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鳥取県に宇宙産業を創ろう!~東北大発宇宙ベンチャーとの連携による地域活性化~|Activate Japan by Genesia.

ACTIVATE-JAPAN

シードVCであるジェネシア・ベンチャーズでは、地方のスタートアップ・エコシステムに対する支援を通じて、地方創生に貢献したいと考えています。現在は、地方自治体、地方大学、地域金融機関等との関係強化を図りながら、投資活動にとどまらない、エコシステムの発展に有効な施策を模索しています。地方創生をテーマとする新シリーズ『Activate Japan by Genesia.』では、スタートアップとの連携による地域活性化策について、新たな気付きを得るためのコンテンツを発信していく予定です。

初回の『Activate Japan by Genesia.』では、鳥取県改め「星取県」を標榜するプロジェクトの立役者である鳥取県庁の井田さんと、県・地域と連携した産業創出に尽力されているとっとりキャピタルの岡村さん、そして東北大学発の宇宙ベンチャーであるElevationSpace(読み:エレベーションスペース)代表の小林さんをお迎えして、地域とスタートアップ企業の共創についてお話を伺いました。

– インタビュアー:ジェネシア・ベンチャーズ Partner 河合、Portfolio&Partnership Manager 宮原
– 聞き手・まとめ:ジェネシア・ベンチャーズ Relationship Manager 吉田
– デザイン:割石 裕太さん、写真:尾上 恭大さん
– 以下、敬称略

自己紹介

河合:

本日は『鳥取県に宇宙産業を創ろう!』というテーマで対談の機会をいただき、ありがとうございます。
 現在、シードVCであるジェネシア・ベンチャーズでは、スタートアップとの連携を通じて地域活性化に貢献することを目標に掲げ、最近では地方自治体や地域金融機関の皆さまとの協業機会を積極的に生み出そうとチャレンジしています。そこで本日は、弊社の投資先である東北大学発宇宙ベンチャーのElevationSpaceの小林代表、鳥取県の宇宙ビジネス育成に力を入れている鳥取県庁の井田さん、そして、鳥取県の産業政策を金融面でご支援されている鳥取銀行グループのVCとっとりキャピタルの岡村さんをお招きして、地域活性化や産業育成に向けたスタートアップとの連携の在り方や期待、あるいは課題等についても、ざっくばらんにお話を伺っていきたいと思います。
 なお、先般とっとりキャピタルさまの運営ファンドよりElevationSpaceにご出資をいただきましたが、鳥取県の宇宙ビジネス育成という明確な狙いを持ったスタートアップへのご出資は、弊社にとっても象徴的な事例になるのではないかと考えておりますので、本日は未来づくりを担う皆さまの熱い想いを伺えることを大変楽しみにしておりました。
 それでは、まずは皆さまから自己紹介をお願い致します。

小林:

東北大学発の宇宙ベンチャーElevationSpaceの代表の小林です。私は秋田県出身で、高専で建築を学んでいた時に宇宙で建築物を作るという分野に出会い、宇宙で人が生活する世界を作りたいと考えるようになりました。東北大学に入ってから准教授の桒原先生と出会い意気投合して、2021年にElevationSpaceを共同創業、その一年後の2022年3月にジェネシア・ベンチャーズからシードラウンドで資金調達をしました。我々がやっているのは、人工衛星を活用して、宇宙空間での研究開発や実験・実証を、遥かに簡単に気軽に高頻度で実施できるような実験プラットフォームを提供するという事業です。一番の技術的な特徴は、人工衛星が宇宙から地球に戻ってくるという点で、2025年に最初の衛星を打ち上げることを目指して開発を進めているところです。

株式会社ElevationSpace 代表取締役CEO 小林 稜平
井田:

鳥取県の井田です。私は大学を出てから地元の鳥取にUターンして、銀行での勤務を経て現職に至ります。私がなぜ宇宙領域に辿り着いたかというと、地元を元気にしたいという想いからでした。様々な地方が抱えている問題だと思うのですが、鳥取県も、人口が減少していくとともに、鳥取で育った若い人たちが県外に出て戻ってこないといった課題を抱えています。そこで私がこれだと思ったテーマが星空と宇宙でした。これまで鳥取県では、鳥取県=「星取県(ほしとりけん)」と名乗って、美しい星空を観光振興や学校教育に活用するなどしてきました。また、鳥取に魅力的な仕事や職場を作りたいと考えており、宇宙領域に興味のある人が鳥取に移住したり若い人が地元に留まってくれたりといった効果も期待できると考えて、宇宙産業をゼロから鳥取に作るということに取り組んでいます。

