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成功しているスタートアップが実践する「チームの力」を活かすために大切なこと

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1.なぜスタートアップは「チーム」でやるのか?

この質問に、皆さんならどのように答えますか?

ひとことで言えば、「個人では実現が困難なことを、想いを共にする個人が集まり、持てる力を掛け合わせることで成し遂げるため」だと思います。

言い方を変えると、「個人の持つ能力を、足し算ではなく掛け算にすることができてはじめてチームでやる価値がある」とも言えます。

■チームの力を活かせている状態
チーム > 個人+個人+個人+個人+個人・・・
チームの力が、個が持つ能力の足し算よりも大きい状態

■チームの力を活かせていない状態
チーム ≦ 個人+個人+個人+個人+個人・・・
チームの力が活かせておらず、個が持つ能力を足し算にしかできていない、若しくはお互いの能力を打ち消しあっている状態

言うまでもないですが、チームの力を活かせるかどうかで、事業の推進スピードはもちろん、チーム創りや資金調達など、あらゆる面での成果量に大きな差が生まれてしまいます。

では、チームの力を活かせる起業家と、活かせない起業家では何が違うのでしょうか? チーム創りは起業経験者を除くとはじめてのチャレンジなので、スキルや経験の差も大きいとは思いますが、それ以上に起業家が持つ欲求やマインドセットの違いも大きいと感じています。

本稿では、私たち自身の強いチーム創りの実践や、私たちの支援先に対する強いチーム創りのアシストを通じて、チームの力を活かす上でとても大切だと感じていることの一部を書きたいと思います。

2.チームの力を活かせる起業家と、活かせない起業家の違い

チームの力を活かせる起業家と、活かせない起業家の違いは何なのでしょうか? その要因は多岐にわたりますが、両者ではこのような特徴があることが多いと感じています。

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要約すると、起業家がチーム(We)を中心に考えるのか、自分(I)を中心に考えるのかの違いであり、起業家の持つ欲求のベクトルが外(社会)に向いているのか、内(自分)に向いているのかの違いともいえると思います。

一例ですが、チームを中心に考えている起業家は、

「メンバーの意見に耳を傾け、積極的によい意見を取り込んでいく」
「自分よりも、メンバーの活躍や成長に光を当てる」
「性悪説ではなく、性善説がベース。ルールは最低限とし、みんなでカルチャーを創っていく」

その一方で、自分を中心に考えている起業家は、

「メンバーの意見をあまり聞かない。自分の意見を押し付けがち」
「チームの中での自分のポジションを常に気にしている」
「性善説より性悪説がベース。ルールを作ることで管理しようとする」

そして、このような違いは実際の事業にさまざまな影響を及ぼしていきます。

事業への影響が最も大きいのは、自分を中心に考えている起業家は、優秀な人材の採用が難しいことだと思います。優秀な人材であればあるほど、自分の限られた時間をただお金に換えるだけではなく、自己成長や社会へのGood Impact(≒やりがい)を求める傾向が強く、起業家の発言の節々から起業家が持つ欲求のベクトルを感じ取るので、自分を中心に考えている起業家は、優秀な人材の採用が難しいのはいうまでもありません。

「社内に誰も任せられるメンバーがいないんだよね」と口癖のように話している起業家をたまに見かけますが、自分自身の欲求やマインドセットを見直してみると何かヒントがあるかもしれません。

3.チームの共通言語を持つこと

もう一つ、チームの力を活かすうえで大切だと感じているのが、チームの共通言語を持つことです。もう少し具体的に言うと、「目指すべき方向性や価値観が、各個人の頭の中にのみある状態」から「目指すべき方向性や価値観が、チームの共通言語として持てている状態」にシフトすることです。

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なぜチームの共通言語を持つことが大切なのか?

人間には、その人それぞれの想いや価値観があるので、仲間が増えれば増えるほど、個人の想いや価値観の違いを起因とした組織トラブルやコミュニケーションのロスが増えてきます。だからといって、(常識や倫理観を遵守している大前提でですが)一人一人の想いや価値観に、合っている/間違っている、良い/悪いは原則ないので、全員の想いや価値観をぴったり合わせることは不可能だし、むしろすべきではないと思います。

そこで大切になるのが、目指す方向性や価値観についての「チームの共通言語」、例えるならばチームとしての人格を持っておくことです。これを持っておくことによって、属人的な意思決定を防げるのはもちろんですが、個人間で個人の想いや価値観をぶつけ合うのではなく、チームの共通言語に照らして行動し、意思決定できるようになります。もう一つは、個人の想いや価値観を、正しい/間違っている、良い/悪いではなく、チームの共通言語と合っている/合っていないで判断できるようになります。

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チームの共通言語については、こちらの記事も参考になると思うので、良かったら是非読んでみてください。

4.最後に

起業家の心の中から湧き上がってくる熱い想いや情熱を基点として始まるのが起業であり、スタートアップが描くストーリーです。でも、成し遂げたい姿(ビジョン)が大きければ大きいほど、想いを共にする優秀な仲間を集め、持てる力を合わせなければその実現が不可能なのは間違いありません。
だからこそ、起業家はもちろん、仲間の頭の中にある想いや情熱をチームと共有し、主語を自分(I)からチーム(We)に移し、ビジョンの実現に向かっていくことが大切になると思います。

私たち自身も、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンを掲げ、一人でもたくさんの人が、自分のWillに沿って生きられる人生、またそれを可能にする社会を実現することに本気でチャレンジしています(詳細はこちら)。もしこの記事を読んでくださった人の周りに、もしスタートアップのチーム創りに関わっている方、チーム創りに悩んでいる方がいれば、是非シェアいただければ嬉しく思います。

著者

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