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青山から渋谷へ スタートアップの成長軌道の出発地点となる場を目指して

PLAYERS

私たちジェネシア・ベンチャーズは2016年の創業以来、表参道と外苑前の間の青山通り沿いにオフィスを構えていましたが、ビルの取り壊しに伴い、このたび渋谷・道玄坂にオフィスを移転・営業を開始しました。

長らく運営してきた北青山のシェアオフィス『Guild Aoyama(ギルド アオヤマ)』の思想を継承・アップデートして、新オフィス『Orbit Shibuya(オービット シブヤ)』も引き続き、創業初期の投資先スタートアップ向けのシェアオフィスおよびステークホルダーの共創の場として運営してまいります。

プレスリリースはこちら:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000056091.html

さて、今回のプロジェクトは、オフィス移転が決まった約一年前に「シード期のスタートアップがオフィスに本当に求めていることは何か?」を考えるところからスタートしました。また、ごくごく一般的な機能や流行りだけを取り入れるのではなく、“ジェネシア・ベンチャーズらしさ”を反映したオフィスにしたいということも、設計やデザインを考える上での大きな軸に据えました。

「軌道」という意味の『Orbit(オービット)』と名付けた、ジェネシア・ベンチャーズの新オフィス。そこに込めた思想やこだわりについて、プロジェクトオーナーを務めたInvestment Managerの一戸に聴きました。

いや、今回は社内でのカジュアルなおしゃべり・・聞き手は、Relationship Managerの吉田 愛です。

  • デザイン:割石 裕太さん
  • 写真:尾上 恭大さん、CANUCH Inc.

新しいオフィスは、やっぱりテンションが上がる!

アイ:

一戸さん、オフィス移転プロジェクトのオーナーお疲れさまでした!
ジェネシア・ベンチャーズのコーポレートカラーである青をベースに、ロゴデザインにもリンクした、点と点(星と星)を繋ぐ軌道のデザインが目を引くオフィスになったね!一方で、目に見えるデザインはもちろん、コンセプトやオフィスルールにもいろいろとこだわっていると思うので、私自身まっさらな気持ちで、詳しく聞かせてください。しかし、新しいオフィス・・やっぱりいいね!うきうきします!

一戸:

僕自身はオフィスを使っている立場というより、プロジェクトオーナーとして“使ってもらっている”立場もあるなぁと感じています。

アイ:

冷静だ・・

一戸:

一年以上かけて作ってきたプロダクトをローンチしたということですからね。それに、実際にオフィスでの稼働を始めてみると、早くも理想と現実のギャップとかもあって・・オンボーディングがまだまだ足りないなと思いつつ、当然“作って終わり”ではなく、長くみんなで育てていけるオフィスになればと思っています。

アイ:

もちろん!そうしていきましょう!

エントランス

ぶっちゃけ、キャピタリストがオフィス移転プロジェクトをリードするというジェネシア・ベンチャーズの企業カルチャーとは!?

アイ:

最初に聞いておきたいんですが、正直なところ、ちょっとびっくりしてたんです。めぐみさんや私といったバックオフィスやバリューアップ・コミュニケーション担当もずっと関わってきたとはいえ、キャピタリスト(投資担当)である一戸さんがずっとオーナーとしてプロジェクトを主導してきましたよね。一戸さんは移転プロジェクトのオーナーという役割をどう捉えていますか/いましたか?

一戸:

僕も最初は自分がやるとは思ってなかったんですけど、気づいたらそうなってました(笑) でも、2023年はValues策定プロジェクトのメンバーとしても動いて、僕にとっても“ジェネシア・ベンチャーズらしさ”を再考する機会になったこともあり、それを「オフィス」という全身で体感できるUI/UXで表現できるのはおもしろそうだなと思って、やってみようと決断しました。もちろん本業務との掛け持ちはめちゃくちゃ大変でしたけど・・素晴らしいパートナーさんたちにも恵まれましたし、良いプロジェクト・良い経験になったなと思います。投資先スタートアップがオフィスを移転するときには何らかのお役に立てるはずです。
それに、ジェネシア・ベンチャーズでは、僕たち投資担当やアイさんたちバリューアップ担当、そしてファンド管理担当といった役割の違うチームが横断的に協力して推進するプロジェクトがいくつかありますよね。そういう「チームでやろう」という姿勢は、僕たちらしさの最たるところかなと思います。全員がリーダーであり、全員がサポーターでもある。僕自身、常々何事にもリーダーシップを持って取り組もうと思っているので、今回もそういったプロジェクトの一つだと理解して臨みました。全力でサポートしてくれたみなさんにも感謝しています。

アイ:

チームを代表して、どういたしまして!こちらこそありがとう!

CIとオフィス設計との連動・接続をどう考えた?

アイ:

私たちには、ジェネシア・ベンチャーズとしてのCI(Corporate Identity≒MVV)が組織・チームの核であり、いろいろな意思決定やアウトプットは全てそれに紐づくものだという共通認識があると思っています。その上で、今回の「オフィス」というアウトプットとCIをどのように行き来・接続しましたか?前のお話で出てきた「リーダーシップ」というキーワードにも実はピンと来たところがありますが・・!

一戸:

まさに、オフィスといえば日頃の業務やコミュニケーションを行う場所なので、直近で再策定したばかりのValues(≒行動指針)をみんなが自然と体現できるようなUXを目指しました。
※新しいValuesに関しては策定のプロセス等も含めて改めて詳しくお伝えできればと思います

ラウンジスペース
一戸:

例えば、Valuesの一つの「Achieving Shared Leadership」。僕自身がリーダーシップを持ってこのプロジェクトにあたったというのもそうですが、チーム全員にリーダーシップを持ってもらいたくて、みんなで植栽をしたりみんなの性善説に任せたオフィスルールにしたりしたことなどにもその意志を込めました。社長室や特別なチェアなども用意せず、みんながフラットに場をシェアできることを目指しました。ただ、このあたりは特に意識したというより、これまでもずっとそうだったので、自然とそうなったかたちかなと思います。
ちなみに、僕たちと入居企業(投資先スタートアップ)でチェアのクオリティを統一したというのも、小さな、でもお金をかけたこだわりポイントです。自分たちだけを特別扱いしない。手前味噌ですが、これもまたValuesの一である「Longer Relationship, Better Partners」に基づいた意思決定じゃないかなと思っています。
あとは、ジェネシア・ベンチャーズと言えば「アジア」。日本、インドネシア、ベトナム、そして昨年開設したインドと、アジア各地に拠点を構えて投資活動を行っているところが大きな特徴の一つです。そこを意識して、植栽には東南アジアやインド原産の植物を選んだりもしました。

アイ:

植物の原産地や特性を聞きながら、海外チームのメンバーを思い浮かべての植栽イベント、楽しかったです!

みんなで育てます🌱

コンセプトを一言、あるいはいくつかのキーワードで言うと?

アイ:

CIやValuesもそのままコンセプトだと言えるかもしれないですけど、オフィスプロジェクトそのもののコンセプトとしては何かを掲げていましたか?

一戸:

オフィスって「落ち着く場所」「心地よい場所」をイメージすることも多いんじゃないかと思うんです。でも、この『Orbit Shibuya』に掲げたコンセプトは、ずばり「切磋琢磨」、さらに言えば「焦燥感」です。

アイ:

急き立てられるようなキーワードですけど、投資先スタートアップ向けのシェアオフィスとして運営するのが大前提だったこともあり、私たちとスタートアップ、スタートアップとスタートアップ、といった入居者同士の相互作用や化学反応を期待しているってことですね。

一戸:

僕たちが投資・支援するシードステージのスタートアップ何社かにヒアリングしたところ、彼ら彼女らがオフィスに求めるものは「焦る気持ちを持つことができる(=切磋琢磨できる環境がある)こと」でした。この点は僕もかなり意外だったんですけど、これは隠れた真実かもしれないなと。例えば、隣のチームは毎日ホワイトボードに描かれる内容が進化している、でもうちはずっと真っ白のまま。例えば、隣のチームは出入りするメンバーがどんどん増えている、でもうちは長らく採用が進んでいない。そんな、同じくらいのフェーズのチーム同士の「チラ見」がお互いのエンジンになるようにと、そんな思いを込めています。あえて個室を設けずに、壁や仕切りを最小限にしたのもそのためです。

大きな窓から入る光がきれい
一戸:

「切磋琢磨」というコンセプトに決めてから、シェアオフィスの要件を4つ考えました。

①一社あたり6人を上限とすること
②入居期間を1年以内とすること
③周りを気にせずに会話できる個室を設けること
④リモートワーク制限(出社制限の逆)を設けること

切磋琢磨する上では、オフィス全体の新陳代謝を良くする必要がありますよね。新しい会社が次々に入居して、そして事業を成長させて卒業していく。その状態を実現するためには、明確な期限が必要だと考えました。それが①と②です。また、シード期のスタートアップはまだPMF(Product Market Fit)前なので、事業の方向性が変わることも多々あります。そんなときにはチーム内で腹を割って話し合うことが必要。それができる個室の会議室も設けました。リモートワークやオンライン会議が主流な中では、十分な数だと思います。それが③です。さらに、特に経営チームに関しては、他の入居企業の存在をよりリアルに体感してもらうために可能な限り出社してほしいと思っています。それが④です。いずれも、入居企業にいち早く成長軌道に乗ってもらうために、オフィスという側面から支援できることを考えてのものです。
あとは、シェアオフィス全体に対しても「フラットさ」は意識しました。このあたりは実際にオフィス見てもらった上でお伝えしたいですね。

アイ:

焦らしますね!でもたしかに、ぜひ現地に来てみてほしいですね!

「チラ見」・・?

空間デザインを委ね切れるパートナーさんをどう選んだ?

アイ:

今回のプロジェクトは、パートナーの皆さんとの連携もばっちりでしたよね!どんな出会いがあり、どんな経緯で「あの三人」を選びましたか?

一戸:

最初は何のとっかかりもない状態でオフィスのデザインや設計を手掛けている業者さんを探していました。そこにまさに愛さんからのアシストがあり、ジェネシア・ベンチャーズのクリエイティブ全般を担当してくださっているわりえもんさんに相談することにしました。そのわりえもんさんからご紹介いただいたのが、空間デザインを手掛けるCANUCH(カヌチ)さんでした。ご提案自体はもう一社からもいただいたのですが、より僕たちのCIを表現してくれたのがCANUCHさんだと感じて、プロジェクトに入っていただくことにしました。また、わりえもんさんにもビジュアルデザイン担当として入っていただいて、しっかりとジェネシア・ベンチャーズを表現するオフィスができたかなと思っています。

アイ:

大正解&大成功でしたね!

一戸:

そうですね。CANUCHさんは、野口さんと木下さんの仕事が本当に丁寧かつ迅速で、様々な場面で助けていただきました。また、僕たちが考えていることやまだ言語化できていないことについても汲み取って、実際のモノとして表現いただき、ハイコンテクストなコミュニケーションが何度も求められる中で、とてもスムーズに仕事を進めることができました。おそらくはお二人が普段から自分たちの強い哲学を持って仕事に取り組んでいるからこそ、僕たちが持つ哲学にも寄り添っていただけて、そしてこのような素敵なオフィスが完成したんだと思います。こういった素敵なご縁はオフィス移転プロジェクトの最高の副産物ですね。お二人には本当に感謝しています。
そしてやっぱり、ジェネシア・ベンチャーズのクリエイティブ全般をずっと手掛けているわりえもんさんが関わってくれていた安心感はとても大きかったです。例えば、色みや模様をどちらにするか決めるときなどにわりえもんさんと意見がずれることはほとんどなくて、それはおそらくわりえもんさんが昔からジェネシアのCIを理解してくれているからだと思いました。また、わりえもんさんはなぜその色みや模様を選ぶのか?というのを的確に言語化してくれるので、僕が最後まで自分の中での選択に納得しきれないときには本当に助けていただきました。そういった一つ一つの小さな選択にもこだわりを持てたのは、間違いなくわりえもんさんのお陰だと思います。わりえもんさんにも本当に感謝しています。

右奥から時計回りに、CANUCH木下さん、CANUCH野口さん、わりえもんさん

デザイン領域において完全に無力な私たち・・!それでもこだわり抜いたのは!?