鳥取県 商工労働部 産業未来創造課 課長補佐(宇宙・起業支援チーム) 井田 広之
岡村:

とっとりキャピタルの岡村です。私は大学時代、食品生産を専攻していました。鳥取には境港というまさに食品加工が盛んな地域があり、その分野での事業に携わりたいと考えておりましたが、、結果的に鳥取銀行に入行しました。現在、VCに出向し14年になりますが、大学時代の知見も活かし、ローカルな一次産業の支援や同領域への投資をしてきました。
 約10年ほど前に地方創生が宣言されてから、当社も地域活性化を目指し「地方創生ファンド」を設立し投資活動に取り組んできましたが、地方創生ファンドのスタンスは少しずつ変化してきていると思うんです。以前は地元でエクイティファイナンスを必要としている人たちの資金調達手段の一つとしての資金提供に留まっていましたが、現在は「鳥取県を盛り上げていきたい」という考えに共感した者同士、資金提供だけでなく、一緒に事業を創出していくといった事業連携を前提とした投資が中心になってきています。このたびElevationSpaceさんに出資したのもそういった想いがあったからで、地域の皆さんの新たな領域への挑戦のきっかけになればいいなと考えております。

とっとりキャピタル株式会社 投資業務部 部長 岡村 学

「星取県」の始まりと「とっとり宇宙産業ネットワーク」

河合:

まず最初に、鳥取県庁の井田さんに質問です。鳥取県が宇宙ビジネスに注目された経緯や背景について教えていただけますでしょうか。特に、2021年11月には「とっとり宇宙産業ネットワーク」を発足され、現在すでに105の企業・団体が参画するなど協力の輪が広がっています。鳥取県が旗振り役となる宇宙産業育成の取り組みに対する関係者の反応や、どのようにして多くの支援者を巻き込んでこられたのか、これまでの動き方についても教えてください。

井田:

鳥取は、日本一というくらい星空が綺麗なんですよ。それで、2016年頃から鳥取県を盛り上げる新しい取り組みとして、星空と宇宙をテーマにした「星取県」プロジェクトを始めました。主には、星空を活用した観光プログラムの作成支援や県内の企業と連携した商品開発、子どもの環境教育などに取り組んできました。その上で、三年ほど前からはその第二ステージに進んでいます。鳥取県内には宇宙関連の企業が元々ほぼなかったのですが、それが少しずつ生まれてきて徐々に盛り上がってきたタイミングだったので、地域の未来を担う産業のテーマの一つに、脱炭素などと並べて宇宙を入れたんです。そうして本格的に宇宙産業の創出に取り組み始めたという流れになります。このあたりが私が元々やりたかったことなのですが、組織としては2021年から本格的に取り組みをスタートしました。
 「とっとり宇宙産業ネットワーク」については、まさに今参画企業・団体が100社を超えてきていて、地元企業が7割、県外の企業が3割といった構成になっています。地元企業については宇宙関連の仕事をしているところはまだ少なくて、関心があるという段階で入ってくださっているところが殆どです。3割の県外の企業はElevationSpaceさんのように基本的には既に宇宙関連の仕事をしています。地元企業単独で宇宙の仕事や産業を作るのはやはりなかなか難しいと思うので、このネットワークの中でセミナーや交流会などを通じて出会いの場を作ることで、県内にそういった仕事を増やしていくことを目指しています。全体の反応まではわかりませんが、このネットワークを通じて実際に宇宙関連の仕事を始められた地元企業も出てきており、目指してるところに少しずつ近づいているかなという印象はあります。

河合:

世間的な注目度は上がってきているとはいえ、それまで関わりがなかった企業からすると宇宙という領域にはそれなりに距離感もあるかなと思います。それでも今100社を超えるネットワークになっているということは、きっと皆さんが最初からサポーティブなかたちで関わってくださっているんですね。

井田:

2021年に27社が参画してくださった状態で立ち上げをしたんですが、その時は関心のありそうな企業に直接お声がけをしました。例えば、鳥取県ゆかりのスタートアップで人工流れ星を作っているALEの岡島さん(岡島 礼奈氏)やSPACE SHIFTの金本さん(金本 成生氏)、ispaceさん、あとは地元の金融機関などですね。それ以降は何か強力にセールスをしたわけではなく、鳥取県が宇宙に関する取り組みをしているということを知ってくださった企業さんが少しずつ入ってきてくださったという感じです。

実証フィールドとしての「鳥取砂丘月面化プロジェクト」

河合:

引き続き井田さんにお伺いします。鳥取県は具体的な施策として「鳥取砂丘月面化プロジェクト」を推進されていますが、その柱となる取り組みは「①月面環境実証フィールド」と「②砂丘月面デジタル化」ですね。特に前者に関しては、2023年7月に屋外で日本初の実証フィールドとなる「ルナテラス」が誕生していますが、これら各施策の狙いや現在の活動状況について教えていただけますか。

井田:

鳥取砂丘が月面に似ていることを発見したのは2015年頃でした。きっかけはispaceさんのチームHAKUTOが色々な試行錯誤をしながら国立公園などで実証試験をしているという話があったことです。また、鳥取県としてもちょうど3年ほど前に県民や県外の企業に対して「鳥取県に宇宙産業を作るためのアイデアを募集します」という公募のようなことをしたのですが、その時に「鳥取砂丘を月面に見立てた実証実験に使いたい」という話がいくつかあって、これは結構ニーズがありそうだということで実際にフィールドを作りました。砂丘のど真ん中は国立公園で自由に使えないので、すぐ隣接するところにですね。ただ、場所を貸すだけではなく実証での活用を皮切りに鳥取県の企業に仕事が増えたり協業が始まったりするように、更に次の展開として鳥取県にも拠点を置いていただけるように、といったことを見据えて動き出しています。おかげさまで企業や学生の団体の利用が結構あって、この10,11月もほぼ埋まった状況でした。その実証の一部を地元メディア向けに公開したり「鳥取宇宙産業ネットワーク」の参画企業に視察に来ていただいたりと色々な仕掛けをしています。

河合:

ちなみに、鳥取砂丘の実証フィールドには他の砂地・砂場とは違う特徴があるのでしょうか。

井田:

0.5ヘクタールほどの広さなのですが、そのくらいのスペースでも砂場をまとめて確保するのは難しいようで喜ばれています。海岸などはもちろんありますが、水分の問題などがあるそうなんです。また、鳥取砂丘の実証フィールドには平面と角度が設計されたいくつかの斜面があったり、穴を掘ったり小山を作ったりできる自由設計ゾーンがあったりと、環境の利便性があると言われます。また、去年から鳥取大学さんとJAXAさんの協力を得て鳥取砂丘と月の砂を比較するという取り組みを実施しているのですが、一年間の研究を経て「概ね似ている」という結論が出ました。月のレゴリスというのはものすごくきめ細かいものから粗いものまでが幅広く堆積している中で、その一部が類似しているということでそっくりということではないのですが。ただ、「いかに似ているか?」ではなく「どう違うのか?差分は何か?」を把握して、ルナテラスで月面探査車の実証試験をした企業などが実際の月での動作をシミュレーションできるようにすることが本来の目的でしたので、それは達成されていると思います。

地域の金融機関として、県とともに産業創造に取り組む

河合:

続いて、とっとりキャピタルの岡村さんに伺います。井田さんにご説明いただいた鳥取県のご方針を踏まえつつ、鳥取銀行さま、またその子会社VCのとっとりキャピタルさまとして、鳥取県の産業政策に対するご支援の方針や、宇宙ビジネス育成に関するグループ内での議論などを教えていただけますでしょうか。また、そのような方針や社内議論を踏まえて、今回ElevatoionSpaceにご出資をいただいた狙いやどのような連携を期待しているのかといった点を教えていただけますでしょうか。

岡村:

私たちは鳥取県の産業政策に沿ったファンド運営を進めており、今回は宇宙産業がテーマですが、古くはバイオ産業などがメインテーマでした。例えば鳥取大学医学部のスタートアップへの出資など、それも県が支援している事業であって、鳥取県さんとも本当に近い関係でやってきたと思っています。宇宙領域についても、2015年に井田さんが「星取県」の構想を立ち上げられたところから色々とお話を伺ってきたことが縁となって、前述のALEにも出資させていただきました。それ以降も宇宙産業については、その将来性も踏まえてポートフォリオに組み入れたいとずっと考えていたんです。また、昨年宮原さんにお会いした時に「とっとりキャピタルさんといえば宇宙ですよね」とお声掛けいただきました。もちろんそれだけではないとはいえ、やはり井田さんが継続的に情報を発信し続けてきてくださったおかげでそういった印象が醸成されてきたのだと、成果を感じた瞬間でした。そこで私たちも、宇宙産業に関するサポート体制も作っていかないといけないなと考えていて「宇宙産業ネットワーク」にも当初から参画させていただき、井田さんとも色々とディスカッションさせていただいてきたという自負もありますし、いわば地域のCVCとして鳥取県と一緒に宇宙領域に取り組むスタンスでやってきました。
 今回ElevationSpaceさんへの出資検討のお話をいただいた時も、私たちは一年ほどお時間をいただいたわけですが、鳥取県の状況やElevationSpaceさんの成長ぶりを拝見して、ぜひ鳥取県の宇宙政策に関わっていただきたい、そして私たちも鳥取県の成長戦略に微力ながら寄与していきたい、と考えました。宇宙産業への民間の参入はやはり非常に難しいので、鳥取県内企業に対して「このようなことを求めてる」というきっかけをいただけたらと思っています。そして私たちのネットワークを活用いただけることを期待しています。また、ElevationSpaceさんが私たちや地域にどのようなことを期待してるかということもぜひお伺いしたいです。

