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【JobRainbow x トリドールHD】ダイバーシティ推進で日本発のグローバルフードカンパニーに | Collaboration by Genesia. Episode 3

COLLABORATION

慣れない異国の街かどで、ふと懐かしいだしの香りに誘われMarugame Udonの店に足を踏み入れると、そこにはなんとキムチ焼きうどんが。そんな日本と異文化を融合させながら海外展開を加速させるトリドールホールディングスの経営戦略の中核にはダイバーシティというキーワードがあります。今回のCollaboration by Genesia. では、トリドールホールディングスのサステナビリティ推進部の皆さまと、ダイバーシティ推進プロジェクトを共に推進するJobRainbow代表の星さんに両社の共創についてお話を伺いました。

JobRainbowとトリドールホールディングスの共創の道のり

  • 2020年8月・・・JobRainbowがダイバーシティ推進プロジェクトに参画
  • 2021年1月、2022年1月・2月・・・JobRainbowによる社内研修の実施

ダイバーシティ推進プロジェクトの始まりと出会い

吉田:

本日はお集りいただきありがとうございます。早速ですが、トリドールのダイバーシティ推進プロジェクトの取り組みについて教えてください。

大下:

私たちの活動のベースには「食の感動体験を世界に届けたい」という想いがあります。食の感動体験に絶対に外せないのは人です。感動体験は、人からしか生まれないので人が非常に大事です。
私達は世界を代表するグローバルフードカンパニーになることを目標としており、日本も含めた世界を一つの市場として見ています。そこで活躍する人には、いろいろな人がいます。
多様性と一口に言っても、性別や国籍など様々です。その中のでもLGBTQ+に注目した理由は、LGBTQ+の方が働きやすい環境づくりを実施することで、その他のいろいろな悩みを抱えている人たちにとっても働きやすい会社になるのでは、と考えたからです。
その中で私たちの代表、粟田と星さんが元々サポートされてきた外食産業会社から紹介を受け、JobRainbowに話を聞きに行くことになりました。
ダイバーシティの取り組みは本当に数多くやっています。ジェネシア・ベンチャーズは東南アジア等も含めて投資していると聞いていますが、私たちもカンボジア、マレーシア、インドネシア等でビジネスを行っています。私自身、カンボジアを訪れた際に現地のベンチャーの熱量に魅了され、プノンペン大学の学生や社会人約20人を対象に飲食店の起業をするためのビジネス講座を3か月間行ったこともあります。現地の人たちの多様な価値観や、日本では失われつつある熱を感じました。その他にも障がい者の方々の活躍する場としてトリドールD&Iという特例子会社を設立する等、いろいろなことを行っているのですが、その一つが星さんに重点的に協力をいただいているLGBTQ+の取り組みです。
私たちは日本発のグローバルなフードカンパニーになりたいと思っています。ダイバーシティ推進プロジェクトは私たちの成長には欠かせないものであり、それがなければ成長できないというほど、経営戦略の中心にある活動になっています。

株式会社トリドールホールディングス サステナビリティ推進部
大下 浩平
富岡:

トリドールのLGBTQ+の取り組みは、ダイバーシティ推進プロジェクトの一環として2019年度に始まりました。制度作りや研修を行う際には専門家に入ってもらいたいと考えており、JobRainbowにお声がけしました。これまで約2年間の取り組みで、制度の整備や研修の実施などを行い、昨年はPRIDE指標のゴールドを受賞することもできました。

海外出店戦略に欠かせないダイバーシティ

一戸:

トリドールの決算を見ると海外の売上比率が大きいですよね。グローバル展開とダイバーシティへの意識の高まりは連動しているように感じますが、いつ頃から海外展開に力を入れて、ダイバーシティについての取り組みも本格化したのですか。

大下:

2011年にハワイに出店したのが初の海外店舗でした。それまでは、海外よりまず国内に注力すべきと考えていましたが、粟田がハワイに行ったときに偶然訪れた場所にインスピレーションを感じて出店の話が進んだんです。そして開店したところ非常に売れて、今でもワイキキ店は全世界ナンバーワンの売り上げです。特に天ぷらが大人気です。価格設定は2,000円程度と日本では高く感じられるかもしれませんが、それでもハワイでは安いほうで、夜でも昼でも2,000円で食べられるというのは非常にお手頃なようです。そしてお客さんは日本人が一部で、アメリカ本土やアジア圏からの観光客や現地の方など世界色々な地域からのお客様が圧倒的多数なんですよね。この流れを見て、これはいけると思い、次々に海外展開を行いました。
ダイバーシティについては、「ダイバーシティ」という表現こそは使わないものの、粟田はかなり以前から重要視していたと記憶しています。私たちは焼き鳥業態からスタートしたのですが、若手から年配の方まで、多様な方が活躍していることが当たり前でした。
会社が成長するにつれ、従業員が増え、従業員の多様化も進んできました。従業員一人ひとりの働きやすさを考えた時に、課題も出てきていたので、改めて2019年に「ダイバーシティ推進プロジェクト」として取り組むことになりました。
海外の出店戦略についてもう少し触れておくと、私たちはグローバルフードカンパニーを目指しているわけですが、海外に出店する際の戦略で一般的な外食産業とは全く違う点が一つあります。それは現地文化の取り入れです。通常、企業が世界に出るときは、自社ブランドをそのまま世界に出していく戦略を取ります。海外の支店には日本人の代表やスタッフがいて、日本の味をそのまま輸出します。一方で私たちは日本出身の外食であることを特徴にしながらも、現地のニーズに合わせることを重視しています。例えばかけうどんのだしをまだ食べ慣れない国で、ずっとかけうどんだけを出し続けてもお客様には来ていただけません。そこで私たちは日本の味を提供して、最終的にはそれを楽しんでいただくという意味でかけうどんを残しつつも、現地の人が好むとんこつうどんやカレーうどん、鍋などのローカライズしたメニューも提供しています。特にカンボジアでは鍋うどんが人気のようですね。
人材面でも、現地のスペシャリストを積極的に採用しています。例えば北米なら北米を熟知した人が社長を務めたほうが絶対に効果的なので、現地のトップティアの会社でトップを務めていた人を採用しています。最近では香港が成功事例として挙げられます。香港では以前に買収した雲南ヌードルという米粉麺の業態があるのですが、そこでも現地で経験豊富な敏腕の方をトップに採用しています。その方の下、様々な改善を行い、昨年、香港取引所に上場しました。今後は資金調達を実施し、他の国にも一気に展開する予定です。あらゆる場所でこのような事例をつくっていきたいと考えています。
日本の外食チェーンの出店方法では、一つから徐々に展開していくことしかできず、日本の知識と技術を少しずつ伝えていくことになります。しかし私たちは、中東やアフリカも含めた世界各地で、優秀なパートナーや経営者と組み、一気に同時多発的店舗展開を行うことにより、世界を代表するフードカンパニーになれるのではないかと考えています。最終的にはダイバーシティという言葉すら不要になるような世界観にしていきたいというのが、私たちの想いです。

LGBTQ+への取り組み

吉田:

LGBTQ+についての研修や体制を構築することが、結果的にいろいろな人にとって働きやすい環境になるという視点は非常にユニークですね。

富岡:

もともとは女性活躍推進もやっていきたいと思っていましたが、なかなかうまくいっていませんでした。LGBTQ+はジェンダーの問題とも大きく関わっています。私は女性で、LGBTQ+の当事者ではありませんが、私がLGBTQ+の勉強を始めたときに、テーマの中には女性にも共通する点が多いと感じました。例えば30歳前後になってくると、そろそろ結婚しないのかと周りから聞かれることなどがありますが、その話題に触れないでほしいと思うこともあります。偏見を持たれたり、意図的でなくても差別的なことを言われたりすることもあります。LGBTQ+について学ぶことを通して視点が広がり、色々な方に配慮する必要があると私自身気付けたので、まずLGBTQ+の取り組みから始めませんかと提案しました。

株式会社トリドールホールディングス サステナビリティ推進部 ES推進課
富岡 侑子
一戸:

先ほどおっしゃった、女性活躍を考えるところからLGBTQ+につながっていく、あるいはLGBTQ+を考えるところから女性活躍につながっていくというのは、まさに多様性という言葉を表していますよね。人と人の間に壁をつくらず、全ての人がシームレスにつながっていながらも独立した個々であり、グルーピングはできるけれどもする必要がないというのが、私が考える多様性です。女性という性もLGBTQ+という枠で考えると一つでしかなく、自分が男性だと自己認識していて、性的に魅力を感じる相手が女性である場合、今は男性と言われますが、それも一つのタイプでしかありません。女性活躍というのも、LGBTQ+の活躍に含まれており、そこには本来壁がないはずだから、LGBTQ+と女性活躍がリンクして、考えが深まっていった印象を持ちました。その流れは非常に自然なことで、他の企業もそのような取り組みにつながっていくと、真の意味での多様性がより浸透していきそうですね。

