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COO Night Vol.1[後編] 経験の年輪はコピーできない -事業家という手段と、その役割について-|Players by Genesia.

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「COO(Chief Operating Officer/最高執行責任者)」の在り方に迫る、本イベント。

ただし、職業や職位というのはあくまで手段である- それが私たちの考えです。COOになるためにはどうすればいいか?という手段のための手段の話ではなく、COOとは何か?それは私たちやあなたのどんなビジョンを実現し得る手段なのか?どのようなマインドセットを持ち、どのように行動した人物が、結果的にCOOとなり得るのか?そんなところに目を向けます。

ジェネシア・ベンチャーズのInvestment Manager・相良が発起人となり、事業創造や課題設定、そして執行において、圧倒的な実績を持つ“Players”が登壇したイベント「COO Night Vol.1」のレポートをお届けします。

※配信には含まれなかった番外編を追加してあります

登壇者

写真左から、守屋 実氏、福島 広造氏、相良 俊輔  ※以下、敬称略

特定の時間軸における、圧倒的な解像度

相良:

個人的に訊いてみたかったのが、いろんなギャップ -理想と現実のギャップとか、ビジョンと事業計画のギャップとか- にアンテナを張っていて、ギャップの解消あるいは拡張に対してミッションを持つのが、大掴みでいうとCOO、あるいはCOOの属性を持つ人かなって考えていて、そのときに、例えば経営目線で、CEOがこういう世界観をつくりたいという世界観はあったとして、事業としてそれがどういう状態で、時間軸に区切ったときにいつまでにどういうことをするか、そのためにはどこに何人割かなきゃいけないか、みたいな、そういうギャップの解消の動きがとても大事である一方で、それをやっていくと、たぶんだんだん連続的な成長になっていくじゃないですか。でも、非連続な成長をつくっていく、どこかでもっと角度を変える動きっていうのもやっていかなくてはいけない、つまり、解消とは逆の、拡大というか、経営とは逆に現場目線で見たときに、そのグロースの角度を変えにいく動きとか役回りとかっていうのもあると思うんですけど、そこらへんって普段から意識されていることとかあったりしますか??それもたぶん事業の状況とかステージでも変わってくるかなと思うんですけど。

福島:

まずは、誰がどういう時間軸で動いているかを理解するっていうのはありますね。なので、例えば僕がラクスルに入ったばっかりくらいのときは、事業はマンスリーとかウィークリーとかで売上を追いかけてて、かたやファウンダーは1年とか先の資金調達を見てる、みたいな。こういう感じ。なので、浮いてるのは四半期とかかなって。マンスリーを重ねたときにどういうアウトプットになっているのかというところが抜けてるなぁっていう感触があったんですけど、そういう風に、誰がどういう時間軸を持って動いてるかっていうのを把握するっていうのが一個目。
あとは、抜けてるところ -その当時でいうと四半期とか。今でいうと、事業は完全に1年を見てもらってて、ファウンダーも目線がより伸びて10年とか、1兆円企業とか10兆円とか考えてるんで、そこでいくと、2-3年という軸- ここを見なきゃいけないんじゃないかな、空いてるんじゃないかなっていう感覚ですね。そこに対して解像度を持つっていうか、未来の状態を自分の中ではっきり持つっていうことは意識してて、例えば、事業の時間軸が1年で、ファウンダーが5年で、(自分が)2-3年を持ってるときに、今の連続をやり続けるといくらくらいの売上になってて人数が何人でどういう職種の人たちが活躍してて・・っていうイメージを持って未来を考えたときに、それじゃダメなことってあるじゃないですか。そんなに人数増えちゃダメとか、その角度だとそのときには30%成長しなくなるとか。そういうギャップというか課題設定があるので、それをどう解決するかにはいろいろパターンあると思うんですけど、そこで未来の事業体全体の解像度のイメージをクリアに持つことは意識してます。それを描けたときに、今のままじゃいけないことをはっきりとイメージして、そこに対しては全力で介入していく。それが組織のときもあれば、事業やカルチャーのときもあるかもって感じですね。
時間軸っていうと、長ければいいって話でもないし、ただ先のことを考えればいいって話でもなくて、特定の時間軸に対して圧倒的にクリアなイメージを描くというか、自分の中で事業を立体的に描くというか、そういう状態をちゃんと持たなきゃなと思ってますね。今の社員の人数とか売上とか利益とかって答えられるじゃないですか。それをまったく同じ粒度で、その未来の時間軸でも答えられるっていう。それができた状態が、未来の解像度を、その時間軸を自分が持てているっていう感覚になれるって感じですかね。ただ、その感覚が持てる時間軸って徐々に伸びていくものだと思うんで、見栄は張っちゃダメだと思っていて。見えてない、自分が本当は描けない解像度ってあるんですよ。僕も入って2-3年て、(その)2-3年後はわからなかったんですよね。その時にふわっとした2-3年後の課題設定をしちゃってやった施策は全部失敗したんで。そこは自分に正直になって、徐々に伸ばしていくことが大事。見えてないものを見るとか、見えてないものに対して課題設定をするとか、自分の解像度に正直じゃないことはよくないと思ってます。

ラクスル株式会社 取締役COO 福島 広造
相良:

ちなみにその2-3年前のちょっとふわっとした解像度の時と今とを比べると、その差分てどんなものなんですか?事業や業界に対する慣れとか土地勘とか、あとは組織に対する慣れとかいろいろあると思うんですけど、何か大きかったなぁみたいなことってありますか?