自動車産業のように、宇宙産業の集積地を目指して

河合:

続けてElevationSpaceの小林さんに伺います。東北大学発の宇宙ベンチャーとして、東北大学のみならず、仙台市や宮城県さらには東北地域を代表するスタートアップとしての期待が大きく膨らんでいるかと思います。事業としては、最初から日本だけでなくグローバル市場を見据えて展開されているかと思いますが、地方創生の観点でも期待が高まる中、この度は鳥取県の宇宙産業育成の観点から、とっとりキャピタルさまにもご出資をいただきました。ElevationSpaceにとって、日本の地方自治体や地域金融機関と連携することの意義や、具体的にどのような地方連携の方法があり得るのか、教えてください。

小林:

我々の事業は、国内マーケットのみで完結するということはありえないと思っているので、最初からグローバルの顧客を見て取り組んでいます。一方で、宇宙空間で実証実験を行い、成果物を地上に戻すというサービスを提供しようとしている国内唯一の企業として、日本のマーケットでいかにニーズを引き出し、顧客を獲得していくかがまずは重要な課題だと思います。また、別の大きな前提として、僕自身が地方出身で仙台に拠点を置いているので、個人的にも地方創生や地域の経済発展を実現したいという思いがあります。既に東京で多くの人たちがやっているようなことではなくて、その地域ならではの新しい技術や新しい産業を創り、育てるかが重要だと思ってます。そこに産業としてこれから発展していく宇宙開発はフィットするのではないかと考えています。
 我々の事業は、宇宙空間での実証実験を実現するサービスなので、宇宙産業に新規参入する企業が増えることが我々自身のマーケットの創出・拡大にも繋がっていきます。今の宇宙開発には限られたプレイヤーしか参入していませんが、自動車産業と同じように日本全国にサプライチェーンが広がっていくような世界が来ます。我々が今フォーカスしているのはものづくり系の企業ですが、そういった企業が宇宙に新規参入していくための支援として我々のサービスで宇宙での実証を進めてもらって、実際に色々なプレイヤーが宇宙に入っていき、結果としてその地域が発展していくというモデルを作れたら嬉しいです。地方創生は社会貢献でもあり、日本の経済を活性化させることにも繋がりますので、推し進めていきたいです。
 足元でどういった連携ができるかといえば、まだどうやって最初の一歩を踏み出したらいいのかわからない企業が多いと思いますので、宇宙開発への新規参入を促すセミナーのようなラフな取り組みや技術的な部分でのレクチャーなど、地道なところからその地域での宇宙産業を育てていくことにぜひ一緒に取り組んでいけるといいなと思っています。

河合:

自動車産業のように日本全国に宇宙産業のサプライチェーンが広がっていくという世界観のお話がありましたが、既に鳥取県さまでは「宇宙産業ネットワーク」を構築されていますので、他のエリアに先駆けてそういったところを一緒に作っていける可能性は大きいですよね。

井田:

私も、鳥取県での宇宙産業の振興を考える時に自動車産業をイメージしていました。トヨタさんやホンダさんが立地する地域が産業の集積地として発展していくイメージです。宇宙産業は本当にこれからだと思いますので、鳥取県をその集積地の一つにしていくことが私のミッションだと思っています。宇宙産業といっても色々な分野があるので一強にはならないと思いますが、鳥取県ならではの分野を作っていきたいですね。

県内外のプレイヤーとの連携で、地域を興していく

河合:

それでは最後に、今後どうすれば鳥取県を宇宙産業の拠点地域として発展させていけるのか、これからスタートアップと地方自治体や地域金融機関がどのように連携をして何をしていくべきなのか、どのような課題が存在するのか等々、宇宙を軸にした地方創生の目指す姿について、皆さまのお考えを聞かせてください。

井田:

鳥取県としては、まずはやはり宇宙関連の事業に取り組むプレイヤーを増やすことが課題かなと思っています。ファーストペンギンに続く方々を増やしていきたいですね。方策としては、そうした企業を地元から生むパターンと鳥取県外から来ていただくパターンがあるかなと。実はこの三年ほどで4社の宇宙スタートアップが鳥取県に拠点を構えられました。スタートアップにはそうしたスピード感がありますし、私たちも遅れのない意思決定を進めていきたいです。鳥取に拠点を構えていただいたり鳥取県の企業と連携していただいたりということを外にも期待しつつ、県内の企業もそれに刺激を受けて参入を進めていくことで、産業全体を発展させていけたらと思っています。

河合:

ElevationSpaceの鳥取事務所開設も実現したらいいですね。

井田:

お待ちしています!

