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わたしの好きな、#スタートアップPR ①

NOTES

最近、「あいさんは広報PRが好きなんだよね」とボスに言われて、あまり自覚はなかったのですが「そうだなぁ、たしかに好きかもなぁ🤔」と感じたので、自分が今、広報PRと自分のミッションについてどんなふうに考えているのかをまとめてみようと思います。

必要だと思うから取り組んでいる、ということももちろんあるのですが、それでも「好き」だと感じる理由を挙げるとすれば、きっとそれは、広報PRが『人を動かすしくみ』そのものだからです。『人を動かす』とはどういうことかと言えば、それはビジョンの実現に繋がる成果だと思っています。

ユーザ獲得や採用、資金調達やアライアンスなど、すべては『人を動かす』ということ。自分たちの想いを届けて、人を動かす。それが成果になり、ビジョンの実現に向かう。その手触りや手応えを感じられる。

たぶんそれが、わたしが広報PR- 特に、#スタートアップPR  を好きな理由です。

初期のスタートアップにおいては、今まさに事業やサービスがマーケットに受け入れてもらえるかもらえないかという仮説検証プロセスの真っただ中で、実績というニュースバリューはまだほとんどない。そんな中で、人を動かすことができるコンテンツは、ほぼ想い(ストーリーあるいはプロセスといっても過言ではありません。起業した想い、事業・サービスへの想い、チームへの想い、ユーザへの想い、業界・マーケットへの想い、あるべき世界への想い、自分たちがリードしようとしている未来に対する想い・・そうしたストーリーづくりをして、人を動かすために展開していく活動・しくみづくりのすべてが、#スタートアップPR だと思っています。

また、スタートアップにおいては、あらゆる業務がとてもシームレスな状態。だからこそ、どんな業務にも、想い(ストーリー)を紐づける『PR思考』が必要だと思います。「誰か広報PRもやってよ」ではなく、「成果に向かうために、全員が広報PRを踏まえて業務を考えようよ」という考え方ー これもまた#スタートアップPR と言えるかもしれません。それに、そうした『PR思考』を初期から全体にインプットしておくと、チームがより強く育っていくように感じます。(最近は、スクラム採用などでも近いことが言われていますよね)

わたしの現職でのミッションは『強いチームをつくる』こと(全般)で、強いチームをつくるためには人を動かす必要がある、すなわち、強いチームをつくるためには広報PRが絶対に欠かせない、と考えているので、必然的に広報PRに関連した業務が占める割合が多くなっている感じです。

というよりも、上記のように、広報PRとそれ以外とに業務を区別するのではなく、いつでも『PR思考』で、あらゆる業務に取り組んでいる(つもり・・!)という方が正確かもしれません。

広報PRは広報PRという業務ではなく、ビジョンの実現に向かう、ユーザ獲得や採用、資金調達やアライアンスといった、あらゆる「仲間づくり」「チームづくり」のための思考法、つまり、成果に向かう一つのコミュニケーションの方法なのではないかなと思っています。これは個人的にも、とてもしっくりきている考え方です。

もちろん、わたしもまだまだ実現できていないことばかりで、勉強と試行錯誤の日々です。ただそれでも、上記のように、すべてのメンバーが『PR思考』であらゆる業務に向かってこそ、持続可能な『強いチーム』ができて、ビジョンの実現に向かうことができる、と考えているので、まずは自分自身が先頭に立って実践していきたいと思っています。

・・といった、本稿の内容はあくまで個人的な考えですが、広報PRや#スタートアップPR 、強いチームづくりなどにご興味がある方の何らかの行動の“種”になれたらうれしいです。また、わたし自身これからもこの考えを随時アップデートしていきたいので、フィードバックや議論の場をいただけたりしたら、もっとうれしいです。

目次

  1. わたしについて
  2. 『強いチーム』と、広報PR
  3. まとめ

わたしについて

最初に、わたしの仕事についてお話しさせてください。

わたしは、創業すぐのシード・アーリーステージといわれるフェーズのスタートアップ企業に、成長資金の株式投資と成長支援をおこなうベンチャーキャピタル(VC)であるジェネシア・ベンチャーズで、自社のバックオフィス業務と、投資支援先スタートアップの成長支援(バリューアップ)業務を担当しています。

業務のミッションとしては、先述のとおり、自社と支援先スタートアップ両方の『強いチームをつくる』ことです。そもそも明確なミッションがない状態で入社して(ベンチャーキャピタリストのアシスタントをしながら、スタートアップのバリューアップについて模索しよう!みたいな感じで入社して)、1年と4ヶ月。これまで右往左往しながらいろいろなことに挑戦してきて、最近ようやくミッションを言語化できてきたかなぁというところです。

