INSIGHTS
INSIGHTS

令和6年 能登半島地震から1年。寄付だけでない支援のあり方を模索して

ブログ

はじめに

2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震から、1年が経過しました。 被災された皆さまには、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

ジェネシア・ベンチャーズでは、被災地への寄付を目的に、同年1月11日より募金活動を開始しました。12月には海外メンバーを含むほぼ全社員で珠洲市でのボランティア活動にも参加しました。

被災された方々の苦悩や被災地の復興までの長い道のりを思うと、私たちの支援は些細なものかもしれません。しかし、被災された方々や支援に携わる方々との出会いを通じて、私たちなりにお伝えできる経験と学びがあると考えています。

また、ベンチャーキャピタルとして、地方創生を軸に地方自治体やパートナーの方々と連携を進めていく中で、こうした方々がスタートアップエコシステムの構築に継続的に挑戦できるような活動も、私たちの重要な使命だと思っています。

今回私たちがボランティア活動で得た気づきを発信することで、被災地とそこに暮らす方々に関心を持っていただくきっかけになりましたら幸いです。

実施背景

能登半島地震の発生を受け、ジェネシア・ベンチャーズは2024年1月11日より募金活動を開始しました。皆様からお預かりした1,634,000円は、「特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(以下:「ピースウィンズ・ジャパン」)」と「特定非営利活動法人ジャパンハート」を通じて被災地の復興支援に充てさせていただきました。改めまして、温かいご支援を賜り、心より感謝申し上げます。

この取り組みは、ジェネシア・ベンチャーズの「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンに基づいています。

私たちが掲げる「すべての人」とは、年齢、ジェンダー、居住地、所得などの枠を超えた広い意味を持ちます。自分の身の回りだけでなく、普段出会うことのない方々との交流を通じてその多様性を体感することで、「すべての人」という言葉の本質的な意味を実感できると考えています。

このような背景を受け、「寄付に加えて、現地に足を運ぶことで被災地の現状を深く理解し、支援のあり方を模索することも大切なのでは?」という声が昨春頃から社内で高まりました。 そこで、海外メンバーも集まる12月のグローバルオフサイトの一環として、被災地でのボランティアを実施することにしたのです。

ピースウィンズ・ジャパンについて

今回の珠洲市でのボランティア活動は、募金活動をきっかけに出会ったピースウィンズ・ジャパンに支援いただきました。

ピースウィンズ・ジャパンは、1996年に日本で設立された国際NGOです。これまでに世界40か国以上で活動を展開し、紛争地や大規模災害の被災地など、困難な現場にいち早く駆けつけることを信条に、累計2,600万人以上の人々に支援を届けてきました。

能登半島地震においても、災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”」を通じて、医師・看護師、レスキュー隊員、災害救助犬とそのハンドラーで構成された緊急支援チームを派遣し、捜索・救助、医療支援、緊急物資の配布といった支援活動を行ってきました。

ボランティア期間中は、ピースウィンズ・ジャパン国内事業部次長 兼 令和6年能登半島地震被災者支援珠洲事務所の事業統括を務める橋本 笙子(はしもと・しょうこ)さんを中心にアテンドいただきました。

活動内容

4日間のオフサイトのうち1・2日目の2日間にわたって珠洲市でのボランティアを実施しました。

1日目は、被災地を訪れる際の注意事項やボランティア活動にあたっての心構えなど、ピースウィンズ・ジャパン橋本さんにオリエンテーションを行っていただきました。

オリエンテーションにて ©peace winds japan
ピースウィンズ・ジャパンに作成いただいたワークシート

オリエンテーション後は、現地の健康増進センターと生涯学習センターにも訪れ、被災者の方との交流を通じて能登の現状を学びました。

また、2日目に行う「足湯」に関するレクチャーとリハーサルも行いました。足湯は、心身のリラックスを促すだけでなく、被災者の方々との対話を通じて見えにくいニーズを把握する手段としても重要です。

  • 専門性(看護の知識、建築の知識、法律の知識)がなくても誰にでもできる
  • 老若男女関係なく参加できる
  • 足湯を通じて人と人のつながりが生まれ、被災者一人ひとりを見守ることにもつながる

という特徴からも、災害ボランティアで多く実施されています。

2日目、実際に避難所に出向き、1人あたり10~15分の計3時間で足湯を実施しました。

正直なところ、数時間のボランティアでできることは限られています。しかし、被災者の方々との会話を通じて、顕在化していないニーズ(つぶやき)を拾い出すことはできます。そのニーズを、保健師や行政など現地の専門家に「つなぐ」ことが、今回の私たちの役割でした。

活動の詳細については、ピースウィンズ・ジャパンのお知らせ・動画からもご確認いただけます。

【企業連携】ジェネシア・ベンチャーズの皆様と冬の奥能登に届けた足湯

ボランティア活動を終えて思うこと

今回、倒壊した家屋や道路など、目の前に広がる被災地の様子を目の当たりにし、その衝撃は計り知れないものでした。

一方で、実際に被災地に足を運ぶ中で、それ以上に多くの学びと気づきを得たことも事実です。被災者の方々や支援活動に取り組む方々の温かいホスピタリティに触れることで、人と人とのつながりが復興の大きな力になることを改めて実感しました。

また、ピースウィンズ・ジャパンの方々を筆頭に、被災地で活動されている方々には、日々の困難に直面しながらも未来を切り拓こうとする「起業家精神」に近いものを感じました。

先の見えない状況においても冷静に行動し、一つひとつの課題に取り組む姿勢。その実行力と信念には心を動かされると同時に、困難な状況に立ち向かう力を支えるのは、個々の強い精神力と周囲のサポートであることを学びました。

今回の被災地で得た経験をもとに、ジェネシア・ベンチャーズならではの、より具体的な社会貢献活動を形にしていきたいと考えています。

もちろん、このアプローチをチームとして確立するには、多くの時間と努力が必要です。現時点では模索の途中ではありますが、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンの実現に向けて、じっくりと検討を重ねていきたいと思います。

筆者

BACK TO LIST