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コーチング(思考)をチームの共通言語にする

NOTES

こんにちは、ジェネシア・ベンチャーズの吉田です。

ジェネシア・ベンチャーズは、シード・アーリーステージのスタートアップへの投資と経営支援、また、パートナーのみなさんとの共創を通じて、『すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する』というビジョンに向かうベンチャーキャピタルです。

私たちの立場はいわゆる「投資家」で、あまりチームワークが求められるものではないのでは?という印象を持たれることも多いのですが、私たちの投資支援先であるスタートアップの成長・発展にも、大企業のデジタルトランスフォーメーションやイノベーションの成功にも、「強い組織」「強いチーム」が不可欠なように、私たちもまた、インパクトを最大化できる強いチームでありたいと考えています。

むしろ、ベンチャーキャピタルという仕事においては、基本的には人が唯一の資本であり、プロダクトを持たないチームだからこそ、私たち“こそ”常に意識的に「強いチーム」であり続ける必要があると思っています。

本稿は、私たちのチームビルディングの取り組みについて(まだまだ発展途上ではあるものの、そのトライ&エラーの経過も含めて)ご紹介する連載の一部です。

▼ホーム▼

こちらのホームとなる記事にも書きましたが、私たちは私たちのCI(コーポレートアイデンティティ|ビジョンやミッション)の実現に向けて、そのアクションの前提として、

・明確な答えがない”問い”に対して私たちらしく考え続けること
・そして実際に、私たちらしくアクションし続けること
・その中にまた、私たちらしさを見出していくこと
をし続けていきたいと思っています。

今回は、その取り組みの一つとしてチャレンジしている、
【コーチング(思考)をチームの共通言語にする】
というテーマについて、現状をまとめてみたいと思います。

コーチング(思考)をチームの共通言語にする

コーチングとは、「思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くこと」(国際コーチング連盟(International Coach Federation))を前提とした、コミュニケーション手法の一つです。

2019年から2020年にかけて、ほぼ時を同じくして、GPの鈴木と私、そしてGPの田島がそれぞれコーチングを学び始めました。(鈴木はCoachEdさんのプログラム、田島と私は通学型のスクールで受講)

鈴木がコーチングを学ぼうと考えたきっかけは、「マネジメント/ビジネスマンとしての成長やチャレンジの機会が減少してきている感覚があり、新しい学び/ツールを手に入れたいと考えている中で、コーチングを通じて自身の成長を加速させられる、また、コミュニケーションの幅を拡げられると感じたから」ということでした。

田島は、「自分の経験や知識が増えていく中で、(良くも悪くも、自分の中で意見やポジションが固まってきたことで)第三者の意見を聴けなくなりつつある傾向を感じていた」ことをきっかけに。

私は、こちらの記事にも書いたのですが、「私たちが支援するスタートアップの広報PRや採用の立ち上げ時に、ビジョンやミッションなどのCI、起業家や経営チームの創業ストーリー、マーケットにおけるポジション、サービスコンセプトなどのメッセージを言語化するプロジェクトに伴走する中で、起業家をはじめとしたその人自身の中にあるもの(想い)をより深く引き出したいと考えたため」というのが大きな理由でした。

三人に共通するところでは「コミュニケーションの幅を広げたい」「相手との関係をより深めたい」といった想い、GPの二人においては「リーダーやマネジメントとしてレベルアップしたい」といった想いが、コーチングを学ぶきっかけになりました。

そして実際に学びを深めた結果、私たちは、
コーチングの、“「ありたい姿」や「なりたい姿」の実現に向かうパートナーとしてのコミュニケーション”は、私たちとステークホルダーとの「共創」を前提とした関わりにおいて大きな役割を果たすのでは!?
という仮説を持ち、コーチング(思考)をチームの共通言語にするという取り組みを始めることにしました。

具体的には、法人研修というかたちでジェネシア・ベンチャーズのメンバー全員(※現時点では、インドネシアの現地メンバー1名を除き)が、座学から実践までのプログラムを受講・修了しました。

以下では、それから約1年~半年を経て、実際にコーチングを学んでよかったことや気づき、これから挑戦したいことなどについてまとめてみました。

コーチングを学んでよかったこと、気づきなど

– コーチングは特殊なものではなく、コミュニケーションスキルの一つであり基盤となるものだと感じている

– 「答えは相手の中にある」という前提。コーチングはそれを引き出し、後押しするコミュニケーションであるということ。これは、どのような状況においても(仕事だけでなく、家族や友人とのコミュニケーションにおいても)意識していたい ⇒近い関係の相手とのコミュニケーションこそ意識が必要かも?

