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「今一番大事なこと」へのフォーカスから、起業家と組織の成長がはじまる|Rice Capital 福山 太郎

ジェネシア・ベンチャーズがスタートアップ起業家に向けて立てた『10の問い』。

本稿では『起業家個人の成長』というテーマで、Rice Capitalの代表パートナーである福山 太郎さんにお話を伺いました。

  • 自己研鑽のために新たな学びを得る人・場所・機会を自ら設定できているか?
  • コンフォートゾーンに留まることなく挑戦し、他者から積極的に学び続けるマインド・姿勢が持てているか?

という問いへの、福山さんの回答はー?

一定のストレスによる緊張感が成長に繋がるという仮説

interviewer:

企業を創る、組織を創る、ということにおいて、「起業家個人の成長」は切っても切り離せない要素なのではないかという仮説のもと、福山さんには同テーマについてお話を伺っていきたいと思います。福山さんは、「自己研鑽のために新たな学びを得るような人や場所、機会などを自らに提供できているか?」という問いに対して、まずどんなことを感じられますか?

福山:

よく「ストレスは体に悪い」って言いますよね。一方で、最近読んだ本には「ストレスこそ健康に良い」と書いてありました。多少のストレスがあることによって緊張感が生まれて成長に繋がる、つまり、成長=ストレスなんじゃないかなということを最近は考えています。

interviewer:

経営をしていると、事業や組織に関するイベントを通じて自然と成長する面もあると思いますが、福山さんは何か意図的に設けている学びの機会などはありますか?

福山:

僕は人から学ぶことが多いので、何かに悩んだら、1つ2つ先のステージにいる人と話すことが多いです。特にアメリカにはそういう方たちが多くいらっしゃるので、自分からコールドメールをして会いに行きます。渡米から3‐4年くらいのタイミングではよく「シャドーイング」をしていました。カバン持ちみたいに先輩経営者に一日くっついて回って、経営会議で何を話しているかなどを見させていただくんです。経営者って、一度自社の経営を始めちゃうと自社以外で経営の勉強をする機会がないじゃないですか。だから、シャドーイングはすごく勉強になりましたし、おすすめできます。

「Yコンで言われたことは、全部そのまま受け入れて実行する」と決めた

interviewer:

ありがとうございます。「適度なストレス」と「人からの学び」が、福山さんの中では、「成長」と強く結びつくカギになっているようですね。そのあたりを念頭に置きつつ、引き続きお話を伺わせてください。福山さんは、大学を卒業されて、シンガポールの会社に就職、それからアメリカで起業されています。大きく局面を変えた出来事が、アメリカの著名アクセラレータ『Y Combinator(以下「Yコン」と表記)』に採択されたことかなと思うんですが、Yコンでの学びを最大化する上で心がけていたことなどはありますか?

福山:

起業すること自体も、アメリカで事業を創るという経験も初めてだったので、「Yコンで言われたことは全部そのまま受け入れて実行する」と決めていました。結果的に良かったんじゃないかなと思っています。

interviewer:

メンターの方々とはかなり密にコミュニケーションを取られていたんですか?

福山:

当時はスケジュールサイトみたいなものが公開されていて、いつでも好きなパートナーと話せるという仕組みだったんですが、元を取ろうと毎日面談を予約していたら、しすぎだと怒られて、途中から予約できなくなりました。上限は決まっていなかったのに・・ひどいですよね。

interviewer:

事前に福山さんが発信されている情報は一通りインプットしてきたつもりなのですが、福山さんといえば、その熱意や貪欲さ、諦めないマインドといった特徴をあらゆるエピソードから感じます。それは、元々の性格によるものなのか意識的に磨かれたものなのかというとどちらでしょう?

福山:

小さい頃から負けず嫌いだったかもしれません。親の期待も大きかったので、常にその期待を超えようと努めていました。

会社の優先事項と、CEO自身の仕事の優先順位のアラインがMust

interviewer:

Yコンへの採択、資金調達、事業成長を経て、CEOとしての振る舞いや社内での役割はどのように変化していきましたか?あるいは、変化しませんでしたか?

福山:

CEOの役割というのが、会社にとって一番レバレッジが効くパーツだと思うので、やはりその時々の会社の優先事項に合わせて、自分自身の仕事の優先順位を変えていく必要があると考えています。会社と自分の仕事の優先順位の言語化、そしてその二つがしっかりとマッチしているかどうかの確認は毎週するようにしていました。

interviewer:

具体的にはどのように変化していきましたか?

