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会社として「ビジョン・ミッション」は大事。それ以上に「浸透する仕組みと運用」が大事。

NOTES

先日、前職サイバーエージェントの後輩で起業し、現在エンジェル投資家もやっているT氏と軽くお茶をしていた時に、彼の支援先起業家から最も相談貰うのが「組織作り」と「組織&人事施策」であると言う話が出たのが印象的でした。

僕自身もサイバーエージェント出身なこともあり多くの起業家にCAグループの「組織&人事施策」のヒアリングや相談を受ける機会が多いです。

しかし僕とその後輩が共通していたのが以下のような内容でした。

・ビジョン・ミッションも大切だけど、それ以上に大切なのは事業成長
・より事業成長を加速させる為に必要な組織を定義した上で、その上で必要な「組織&人事施策」を自社にあったカタチで生み出すことが大事
・「組織&人事施策」に正解はない

とは言え強い組織を創る上で、ビジョン・ミッションは大事です。

またそれ以上に事業を成長させる為にも、ビジョン・ミッションを組織にしっかり浸透させることが大事です。

またビジョン・ミッションは掲げて終わりではなく、「組織&人事施策」も作っておしまいではなく、運用が何よりも大事だったりします。

今日は、「組織&人事施策」の考え方を簡単に前職や様々なスタートアップ支援を通じた経験を踏まえて、まとめていければと思います。

ビジョンは「浸透させる仕組み」が大事

色々と書こうかな?と思ったのですが、実は2013年にアメブロで今やインドネシアを代表するユニコーン、いや近々デカコーン企業になる支援先だったTokopediaと絡めて似たような記事を書いていたので、詳しくはそちらを参照頂きたいのですが………(いきなり手抜き)

【組織ビジョン】と【浸透の仕組み】

以下にいくつかのポイントを抜粋したいと思います。

スタートアップだからこそ【ビジョン】が重要だと考えています。
何故なら売上もまだない、プロダクトもまだ成功していない状態で仲間を集めるには、経営者の熱い気持ちと志、そして組織のビジョンしかないからです。案外、ここの意識が抜け落ちてる経営者が多いように感じています。

【ビジョン】を掲げるだけではだめで、【浸透させる仕組み】が非常に重要です。そうする事で初めて組織の中でビジョンが生きてきます。

・社員を表彰する仕組み
・給与査定等での評価の仕組み
・会議体としての仕組み
・オフィスレイアウト etc…

とは言え資金調達をしたばかりで、【金銭的な報酬】は用意し辛いと言う声も多く聞いてきました。

ただ浸透させる仕組みや、メンバーのやる気を引き出す仕組みは【金銭的な報酬】だけではなく、【非金銭的な報酬】を工夫することでやれることも多くあったりします。

オフィスレイアウトは前職サイバーエージェントは昔から工夫していましたし、支援先だったTokopediaもシリーズA前後から相当工夫してお金をかけずに浸透させる仕組みを考え実行していました。

なおTokopediaが従業員数30名くらいのタイミングで100名入るオフィス(と言っても倉庫みたいなところのリノベーション)に移転した際のオフィスの様子は以下のブログから確認頂けます。

潜入!? インドネシアIT企業の現場 PT Tokopeia 編

サイバーエージェント流【感情報酬✖️金銭報酬】 + 【安心✖️挑戦】

*サイバーエージェント人事統括の曽山さんのブログより抜粋

自社にあったカタチに「組織&人事施策」を生み出すことが大事と冒頭に書きましたがサイバーエージェントの場合は以下の視点を大事に人事施策を考えられています。

サイバーエージェントでは「挑戦と安心はセットで考える」という人事制度設計のポリシーがあります。

横軸は挑戦する人事制度と安心できる人事制度、縦軸は感情の報酬と金銭の報酬。会社にある人事制度をこのマッピングで整理すると、会社全体の人事制度を俯瞰でき、何が強くて弱いかも確認することができます。

挑戦と安心はそれぞれ相互に作用しており、両方を高めるには工夫が必要だと考えています。
・挑戦しつづけるためには、安心が大事。
・安心があるからといって、勝手に挑戦が生まれるわけではない。
・安心の基盤を作った上で、挑戦しやすい環境が必要。

安心のためには健康という基盤が大事ですし、褒めたり存在意義を感じたりできるような表彰などの取り組みも大事。その基盤がある前提で、新規事業を生み出しつづけるような習慣や風土があると、より多くの人が自然と手をあげてくれるようになると考えています。

組織の成長と個人の成長においては、あくまで自然と手を上げたくなるようになる「自走環境」がとても大事だと考えています。大きな目標にワクワクしながら、仲間との信頼関係で迷わずに突っ走ることができる。そういう自走できる環境をつくることが、経営や人事、リーダーの仕事です。

ちなみに蛇足ですが在職中(2012年くらいの時)にインドネシア支援先にサイバーエージェントの人事施策をまとめた時は、【金銭報酬】【非金銭報酬】で分けられていました(記憶が曖昧なので確かベースです)が、現在のサイバーエージェントは組織規模も拡大し、フェーズが変わっていることもある為、【感情報酬】と【金銭報酬】と分けられています。

また当時のマッピングと比較すると【ずっとある施策】【取りやめた施策】【新たな施策】および【中身が変化した施策】があることからかなりしっかりと運用されていることに気付きます。

ちなみにR25の曽山さんのインタビューも人事施策を考える際に示唆があり、非常に面白いので時間ある際に是非見て頂きたいです。

創業期のスタートアップが今すぐ実践可能な人事施策は【感情報酬】

創業期のスタートアップは資金が限られているので【金銭的な報酬】を用意するのは非現実的なので【感情報酬】に重きを置いてアイデア出しをしてみると自社にあった人事施策が見えてくるかもしれません。

例えば、
・ビジョンを語り、世界観を理解する場としてのチーム合宿
・Slackのスタンプを活用したチームの大事な価値観浸透
・Slackのスタンプ集計して価値観を体現していた人を定期的に表彰
・採用広報における社員インタビュー掲載
・社内報
なども考えられるかと思います。

繰り返しになりますが強い組織を創る、力強い事業成長を作る為には、ビジョンや、それを浸透させる仕組み、そしてその仕組みを運用することが本当に大事です。

一朝一夕で、他社の人事施策を真似たところで全く意味がありません。
長い目線で自社にあった人事施策を生み出すことが本当に大事です。
(結果として似たような施策に収斂すること自体は問題ないと思います)

筆者

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