福島:

やっぱり入って2年経つと、その2年間で変わったことってあるじゃないですか。で、変えられたことと変えられなかったことがあるじゃないですか。その慣性というか、連続でどこまで変わるのかとか、そういうのが見えた感じですかね。組織ってそんなに早く変わらないですよね、(一方で)マーケティングってウィークリーやマンスリーでどんどん変わっていきますよね。その変化が起こせる時間軸とか、変わる角度みたいなことに対して非常に理解が深まったというか、過去を振り返るとこのスピードで変わったんだから次の2年もきっとこのスピードで変わるよねって考えられるようになりました。だから、やっぱり自分がその会社にいた時間より長い時間軸で考えるのは無理だなぁって思ってます。ただ、その時に変えようと思ったことが大事だと思ってて、普通にぼーっとしてるとその学びはなくて、Day1から何かを変えようと思って、でも一年後に、全力で変えようとしたけどこれしか変わらなかったねっていうところまでいくと、それが次の解像度に繋がると思っていて。
かたやマーケティングの人とかって、次の会社に行ってもDay1からパフォームできると思うんですけど、私たちの職種って、その会社の解像度とかやっぱりこう、今の課題とかスピード感を理解しないと難しいので、そのあたりは特殊な能力というか役割なのかなと思います。

相良:

そういう意味では、最初からCOOでは入れない。入るのは難しそうですね。

守屋:

最初から入れちゃうCOOは、ヒエラルキーの中でCOOと呼んでるっていう感じかもしれませんね。第二位、みたいな。

福島:

じゃあNo.2って呼ぶのがいいかもしれないですね。

「潜る」

相良:

まさに、来るべき未来に対して時間軸をインストールするっていう役割が、スタートアップのエコシステム全体で欠けている・不足していると思ってます。僕たち投資家も真っ先にその役割を担わなきゃいけない当事者なんですけど。それが、今福島さんがおっしゃったような、COO的な、経営レイヤーに近くてビジネスを見られる人で、事業とか組織の進捗のスピードも踏まえた上で、この時間軸だったらこの売上・このKPIが達成できるだろうっていうのを発見して設定して実際に実行に移していくっていうことが、とても重要だけど、できる人がいない。ということで、この会が開かれています。

福島:

ちなみに、伸ばすだけじゃなくて、今回コロナで新しい動きがあったんですけど、初めて時間軸を縮めました。組織は1年で動いてるんだけど、コロナが起きたんで、その1年を3ヵ月と逆に短くして、この事業計画いったんナシでって言って、この目の前の3ヵ月だけをどうマネジするか、しかもグロースじゃなくて、コストサイドをマネジしていくっていう、短くするパターンもあるので、そのコントロールだと思いますよね。

相良:

まさに市場が劇的に変わるトリガーが、今回のコロナみたいなことがあったときに、その兆しを感度高く嗅ぎ取って、実行に移すってことをやり続ける。それが1年に一回かもしれないし、5年に一回かもしれないけど、そこを本当に精度高くやりきれると、かなり強いチームになるし会社になるなって思いますね。

守屋:

方針を示すだけじゃ、周りは動かないからね。ちゃんと信頼されてないとダメだし、あれやれこれやれって言うだけだとやっぱりダメで、実際にやって見せることも含めて、今まで「こうだ!」「1年だ!」って言ってたのを「3ヵ月!」って言っても、ついていける人とついていけない人がいるから、そういうのも含めて、むちゃくちゃ鼻が利くっていうか、俯瞰的にいろんなことを見て、ここだと思ったところに接写しするみたいな。

相良:

接写と俯瞰を行き来しながらってことですよね。そういう意味ではチームの中で一目置かれる存在になるってことがまずは大事というか、結果出してない人から言われてもなぁみたいなのってあるじゃないですか。だからまずは何の領域でもいいけど、その組織の中で、この人はこの領域で価値を出したっていう実績を作って、それをフックにして他者を巻き込むみたいな動きができるとよりやりやすそうなイメージなんですけど、そんなことってありましたか?福島さんはラクスルに入った当初、経営企画部長でしたっけ?で、今はCOOだと思うんですけど、いきなりCOOじゃないっていうのはさっきのお話にもありましたけど、組織の中で、ここは俺に任せろ!みたいなことをまず実績として作ったとかありましたか?

