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東南アジアNight Vol.1[前編] -人生を拓く、世界への挑戦-|Players by Genesia.

EVENT

- 東南アジアに“何か”があるわけじゃない。
- 東南アジアが“何か”を用意してくれているわけじゃない。

- ただ、自分の人生をどう生きるか、どう全うするかを考えてひたすらに行動し続けてきた結果、今、東南アジアにいる。自分で自分の道を切り拓いている。

- その上で、思う。新興国のおもしろさ。
- そして、知る。挑戦のおもしろさ。そんな人生のおもしろさ。

壇上の六人から伝わってきたのは、そうした、自分自身の人生にポジティブかつ真摯な想いで向き合う気持ち。そして、「みんなで、挑戦を、人生を、世界を楽しもう!」、そんなメッセージだと感じました。

先駆者や前例がまだほとんどなかった時期から、いち早く“東南アジア×スタートアップ”に挑んできた六人。彼らは一様に、その挑戦を楽しんでいました。

私たちは、人生を楽しむ舞台をどう見出すか?

今回は、ジェネシア・ベンチャーズのGeneral Partner 鈴木が発起人となり、東南アジアで奔走する“Players”が登壇したイベント「東南アジアNight Vol.1」のレポートをお届けします。

登壇者

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写真 左から

発起人より

-2020年1月15日、六本木・フリークアウトホールディングス社のオフィススペース。当日は、約50人の参加者のみなさんも登壇者もドリンクを片手に、和やかな雰囲気でイベントがスタートしました。

鈴木:

みなさん、こんばんは!
今日は、「東南アジアNight Vol.1」にお集まりいただき、ありがとうございます。ドリンクも飲みながら、インタラクティブなスタイルでいきましょう。

まずは、僕の自己紹介をさせていただければと思いますが、ジェネシア・ベンチャーズという独立系のベンチャーキャピタルを運営しています。原則リード投資家として、シード~プレシリーズAラウンドを対象に、日本と東南アジアで現在70社ほどに投資をしています。我々は「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンと「アジアで持続可能な産業がうまれるプラットフォームをつくる」というミッションを掲げ、それらの実現の手段としてVCという事業を選んでいて、そうした社会課題などを解決しうるスタートアップへ投資をしています。
僕自身は、前職でサイバーエージェント・ベンチャーズ(現:サイバーエージェント・キャピタル)というサイバーエージェントの投資子会社のインドネシアの責任者をしていて、2011年からインドネシアに赴任。今、インドネシアに住み始めて九年目です。普通の企業では、駐在はMAX五年くらいで帰ってしまいますが、九年というのは、最長老の一人になりつつあるという感覚です。インターネット系の方はご存知かもしれませんが、2014年12月にSoftbankとSequoia Capitalから、一昨年と昨年でAlibabaとSoftbank Vision Fundから資金調達をした、時価総額が現在US$7BくらいのTokopediaというスタートアップの初期投資などを担当しました。

で、今回なぜこのイベントを企画したかというと、パネリストはみんな昔からの知人で、東南アジアで挑戦している起業家や海外拠点立ち上げメンバー同士、「もっと海外で挑戦する人が増えるといいよね」「起業だけじゃなく就職も含め、日本人はもっともっとも戦えるよね」「ということを、今実際に戦っていて感じるよね」と話していて。それで、「東南アジアを含め。新興国を盛り上げていきたい」と思って、今回イベントを開催することにしました。

鈴木 隆宏|TAKAHIRO SUZUKI ジェネシア・ベンチャーズ General Partner

こうして、東南アジアにたどり着いた

鈴木:

じゃあ、一人ずつ自己紹介をお願いします。 ※敬称略

十河:

AnyMindという会社をやっています。2016年4月創業で、日本でいうとサイバーエージェントやUUUMのようなビジネスをアジア各国11の国と地域、13拠点で展開しています。三年半で650人くらいの規模まで急成長中です。2012年、サイバーエージェント子会社のマイクロアドの東南アジア統括を担当していたころからずっと現地にいます。当時から、肌感覚で市場のモメンタムを感じていました。何の事業でもどの産業領域でも伸びている。成長率が高くて、平均年齢も27-28歳と若くて、成長機会がたくさんある。インターネットビジネスも間違いなく伸びる。というところで、東南アジアという市場でインターネットビジネスをしっかりと立ち上げたいと考え、起業しました。

十河 宏輔|KOSUKE SOGO AnyMind Group Founder & CEO
安倉:

