎のような性格・キャラクターを持った方いないですか?」

6. 理想の組織図を描くことによる効用

上述の起業家のように理想の組織図を作るだけではなく、以下のようなポイントが大事だったりします。

・それぞれのポジションにどう言った経験・キャラクターを持った人を置きたいのか?
・そのポジションの人を外から採用するのか?中から育成して抜擢していくのか?

組織図と言うのはあくまでも「ただの図」です。
上記のように理想の組織図と現在の組織図のギャップから、事業成長を加速させる為に「具体的にどのような人を採用していくべきか?」また「どのような優先度で、どのポジションの人を採用をしていくべきか?」と言った立体的と言いますか奥行きのある理想の組織図が描けていると、

・採用における要件が明確になる
・要件が明確になることであらゆるステークホルダーを採用などで巻き込みやすくなる
・経営会議で理想の組織図の進捗を確認する機会を作ることで常に組織図を意識することができることで結果として採用が加速する

などの効用があります。

採用も組織作りも非常に難しいですし、言うは易く行うは難しではありますがやはり理想の組織図を常にアップデートし続けている起業家・経営チームは事業成長が加速しているのは経験上見えてきていることなので、引き続き支援先の理想の組織を実現するためのサポートを全力でやって行きたいと思います。

組織作りは、起業家の思想や狙っている事業領域などによってもさまざまな選択肢があるので、何が正解というのは一概には言えません。
しかしながら、有望な事業領域を選択し、筋の良い戦略を描いているにも関わらず、組織作りの失敗で事業の成功確率を下げてしまうケースが多いのも事実です。

組織にまつわるトラブルは、ちょっとした心構えや意識を頭の中に持っておくだけで回避可能なものが多いです。だからこそ、起業時のシードマネーを調達する際にも、皆さんの良き伴走者として、本質的なアドバイスがもらえる、信頼できる投資家にご相談されることを強くお勧めします。

皆さんの周りにこれから組織づくりにチャレンジされる方や、組織づくりで悩んでいる起業家がいれば、ぜひシェアしてください。

筆者

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