福島:

まさに入った時で言うと、えらそうなコンサルが来た!って感じでした。どうでもいい話ですけど、一週間経ったときに「福島さんがコンサルで最長ですよ」と言われて。私の前に入ったコンサル出身者は3日とかで辞めたらしくて「一週間おめでとうございます」って言われるっていう。なのでまさに、言うだけ(口だけ)っていう価値は、スタートアップにはないと思っていて、それはすごく実感しましたね。振り返ると、私は始めの2年くらいずっとサプライチェーン側をやっていて、そのグロースが大事だったんですけど、当時の粗利率がたぶん8%くらいで、そこから1年くらいで20-25%くらいまで上げました。その後、上場準備の中で、グロースしながら利益も上げているっていうのが後から評価されてきたっていう、そういうトラックレコードはあったかなって思います。なんか、アイツは何やってるかわかんないし、今すごく大事なことやってるとは思えないけど、なんとなく振り返ったら大事なことをしてたのかもしれない・・というような話はあるかなと思ってて。
「潜る」って私は言ってるんですけど、潜ってやっといて、あるとき振り返ったら、あの時やっといてよかったねっていう。例えば採用のエントリーマネジメントとも近いと思うんですけど、その時は評価できないけど、1年半後に振り返ったときに大事なことをやれてるって、その1年半後が見えてるからできるんですよね。たぶん潜ってる間は一切それが評価されないけど、自分がターゲットした時間軸に来たときに、やってよかったね、あのときにこれが見えてたのねっていう。コイツが言ってることは今は大事かどうかわかんないけど、後々なんか大事かもしれないなっていうか、後で振り返るといいことかもなっていう。そのトラックレコードを作り続けるのは大事かなと思ってます。ただ、大体一回目からは成功しないんですよ。なので、キャリアとしてのこういう役割で言うと、それを何回したか。成功とか関係なくて、自分が決めた時間軸を逆算で考えて、今やんなきゃいけないことをやってみて、その時間軸に来たときに価値があったかっていう、これを別に一週間でもいいし一ヵ月でもいいから、自分が持ちうる時間軸に何回もやってみて、それが自分の中で習慣になってくると自分の成功確度が上がってくんですよ。これを「体験価値」って言ってるんですけど、スキルとかじゃなくて、3回やった人はどんなに優秀な1回目の人よりも絶対確度が上がるんですよ、この取り組みって。より大きなことをやった人は、より小さなことをやった人よりも2回目の精度が上がるんですよ。こういう、経験を繰り返すと積み上がっていくようなスキルセットというかケイパビリティなので、いろんなパターンといろんな時間軸で10回ぐらいやると、自分の中で成功確度が上がっていくという。それは個人が持ってる能力じゃなくて、トライを何回できたかによるものに近いかなと。その中で、何個か組織のインパクトになったものができると、次もこの人の確度高そうだなってなる。そういう信頼の作り方はあるかなと思いますね。

相良:

手数というか、経験は大事ですね。

守屋:

大体のことって考えたようにはならなくて、やっぱりやらないとですよね。

相良:

しかもそれが正しいかどうかっていうのは、誰にもわからない。社長にもわからないし、メンバーにもわからないし、自分にもわからないけど、でも手を動かさないと死ぬみたいな状況がたぶんスタートアップにおいては日常だよなぁと思うので、自分が考えられる限りでその組織において大事なことっていうのをいち早く見つけて実行して、ダメだったら次に行く・他レバーを見つけて引くっていうのをとにかくやり続ける。それで一定期間を過ぎると、あのときやったことがすごいよかったなとか、今になって活きてるなとかっていうのが、信頼になって布石になって、次のことがやりやすくなるっていうのはありそうですね。

福島:

その検証力というか振り返れる力というかが大事だと思ってますね。ただ数やってケイパビリティが上がらない人の特徴って、なぜそれをやらなきゃいけないのかとか、いつの何のためにこれをやってるのかっていう、そこの設定が曖昧なままいろいろやってるんだと思います。だから、いろいろやった結果が積みあがってこないんですよね。なのでやっぱり常に、この時間軸にこうなってるべきという、そこは自分の中ではっきりさせて、そこに対してやってみて、その時間軸が来た時に振り返るっていう。その繰り返しという意味での行動をやり続けないと溜まっていかないです。自分の中に溜まるか溜まらないかってっけっこう大事。
最初に相良さんが言っていた、型とか再現性でいうと、伝えづらいんだけど自分の中ではけっこう型化できてる感覚はあって。たぶん守屋さんの新規事業に近いと思うんですよ。守屋さんの新規事業のセミナーを聞いたから新規事業が作れるかっていうと、守屋さんは何一つ隠してないんですけど、それでもできないんですよ。なぜかっていうと、守屋さんの体験した中でのケイパビリティがあるんですよね。

相良:

体験の年輪はコピーできないですからね。検証力でいうと、意味のない手数をどれだけ打ち続けてもしょうがないので、とにかく目的・ゴールに直結した、そのときに考えられる最適な打ち手をいくつかオプションを持ってやってみて、期限に対してどれくらいで今進捗してるんだっていうのを俯瞰して見られてないと、撤退・その手を止めた方がいいかどうかっていうのも判断がつかないから、そこも接写と俯瞰の行き来が大事だなって思います。その感覚を持っていろんなことをやっていけると、それがストックしていくという感じなのかなと。

守屋:

スタート地点とゴールがあったら、最初にその中に何ヵ所か関所を作っておくことですよね。当たっても外れてもいいから。そういうのを作っておかないと、途中でも振り返れないじゃないですか。突っ走るだけ突っ走ってみて、なんかダメだったかもって話になっちゃって、振り返りもしにくいんでね、そういう意味では、未来予測を立てるっていうのはけっこう大事ですね。外れてもね。それを繰り返すと、めちゃくちゃ溜まる人になる。

どこまでも人に依存するケイパビリティ

福島:

守屋さんは(新規事業を)50個とかやってきた中で、どんな感じなんですか?始めの10個くらいからもう俺わかったっていうか、溜まった感じがあって、その後はもうその中でやっていくのか、やっぱり10と30くらいで溜まり方が違うっていうか、確変が起こるものなのか、そこまでやりきるとどんな世界観なんですか?