フリークアウトは、インターネット広告のマーケティングソフトウェアの開発=DSP(デマンドサイドプラットフォーム)を日本で初めてローンチした会社です。2010年に創業して、海外という文脈で言えば、2012年にN.Y.でチャレンジしました。DSPというビジネスモデル自体は、2008年にN.Y.で誕生したものですが、そこに2012年に日本製品で乗り込んだかたちです。結果的に2-3年チャレンジして、最終的にはクォーターで黒字化まで持っていきましたが、ローカルの強い開発会社などと比較して優位性をなかなか作れず、人件費もめちゃくちゃ高いので、市場の成長性とチャレンジコストの高さを考えると、瀕死になりながらスケールさせるよりも、そのコストが低く技術の優位性を活かせる途上国を中心にやった方がよかろうということで、2013年にシンガポールに東南アジアのHeadquarterを立てました。それが会社としての東南アジア進出のスタートです。フリークアウト自体は2014年にマザーズ上場、2015年以降に海外展開を積極化、東南アジアは六ヵ国で現地事業をやりながら、それ以外も含めるとM&Aも含めて16か国で事業を展開中です。
東南アジアではローカルで優秀なエンジニアがまだまだ少ないです。フロントエンドは結構いますが、アドテク、インフラ、ビッグデータをさばける、それを機械学習でアルゴリズムを改善していく設計系は全然いない。DSP開発をしているローカルプレーヤーは0。なので、N.Y.での反省も活かしながら、対ローカルでは技術優位で戦えると思っています。
個人でいうと、インドネシアには(鈴木)タカさんがいるから行きました。生活には困らなそう、と思い(笑)

安倉 知弘|TOMOHIRO YASUKURA フリークアウトホールディングス取締役
手島:

僕は、IBMの研究所で五年、LINEで二年と、ずっと技術者畑にいました。その後、ひょんなきっかけで四年前に、EastVenturesから出資を受けた旅行系のスタートアップに共同創業者として参画。その事業が東南アジアの高級プライベートヴィラのブッキングサービスを作っていたことから、三年前にタイに移住しました。その会社を二年ほど前に事業譲渡して、今は自分でスタートアップスタジオを運営しています。ゼロイチで起業したい、シード調達したい、調達したけどエンジニアが足りない、というスタートアップ向けに、日本人のエンジニアを現地に派遣したりリモートでジョインさせたりして、一緒に事業をつくるビジネスをしています。クライアントは15社ほど(東南アジア、東京、US)。メンバーは30名弱。エンジニア目線で、東南アジアについて共有できればと思っています。

手島 拓也|TAKUYA TEJIMA  GAOGAO Pte. Ltd. Founder & CEO
船瀬:

Quipperは、2010年にDeNAの共同創業者の渡辺さんがロンドンで創業した会社です。USやヨーロッパなどいろいろなマーケットで事業を展開していましたが、2014年に東南アジアにフォーカスしました。僕は前職のマッキンゼーからジョインして、日本オフィスで半年、その後フィリピンオフィスに移って、学校・先生向けのツールである「Quipperスクール」を立ち上げました。ユーザが600万人くらいになったくらいのタイミングでQuipperはリクルートに買収されて、100%子会社になりました。それからよりマネタイズしていこうとなり、インドネシアを最重要マーケットと捉え、かれこれ五年ほど、立ち上げからずっと関わっています。ユーザ数も順調に伸びていて、グローバルで1,000万人、スタッフも600人まで拡大しています。今はtoCの受験生向けの学習サービスとして、インドネシアや中国やインドで非常に大きい受験市場をターゲットにしています。ちなみに、リクルートのスタディサプリの基盤にはQuipperが使われています。Quipperのプラットフォームが使われ、コンテンツだけが各国に最適化されているんです。
インドネシアにスタッフが600人もいる理由は、まだ当時はオンライン学習サービスがあまりなくて、そういった新しいサービスをオンラインやマスプロモーションだけで認知させ、ユーザー獲得するのは難しかったので、学校をひとつひとつ訪問して授業の時間を一部拝借して商品の説明をするというチャネルを開発したからです。すると、どんどん興味を持ってくれてユーザー数が増えていきました。2016年にそれを拡大することにして、三ヶ月で10拠点を立ち上げ、スタッフを10人から300人くらいに急拡大、ということをやりました。なぜ三ヶ月でやったかは、今日はカットしますが・・新興国の教育の価値を高めていこうと、日々邁進しています。

船瀬 悠太|YUTA FUNASE Quipper Indonesia カントリーマネージャー
キム:

僕は韓国人ですが、生まれも育ちも日本です。周りはパチンコ屋や焼肉屋などの飲食店を経営する家庭が多い中で、早稲田大学に行って、アメリカへ留学して、という道を選びました。キム一族の中でもただ一人だけ就活をして、楽天に入社しました。それで、国際事業の立ち上げをしたいと言い続けていたら、二年目にインドネシアに行くことになり、3-4年、その立ち上げをしていました。いずれは何か自分でやりたいなぁと思っていたら、鈴木隆宏に出会って、2013年にVIP Plazaを立ち上げました。ファッションECで、インドネシア版のZOZOというイメージです。三年くらいで社員240人、契約者数1,000社、会員100万人まで拡大しました。しかしながら、過去2-3年でものすごい競争環境に置かれて、派手にこけました(笑) ただ、それを見越して日本事業を立ち上げていて、こちらが堅調に立ち上がっていたので、直近では選択と集中で日本事業に集中しています。楽天時代から、失敗の数でいうと結構あって、他の登壇者に負けないと思います。