星:

トリドールと私たちの取り組みを始めたばかりのころの一歩目として非常に大事にしたことは、急に研修を行うなど、何かしらの施策を打つことよりも、全体としてしっかりと戦略を作っていくことでした。これをスタートで行えたことは、本当に良かったと思っています。それができたのは、トリドールは会社としてのパーパス(目的意識)が非常に明確だったからです。日本発のグローバルフードカンパニーになるというゴールを考えると、社内が多様であることは絶対に必要でした。
そのときに大下さんから、二つのことを伺いました。グローバルフードカンパニーなので、日本人だけなどというくくりでは考えられない、ということ。お客さまは当然、多様です。日本国内ですら多様ですよね。もう一つ、社内に多様な人材がいて、100億円の売り上げを作るような人材を10人育てれば1,000億円、100人いれば1兆円になります。このように、1人からイノベーションが生まれていく、強いリーダーを育てていくということが、明確な方針としてありました。その考えをベースに、ゴールに到達するためにどのような施策が必要か共に設計しました。5カ年計画の中でどのようなスピード感で進めるのか、LGBTQ+は一つの多様性でしかないので、女性活躍や障がい者雇用、外国籍の方なども含め、ダイバーシティの取り組みを経営戦略から逆算し、どのように実現していくのかディスカッションさせていただきました。そのため、研修を行ったのも少し時間が経ってからで、2022年1月までに1回目・2回目が終わり、次は3回目を実施するところです。
全体戦略の策定に時間をかけて非常に良かったこととしては、経営の目線と研修内容がリンクしているので、トレーニングを受ける現場の社員の方も、自社が何を目指しているから自分はこの研修を受けているんだ、ということが明確に分かり、共感できることです。LGBTQ+等のテーマが急に取り上げられると、他にやることがあるのではないか、他にも困っている人がいるのではないか、という話になりがちです。しかし、会社としてのゴールからの逆算で今はこれをやって、次はこれをやるということが、きちんと社員に共有されている状態なので受講者の共感度が違います。共感度が高いと研修内容に対するコミットメントも上がります。それが全体の取り組みを効果的に進められたポイントでした。PRIDE指標のゴールドも簡単に取れるものではありませんが、1年目から非常に高いスピード感を持って取り組めたため、最高ランクを取ることができています。そのコミットメントの軸になっているのはゴールまでの道筋をきちんと考えられているからだと、日々、一緒に仕事をしていて感じます。

株式会社JobRainbow 代表取締役
星 賢人
吉田:

お話を伺っていると、ダイバーシティへの意識は突然現れたテーマではなく、創業時から根付いていたテーマだと感じます。ダイバーシティ推進プロジェクト開始時と比べて研修などを行った後の今、社員の皆さんの考え方や雰囲気が変わったことはありますか。

大下:

2022年に実施した研修の参加者は約250名でしたが、日々の仕事も大変な中、店舗所属の社員もたくさん参加してくれていました。研修中にアライコミュニティへの参加を募ったところ、約80人から応募があり、LGBTQ+への意識の高まりも感じました。

古川:

満足度も5点満点中4.6と、非常に高いものでした。本当に基礎的なことからレクチャーいただきましたが、新たな発見があった、対応方法が分かったなど、ポジティブな声を多くいただき手応えは感じています。これをきっかけとして、一人ひとりの行動や言動が変われば、と思います。継続が大事ですね。

富岡:

お客さま対応に関しても、LGBTQ+のことを知っているとお客様への対応時にも配慮しやすいという話を星さんからしてもらったことで興味を持ってくれた方が多かったようです。今回は知識を得られたけれど、実際に自分たちがどのように行動すればいいのか、まだ少し不安があるので勉強したいというニーズが高いです。

古川:

研修時に少人数のグループワークを行ったのですが、その際に実際に現場の店舗で当事者の方が働いていて、どのようにコミュニケーションをとればいいか知りたい、という話もありました。私は10年以上この会社にいますが、LGBTQ+のテーマについては入社時に比べるとかなり身近になりました。特にZ世代の社員はバイアスが無い印象です。

一戸:

LGBTQ+研修については、現場の方で実際にLGBTQ+への対応が分からなかった経験をお持ちで緊急性が高い人がいる一方、そうではない方もいると思います。全社的なムーブメントを作るためには双方のメンバーを巻き込む必要がありますが、何か意識されたことはありますか。

富岡:

これからの取り組みにはなりますが、入社時の研修にLGBTQ+の要素を入れるなど、必ずどこかで一度は受けられるように、制度化していこうと考えています。

一戸:

なるほど、一度きりの研修で終わるのではなく継続的に何度も接する機会を設けるのは重要ですね。

株式会社ジェネシアベンチャーズ Associate
一戸 将未

「食の感動体験」を届ける

吉田:

少し話が戻りますが、先ほど海外展開する際には現地に根付いたメンバーを登用する、と話されていました。その中で横のつながりを深めるためにされていることはありますか。グローバルで共有しているトリドールホールディングスらしさというものがあれば教えてください。

大下:

まさに今、取り組みを計画しているところです。本当は世界のCEOを渋谷に集めて、経営者サミットなどを行いたいと思っていました。海外の経営者も含めて物理的に集まるようなことは、今までありませんでしたから、コロナが明けたら実現したいです。コロナ渦ですぐには難しかったので、2022年3月にはグループの各国の経営者をWeb会議で集めて、トリドールの世界展開に関する色んなテーマについて議論をしました。コロナを経た、世界の主要市場の嗜好の変化やフードトレンドを理解でき、この先の世界展開を活発化する上で、とても有意義な議論でした。例えば今、海外の丸亀製麺で起きている問題が、日本の丸亀製麺で過去に起きた問題かもしれません。それも含めて、これからいろいろな相乗効果、ボーダーレスな世界を目指していくにあたり、ダイバーシティのような視点はもっと重要になってくると思います。

吉田:

トリドールでは今後M&Aにも積極的に取り組むと伺っています。今後、M&Aを推進する際に、事業面のPMI(Post-Merger Integration)だけでなく、組織やカルチャー面でのシームレスな融合について何か意識されていることはありますか?

大下:

現在M&Aに1,000億円の資金を充てる計画になっていますが、冒頭に少し申し上げた、私たちの「食の感動体験を届ける」という想いに共感してくれる仲間と手を組むことが第一です。食の感動体験を一緒に提供する仲間と共に、多様性を重視しながら進めていきたいと考えています。

吉田:

Collaboration by Genesia.の中で軸となる考え方の一つに、大企業とスタートアップの共創には互いの世界観への共感が必要、というのがあります。大きな会社がスタートアップを買収する場合、特定の技術やサービスなど、もともとある事業戦略を補完するようなパーツを求めることが多々ありますが、本来は共通するビジョンや同じ世界観の中で協力して何ができるかという考え方のほうが、本質的な共創につながります。

大下:

実は人材面におけるPMIという概念は要らないかもしれないと、個人的には思っています。もちろん、ガバナンスやリスクの側面から、しっかりと取り組まなければいけない部分はありますが、グループになったからといって硬直的なPMI施策でがっちりと固めすぎると相乗効果が消えていってしまいそうです。相手方の文化を無理に変えるのではなく、それこそダイバーシティの精神で柔軟にやるほうが良いシナジーを生めるはずです。
一方で、「食の感動体験」の核となっている部分、絶対にここだけは守ってほしいという部分は当然、確立する必要があるので、現在取り組んでいます。例えば効率化を追求して人ではなくロボットに麺づくりや接客をしてもらおう、ということには絶対にならないと思います。私たちはいつの時代でも厨房で人が多く動いている姿を見て、彼らが作る料理にお客さまが感動すると考えているので、そこは変えてはいけない部分だと思います。
逆に時流や現地のニーズを鑑みてメニューを変えることはあります。例えばイギリスではヴィーガンメニューを作り、中東ではハラル対応のメニューを提供しています。絶対に変えてはいけない部分を限定的に決め、そうでない部分は柔軟に変わっていきたいと考えています。

古川:

手づくり・できたては絶対守りたい要素です。日本には麺職人という社内資格制度があり、美味しい麺づくりの担い手となっているのですが、海外にも同じように麺職人制度をつくっていく予定です。クオリティー重視と、人の温かみ、そこは間違いなく世界共通でぶらしたくない軸ですね。

吉田:

かつおぶし等を使うだしをベジタリアン向けに作るのは非常に難しいと聞いたことがあります。現地のニーズに耳を傾け、そのハードルをも乗り越えるのは素晴らしいですね。

古川:

商品開発チームもかなり苦労していましたが、結果的には自信を持って売れるものができ、売れ行きは非常に好調です。

株式会社トリドールホールディングス サステナビリティ推進部 ES推進課
古川 雅代

トリドールのカルチャー

吉田:

星さんがいろいろな企業を見ていく中で、トリドールのカルチャー、特徴はどういった部分だと感じられますか。

星:

創業時のエピソードで、とても好きなものがあるのですが、トリドールの創業店の店名が「トリドール三番館」という話です。一ではなく三から始めたのは、まずは3店舗を目指すという想いからだそうです。
LGBTQ+の取り組みでも、PRIDE指標はまず一番下のランクから徐々に取っていくなど、どちらかというと石橋をたたいて渡るスタイルで進めていくことが一般的には多いですが、トリドールは最初からゴールドを狙って進められ、2年目で獲得することができました。
会社として、取り組みが遅れている部分があったとしても取り組みを進めることによりゴールに少しずつ近づいていきます。でも最初から目標が低いと、なかなか理想には到達できない。そのためあえて非常に高い目標値を設定して目指していくハイスタンダードなカルチャーは、トリドール特有だと思います。ハイスタンダードが浸透していて、スピード感があることがダイバーシティ推進が進んでいる一番大きな要因だと感じています。
多様性の面では、トリドールの場合、世界進出する以前から、多様性を意識した経営をしていたと客観的に思っています。国内でも地方に出店するときに、本店でやっていたことを焼き増しするのではなく、ローカルに合わせ、地域のコミュニティーを大事にする戦略を採っていられました。先ほど大下さんの話でもありましたが、海外進出の際、日本で成功したことをそのまま持っていくのではなく、海外のお客さまに受け入れられることをやっていくというのも、国内で地方出店をしていたときからあるカルチャーを世界に広げているだけだと思います。
ダイバーシティの本質は、これが正しい、これがダイバーシティだというものはなく、個々の力や違いを受け入れ還元していくことです。そのため柔軟性を保つことが経営戦略では重要になってきます。トリドールは創業時からのスピード感と柔軟性を持ったまま世界に広がっているので、日本発の世界で戦うグローバルフードカンパニーに絶対になると思いました。だからこそ、そこに自分も参戦したい、大きな船に乗りたいという気持ちを強く持っています。
JobRainbowとしては、帆も張っていない船をなんとか頑張って前進させるよりも、爆速で走っている船の船の状態を良くして船員がもっと気持ちよく働き、もっとスピードを上げるための施策を考える、というような立ち位置で参画させてもらっています。以前、粟田社長とお話した際にいろいろなステークホルダーのことを考えていらっしゃるのがとても良くわかりました。当然、第一はお客さまだと思いますが、いろいろな投資家や海外からの目線も非常に意識されています。ダイバーシティ課題は、それ一つで、社内でトラブルが起きてしまい株価に影響が大きく出るケースや、逆に、取り組んでいることで、人材の持続可能性という観点で非常に高く評価されるケースもあります。
研修時にも冒頭で15分時間を取って、粟田社長からは、なぜトリドールでダイバーシティ推進を行うのかという話を、そして大下さんからは、ダイバーシティがどのように経営戦略と結びついているのかという話をされていました。お客さまが多様化しているから対応するのももちろんだし、投資家目線でも、社会的に価値ある事業をやっている会社だから、それがしっかりと正当に評価される土台をつくっていくという意識を、トップの方が社員に直接話しかけられるという点が非常に印象的でした。
オープンなコミュニケーションスタイルやスピード感、柔軟性はトリドールの強みで、自分もそこに乗りたいという気持ちを強く持っています。日々、本当に私のほうが勉強させてもらっている部分が多いです。

大下:

そのように言って頂けてとても嬉しいです。LGBTQ+の取り組みは始めたばかりですが、制度の整備や満足度の高い研修が実施できたのは、本当に星さんのおかげです。
まだ課題はたくさんありますが、今後もお力を貸して頂ければと思っています。

※こちらは、2022/4/6時点の情報です
(デザイン:割石 裕太さん、写真:船島 慶志さん、聞き手/まとめ:ジェネシア・ベンチャーズ Portfolio Manager 吉田 実希)

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