福山:

フェーズによって変化するというよりは、アクシデントが起きたらその都度で変わるものだと思うので、まさにその時々で判断していました。あとは、僕自身や経営チームだけではなく、全社員がいつでも会社の優先事項を把握・理解できるよう、言語化には特に注力していました。

interviewer:

例えば、営業に強いCEOであれば、事業の初期は自分自身も営業のプレーヤーとしてバリューを出す方もいると思います。でも、事業や組織が大きくなるにつれて徐々に経営としての役割を求められるようになり、CEOが自分の居場所を見つけづらくなってしまうといった話も耳にします。福山さんにもそのような経験はありますか?

福山:

「会社にとって今一番大事なことは何か」を言語化せずに、その時々で目の前にある“大事だと思うこと”をやってしまうと壁にぶつかりやすいんじゃないかなと思います。居場所がない=何をしたらいいかわからない状態のことだと思うのですが、会社にとって今一番大事なことがわかっていれば、そんなことは起こらないはずです。そこを言語化するのに特別な訓練などは不要で、単純に時間をかけて深く思考すればいいだけです。僕自身、その取り組みを怠ってはいけないと、かなり意識的に実行してきました。

interviewer:

ちなみに、福山さんは経営者としての能力やスキルに行き詰まりを感じた瞬間などはありましたか?

福山:

常に行き詰まっています。でも、そういうときこそ、自分自身で深く思考することです。例えば、ビジネスや経営に関する書籍などにはよく「信頼できる人を採用して、仕事を任せて、事業を拡大しよう」というようなことが書いてありますが、僕はそれが一番危険な罠だと思っています。社員が10人や20人のときには自然と自分(CEO)がフロントに立つ体制になるので、事業や顧客への解像度の高さが保たれますが、そこから一歩でも引いてしまうと、CEOの視界の解像度が一気に下がって、変な方向に行ってしまう会社は少なくないです。それこそ、権限委譲ではなく、自己成長について考えるべきだと言い換えることもできるかもしれません。

interviewer:

最近だと、Founder ModeやManager Modeと言われる話題とも共通点がありそうですね。そのお考えには福山さんの実体験も伴っているんでしょうか?

福山:

はい、実際に仕事を任せすぎてしまったことがあったという反省もあります。

経営の六つの意思決定で、組織に“Clarity”をもたらす

interviewer:

「成長」と強く結びつくカギとして「思考」というキーワードも出てきました。経営における福山さんの思考についてもお伺いしたいと思います。福山さんは事業創りやソフトウェアの知見が図抜けてる印象があるのですが、組織創りについてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか?

福山:

パトリック・レンシオーニの『Advantage』という書籍があるのですが、その中に、「経営者に必要な仕事は六つの意思決定をすること」だと書かれています。

1.なぜ組織が存在するのか
2.何をしている組織なのか
3.どんな人が集まる組織なのか
4.どうやって勝つのか
5.今最も大事なことは何か
6.誰が何をやるのか

この六つはトップダウンでしか決められないことで、これらを明確に言語化して組織に浸透させることが大事だということで、僕自身も常に考えるようにしてきました。アメリカでは“Clarity(明瞭さ)”と言われます。

interviewer:

どれもとても大切なことだと思いますが、六つのうち一番大事な部分はどこだと考えていますか?

福山:

やはり一番大事なのは「今最も大事なことは何か」だと思います。他のものは殊更に言語化されていなくても印象として伝わったりわかったりもしますが、「今最も大事なこと」というのは、明確に言語化する必要があります。本来「今最も大事なこと」は一つしかないもので、全社員が答えられるはずですが、でも実際には「ターゲットは中小企業だ」「いや、大企業だ」「顧客が第一だ」「いや、今は資金調達だ」と、立場やそこから見えている景色などによってどうしてもバラつきが出ます。大半の企業がここの言語化のプロセスを経ないので、大体がそうなります。そもそもスタートアップはリソースが少ないので、一つのことに集中して勝つのがセオリーだと思うのですが、できない企業が多いんです。ここでは意見のバリエーションを許容せず、全員が同じ答えを出せるようにすること。それこそトップが明確に決定し掲げることがとても大事です。複雑でもダメ。ふわっとしていてもダメ。信じられないものでもダメ。基本的には一年間くらいを通じて、組織全員の中心に刺さる。そういう言語化された目標がある組織は強いと考えています。

interviewer:

経営からマネジメント層へ、それから組織全体へ、というかたちで浸透させていくのでしょうか?