宮原:

補助金という観点では、昨年末に発表された政府の「スタートアップ育成5か年計画」の受け皿としても地方自治体の役割は益々大きくなっており、鳥取県でも「起業創造トライ補助金」や事業拡大型のものなど各フェーズに沿ったスタートアップ支援策をご用意されているように思います。小林さんにおかれては、事業サイドとして地方の補助金や支援策に求める点などがもしあれば併せて教えていただけますでしょうか?

小林:

補助金ありきというよりは、やっぱり地域全体が応援してくださっているという状況や強い想いを持って取り組む企業がたくさんいらっしゃる場所であれば、拠点を作る意義を感じる企業が多いのではないかと思います。
 地方に新産業ができることで、地方が活性化するモデルを目指したいというお話をしましたが、進出した一社だけが潤っても意味がないと思っています。我々であれば、人工衛星の様々な部品作りをお願いできる企業や、打ち上げ前の開発段階で地上試験を行う施設、人工衛星を打ち上げるためのロケットなど、様々な企業との協業が必要になります。関連する企業がその地域に集積していって、それまで宇宙に関わっていなかった地元のものづくり企業も宇宙に進出して、裾野が広がっていって・・という好循環が生まれるような補助金やネットワークづくりの支援をいただけることは、宇宙ベンチャーにとってありがたいことだと思います。

岡村:

地域金融機関という立場からは、宇宙といった新しい領域への融資などの金融の機能を発揮していきたいと思っています。また、こうした対談などを通じて、私たちの取り組みを広くPRしていきたいと考えています。自治体も金融機関も含めて地域全体が応援しているということを広く伝えて、新しい産業への参入や振興を促していきたいです。ElevationSpaceさんにも、クライアントになり得るお客さまとものづくりの面で連携できるお客さまとの両軸で機会を提供していきたいですね。今後も鳥取県さんとも一緒に次の企画を作っていければなと思います。

小林:

宇宙と一口にいっても、本当に領域が広いんですよね。なので、色々な地域が何らかの宇宙に繋がるポテンシャルを持っていると思います。その地域ならではの資源を生かしたビジョンを作っていくと、他の地域との差別化ができると思っています。そういった意味では、鳥取砂丘のようにそこにしかないものを使った取り組みは他の地域には真似できませんので、素晴らしいなと思います。
 宇宙産業に参入する上での課題の一つとして、宇宙開発事業者は宇宙での活用実績がない部品を取り入れづらいというものがあります。打ち上げに一回失敗した時のコストが大きいので、コンポーネント部品は既に宇宙で動いた実績があるかどうかを重視します。そのため、ものづくり企業からすると、参入したいのに実績がない、かつ実績を作る機会もないというのが課題です。我々はその点を解決できるように今ELS-R事業をやっていて、我々の衛星に載せて宇宙で実証実験をしてもらい、サプライヤーが増えればコストがどんどん安くなる、プレイヤーも増えていく、市場も成長していく。そんな好循環を作りたいなと思っています。

河合:

そういう意味では、これまで宇宙ビジネスに関わってこなかったものの関心を持たれている鳥取県の企業さまにもElevationSpaceのサービスを使っていただければ、最初のステップが入りやすくなるかなと思います。そういう意味の良い連携ができるといいですね。

小林:

我々のサービスは宇宙参入のための最適なソリューションで、それができるのは僕たちしかいないと思っています。

河合:

それでは最後に、鳥取県の宇宙ビジネス育成にかける井田さんの熱いメッセージで締めていただけますでしょうか。

井田:

鳥取県の経済に元気がない状況を何とかしたいと思う中で、宇宙ビジネスはやはりチャンスだと思っています。まだどの地域がいいポジションを取れるかが決まってない分野だと思うので、鳥取県にも非常に大きなチャンスがあると思います。宇宙の仕事や職場などをはじめとした地元の魅力を増やして、子どもたちの代に引き継いでいきたいです。

河合:

皆さま、本日は本当に貴重なお話をありがとうございました!

※こちらは、2023/12/25時点の情報です

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