NEWS
NEWS

VCの私たちが、コーポレートアイデンティティ(私たちらしさ)に向き合い続けるということ

STORY

こんにちは、ジェネシア・ベンチャーズの吉田です。

ジェネシア・ベンチャーズは、『すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する』というビジョンと、『アジアで持続可能な産業がうまれるプラットフォームをつくる』というミッションを掲げるベンチャーキャピタルです。

私たちは、シード・アーリーステージのスタートアップへの投資と経営支援、そして、大企業・事業会社をはじめとしたパートナーのみなさんとの共創を通じて、すべての人に豊かさと機会がもたらされる明るい未来の実現を目指し、この社会という大きな“プラットフォーム”の一員としての役割を果たそうと、日々活動しています。

その中で、私たちの立場はいわゆる「投資家」で、あまりチームワークが求められるものではないのでは?という印象を持たれることも多いのですが、私たちの投資支援先であるスタートアップの成長・発展にも、大企業のデジタルトランスフォーメーションやイノベーションの成功にも、「強い組織」「強いチーム」が不可欠なように、私たちもまた、インパクトを最大化できる強いチームでありたいと考えています。

むしろ、ベンチャーキャピタルという仕事においては、基本的には人が唯一の資本であり、プロダクトを持たないチームだからこそ、私たち“こそ”常に意識的に「強いチーム」であり続けなければならないと思っています。

では、その「強いチーム」に必要なものとは何か?

私たちは、まず最初に「CI(コーポレートアイデンティティ)」を挙げます。

CIとは、ビジョン、ミッション、バリュー、行動指針など、私たちの思考と活動の軸になるものすべてを指します。

その重要性や組織・チームづくりへの想いなどについてはこちらの記事や、GPである田島鈴木をはじめとした各メンバーがたびたびブログやコラムでも触れてきていますが、本稿では改めて、私たち自身のCIへの向き合い方についてまとめてみました。

CIとは、言語化して掲げて終わりというものでは当然ありませんし、そのもとで働く私たち(その組織・チームに属する全員)を言葉で縛りつけるというものでもありません。

CIとは、その組織・チームに属する私たち一人ひとりの「こうありたい」というイメージの共通項であり、あらゆる意思決定や戦略の基礎になるもの。そして、チームでその実現に向かうことを通じて、私たち一人ひとりを育てていくものだと考えます。

また、CIそのものも、時代や価値観の変化=私たち一人ひとりのあり方の変化によって成長していくものだと思います。

例えば、私たちがビジョンに掲げる「豊かさ」という言葉も、一義的でない、奥行きや広がりのある言葉です。「豊かさ」のあり方は時代によっても変わりますし、私たち一人ひとりの描くイメージも必ず一致するとは限りません。それでも、お互いの違いや移り変わりの可能性を認識した上でも共通項として見出し、本気で実現したいと思ったからこそ選んだ言葉です。

また、この「豊かさ」という言葉(私たちのビジョン)は、“問い”でもあると思っています。自分にとっての、あなたにとっての、こんな人にとっての、あんな人にとっての、あの場所での、この場所での、過去の、今の、そして未来の、「豊かさ」とは何なのか?ということを常に問いかけてくれる存在。そして、それについて常に本気で考えて行動することが、私たちのビジョンの実現への道しるべになる。そんな存在だと思っています。

そうした想いもあり、私たちは、2018年のCIの言語化プロジェクトを“スタート”として、図らずもほぼ定期的に(年に1テーマくらいのペースで)、いろいろな側面からCIに向き合い続けてきました。

その「向き合い」とはどんなことか?