福山:

浸透には四つのステップがあると言われています。

1.作る
2.伝える
3.繰り返し伝える
4.浸透させる

まず最初に作っていない人が多いです。肌感、明確に「今最も大事なこと」を答えられるスタートアップは1/3くらいじゃないでしょうか。まずは作る。それをどう伝えるかはまた次の問題です。

interviewer:

なぜ、それを言語化しない経営者が多いのでしょうか?

福山:

経営者は目の前のことに忙しいですし、10個のアイデアがあれば10個実行したい生き物です。そのうちの一つだけを選んで他は捨てるという意思決定は、シンプルで簡単そうに聞こえますが、いざとなると非常に難しい。完全なトレードオフなので、実際決めづらいのだと思います。

「今最も大事なことは何か」を明確に決め、管理するのが経営の仕事

interviewer:

MVV(Mission、Vision、Values)の大切さを語るVCやスタートアップ経営者も増えてきていると思いますが、福山さんは経営においてそれらをどのくらい意識されていますか?

福山:

先ほどの六つのテーマでそれらをカバーしてきたと思っています。MVVやCIなどいろいろなフレームワークがありますが、結局のところ導き出したいのは、「なぜこの組織が存在していて、なぜこの目標を達成しようとしているのか」というところ。その「なぜ」を落とし込むためにいろいろなフレームワークがあるのだと思うので、使いやすいものを採用すればいいと思います。

interviewer:

六つのテーマに答えるのはトップの仕事だというお話もありましたが、社員のみなさんとも定期的に会話されていたんでしょうか?

福山:

これも先ほどの浸透のステップにおいて、「作る」の次は「伝える」なので、入社オンボーディングでも必ず話しましたし、毎週の全体会議でも繰り返し話していました。いわゆる経営合宿のような場や定例の役員会議でのトピックも大抵その話です。ただ、「なぜやるか」も「何をやるか」も「誰がやるか」も基本的にはほとんど変わらないので、そうなるとやはり「今一番大事なことは何か」を決めることに帰着します。経営チームの仕事は、それを明確に決めて進捗を管理することが8割くらいを占めるんじゃないかと思います。

interviewer:

「今一番大事なこと」はどれくらいの粒度で伝えるといいのでしょうか?

福山:

背景や具体的な意味合いまで伝えるのも大事ですが、一番は“わかりやすさ”だと思います。今年一番大事なことは「大企業を獲得すること」、成功の定義は「社員1,000人以上の会社を5社獲得すること」くらいのレイヤーがわかりやすいと思います。

トレードオフでないことは、意思決定ではない

interviewer:

採用においては、会社との方向性とのアラインをどれくらい意識して見られていましたか?

福山:

会社の方向性が決まっていると、それを達成するにどんな人が足りていないのかが自然とわかります。例えば、大企業の顧客を獲得すると決めていれば、大企業向けの営業人材を自然と雇うようになりますよね。結局はそれ(会社の方向性|今一番大事なこと)が決まっていないから、どういう人を採用していいかわからなくなってしまうんです。そういった意味では、会社の方向性に合った採用を自然と実施していました。

interviewer:

世界観への共感みたいな部分はいかがですか?

福山:

共感は誰でもできるので、僕はその部分はあまり意識しません。どちらかというと、意思決定の価値観が合っているかを重視します。Valuesの方向性が合っているか、ですね。

interviewer:

Valuesはどのような位置づけになるのでしょうか?

福山:

自社でどんな行動が歓迎されるかを明確に定めたものだと考えています。例えば「真摯であろう」みたいなValuesは何の差別化にもなっておらず、全く意味がありません。真摯でない組織なんてないでしょう。ここも、トレードオフにならないといけません。中長期目線なのか短期目線なのか、営業が一番大事なのか、それともプロダクトか、顧客が大事なのか、従業員の働きやすさが大事なのか、それとも株主が最優先なのか、など。どれも大事そうに思える選択肢のうち、自分たちにとって何が一番大事なのかを明確に言語化して、意思決定に悩んだときに「これだ」と思える状態を作ることが重要です。例えば、顧客がクリスマスにサービスをローンチしたいと言ってきたとして、顧客を優先して確実にそれを実施するか、それとも、担当者の家族のための休暇申請を優先して顧客に日程をずらしてもらうか。正解はありませんが、こういったポイントで明確に意思決定できるValuesを言語化していると、その価値観に合った人を採用できますし、実際の業務での判断もブレません。その上で、Valuesが合致しないのであればどんなにスキルが高い人でも採用しない、というコミットをトップが持つことが大事だと思います。

interviewer:

耳障りの良い、価値観を両立できてしまうようなValuesではなく、差別化になり明確な指針になるものこそがValuesだということですね。

福山:

トレードオフでないと、それは意思決定ではありません

interviewer:

Valuesと関連するかと思うのですが、組織のカルチャーづくりのために打ってきた施策などはありますか?

