INSIGHTS
INSIGHTS

対談企画:スタートアップとダイバーシティ

COLLABORATION

ジェネシア・ベンチャーズのビジョン、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」に出てくる「すべての人」はどんな人たち?絵に描くとしたら?と以前チーム内で話したことがあります。あらゆる価値観、属性、バックグラウンドの人が豊かであり、機会を得られる社会を作るためには私たちだけではなく、様々なステークホルダーを巻き込み、多様な当事者とそれぞれ異なる視点を持って共に取り組まなければいけません。
しかしながら、ベンチャーキャピタルである私たちが身を置くスタートアップエコシステムにおけるダイバーシティーはまだ発展途上と言えます。今回は、金融庁の小崎さんと、スタートアップにおけるダイバーシティー課題について対談をさせていただきました。

  • デザイン:割石 裕太さん、写真:船島 慶志さん
  • まとめ:ジェネシア・ベンチャーズ Senior Portfolio Manager 吉田 実希

日本のスタートアップエコシステムにおけるジェンダーバランスの現状

吉田:

小崎さんが金融庁内で取り組まれている政策オープンラボがジェネシアと小崎さんの最初の接点でしたが、ラボのテーマについて改めて教えていただけますか?

小崎:

金融庁には、職員の自主的な政策提言を歓迎するために、政策オープンラボという枠組みが設置されており、勤務時間の最大2割まで割くことが認められています。私たちはその枠組みを活用して、昨年10月から金融界のDiversity, Equity & Inclusionをテーマに活動を始めました。金融界、といっても様々な切り口がありますが、その中でも特にスタートアップエコシステムに主眼を置いて取り組んでいます。昨今、女性起業家の創業支援や支援機関自体は増加しており、スタートアップのジェンダーダイバーシティーへの注目も非常に上がっていますが、実態はどうなっているのか、そして何か見過ごされている課題がないかを調べることにしました。
日本では、多くの人が上場企業のジェンダーダイバーシティーの状況に強く関心を持っていて、スチュワードシップコードやコーポレートガバナンスでもジェンダーダイバーシティーの課題について触れられています。一方で、創業をしてから上場前までのフェーズについては注目度が低いのが現状です。実態を把握するために、まず起業家や支援サイドにいる方々19名にインタビュー調査を行いました。
更に関連データも確認しようとしたのですが、実は関連するデータが全然なかったんです。そのため、データも自分たちで作りました。総務省が公表している「就業構造基本調査」によると、起業家全般における女性比率は約34パーセントで、東京商工リサーチによると全国女性社長比率は約14パーセントです。 しかし、ベンチャーキャピタルなどから資金調達を行い、上場を目標に事業展開するスタートアップに対象を絞ったデータは存在しません。そこで2021年に上場した会社をJPXのホームページからリストアップし、一社ずつ社長の性別がどちらかをラボのメンバーで確認し、データ化しました。その結果、女性比率は2パーセントだったのです。
また、上場前の資金調達に紐づくデータも全くなかったので、STARTUP DBの2019年資金調達ランキング上位50社をベースに、資金調達額を分母とし、女性が創業チームか現社長に含まれる会社が調達した額を割ると、こちらの結果も2パーセントでした。

金融庁政策オープンラボ
吉田:

そんなに低いんですね!

小崎:

驚きますよね。もう一つ調査したのがVC側の女性比率です。VCの意思決定者にも女性が全くいないとよく聞ききますが、その実データもなかったので、日本ベンチャーキャピタル協会のVC会員となっているVCの意思決定層の女性比率を調べようとしたら、役職が多過ぎて比較しにくく、途中で頓挫してしまいました(笑)ただ、代表に女性が含まれるVCは2021年時点で1社のみ、比率でいうと1パーセントです。
資金調達をして、スケールをしていく段階で一気に1パーセント、2パーセントの世界になることがデータとしても分かりましたが、上場後のデータと比較するとあまりにもいびつです。前述したインタビューでその要因について聞いたところ、様々な意見が出たのですが、頻出していたのは、VCやピッチコンテストの評価者のジェンダーダイバーシティーのバランスが偏っていて、バイアスがある、という指摘です。
資金調達の際に、自分としては男性と同じようなプレゼンテーションをしているつもりなのに心ないことを言われる、そもそもピッチに出ていけない、起業家コミュニティーへのアクセスがないなどの声もありました。ネットワーキングのためによく活用されるイベントも、登壇者のほとんどが男性であるため参加しにくい、といった意見もありました。起業家ネットワークは重要な情報源です。その中に入るために男性に気に入られる行動をとる必要性を感じる、という話も聞きました。
また、要因の一つとして女性特有の自信のなさも挙がっていました。周りにロールモデルがいないので、自分が資金調達を行うイメージを抱きにくく、そもそも考えていない、という意見もありました。その他にも、資金調達の実施、事業成長の実現、IPOという一連のステップそのものが男性的なプロセスであるという声もありましたね。
アクセラレータ―による支援も不十分です。参加者それぞれスケールのイメージや事業領域、ビジネスモデルが異なるのにもかかわらず女性起業家とひとくくりにされてしまい、効果的な支援が受けられないという指摘もありました。
このようにジェンダーギャップが生まれる要因は多岐にわたり、連鎖して負のループになっています。例えば、ネットワークの中に女性起業家がいないため、アドバイスが全く受けられず、スケールに向けてどのような事業推進をしたらいいかが分からず、結果的に小さくまとまってしまい、調達ができない、そしてロールモデルが不足する、といったように。
女性起業家が少ない、というのは日本に限らず、世界的な課題です。アメリカやイギリスでも当テーマについての調査が行われていますが、アンコンシャスバイアスの存在について指摘されています。ハーバード大学のGender Action Portalで掲載されていた調査では、アメリカのピッチのデータを元に、投資家が女性起業家と男性起業家にどのような質問を投げ掛けているのかを分析していました。結果として、女性起業家には「どのようにチャーンを防ぐのか?」といった予防(prevention)的な質問が多く、男性起業家はプロモーション (promotion) に着目した質問が多いことがわかり、資金調達の成功確率にも影響している、と指摘しています。
他にも音声を分析し、同じ内容でも男性のほうが説得力がある、事実に基づいていると被験者が感じる、といった結果を示す調査もありました。ネットワークへのアクセスが困難である、という問題については、アメリカの場合はジェンダーだけではなく、人種などのマイノリティーも含まれており、白人至上主義や男性至上主義は世界的な課題です。その課題をなぜ解決する必要があるのかの理由は様々ですが、女性創業者が一人でもいる企業は、男性創業者のみの会社よりもアウトパフォームし、長期的に高い業績を出しています。
また、スタートアップがアプローチする事業領域の偏りも見受けられます。ジェンダーバランスが偏っている結果、女性の抱えている課題にうまくリーチができておらず、新しいオポチュニティーがまだたくさんあります。
このような現状を踏まえ、どうやって解決に向けて動いていくのかを考えるために、起業家、キャピタリスト、その他支援を行う人などの関係者を集めたワークショップを一般社団法人MASHING UPと共催で今年3月24日に開催しました。というのも、問題が非常に複雑で、私たちのようにVC経験者でもないチームが机に向かって考えていても、これ以上は分からないと思ったんです。そのイベントではこの問題に対してどうしたらいいかについて、参加者各自にポストイットに書いてもらいました。120個ぐらいの案が出たのでグルーピングをして、重要な視点を五つ特定しました。
1点目は、支援側のジェンダーバランスの改善、バイアスを解消すること。2点目は、効果が出るまで時間がかかるかもしれませんが、アントレプレナーシップ教育を充実させていくことです。3点目は、コミュニティーを形成し、アクセスを支援していくこと。4点目は、スケーラビリティに偏りがちなExitの評価の視点を多様にしていくこと。5点目は、支援プログラム等をきめ細やかにつくることです。プラスアルファとしては、政府のリーダーシップです。これまで具体的な施策を打ってきていませんでしたが、政府が率先して働きかけなければこれからも変わりません。冒頭に話をしたデータのこともあまり知られていませんが、まずその事実について知ってもらうことが重要です。
一方でいいニュースとしては、いろいろなプレイヤーの方がこの課題について考え、発信することが増えてきている側面です。それこそ吉田さんのような方、前線で活躍しようとしている人もどんどん増えていて、変化の兆しはポジティブな方向ですが、まだまだいびつな状態であることを皆が知っているわけではありません。