キムテソン|TESONG KIM VIP Plaza International Founder & CEO

急拡大するマーケットで、急拡大する組織の中で

鈴木:

今聞いていてびっくりした人もいるかもしれませんが、東南アジアのスタートアップは、創業から1-2年で数百人規模になるんですよね。単純に給料が安いというのもありますが、急速に事業が拡大していく中でとにかくマンパワーが必要で。
そうして急速に組織を拡大する中で、いろんなひずみもあると思うんですが、組織拡大や採用、マネジメントの落とし穴など、どんなことがあったかを教えてもらえますか?その学びから、こんな組織をつくるとうまくいく、みたいなところも聴きたいです。じゃあ、“三ヶ月で300人組織”の船瀬くんからお願いします。

船瀬:

そもそも新興国は人材の流動性が非常に高いんですよね。自社の優秀なタレントがどんどんいなくなります。Quipperも例外ではなくて、例えば三ヶ月で10拠点の立ち上げをしたときに、拠点長を10人選んで置いたんですが、すべてのトレーニングが終わって、よし!これから営業行くぞ!というタイミングで二人くらい辞めるとか・・そういうことが本当にあります。ただ、ある程度はしかたないと思っていて。これだけの成長市場なので、新しいビジネスチャンスがたくさんあるんですよね。その中でゼロイチを立ち上げたい、みたいな想いをみんなが持っているので、機会を提供し続けられないと、会社として認めてもらえません。また、デカコーンやユニコーン企業がわんさかいる中では、給料2倍でエンジニアが引き抜かれるみたいなこともしょっちゅうあります。かといって、給与テーブルを崩して無理に引き留めをするのにも限界がある。そんな中でできる打ち手を考えたときに、ビジョンやミッションをしっかりと伝えて、そこに意義を感じて居続けてもらうのがベストだなと考えて、日々取り組んでいます。我々の教育サービスが社会にもたらす価値、社会をどう変えるか、従業員の行動指針などを明文化して、表彰などにも盛り込みながら、メッセージを散りばめています。

鈴木:

十河くんは2016年の創業から三年で11の国と地域で事業を展開していて、やはり急拡大する中で起きた問題や、他拠点に亘るリモートでのマネジメントをどうしているか、聴かせてくれますか?

十河:

今、11の国と地域、13拠点で、社員は650人規模です。今までトータルでは1,000人以上採用していると思います。船瀬さんも言ってましたが、人材の流動性がめちゃくちゃ高いので、やっぱりすぐ辞めちゃいます。特にスタートアップの場合、急速に組織を拡大するために急ピッチで採用するので、100%適性のある人を採るのは難しいです。なので、採用段階でミスしているというのもあると思います。さらに、圧倒的に成長して知名度も上がってくると、競合他社からの引き抜きもすごいです。優秀で目立っている人には毎日のようにLinkedInでスカウトメッセージが来る。僕らの会社ですら、メンバーがグローバル規模の大企業から倍くらいの給料で引き抜かれそうになったりする。ある程度の流動性は仕方ないと受け入れる、というのは学びですね。ただ、中にはどうしても残って欲しいメンバーもいますよね。2:6:2の法則でいう上位20%は絶対にキープしたい。そこで、メリハリのある評価制度を大切にして、上位20%にはかなりウェットなコミュニケーションをしています。今も1on1をしているし、各国の全カントリーマネジャーとは週次でカンファレンスコールをしています。また、経営に関する情報も可能な限り早く、メンバーに共有したりしています。それによって、自分たちが同じ船を漕いでいるんだ、という当事者意識が上がってくるんですよね。

鈴木:

東南アジアの人って自社の情報を結構すぐ他者に言っちゃうじゃないですか(笑) 例えば、僕も投資するときとかに、投資候補先の競合の立ち上げメンバーとかに採用目的を装ってLinkedInでメッセージを送ったりするけど、すぐ返ってきて、すぐデータやKPIとか聞けちゃう。そのあたりはどう考えてますか?上場企業じゃないから、経営に関わる情報とかもある程度は当事者意識のためにいいかって割り切って考えてるイメージ?

十河:

まず大前提として、メンバー全員にオープンなわけじゃないです。経営感覚がある幹部か、幹部候補(ポテンシャルがある層)かの切り分けはしています。これは日本人だけじゃなくどの国でもそうだと思いますが、会社の情報を知っていれば知っているほど、意思決定も的確にできるし、パフォーマンスも上がると思っています。なので、そこはあえてオープンにしています。会社の情報を一番持っている自分がオープンであって、周りの幹部にも同じように情報を渡すことで、彼らも同じくらいワークすると思っています。

キム:

ちなみに自分は、幹部採用時にコミットを引き出すために戦略の話などをオープンにしていたら、しばらく経って競合に入っていたってことがありましたけどね(笑) しかも、戦略をトレースされてた。

鈴木:

普通に考えたらあり得ないことが起こるね。

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