ちなみに、リードしてきた(している)プロジェクトには、こんなものがあります。

■自社のコーポレートアイデンティティ(CI)やWebサイトのリデザインブランド変更続く「独立系VC」、そのビジョンづくりを読み解くーージェネシア・ベンチャーズがCIをリニューアルthebridge.jp

■オウンドメディア私たちが目指す世界観こそが、チームのアイデンティティ −リデザインプロジェクトを振り返って− | 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ(Genesia Ventures, Inc.)2019年、夏。設立から3年を迎えたジェネシア・ベンチャーズは、CI(コーポレートアイデンティティ)やWebサイトなどの全www.genesiaventures.comつくる人がいきる世界へ −『製造業×人材』領域で日本発のグローバルスタンダードに挑む−(株式会社イノービア)|Players by Genesia. | 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ(Genesia Ventures, Inc.)Product Market Fit(PMF)という言葉があります。これは起業家の創ったプロダクトが市場に受け入れられ、www.genesiaventures.comわたしの暮らしは、わたしがつくる ー「家具D2C」で挑む、暮らしにストーリーを乗せる未来ー(ユアニチャー株式会社)|Players by Genesia. | 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ(Genesia Ventures, Inc.)「世界のデジタル化が進むことによって、どんな“豊かさ”がもたらされるのか?」 わたしたちにはいくつかの仮説があります。業務www.genesiaventures.com

■外部メディアへの寄稿第4次産業革命の今、私たちはどこに人生をかけるべきかthebridge.jp投資家向け「だけ」のピッチ資料は作らなくていいthebridge.jp

■タイアップコンテンツの企画【07/16(火)開催】自己実現への道を歩み出した起業家3名が描く、 大きなゲームチェンジのための、事業構想・チーム作りの企て | FastGrowFastGrowはテクノロジー領域で活躍中の起業家・経営層と、若手経営人材をつなぐビジネスコミュニティです。活躍中の起業家www.fastgrow.jp「自分だけが戦える市場ドメインを攻め続けろ」資金調達直後の起業家3名が語る、初期スタートアップの事業・組織構築論 | FastGrow“破壊と創造”を必要とするスタートアップの立ち上げ期、その成長過程における課題は数えきれない。しかし、特にアーリーフェーズwww.fastgrow.jp

どれも自信作なので、ぜひぜひ見ていただけるとうれしいです🥳

本当にたくさんの方のご協力あってのことで、本当に周りの環境に感謝するばかりなのですが、最近はこうしたプロジェクトや取り組みの経験をもとに、支援先スタートアップのCI策定や広報PRの相談に乗ることも、少しずつできるようになってきました。他にも、支援先スタートアップ向けに、採用の支援や勉強会の開催、外部パートナーさんのご紹介などをしています。

ただ、「支援」という言葉はちょっとえらそうな感じなので、本当はあまり好きではなく・・わたしはあくまで、同じ目的(成果)に向かうチャレンジャという立場で、スタートアップの成長に関わっていくことを意識しています。

また、自社内では、ボスのアシスタント、人事(採用・労務)、総務、経理、内部統制に関するプロジェクトのサポートなどを担当しています。

と、いろいろな業務がある中で、個人的にはフローやしくみをつくることも好きなので、担当している業務をどんどん効率化していきたい!と思うのですが、最近感じているのが、おそらくは何をするにも、画一的な解やしくみ“だけ”ではなくて、自分たちの「ありたい姿」や「あるべき姿」、こだわりや「らしさ」という軸が必要なのだなぁということ。それを自分たちの頭で考えて、決めていかなきゃいけないのだなぁということ。

だから、わたしも自分(たち)の「ありたい姿」や「あるべき姿」をイメージしながら、こだわりをもっていろいろなことに挑戦(仮説検証)しているという感じです。

ジェネシア・ベンチャーズの「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンがわたしはとても好きなので、それを実現する『強いチームをつくる』ために、しっかりと役割を果たしていきたいと思っています。

『強いチーム』と、広報PR

冒頭に書いたように、わたしは、広報PRとは『人を動かすしくみ』『人を動かす』ということはビジョンの実現に繋がる成果だと考えています。その手触りや手応えを感じられるのが、特に#スタートアップPR が好きな理由です。

一方で、広報PRは広報PRという業務ではなく、ビジョンの実現に向かう、ユーザ獲得や採用、資金調達やアライアンスといった、あらゆる「仲間づくり」「チームづくり」のための思考法、つまり、成果に向かう一つのコミュニケーションの方法だとも考えていて、持続可能な『強いチーム』をつくるためには広報PRが絶対に欠かせない、と思っています。

では、『強いチーム』とは何でしょうか。

あなたは、どんなチームが『強いチーム』だと思いますか?
何があれば、何をすれば、それが実現できると思いますか?