金融庁 サステナブルファイナンス担当 小崎 亜依子さん
吉田:

そもそも自分が起業をするイメージを女性が持ちにくい、という要因は実感しています。ジェネシア・ベンチャーズの支援先起業家になぜ起業を志したかと聞くと、身近に起業をした人がおり、一次情報として起業がどのようなものかを知っていたから身近に感じ、自分も挑戦したいと思った、という体験談が挙げられることもあるのですが、女性の場合はそもそも身近にいないので、自分が当事者だと考えにくいかもしれないですね。

小崎:

身近にいたとしてもVCファイナンスをしてIPOをする、という規模感ではなく、比較的小規模で程よいスピードで事業展開をしている方が多いと思います。起業家インタビューでも、優秀で知識もあるのに、自分事として捉えるまでに何年もかかったと言っている方もいました。

吉田:

スタートアップに限りませんが、世の中で著名になっているサクセスフルな女性ロールモデルはお金もある程度あり、非常にパワフルで、ブルドーザーのように切り開いていったストーリーが多い気がします。そのような方と自分を比べたときに、自分とはかけ離れた存在だと感じてしまい、自分には無理かもしれないと諦めてしまうケースもあるかもしれません。

小崎:

ポストイットにもメディアの責任、より多様なロールモデルの紹介は挙がっていました。ほとんどの人はスーパーマンではないので、その人ばかりを取り上げないで、例えば失敗したケースも紹介されても良いですよね。キラキラした人だけを報道で取り上げるのは弊害が大きいです。今回の報告書ではそういったメディアに対する期待についても触れています。

吉田:

等身大な女性のストーリーももっと知りたいですね。

小崎:

最近は、等身大のストーリーも増えているとVCの方に聞きました。子育てをしながらチームでサポートし合いながら無理し過ぎず事業に取り組む方が男女問わず増えてきている、と。いいニュースです。

吉田:

女性起業家の方の発信を見るとチームの理解や家庭の理解、自分の力だけではできなかったとお話している方も多いので、チームワークで成し遂げるイメージが強くなっている印象を受けています。

身近にあるダイバーシティー課題と解決策

吉田:

ジェネシアの支援先は今110社超となっていますが、その中で女性起業家はまだ数名しかいません。社内で以前Diversity & Inclusion(以下D&I)の話をした際には、ジェンダーだけでなく、年齢、居住地域、バックグラウンドなど様々な側面から見た多様性の在り方を考えたいね、と話していました。属性関係なく、事業そのものの有望性をきちんと判断し、こちらのフィルターをかけずに見る訓練も必要です。一つの取り組みとして昨年、アンコンシャスバイアスのワークショップを行っています。劇的に何かが変わるかわけではないかもしれませんが、自分のアンコンシャスバイアスに対してアンテナが立ち、意識に根付いていくといいので、地道に進めています。
あとはVCとして様々なマーケット、チーム、戦略を見る必要がありますが、いかに当事者目線に立てるか、というのも重要です。最近その重要性を痛感した例なのですが、実は私自身7月に産前休業に入る予定で…

小崎:

1人目ですか。

吉田:

3人目です(笑)上2人は前の職場で出産をしていて、ジェネシアで産休・育休を取るのは私が第一号です。社内の産休育休規程も整備しよう、と一般的なひな型を見たのですが、仕事に全力で取り組むためにはこの内容では無理、という点がたくさんありました。仮に子育て未経験者ばかりのチームでこのひな形通りの規程にしていたらどうなっていただろう、とぞっとしました(笑)当事者がいないと悪意がなくても認識のズレが生じますし、分からないことも多いです。その側面でもチームの中に多様なジェンダーの人がいる、介護をしている方がいる、異なる国籍、信仰を持つ人がいるなど、さまざまな人がいることによって、あるべき姿の実現にむけた良い意思決定ができると感じています。

小崎:

ワークショップで出た意見の中で、女性キャピタリストがすぐ辞めると書いている人が何人もいました。仕事に全力で励む時期と子育ての負荷がかかる時期が重なって、辞めてしまうわけです。そこで辞めないようにというか、頑張って意思決定の層までいってもらうことも解決の一つです。ラボの最終提言には定着支援やキャリア支援を通じて女性キャピタリストのキャリアアップを実現させることについても触れています。