一言でいえば、「明確な答えがない“問い”に向き合うこと」です。

前述の「豊かさ」しかり、明確な答えがない”問い”に対して私たちらしく考え続けること、私たちらしく行動し続けること、その“私たちらしさ”を見出していくことが、私たちのアイデンティティだと考えます。

例えば、私たちのミッションの中には「持続可能」という言葉があり、これは国連が2015年に発表した「SDGs(持続可能な開発目標)」と共通する言葉ですが、じゃあ「SDGsの●●番に当てはまるから、私たちはこのスタートアップに投資しよう」という活動につなげるものかというと、それは私たちらしくないと考えました。そこで、改めて「持続可能」とは何か?という“問い”に向き合い、私たちなりの方針(6つの挑戦)を定めました。

SDGsと相反するものがあるわけではないのですが、より具体的なイメージを持ち、私たち自身の言葉で伝えられるものであるように、行動で示せるものであるように、私たちらしくあり続けられるように、とこのような取り組みをしました。

以下では、このようなこれまでの取り組みについて振り返りつつ、これからどうしていくかについても触れてみたいと思います。

画像1

CIの策定:メンバーそれぞれが“個人としての人生のビジョン”を考える

ジェネシア・ベンチャーズの設立は、2016年8月。「ジェネシア」という社名の由来が「Genesis(創生)」と「Asia(アジア)」を掛け合わせた造語であるところにも表現されているとおり、設立と同時に代表の田島が掲げたビジョンは、『アジアで持続可能な産業がうまれるプラットフォームをつくる』というものでした。

時は流れて、2018年の冬。私たちは、6人のチームになっていました。

始まりは、WEBサイトのリニューアルプロジェクト。そこでデザイナーとしてパートナーにいただくことになったのが、OHのわりえもんさんです。そのわりえもんさんとの、WEBサイトをどんなイメージに仕上げたいか?というコミュニケーションの中で、「WEBサイトを含めたビジュアルデザインも、CIを表現する一つの手段だ」といった趣旨のご提案を受けたことで、私たちはCIというものを認識し、改めて自分たちのアイデンティティについて考える機会を設けました。

少し遡ったその年の夏の経営合宿で、全員の自己紹介のコーナーがあり、「ジェネシア・ベンチャーズでの仕事を通して、自分がどんなことを実現したいか」ということはすでに相互認識ができていた状態で、また、そこにある程度の共通項は見出せていたので、それを前提にこのプロジェクトのタイミングでは、改めて全員がその問について深堀りすることと、また、「仕事も一つの手段としたときに、自分自身の人生をトータルでどんなものにしていきたいか?」「自分自身の人生のビジョンやミッションは何か?」「大切にしていることは何か?」と、より“個人”にフォーカスしてそれぞれが自己開示をしました。

それらをわりえもんさんがまとめ上げてくださって、設立当初から田島が掲げていたビジョンは、より“手段”らしいという結論でミッションの位置に、そして、より“目的”らしいビジョンを新たに掲げる結果になりました。

■ビジョン:
すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する
■ミッション:
アジアで持続可能な産業がうまれるプラットフォームをつくる

画像2
画像3

行動指針の策定:プロフェッショナルであるための“行動”の原則を考える

その約1年後、2019年の冬には、ジェネシア・ベンチャーズは10人のチームになっていました。

前年のプロジェクトで7つの行動指針についても設定していたのですが、10人全員で改めて“行動”にフォーカスしたディスカッションをしました。この経営合宿でも、メインは全員が自分の半生をモチベーショングラフでプレゼンする自己紹介のコーナーで、そこでの相互認識を経て、「仕事をする上で大切にしていること」「仲間にされたらうれしいこと」「仲間が実践していたらすごいと思うこと」「ステークホルダーに信頼されるプロフェッショナルとして必要なこと」「ジェネシア・ベンチャーズらしい行動」などをポストイットに書き出してカテゴライズ。それらを新しい6つの言葉にまとめて、リリースしました。

前年のプロジェクトが“個人としてのビジョンや欲求”にフォーカスしていたのと比較すると、このプロジェクトは“仲間”や”チーム”の中においての“行動”にフォーカスしたものでした。

#現在、Slackのスタンプや1on1シートなどで運用中

■行動指針:
0.for Team
1.オープネス(Openess)
2.スピード(Speed)
3.期待値を超える(Over Achievement)
4.学び合う(Learn from each other)
5.共創と競争(Co-creation & Competition)

画像4

投資方針の策定:ミッション×事業×社会のあり方を“私たちらしく”考える

年が明けて、2020年。誰も予想しなかった新型コロナウイルス感染拡大の影響で、私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。日々の生活も各企業の事業環境も、いつどんなことが起こるかわからないという不安にさらされ(考えてみたら当たり前のその事実をまざまざと実感させられ)ながら、ニューノーマル(新しい生活様式)への適応をほとんど強制されました。