– 相手と信頼関係を築くには「自己基盤」が前提であるということ。そして、その自己基盤の形成は自己認識と自己開示から始まるということを認識できた。対話に臨むにあたり、自分自身のコンディションにもより気を遣うようになった

– 相手のすべてに注意を向け、受け止める、ということの重要さ

– 相手の思考をどんどん促す会話のヒント≒問いを立てる難しさ

– 『ジョハリの窓』の重要性(相手の状態の把握)

– VCという仕事は起業家ありきなので、こちらが自分の意見を伝えるだけでなく、相手からも引き出し、フラットに対話するためのコミュニケーションというものを体系的に学べたと思う

– 個別の問題を解決するのではなく、目指すべき姿を問いかけ、ゴールを明確にする中で、そこに向かい続けるスタンスこそが持続的な問題解決に繋がるというのはとても大きな気づきになった

– 人と話すのが少しだけ怖くなくなった、、気がする。何か価値を提供しなければいけない、自分が答えを持っていなければいけない、というプレッシャーが薄まった。一緒に考えよう、というマインドになれた

– 共創には、そもそも相手と同じ「ありたい姿」を描くこと、相手を思いやること、コミュニケーションを諦めないこと、そんな大前提のマインドが大切だと感じた

– 分断が進む社会だからこそ、理解し合う、学び合う、支え合う、そんな人生のスタンスに繋がる気がしている

– The importance of deep listening, to be able to understand better and then to ask the right questions for much better understanding for both.

– The importance of not satisfying with one-time answer and one layer information, but to keep consistently ask the good questions to get deeper real information.

学びを実践した例、その上でのさらなる学びや応用など

– 話を聴く姿勢(あいずち、表情、ペーシング、待つなど)を実践して、より相手が話しやすい環境づくりを意識するようになった

– 相手の言葉を待てるようになった

– 自分で答えを探すよりも、相手と一緒に問いを立てることを意識している。答えをGiveしなくてもいいという前提のコミュニケーションという武器が増えた

– 自分が話す時間が減り、相手に質問する時間(相手から聴く時間)が増えたことによって、インプット量(学び)が増えた(自分の脳のキャパを拡張させた感じ)。それにより、もっと相手の話を聴きたい(学びたい)というモチベーションが高まってきている

– 自分自身の経験から「思考を加速させる」コミュニケーションはもともと意識していたが、「思考を加速させ得る」コミュニケーションの幅が拡がったと実感している

– 「自己基盤」の形成/共有は、相手が発する言葉の表面ではなくその背景を探りにいく姿勢に繋がり、より本質的なコミュニケーションを可能にするものと理解した

– 未来≒ビジョンにつながる問いを立てるように心がけるようになった。例えば、「課題は何か」で終わらせずに「どんな状態を目指したいか」という問いを立てるようになった

– コーチングのストラクチャー(ラポール→発見→目標設定→現状把握→プロセス設定→行動モード)は戦略策定(状況診断→基本方針→実行計画)のプロセスに似ている&活かせる

– ゴール(問い)を整理・言語化し、実現に向けたプロセス設計、モチベーション・ペース管理をするのがコーチング?

– 起業家のマイルストーン設定とアクションプラン策定に役立つ。ただ、コーチングそのものというよりもコラボレーションというイメージ(起業家と一緒に、相互のリソースを使いながら課題設定とアクションプラン設定を実施する)

– 早い段階から理想状態をイメージして、アクションの優先順位がつけやすくなるようなサポートに活用している

– 意思決定とエグゼキューションの一致。自ら意思決定して自ら実行する方が納得感もあり、エグゼキューションの精度とスピードが向上する。正解がなく、決断したことを正解にしていく(覚悟が決まる)ことの方が重要なテーマであれば、コーチングが活用できる

– 単に公式を知るよりも、一度自分で公式を導き出した方が再現性が高まる。意思決定の再現性を高めるため(そのアシストにも)に活用できる

– 相手を(より確信的に)信じられるようになった(信じようとするようになった)。心からの励ましの言葉が浮かぶようになった。未来のありたい姿を描き、共有できたことで楽観的になれた?