この点はぜひたくさんの方のお話を聞いてみたいと思っています。まさにチームの数だけ「ありたい姿」や「あるべき姿」があると思うので。

わたしのボスはこう言いました。『社会における提供価値と信頼の最大化にWILLの精神で自律的に向かえるチーム』だと。まったく異論はありません。ただ、わたしもわたしなりの言語化にもう少し挑戦していきたいなぁと思っているので、この点はいったん保留にさせてください。

一方で、「どんな状態か」で考えてみると、わたしなりの答えはこうです。

■チームの核になるもの: 事業、コーポレートアイデンティティ
■チームを拡張する活動: 広報PR、IR、マーケティング
これらがしっかりとチームの中にあり機能していること。

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※コーポレートアイデンティティ:以下「CI」。ビジョン・ミッションなど

図のように、「チームの核になるもの」が、事業とコーポレートアイデンティティ。どんな手段で社会に貢献するチームなのか、どんな世界の「あるべき姿」をビジョンとして実現しようとしているチームなのか。それらがしっかりとある上で、広報PRやマーケティングといった「チームを拡張する活動」(思考、コミュニケーション)が機能している。そして、それらの積み重ねが選ばれる理由になり、結果的に、採用や資金調達などがうまくいく状態に繋がる、ということです。

「チームの核」を中心に、同心円を広げていく「チームの拡張」というコミュニケーションが成功して、人を動かせている状態が『強いチーム』

事業やCIについては、基本的にはすでにあることが大前提。(そして、事業を伸ばすことが最優先事項)ただ、言語化という意味では、初期のスタートアップにおいては、今まさに事業やサービスがマーケットに受け入れてもらえるかもらえないかという仮説検証プロセスの真っただ中で、実績はもちろん、まだ事業の存在自体が柔らかかったり、新しい事業領域に取り組んでいることも多く、まだ事業を一言で表現する言葉がなかったり、CIがオリジナルな言葉で言語化・明文化されていなかったりするケースもあるので、あえて書きました。

・事業をわかりやすく一言で表現すること
・CIをオリジナルな言葉で言語化すること

先述のように、広報PRを一つのコミュニケーションの方法だと考えると、これらは本当に大切。「伝える言葉」がなければ「伝える活動」は始まりません。人に伝わらない・理解されないということは、共感や応援をしてもらえない、動いてもらえないということ。それでは『強いチーム』は作れませんし、ビジョンの実現にも向かえません。だから、言語化には本当にこだわりを持って取り組むべきだと思っています。

その上で、「チームの拡張」というコミュニケーションが始まります。

ちなみに、そもそも「チーム」とは何でしょうか。この問いに対してもたくさんの解があると思いますが、わたしの中にも一つの定義めいたものがあるので、ご紹介したいと思います。

きっかけは、ユーザベースの佐久間さんのnoteで・・

~以下、抜粋~

SaaSはユーザーとの共創で成り立ちます。データを介した定量的な共創と、ビジョンを共有したユーザーからの本質的なフィードバックを介した共創。

特に、ビジョンの共有がなければ、ユーザーからは表面的なフィードバックしか得られません。目指す未来を共有することでこそ、同じ視点に立った深いフィードバックをユーザーからもらうことができます。

私がSaaSを好きな理由は、
「SaaSはユーザーとビジョンを共有した共創で成り立つコミュニティ」
だからです。

会社は「ビジョンに共感したメンバーで、その達成を目指す集団」です。

SaaSは、社内にとどまらず、ユーザーやパートナー企業とも深くビジョンを共有し、より広い「コミュニティ」として、その達成を目指す集団です。

言わば、会社という概念がウソなく拡張されたもの。

https://note.com/embed/notes/n7fc6e90b617d

この考え方が、すごく好きだなと思いました。

そして、これはSaasに限らず、これからの社会と企業と個などの関係性にも近いのではないかなとも思い、以下はわたしのイメージをまとめたものなのですが・・

間違いなく時代は変化していて、コミュニケーションにも変化が求められている。

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そして、チーム(コミュニティ)の概念やあり方も、それに伴うかたちで変化している。