そんな年の秋に、私たちは2号ファンドを立ち上げました。そんな時期に仲間になってくださったLPの皆さんには、本当にありがたい気持ち、そして頼もしい気持ちです。

そして、そんなパートナーの皆さんとの対話が、私たちに新たな“問い”をくださいました。キーワードになったのは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と「持続可能性」。

コロナ禍によって、DXは一気に10年分くらいの前進をしたとも言われます。私たちの投資しているスタートアップがその前進に大きく貢献できていることは本当に喜ばしいことで、LP・パートナーの皆さんもその活動を一緒に推し進めようと仲間になってくださいました。

また、コロナ禍によって、私たちは改めて「持続的な社会・環境」や「共生」といったテーマに向き合うことになりました。社会全体のSDGsやウェルビーイングなどへの関心も取り組みも一気に加速した感覚があり、それはパートナーの皆さんの関心事でもあったので、このあたりについてもたくさんの議論をさせていただきました。

そんな経緯があって、私たちも改めて「未来のあるべき姿」「社会のあるべき姿」に向き合うことにしました。これについては前述したとおり、社会全体の大きなテーマであるSDGs(持続可能な開発目標)、そして私たちのミッションの中にもある「持続可能」という言葉を中心に置き、その私たちらしい解釈について考えました。そして、私たちなりの方針を定めました。

■6つの挑戦(投資方針):
豊かな生き方
循環型経済
情報・機会の均等
叡智の発揮
共存・共生
健やかな社会

画像5

これから:ビジョン・ミッション(CI)の実現確度を上げるアクションを起こす

こうした経緯を経て、今年、私たちはより「アクション」に向き合っていこうと考えています。

地球環境、将来世代、持続的な社会や経済のあり方、ニューノーマル、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)、個のエンパワーメントなどは、私たちのビジョンの実現に欠かせないテーマなので、私たちが実践できるアクションの解像度を上げていきたいと考えています。

日々の業務的なアクションをイメージした「行動指針」に対して、ステークホルダーを巻き込んだよりダイナミックなアクションや共創をイメージした「活動指針(仮)」 と言えるかもしれません。

まずは、知らないことを認識すること。学習して解釈すること。そして、着実にアクションにすること。そんなことを目指しています。

具体的には、以下のようなテーマ(一例)で順次、ワークショップやディスカッションの場を設けていきたいと思っています。

アンコンシャスバイアス
・ジェンダー認識
・社会問題(プラスチック、CO2・気温上昇、格差など)
・資本主義のゆくえ(公益資本主義やサーキュラーエコノミーなど)
・DXのゆくえ(テクノロジーによって得られるもの/奪われるものなど)
・人を育てる(いきいきと生きる人を増やす取り組み、教育など)
・コミュニティデザイン、ファシリテーション
・マインドセット(アファメーションやNVCなど)
・インクルージョン(国や地域、社会)

いずれも、ただ一つの正しい答えがあるというテーマではありません。だからこそ、私たちらしく考え、また、いろいろな方とも意見交換をしたいと考えています。そんな「場」のような存在に、「あなたはどう考えますか?」と、お互いに“問い”を立てられる存在になりたいと思います。

クローズドに話すのかオープンに話すのか、ゲストを呼ぶのか呼ばないのか、本や事例を参照するのか、どれくらいの時間をかけて話すのかなど、まだ決めていないことばかりですが、お互いが心理的安全性を保った状態で自己開示し相互認識し合える場として何がベストなのかも、模索しながら進めたいと思っています。

私たちは私たちらしく。考えること、動くこと。それが、アイデンティティであるということを前提に。

こうした取り組みのプロセスについては、また報告していけたらと思います。

また、もしご興味を持ってくださる関係者の方がいらっしゃったら、一緒にどんなことができるか考えさせていただきたいです!よろしければお声がけください。

画像6

■Special Thanks:わりえもんさん(デザイン)

著者

BACK TO LIST