必ずしもコーチング(的な対話)が最適ではないと感じる場面など

– 理想の状態について話すよりも、現状認識や課題の深堀りに時間を使い過ぎてコンサルみたいになってしまう ⇒時には現状把握が優先されることもある

– 相手のゴール設定が間違ってしまっている場合や、問い(ゴールやアクションプラン設定)に対する答えが明確に存在している場合は、ティーチングやコンサルティングが必要

– 情報の非対称性があり、まずはインプットが必要な場合などは、ティーチングすべきポイントとコーチングで引き出すポイントの使い分けが大事

– 初対面の相手など、ラポールが形成される前に「コーチングやってます」というのは、相手との間に心理的な壁を築いてしまう気もする

– 友人に急にコーチング的な質問するとやばいやつだと思われる😂

今後の活用・実践について、チャレンジしたいことなど

– 相手の気づきを促し、相手の中にある本当の想いを引き出す、もっとよい問いを立てていきたい

– 当然ながら、常にコーチングが最善なわけではない。コミュニケーション、ファシリテーションなどの幅を今後も広げていく

– 相手を認識・理解する方法も、対話だけではない。対話を大切にしつつ、他のツールなども活用して、多面的に相手を認識・認識する

– 「相手の中に答えがある」というコーチングマインドと、「こうした方が成果につながる or 豊かになる」という当事者マインドには一定のトレードオフがあるものの、「相手の中に答えがあるとして、それは本質的に何を意味するのか」という思考とセットにすることで相互の交わりを見出すことも可能そう

– (『ジョハリの窓』における)未知の窓を探求したい

– 自己認識と自己開示を前提とした、信頼関係をつくり、共創を実現するコミュニケーションをもっと広めていきたい。個の成長にも人間関係の深化にもつながると思う

[おまけ] 自分にはコーチングが必要か?受けてみたいか?

– 【受けたことがある】コーチングを受ける前はめちゃくちゃ億劫

– 【受けたことがある】相手から見た自分の姿を知ってギャップを把握したことによって、コミュニケーションにおける解像度が上がっている実感がある

– 【受けてみたい】自分自身がゴール達成に向けてコーチングを活用できそう。でもなかなかコーチを選べない。 ⇒踏み切れないのは、今じゃないからかも?

– 【受けてみたい】基本的には自分で自分に問いかけられている気がする(セルフコーチング?)。ただ、問いがパターン化している可能性もあるので、思考の幅を広げてみたい

– 【考えていない】今の自分には必要ないかも?悩むより行動…という性格だから?自分のことを深堀りするのを嫌がっている/怖がっているだけ?自分の性格と向き合う怖さがある?

– 【考えていない】現時点では、テーマが思い浮かばない。いいコーチ(的な存在)との出会いによる?

終わりに

このように、コーチングを学んだことは私たちにとって、コミュニケーションに関するとてもいい振り返りと気づきの機会となりました。

検証はまだ続きますが、最初に「コーチングは特殊なものではなく、コミュニケーションスキルの一つであり基盤・ベースとなるものだと感じている」というコメントがあったとおり、実際に私たちが日々のコミュニケーションの中にすぐに落とし込むことができた“実用的なもの(私たちに合っていた?)”ということは、ここまでで一つ確認ができたことかなと思っています。

すでにこうした取り組みについてお話しさせていただいていた方々からは、「コーチングを学んでどうでしたか?」「実際にどのように活用しているか教えてください」といったお声がけもいくつかいただいていました。

コロナ禍を経て、働き方や生活様式の変化や多様化が進み、コミュニケーションやチームビルディング(人とどう分かち合うか)といったテーマについては、その重要性や難しさが改めて認識させられたタイミングなのではないかと思います。

それは私たちも実際に感じていることですし、これからの社会における重要なキーワードである「多様性」とも大きく関係してくると思っています。

そんな中で、私たちの実践が一つのサンプルとなり、よりよい人と人との関係づくりやチームづくり≒共創に向かう起点となっていけたら何よりです。

私たちはこれからもこうしたテーマにいろいろな角度から向き合っていきたいと考えていますし、ぜひたくさんの方と情報交換していきたいと思っていますので、ご興味がある方がいらっしゃったら、ぜひお声がけください!

著者

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