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これまではなんとなく、チーム=社内、のようなイメージがありました。でもそれをこれからは、ユーザやお客様、採用候補者やパートナー企業、投資家など、自分たちに関わるあらゆるステークホルダーを一つの「チーム」(コミュニティ)と考える。与える側と与えられる側ではなく、同じビジョンに向かうメンバーとして考える。そのように、チームを“広く”考えることによって、ビジョンの実現に向かう、より持続可能な『強いチーム』が実現するのではないかなぁと思います。

たとえば最近は、ユーザが社員になったり、会社がアルムナイ(卒業生)に投資したり・・いろいろなところに、従来の関係性を超えた事例がたくさん生まれていると思います。それらは、より“広さ”や“長さ”、“自由さ”を感じる関係性だと思います。

ジェネシア・ベンチャーズでも、支援先スタートアップと自分たちのことを指すときに、「貴社」「弊社」とは言わず、必ず「わたしたち」と言うことにしています。同じチームの仲間だと考えているからです。その方が、同じビジョンに向かうメンバー(当事者)として適切な表現だと思うからです。

・・と、そうしたイメージをしていると、今までのお話と逆の発想も生まれてきます。

ここまで、
「チームの核」を中心に、同心円を広げていく「チームの拡張」というコミュニケーションが成功して、人を動かせている状態が『強いチーム』

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と、円の内側から外側への矢印についてお話ししてきましたが、

『強いチームをつくる』ためのコミュニケーションを前提とした、言語化・明文化やストーリーづくり、コミュニティづくりをする

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と、円の外側から内側への矢印について考えることもできます。

実際に言語化に臨むときには、両方の視点をあわせて持つことが大切だと思います。自分たちの「ありたい姿」や「あるべき姿」の解像度を高める作業にもなるはずなので、とても有効だと思っています。

自分たちの純粋な欲求を言葉にする作業と、未来の『強いチーム』をイメージして言葉を選ぶ作業。どちらもめちゃくちゃに素敵な作業ですよね。「チームの核」に関わるこの作業もまた、スタートアップに身を置く醍醐味ー #スタートアップPR なのではないかなぁと思います。(何でもまとめがち🤗)

まとめ

初期のスタートアップにおいては、やるべきことが山ほどあります。

まずは事業をつくること、マーケットに受け入れてもらい、事業を伸ばしていくこと。それが何よりも最優先。そんな中で、チームづくりや広報PRになかなか着手できない、という状況をたくさん耳にしてきました。大切なのはわかっているけど・・やらなくちゃいけないとは思っているけど・・という歯がゆい気持ちもたくさん伝わってきました。その状況や気持ち、とてもよくわかるつもりです。

一方で、『強いチーム』とはほど遠い課題もたくさん目の当たりにしてきました。マーケットフィットを裏づけるユーザをなかなか獲得できない、採用がそもそも難しい、資金調達がうまくいかない、アライアンスが決まらない、解約が止められない、入社した人がワークしない、メンバーの価値基準がバラバラ、それらの解決策を考える余裕すら持てない・・などです。

いろいろな要因があると思いますが、やっぱり共通して根っこにあるのは「コミュニケーションの問題」だと、わたしは思います。

個性のないビジョンやミッション、言語化されていない想い、伝わりづらい難しい言葉、共感を呼ばないストーリー、一方向のアウトプット、接点の乏しさ、情報量の少なさ、自己基盤・相互信頼の揺らぎ・・どれも致命的なことです。

スタートアップは、世界を変える大きなビジョンの実現に向かうチーム(コミュニティ)です。成功するのは、持続可能な『強いチーム』です。

そして、わたしはその持続可能な『強いチーム』をつくるためには広報PRが絶対に欠かせないと思っています。広報PRとは『人を動かすしくみ』であり、一方で、広報PRは広報PRという業務ではなく、ビジョンの実現に向かう、あらゆる「仲間づくり」「チームづくり」のための思考法、つまり、成果に向かう一つのコミュニケーションの方法だとも考えています。そう・・コミュニケーションなのです。

冒頭には、すべてのメンバーが『PR思考』であらゆる業務に向かってこそ、持続可能な『強いチーム』ができて、ビジョンの実現に向かうことができる、とも書きました。次回(②)では、その『PR思考』について少し書けたらいいなぁと思っています。

わたし自身も引き続き、『強いチームをつくる』という自分のミッションに、大好きな#スタートアップPR という思考で、これからも挑戦し続けていきます。また、伝え続けていきます。

著者

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