吉田:

キャピタリストの業務は、支援先の状態によっては、突発的に対応しなければならないこともあります。事業面だけではなく精神的な寄り添いで、一緒に飲みに行ったり、週末に長めの時間を取って話をするなどは、よく発生しています。子どもがまだ幼いキャピタリストの場合、週末中に時間が取れない人も多いはずです。そこで例えば雇い主側としてVCシッターの補助を出すなど、選択肢を広めに提案してあげることは、非常に大切だと感じています。

小崎:

そうですね。子育てとの両立、でいうと起業家が子どもを保育園に入れにくい、という点もワークショップの中で出ていました。これだけ国を挙げてスタートアップを盛り上げようとしているのであれば、さらに充実させるべきポイントです。

吉田:

保育園に入れられるかどうかで稼働可能時間が劇的に変わりますよね。認可保育園に預けられたらベストですが、フルタイム共働きでないとなかなか入れられない。認可外は金銭的負担が大きくなる。もし一般的な保育園が難しければ、インキュベーションオフィスに託児スペースがあってもいいかもしれません。行政レベル以外も含めて支援の仕方はいくつかありそうですね。

小崎:

あとは一人で起業をせずにチームで起業をして互いに支え合うのも一手ですね。

吉田:

そうですね。チームで起業をする概念自体は、皆さんも持っているはずです。例えば、エンジニアの代表ならビジネスサイドを見られる人とペアになって創業する人も多くいます。その意味で、バランスを取って、女性起業家自身で対応できない部分はいいパートナーが補完するなど、色々な組み合わせ方が考えられると思います。

小崎:

共同創業者を見つけるのにもネットワークの広さが必要ですよね。先述のワークショップでも、共同創業者をはじめとしたチームメンバーを見つけるためのネットワークの紹介も必要な支援メニューとして挙げられていました。

吉田:

ネットワーク、という文脈では現在ジェネシアで「Team GV」というジェネシアの支援先起業家同士のコミュニティー作りを進めています。Slack上でやり取りをするのですが、事業を進める中での困りごと、カジュアルなミートアップや勉強会の開催、気になったテーマの話をするなどざっくばらんにコミュニケーションを取っています。ジェネシアを通して起業家同士を都度つなぐこともできるのですが、n:nでより自律分散型でつながってもらうために始めた取り組みです。
直近だとTeamGV内で気になるテーマとして組織内のジェンダーバランスも出てきていました。とあるフィンテック系の起業家からの提起だったのですが、なかなか女性メンバーの採用が進まない、と。もう1社同じ悩みを抱える起業家と私含め3人で話したときに出てきたポイントとしては、女性候補者採用プールがそもそもないということ。ジュニアポジションであれば比較的候補者がいるようなのですが、中堅層だとなかなか出会えないそうです。候補者プールの拡大も取り組みたい課題ですね。

ジェネシア・ベンチャーズ Senior Portfolio Manager 吉田 実希

活動の輪を広めていくために

吉田:

多様性について話す際に、そもそも多様性ってなぜ重要なのか?という問いが出てくるかと思います。私は高校時代をアメリカで過ごしており、当時通っていた現地の学校では当たり前のようにダイバーシティーを必要不可欠な要素として捉えていました。そのため多様性を重視するスタンスが私自身の価値観に染みついているのですが、「なぜ多様でなければいけないのか?」という問いに対する答えは言語化できずにいました。そこで以前小崎さんが薦められていた『多様性の科学』を読んでみたのですが、これは多様性について考える際に軸となる良書ですね。

小崎:

ジェンダーギャップやD&Iに関心がない人にもチームが多様であることの重要性を伝わる本ですよね。ワークショップでも感じたのですが、既に関心を持っている人は多い中、この課題について伝えていかなければいけないのは関心がない人たちです。
例えばジェネシアからはパートナーである河合さんワークショップに参加してくれましたが、意思決定層の男性キャピタリストの集客には苦労しました。スタートアプエコシステム全体に対する影響力、という意味では意思決定層の方の参加が重要だと思います。