守屋:

いや、全然溜まってなくて大変!

福島:

新規事業は型がたくさんありますからね。

守屋:

ぶっちゃけ、うまくいった事業が何でうまくいったのかっていうのはよくわからなくて。言えるとしたら、めちゃくちゃ一生懸命がんばったら勝てたんですっていうのが正直なところ。何で失敗したのかっていう方がまだわかりやすい。なんとなくヤバいかなって思ってたら、あーまたやっちまったわーみたいなところがあって。だから失敗の方がなんとなく身についてる気がする。成功するのは、本当にまだわからなくて、とにかくすっげーがんばると時々どうにかなる。そんな感じです。

福島:

たしかに、何が溜まってますかって言われると、成功の経験じゃなくて、このフェーズでやっちゃいけないこととか、死ぬほどこだわらなきゃいけないこととか、そういうことが増えてく感じはありますね。

守屋:

プロフェッショナルって、ある特定の狭い領域において、想像し得るあらかたの失敗をひとしきりやったヤツだと思うんですよ。パッカーンと当てましたっていうのは、まぐれや運もありますけどね。ただ運はすごく大きくて、手数打ってるから運をつかんだって話でもあるし、ボーっと待ってれば運が来るって話じゃないですから。そこいくと、その領域でとにかく手を打ち尽くしてあらかたの失敗をして、何が起きてもなんとなく既視感があるみたいな、そういう領域になってくると、その領域でプロになってくる気がするんですよね。

守屋 実
福島:

見た景色が増えてくるって感じですよね。

守屋:

初見なんだけど、なんとなく想像つくんですよね。

相良:

やってないとわからないですよね。やってないと、失敗も積み上がらないっていう。

福島:

ラクスルで学んで、私の中で新しかったことのお話をしてみたいんですけど。ラクスルって、ラクスル事業があってハコベル事業があってノバセル事業があって、しかもフェーズが、ラクスルはもう100億超えてきた中でハコベルが立ち上がって、ハコベルが30億になってまたノバセルがゼロから立ち上がってっていう、いろんなフェーズの事業がある中で、もちろん自分たちの事業なので、そのフェーズごとの落とし穴とかこだわるべきことってちゃんと言語化されてるんですよね、こうしたらダメですよ、これラクスルで失敗したからハコベルでは気を付けてね、っていうのをめっちゃ伝えてるんですけど、びっくりしたのが、同じ間違いというか同じ落とし穴に落ちるんですよ。それを、こんなにめっちゃ伝えてるのに何でだろうって思ってたんですけど、これがまさに、体験した人じゃないと持っていけないんですよね。ラクスルでうまくいったことでいうと、田部さんみたいなラクスルでど真ん中をやった人がノバセルをやってると、実際に体験してるんで、もう完全にその落とし穴を避けていきなりハイパーグロースをいきなりしていくとか、今ラクスル事業からハコベル事業にローテーションで異動した人がいるんですけど、やっぱり体験した人はわかってるんで、その人も確実に落とし穴を避けていくんですよね。
再現性があるんだけど、どこまでも人に依存していくスキルというかケイパビリティだなと思ってて。そういう意味では、プロフェッショナルとして領域を決めた上で極められる、プロフェッショナルになり得る領域。経験の塊でしかキャッチアップできないんで、年齢じゃなくてそこの(領域の)年輪。何回経験したかっていう、その数で蓄積できるっていう、そこがこのキャリアのおもしろいところかなって。

相良:

早く経験していれば、その分その年輪が積み重なっていくんですよね。ラクスルさんも新卒でビズデブ採られてましたけど、そういう考え方があるんですかね?

福島:

新卒の一期生が5年目を迎えて、つまり彼らは事業家を5年やってるんですね。そうするともう、勝てないですよね。グロースの年輪が5年積み重なってるんで。それくらい固いケイパビリティなんじゃないかと思いますし、年齢関係なくその領域を極められるものなんじゃないかなと個人的には思いますね。

「ヨーイドン」の線上に並べ

相良:

今日(視聴者に)学生や新卒の方がどれくらいいるかはわからないんですけど、若い時にどこに自分の有限の時間を使うか・投下するかってすごく大事だなと思ってて。今のそのラクスルにおける新卒のビズデブの方々の話にも通ずるんですけど、僕が個人的に大事だと思ってるのが、ヨーイドンができるかどうか。要は年齢で、例えば守屋さんは51歳で、圧倒的にもうこの時間差が埋まらないものと、そうではなくて、いくら守屋さんといえど僕もヨーイドンができるところとあるじゃないですか。その前提の積み上げが必要なものとそうでないもの。という意味でいうと、スタートアップは領域自体が基本的には新しいこと・これまで世の中になかったことをやっていくというところでは、そのヨーイドンができる素養があると思います。僕も前職は新しいプロダクトの営業で、営業っていう職種で切り取ると自分よりもできる人はいっぱいいるんだけど、じゃあその新しい領域・成長してる領域のプロダクトを売る能力があるかっていうと、たぶんそのスキルに関してはヨーイドンができると思ってそこに早く入っていって、よりキャッチアップが早かったっていうのは実感としてあります。キャリア形成の視点でそういう考え方をするのも個人的にはおもしろいんじゃないかなと思いますね。