福山:

カルチャーの定義は、組織の雰囲気がどれだけフレンドリーかとか楽しいかとかそういうことではなくて、組織という集合体がどんな意思決定や行動をするかということだと思っています。繰り返しになりますが、「自分たちはなぜ存在するのか」「今一番大事なことは何か」が明確に言語化され、浸透していて、全員が同じ意思決定をすることが強い組織に繋がると思います。

interviewer:

Valuesに則ってみんなが意思決定できる、その状態=カルチャーが根づいている状態だということですね。Fondにはどんなカルチャーがあったんですか?

福山:

第一に「顧客がすべて」、次に「協調・協力・チームワーク」、この二つ以外は全部無視していいと話していました。この二つの間で迷ったら、顧客の方が上。また、既存顧客と潜在顧客で迷ったら、既存顧客が上だと。

interviewer:

明確ですね。

福山:

Values通りの意思決定をして失敗したり怒られたりするようなことがあっても、僕のせいにできることが大事です。社員が心理的安全性を侵されることなく意思決定してアクションできる。そうすると、スピードが担保できる。Valuesに沿わない意思決定をしたメンバーがいたら、社員全員が「これ(この人)は違う」と判断してくれる。社内政治も起こりづらい。そうして、組織の粒が揃っていくのだと思います。

interviewer:

私たちはスタートアップに「CEO is boss」ではなく「CI(Corporate Identity) is boss」の状態を目指そうと伝えているのですが、まさしくその状態と言えるかもしれません。

好奇心の強さと本当に成長したいかどうかが、成長速度を変える

interviewer:

少しお話を変えますが、2024年の秋、福山さんは新しくVCを立ち上げられました。今回の問いでは「自己成長」というテーマを掲げていますが、福山さんから見て、成長がめざましいTop Tierの起業家の共通項などはありますか?

福山:

成長が早い会社のトップは「質問力」が高いと感じています。打ち合わせの時間も、大体僕が最初から最後まで質問攻めにあって終わる。しかも、深掘りが強いです。あとは、「福山さんはこういうときにどうしたんですか?」ではなく「私は今こういう状況なのですが、福山さんならどうしますか?」というシチュエーションを想定した質問が筋が良いと感じます。私の思い出話を聞いても、あまり意味はありません。自分の置かれている状況に対してクリティカルな回答を求めてくる人は、すごく成長スピードが速いと感じます。

interviewer:

日本の起業家でもアメリカの起業家でも共通していますか?

福山:

共通しています。好奇心の強さと、本当に成長したいかどうかだけじゃないでしょうか。起業家は自分の会社を伸ばすことが最優先事項なので、そこにとことんコミットしているのが普通と言えば普通ですが、その中でも考えるべきことやなすべきことの優先順位が明らかになっていると、会話の論点も明確になりますし、それが積み重なって5-10年後に大きな差がつくと思います。

interviewer:

福山さんご自身も“質問魔”っぽいですよね。

福山:

当初は英語がわからなかったので、相手の話をしっかりと腹落ちさせるためにたくさん質問をしていました。

interviewer:

英語圏に行く前から傾向としてはあったのでしょうか?

福山:

大学受験の時期くらいから意識し始めたでしょうか。僕にとって大学受験は、ほとんど初めて、明確に勝ち負けが出る機会だったんです。そこで負けないために、例えば塾の先生に質問しまくるとか、いろいろなことを腹落ちさせたり言語化させたりしようと試み始めたのがその時期でした。

interviewer:

「質問」そして「言語化」は、かなり一貫して意識されてきたのですね。また、「勝ち負け」というキーワードも先ほども出てきました。勝つことを結構意識されてきたのでしょうか?

福山:

勝ち続けたいとは思っていましたし、今も思っています。勝ちも負けも癖になります。例えば、月の予算未達の状態って、最初は誰でも嫌だと思うんですが、三ヶ月も続くと別にいいかという癖になってしまう。その“負け癖”をつけないこと― 未達はおかしい、負けない状態が普通なのだ、と思い続けられるかどうかは組織にとってかなり大事だと思います。

interviewer:

ちなみに、高校時代の留学やシンガポールでの就職なども、福山さんの勝ちのための差別化戦略だったのでしょうか?