吉田:

組織のトップ層がまだ自分事として捉えられていなくて、自論を語るのが難しいのかもしれませんね。

小崎:

運営側としては男女半々になるよう意識してお声がけをしたのですが、実現させるのは難しかったです。

吉田:

「自分は分からないから当事者に参加してもらう」というものの、本当はそのあなたに分かってもらいたいんですよ、と言いたいところですよね。

小崎:

スタートアップエコシステム全体としてジェンダーギャップを考える際に、ダイバーシティー課題に取り組んでいる人だけでなく、エコシステムの中心にいる人物も巻き込まなければ活動の影響は限定的になってしまいます。

高まるインパクト投資への注目

河合:

先ほど女性起業家が少ない理由の一つとして、方向性や志向が違うことが挙がっていました。男性の場合は、野心的に大きく資金調達をして、IPOをし、大きなリターンを出して、経済的な成功を目指す傾向が強い一方で、女性の場合は、社会課題を解決することに意識が向いている人が多いです。社会課題の解決、というとインパクト投資の分野になってきますが、時代の潮流はインパクト投資にとって追い風となっていますし、今後女性起業家が活躍する場面が増えてくるのではと考えています。それこそ野心的にビジネスを推進するパートナーと共に事業推進し、大きな山を登る女性起業家が増えてくる機運が高まっているのではないか、と。

ジェネシア・ベンチャーズ Partner/Chief Sustainability Officer 河合 将文
小崎:

インパクト投資についてはワークショップの中でも多く意見が出ていました。私も個人的にはインパクト投資には関心が強いものの、スタートアップエコシステム全体で捉えるとまだ規模が小さいので影響は限定的と考えていました。でも今回たくさんの意見をいただいたので、報告書ではインパクト投資の重要性についても触れています。

河合:

最近ではB Corp認証など、公益性を重視したインパクト認証も出てきていますよね。

小崎:

世界的なトレンドで、社会課題の訴求に関心がある人が多い話と非常にフィットしてきます。社会課題を訴求し、事業規模を大きくしていくことによって、より多くの課題を解決できるというマインドセットが必要な気がしています。

河合:

これまでは社会インパクトが可視化されていなかったので、社会課題に取り組んだとしても誰からも評価されない状況でした。見える化し、評価され、お金が集まるようになってくると、そちらに自然と流れも向かっていくのではないかと思います

小崎:

海外がメインにはなりますが、足許では民間の可視化ツールや手法が出てきています。データが整備され、実態が可視化されると客観的に状況を捉えられるようになり、関心がない人にもその課題を訴求することが可能になるので、非常に重要な進展だと考えています。

これから私たちにできること

吉田:

今後、スタートアップエコシステムにおける多様性を拡充するためにどんな取り組みができそうか、アイディアがあれば教えていただけますか?

小崎:

まず一つは前述の通りデータ整備を行うこと。そして声がけではなかなか変わらないこの状況を打開するために、一種のガイドラインのようなものがあっても良いかもしれません。例えばピッチコンテストなどのイベントを開催する際に、審査員や登壇者のうちxx%以上は女性にしなければいけない、など。その効果は単に男女比率を1:1に近づける、というだけでなく、参加するメンバー自身の成長にもつながると思います。自分が所属する組織を代表して参加することが自信につながり、その場でのネットワーキングもできますよね。もしイベント開催の都度あらたな審査員・登壇者候補を探すのが難しければ、予め候補者プールを作っておくと良さそうです。

吉田:

ジェネシア・ベンチャーズで産業創造プラットフォームになることをミッションに掲げています。産業創造プラットフォームは名の通りさまざまな産業が生まれていくようなプラットフォームをイメージしていて、スタートアップの投資だけではなく、行政の連携や外部のパートナーとの取り組み、アカデミアとの連携などが考えられます。ジェネシア・ベンチャーズがVCとして成長するためにさまざまなステークホルダーと関わり合いを持ちたいと思っているので、ジェンダーギャップやダイバーシティーの浸透、推進について今後どのような取り組みをご一緒できるか、これからも継続的にディスカッションさせてください。

※こちらは、2022/7/19時点の情報です

BACK TO LIST