福島:

COOキャリアとかビズデブキャリアのおもしろいところって、キャリアパス自体の開発みたいなところもあるんですよね。ヨーイドンであんまり人がいないんで、自分たちが第一人者になっていける可能性がある。グローバルだといっぱいいると思うんですけど、日本で本当にグロースを経験したCxOとかビズデブってそんなに多くないんで、第一人者になりやすい競争環境かなと思ってて。もう一個は、新しいって言ったときに、例えばエンジニアの言語とかも新しい言語になったら若い人たちがヨーイドンできるんでいいですよねっていう論理はあるんですけど、それって自分たちのキャリアの永続性がないって言ってることにもなりますし、40歳くらいになってくると、もうそういう領域ってあんまり魅力的じゃないっていうか、永遠にその時の20代にとっていい領域みたいになっていくかなって。人間って年を取っていくので、30代や40代になってもちゃんと第一人者でその後の参入障壁を築けるっていうか、突き放せるっていう。これは事業もキャリアも同じだと思うんですけど、追いかけられないっていうキャリアって大事だと思ってます。ビズデブとかって体験価値を積んでいくと永遠に確度が上がっていく世界なんで、一回ループに入り出すと、もう新規事業のことで守屋さんに勝つのってほぼ不可能になるっていう、そういうのがおもしろさかなと。一方で、難しさは、やってることがわかりづらいんで、転職するときにいちいち説明が困るっていう。「何やってたんですか?」「いろいろです」みたいな。「入って即戦力ですか?」「いやーなんか6ヵ月くらい事業見ないとわかんないっすね!」ってわけわかんないこと言い出すっていう。

相良:

「まずは潜らせてください!」ですよね。

守屋:

採りづら・・

福島:

採りづらいけど、参入障壁は築きやすいキャリアかなとは思ってて。そういうキャリアを目指す人にとってはおもしろいんじゃないかなと思いますね。

守屋:

一晩でそんな風にはならないんだっていうことをちゃんとわかった上でキャリアのロールモデルにしておかないとね。テクニカルなことだけ聞いて福島さんに追いつくと思ったら、毛頭間違ってるんで。そこを最初に履き違っちゃうと、その人自身のせっかくの可能性を摘んじゃったりするからね。その前提を正しく理解した上で目指してほしいですね。

相良:

盗めるところってどこかっていうと、例えば今の守屋さんや福島さんの状態をパクるのは無理で、でも今の守屋さんや福島さんを形作ったその背景の思考回路とか日々の習慣とかって、コピーできるというかマネできますよね。×(カケル)その年数・場数っていうのをやっていくと、その数と速度次第では追いつけ追いこせが十分可能っていうってことは言えるかなと思ってて。なので、若くてアグレッシブでハングリーな人たちは今この瞬間にも増え続けているんで、僕らもうかうかしていられないなぁと思います。

守屋:

このCOO Nightでバンバンバンバンそういうのをさらけ出していくから、ガンガン吸収してドンドン成長性してもらって、我が国ハッピーみたいになっていくといいですね。

相良:

それが厚みになっていきますね。目指したいところですね。

死ぬほどのコミットメントについて話そう

相良:

そろそろ時間なんですけど、来ている質問からいくつかお伺いしたいなと。
さっき、事業フェーズによって役割が変わっていくっていうお話があったと思うんですけど、その、役割を変えますとかっていう意志決定って、ボードミーティングとかでされると思うんですけど、そのときどうやってやってますか?どういう情報や見立てを元に、どういう会話をして意思決定していますか?今これやってるけど次これやるみたいな。役割の変化点をまさにどうやって生んでいるかっていうところに関して、いかがでしょうか?

福島:

ラクスルだと四半期に一回経営合宿をやってるんで、その時にファウンダーから「今のこの延長に俺が目指す世界はない」とかっていきなりの課題設定が来るパターンと。あとは事業上、なんかどうも継続率が悪くてこの先に成長の二次曲線がなさそうだ、みたいな事業側の課題設定で変わるパターンもあります。トップダウンとか事業アップとかいろいろあると思いますけど、基本的には四半期の時に時間軸を変えて未来からの逆算で議論しようとしてます。その時に、これヤバいんじゃないかとかフェーズ変えなきゃいけないんじゃないかっていう議論になって、そこからはバッと役割を切り替えてフェーズ変えていくっていう。直近でいうと、今年の8月ぐらいにそういう話があって、ガバナンスの体制とかもバーンと変えてるんですけど。そういう風に四半期の経営合宿でやるって感じですかね。

守屋:

僕の場合でいうと、もうちょっとフェーズが前の段階なので、そこまで計画性を持っていけないんですよ。まず、今考えると、なんかこれを試さないとどうにもならねーという3つくらいの塊があって。じゃあこれを一山越えたらまた仕切り直しするかみたいな話なんで、その山が長かったりすると長かった分だけ先になって、その山が短かったりすると足元ですぐ、みたいな感じですかね。会社が月次や年次の計画になってるってよりは、プロジェクトが転がってるだけ。初期であればそんな感じですかね。それがたぶん徐々に変わっていくっていう話だと思う。

福島:

期間が決まっていて変わります、みたいなことは基本的にはないですね。課題が下りてくるか、目指すものが変わるか、山を越えるかとか、比較的事業の状態で起きてくるものかなと思いますけどね。

相良:

ありがとうございます。では次の質問に行きますね。
先ほど、未来の解像度を上げることが重要だというお話がありました。スパンにしてもそうだし、状態にしてもそうだし(重要だ)という。その解像度を上げることは最初は難しい、でも経験によって変わるというのがさっきのお話でしたけど、経験以外の習慣や意識付けでその解像度を高めることに繋がることはありますか?

福島:

二つあって、一つは、自分が強いところとか見えてるところだけじゃなくて、全体の視点を持つっていうのはあります。例えば、事業が強かったらマーケティングが一年後にやってることとかはわかるじゃないですか。でもちゃんと視点として、事業・組織・財務・オペレーションとか、押さえるべきドライバーの視点ってあるんで、全部の視点でちゃんと自分が解像度を持ててるか・全体像見えてるかという、視点のチェックみたいなことはやってます。もう一つは、他の視点も持つってことです。自分の事業だけだと一回じゃないですか。だから、隣の事業もどうなってるか見るとか、他社でも勝手に、この会社は一年後めっちゃ伸びるんじゃないかとか言い切ってみるんですよね。「この会社、俺は伸びないと思う、なぜなら~」って一回言ってみる。いろんな事業なり会社の未来に対してスタンスを取り続けてみる感じで。そう言うとみんな覚えてて(外れると)福島さんが言ってたこと全然違うじゃないですかって言われるんですけど、自動的に検証が走るんですよね。何で俺あそこでああ言い切ったんだろう・違ったんだろうって。合ったものは合ってよかったねって話なんで。
なので、視点を持つって話と、自分の経験だけじゃなくて、隣でやってる人 -例えばスタートアップのいろんな人たち- がやってることを聞いたら、この会社はどうなるだろうっていうのを勝手に一回予想を立ててみる、それをやり続けるっていう話があって。ICCとかいろんなイベントで経営者の方が言うことあるじゃないですか。それを全部一回覚えてて、自分の中でそれは違うと思うか、そうなると思うか、もっとどうにかなると思うか、みたいなスタンスを取っておいて、半年後や1年後にまた同じ人の話を聞いてみて、この人違うこと言ってるなとか、本当にそうなったなとか検証する。そういう風に見ていると、予言性のある人・確実に当ててる人たちっているんですよ。そうなったら、そういう人たちの話だけしっかり聴きます。予言性のある人のことはめちゃくちゃ聞くし、すごく参考にしてます。一方で、話がころころ変わる人たちについてですが、私が一個見極めてるのは、さっきの再現性の話じゃないですけど、プロフェッショナルなのかプロフェッショナルじゃないのか。成功してるかしてないかじゃなくて、再現性のある人かない人かを見極めて、圧倒的にそれがある人の話だけをひたすら聞きます。それを習慣化してるって感じですね。成功してる人の話って美しいじゃないですか。だけど、例えばラクスルの美しいストーリーってあるけど、それと、私が知ってるストーリーには少なからずギャップがあるんで。たぶん他の会社にもあると思うんですよね。そうなると、成功だけ聞いてても何にもならないんで、必ず本当のストーリーというか再現性のあるストーリーだけを聞くということですかね。

相良:

大事ですね、視点を持つということと、仮想的な経験を複数持つということですね。自社だけじゃなくて、自分の関係の範囲だけじゃなくて、他社ではこう言ってるけどどうなる?この人の言ってることどうなる?っていうのをシミュレーションしてみて仮説を立てて、実際にその時間軸が追いついたら答え合わせをしてみて検証して・・ってことを日々積み重ねるという。

福島:

それができてる人の言うことはすごいちゃんと聞くっていう。例えば守屋さんの言うことはすごく聞いてます。この方は再現性がある方だなって本当に思ってるんですよ。

守屋:

メンターを持つって大事だよね。距離は遠いんだけど勝手にメンターって思ってるっていうのも悪くないんだけど、できればやっぱり定期的に常に連絡取れる関係になってて、自分のことを点じゃなくて線で定期的に見ててもらえるくらいの関係の人ができるといいんだけどね。そういうことができると、やっぱりすごく学びは早いと思うんですよね。時間軸で見てもらえるとね。

相良:

(福島さんの)事業家マフィア・事業家コミュニティの参加条件があれば伺いたいです、という質問も来ています。

福島:

ないです。ないですけど、タイトルとしての事業家とかになりたいわけじゃなくて、本当に事業価値を作るってことに死ぬほどコミットするっていう、ただそれだけですかね。そういう人であれば誰でもウェルカムだし、さっきの話で言うと、そういう想いを持って話を聞いてくれる人って、メンターしているようで、こっちも自分の答え合わせができるんですよ。自分が言ったことをやってくれるんですよね。で、失敗したって言われたら、もっと考えなきゃ!もっと聞かせて!ってなるんです。それ自体は私からすると私のインプットなので、その時間をムダだと思ったことは一度もないですね。なので、そういう人のための時間っていくらでも使うし、自分の中でも再現性というか経験になるので、惜しいと思ったことは一回もないですね。むしろワンショットだけ時間取られてワーッと話したけど、その後どうなったかもよくわかんないし成功してるかもわかんないしってなると、実際はほとんどやってないことが多いんですよね。そういうメンタリティというか、そういう人は事業家とか、こういう職種に向いてないと思う。そこは情熱とコミットだけ持ってきていただければいいかなと思います。

守屋:

答えを人に求めちゃう人って、けっこう苦しいよね。やっぱり自分で答えを出そうとする人の方が全然いいと思うんだよね。自分で答えを出そうとする時に師匠がいるって話はいいと思うんだけど、ちょっとサクッと教えてもらえません?みたいな人が来ると、自分で苦しめ!みたいになるね。

福島:

実行の経験を持っている、で苦労したことがある、ってことじゃないですかね。実行したことがないとか、その辺を試したことがない人には、たぶん言っても何も響かないよね。自分が変えようとした経験でうまくいかなかったことを持って入ってきてほしいし相談してほしいっていうことかな。

守屋:

サクッと答えがほしいみたいにされたときって、けっこう聞かれたこっちも打撃受けるんだよね。一生懸命答えて一生懸命やってくれてて、これをキャッチボールできると、いくらでもやりたいし疲れないし、こっちも得るものが大きいんだけど、効率的に正解だけほしいんですけどみたいなのが透けて見えると極端にこっちは疲れるから、そういうコミュニケーションじゃないとうれしい。

相良:

このCOO Nightにも本当にまたお越しいただきたいと思ってるんですけど、この場自体もやっぱりアウトプットがインプットに繋がったりとか、その逆も然りっていう循環がうまく回っていくような場になるととてもいいなぁと思っているので、発起人としてはそういう場づくりを意識しながらやっていきたいなと思います。間口は広いですが、本当に、意志とやる気と、実行実践に対するコミットメントを持っている人、ウェルカムです!ということで。
福島さんみたいなスタートアップのCOOを目指したい!みたいな人はいっぱいいると思うんですけど、守屋さんを目指したいという人もぜひご参加ください。新規事業の再現性と言えば守屋さん、という感じで、僕は僕で投資家として、いろんな会社をパラレルで見ながら新規事業をやられている守屋さんを師として仰いでます。少ないかもしれないですけど、そういうキャリアについても、我こそはという方はぜひ。

福島:

いろんなタイプがいますよ。例えば、お会いしたことないですけど、SmartHRの倉橋さん(SmartHR 取締役COO・倉橋 隆文氏)って、外から見る限りですけど、あの会社ってCOOがすごく素敵なんだろうなって、事業を見てて思うんですよね。とか、COOってタイトルじゃないんですけど、ビズリーチの多田さん(株式会社ビズリーチ 代表取締役社長・多田 洋祐氏)って、私が本当に心から尊敬するCOO的な動きをできる人だったりするんです。おそらくは自分の組織にもそういうことをやってる人とかそういう動きをしてる人って絶対いるんじゃないかなと思うんで、そこは、いろんなパターンを見るっていう話と、自分の組織のCOO的な人を見つけて、そういう人をちゃんと追いかけて学びを得るってことも大事かなと思います。

守屋:

実際に周りにもいますもんね。例えば、シタテルの鶴さん(シタテル株式会社 取締役COO・鶴 征二氏)とか。すごくいいですよね。

福島:

大体伸びてる事業にはそういう人いると思いますね。

相良:

でもメディアを見ると、そういう人の悪戦苦闘の情報ってあんまりないじゃないですか。そういうのをこの場でシェアしていきたいですね。それこそがリアルなので。

守屋:

そうですね、福島さんがいきなり福島さんじゃなかったっていう話とかを今日もちゃんとしてくれてるし。

相良:

連載というかシリーズ化していいコミュニティにしていきたいと思います。お二人とも引き続きよろしくお願いいたします!

番外編:「報酬の四段階」

福島:

さっきの、コミュニティの参加条件でいうと、永遠に学び続けることを楽しめる人かなって。守屋さんは今もラクスルのオールハンズに出てくださってるんですけど、守屋さんなんてもはやメモなんて取る必要ないはずなのに、メモ取ってるんですよ。で、私たちが適当なこと言うと、手が止まるんですよ。めっちゃ怖い。
そういう学び続けることって、能力の問題じゃないですよね。

守屋:

自分にとっての報酬を何だと思ってるかの差があると思ってて。報酬=金だと思ってると、なかなかこういう働き方できないと思うんですよ。報酬は何なのか、考えてみてほしい。

福島:

金銭報酬でいえば、前職のBCGのパートナーだった方がよかった。それで人生を終えるキャリアもあったけど、35歳で転職しました。まったくそういうものってどうでもよかったんですよね。まさに、自分がおもしろいと思うこととか、経験としてやってみたいと思うこととかやるべきことをひたすらやるっていうのを選んだ。

守屋:

僕は報酬が四段階目にあると思ってます。最初の報酬って、きれいごとじゃなくて、最初は仕事が報酬なんです。仕事の報酬はさらなる仕事の報酬になる。量稽古をぐるぐるぐるぐるやる。自分が何が強いのかわからないから、とにかくいったんやるっていう。それから、自分の強みを発揮するっていうのが次の報酬。最初は闇雲に、上司があっちもやれこっちもやれって言ったら「はい」って言ってやるっていう。でもそのうちに、こいつはこの辺が強いんじゃないかっていう他者認知が出てきて、自己認知するようになると、強みのところをやれるようになる。これが第二段階。第三段階は、この強みを活かして、その生態系みたいなものが作れるようになる。自分の力だけじゃなくて、自分のネットワークの生態系の力みたいなものになってくる。これが第三段階の報酬。第四段階はその生態系が活きてくると自由を持てるようになる。俺はこれがやりたい!って、自分の中でいろんな自由が出てくる。その第四段階までいくと、経済的にももう、働かねば生きていけぬってところから解放されてるからひっかかることおなくて、純粋無垢にこれをやりたい!ってことに従える。そういう四段階くらい報酬ってあるなって思ってて。

福島:

私はそれでいうと、二段階目から三段階目までのシフトをがんばってる最中かな。プラットフォームとかグロースのフェーズとかが得意っぽいと思ってて、それをもっと社外も含めて生態系化したい、でもまだできてない。生態系ができてくると、一番おもしろいところにいけると思ってます。

守屋:

うん、こんな風に報酬っていうものを考えられてる人とそうじゃない人の差ってデカい。何で俺がこんなことしなきゃいけないの!みたいだと、COOみたいな仕事を買って出ることは絶対できない。損得勘定になっちゃうからね。

相良:

一方で、金銭報酬についても、まぁこんなもんなのかみたいなことを一周して知るっていうのは大事なのかなって思います。僕は新卒で入った会社が珍しくストックオプションをくれて、かつ営業で、シリコンバレーに本社があったんで、向こうで採用してると報酬体系も向こうに合わせるから営業も売ったら売った分だけ基本的には報酬もらえますって感じで。自己欲求を満たす消費っていうのは一定やり切ったかなって。そこのタンクはいっぱいになって、次のタンクに移った感覚があるんで、その前のタンクが満たされなかったらもうちょっと枯渇した状態が続いてたかもなっていうのは少し感じます。

福島:

年収が高い人の中には、お金がほしいわけじゃなくて、年収っていうもので自分の価値を測ってる人たちも一定いる。お金を使いたいわけじゃなくて、価値とかステータスを年収ってモノサシで測ってる。

相良:

価値尺度が他人にあるってことですね。

福島:

評価って、後から言われたりするけど、その時はついてこないですよね。だから、自分で自分を満足させられることを選んで、する。

守屋:

四段階の話、けっこう合ってる気しません?カネカネ~だったビジネスマンがそうやって成長していくっていう。

福島:

すごいです。生態系とかって、軽く言うとネットワークとかリレーションとかって言葉なんですけど、一個の新規事業をつくるとか、そういうことに共感する人の集まりとか、プラットフォーム事業を本当につくりたい人たちの集まりとか、意味のある塊。かつ自分にも価値がないと、そのネットワークって活きないですよね。でも、そのニュアンスって伝えづらいなって思います。リレーションっていうと、FacebookとかTwitterのフォロワー数みたいな世界になりがちじゃないですか。価値のネットワーク、みたいなのは難しいなって思いますね。

守屋:

生態系の中で、その生態系がより有意義なものであるためには、自分自身の解像度が高いっていうのも大事だと思う。自分自身の解像度が高いと周りの人も解像度高くなりますよね。自分がピンボケだと、周りの人もよくわからないからピンボケの付き合いになっちゃう。自分自身の解像度が低いと、量だけを自慢することにもなっちゃう。そこに質が伴っていないと意味ない。

福島:

COOを目指したい!っていう人と話してて思うのは、モラトリアムなんですよ。決めきれないっていう。どの会社に行っても活躍できるとか、そういう話になっちゃうんですけど、プロフェッショナルネットワークとかって何かを逆に絞らないといけないんで。守屋さんて、やらない会社とやらないフェーズがあるんですよ。私もたぶんそうで、C向けのビジネスとか絶対やらない。絶対向いてないから。そういう、選ぶというか切り捨てる力っていうのはあると思ってて。自分の勝てない領域ってあるよねって。それを認識するのもプロフェッショナルですね。

相良:

配信が終わってからもしゃべっちゃいましたね。今日は本当にありがとうございました!今後とも、よろしくお願いいたします!

イベントレポートは以上です。ご視聴・ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました!

次回のCOO Nightは、2021年3月頃の配信を予定しています。イベントの情報を知りたい方は、相良吉田をはじめとしたジェネシア・ベンチャーズのメンバーのTwitterかFacebookをフォローしていただくか、ページ最下部のメーリングリストにご登録ください。次回もお楽しみに!

※こちらは、2020/12/2時点の情報です
(デザイン:割石 裕太さん、写真:尾上 恭大さん、聞き手/まとめ:ジェネシア・ベンチャーズ 吉田 愛)

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