福山:

意思決定する際は圧倒的に一位になるか、ユニークになるか、どちらかを選んでコミットするようにしていました。結果的に、アメリカやシンガポールといった“活動場所”という点で差別化ができたのは大きかったです。

強みを強みとして維持するためにリソースを投下

interviewer:

起業家志望者とVC志望者はそもそもマインドセットやケイパビリティが違うという考え方もあると思うのですが、福山さんはどう考えますか?VCとして起業した、という感覚なのでしょうか?

福山:

あまり意識していません。僕の場合は、スタートアップと関わりながら、人をマネジメントすることなく、世界に挑戦できるという条件でソロVCを選びました。事業創りや営業、資金調達もすごく楽しかったんですが、また一から組織を創ったり人をマネジメントしたりすることから、今この瞬間は離れてもいいかなと。VCとしてやりとりするスタートアップの人たちは基本的にモチベーションが高いので、マネジメントの手間なく、そういう人たちと事業や戦略の話ができることがすごく幸せです。いわゆるスタートアップでは一度世界に挑戦したので、次は投資で世界に挑戦というのが今のテーマです。僕は、自分が世界に挑戦するために生まれてきたと思っているので。

interviewer:

なぜそう思っているのですか?

福山:

世界に挑戦している日本人はまだまだ多くないので、これをテーマにした方が、やりがいもあるし強みを維持できると思ったからです。

interviewer:

福山さんの強みをあえて言語化すると何でしょうか?

福山:

アメリカで挑戦した経験は大きいんじゃないかなと思います。いろんな方に声をかけてもらったり普段会えない人たちに会えたりするのは、その経験のおかげかなと。そういった貴重な経験を強みとして維持するようなアクションをしていかないと強みが薄くなってしまうと思うので、強みの部分にさらにリソース投下をしたかったんです。それが、アメリカと日本でのスタートアップ投資だという結論になりました。

interviewer:

人としての強みは何か挙げられますか?

福山:

仲良くなりたいなと思った人と必ず仲良くなれる気がします。

interviewer:

それはスーパーパワーですね。

福山:

小さい頃は人に嫌われがちだったので、大学生や社会人になってから徐々にですが・・

interviewer:

何か思考や行動を変えられたのでしょうか?

福山:

距離の取り方を意識するようになりました。高校生の頃、アメリカに留学して自分一人しか日本人がいない環境に身を置いたんですが、そこでゼロから人間関係を築かなくちゃいけない経験をしたことが大きかったです。人からどう見られているか?ということをグローバルレベルで意識するきっかけになりました。

interviewer:

逆に、弱みや伸びしろを言語化するとしたら?

福山:

・・・・最初は人見知りなところでしょうか。特に初めて会った人には、相手に「自分に興味を持ってもらえていないな」と感じさせてしまうことも多いかもしれません。

想いと勝ち筋なら、勝ち筋の方を重視

interviewer:

今回、「コンフォートゾーンにとどまることなく挑戦し、他者から学び続ける姿勢が持てているか?」という問いも設定しました。VCという新たなチャレンジを始められた福山さんの姿勢がまさにだと思いますが、何かを学ぶ上で意識している点や取られているアクションなどがあれば教えていただけますか?

福山:

ソーシャルメディアなどを使って、薄く広く情報を取るのはすごく簡単になったと思うんです。その一方で、一定のテーマを決めて深掘りすることは、意識的にしないといけないなと思っています。自分で本が書けると思えるくらい、理解を深める努力をするようにしています。

interviewer:

基本的には、第一人者と呼ばれるような方にお会いして学びを深めるんでしょうか?

福山:

そういう方たちも、今は書籍を書いたりPodcastやYoutubeでお話しされたりすることにも積極的でかなり情報を公開してくださっているので、それだけでもかなり深掘りできます。

interviewer:

成長速度の速い起業家の条件としても、好奇心や質問力を挙げられていました。最後に、その他にもこれからVCとして投資していく起業家の方を見るポイントがあれば教えてください。

福山:

原体験や想いは大事ですし、興味はありますが、僕はどちらかというとインサイトを重視します。原体験を通じて、この市場にこういうチャンスがあることを見つけて起業したんです、というような。想いと勝ち筋なら、勝ち筋の方を重視します。

※こちらは、2025年1月14日時点の情報です

  • インタビュアー:ジェネシア・ベンチャーズ Investment Manager 黒崎 直樹、Relationship Manager 吉田 愛
  • 編集:ジェネシア・ベンチャーズ Relationship Manager 吉田 愛
  • 写真、デザイン:尾上 恭大さん、割石 裕太さん

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