アイ:

CANUCHさんやわりえもんさんの力があってこそ、私たちらしさが具現化していったのだなぁと改めて感じます。デザインという点で、一戸さんが特にこだわったところはありますか?

一戸:

まずは何といっても、オフィスの名称です。わりえもんさんと僕たちでいくつか候補を出した上で、「軌道」という意味の「Orbit」を採用して、『Orbit Shibuya』にしました。スタートアップにいち早く成長“軌道”に乗ってほしいという思いを込めていたり、「Orbit」は「惑星や衛星の軌道」という意味なので、宇宙規模で事業をはじめとした色々な物事を考えていきたいという思いを込めていたりします。もともとジェネシア・ベンチャーズのロゴシンボルが点と点を結んだ正二十面体で、点と点(星と星)を結ぶ軌道というリンクしたイメージを持てたことも大きかったです。

アイ:

シンプルで発音しやすくて、とても良いですよね!私たちはもちろん、みなさんにも覚えていただきやすいとも思います。

一戸:

空間において特にこだわったのは、エントランスやシェアオフィスの壁、フォンブースのドアなどに軌道のデザインを取り入れたり、ラウンジスペースの壁面にアジアを中心とした地図をデザインしたり、ジェネシアの執務スペースにはアジアの植物が並べたりと、とにかくアジアや世界全体、ひいては宇宙を感じられるデザインをふんだんに取り入れたことです。ジェネシア・ベンチャーズのビジョンである「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンのもと、より広い視野で物事を考えたいという僕たちの意志が込められていると思っています。

アイ:

ちょっとこういう手作り感が出ちゃってる箇所もありますけどね・・

一戸:

いや、これはあえてちょっといまいちなデザインにして、誰も持って帰っちゃわないようにしてるんですよ。アイさん全然わかってないですね。

アイ:

知ってた。

※注:これは仮の姿です

使う人みんなで育てるオフィス。ずばり、これからの構想は!?

アイ:

まだ移転したばかりではありますけど、オフィスを使う人によって既にいろんな新しい視点がもたらされている感覚がありますよね。一戸さんも冒頭で理想と現実について触れていましたけど、これから『Orbit Shibuya』をどう育てていきましょう?

一戸:

まずは何よりも、入居する投資先スタートアップが事業を成長軌道に乗せるための環境を作り上げることが大事だと思います。そのためには、大前提として、常にオフィスを事業に全力投球できる快適な環境にし続ける必要がありますし(オフィスは綺麗に使いましょう!)、先輩起業家がふらっと遊びに来られる仕掛けなんかも用意したいです。

アイ:

そうですね、ヘルシーに「切磋琢磨」が実現される場づくりをみんなでしていきたいですね!また、使う人というのは入居者に限らないですよね。オフィスを訪れてくれるみなさんにとって、それぞれの何かが軌道に乗るような場になればいいなと思います。
一戸さん、本当にお疲れさまでした!吉田から今年のMVPを差し上げます!

一戸:

まだ一月です・・が、ありがとうございます!

アイ:

また、プロジェクトパートナーのCANUCHさん、わりえもんさん、そして私たちに関わってくださる全てのみなさんへ、この場を借りまして改めてお礼申し上げます!

一戸:

みなさん、ぜひ遊びに来てください!

移転したばかりの新オフィスで、オフィスアワーを開催中です!

さて、そんな私たちの新オフィスで、起業や事業アイデア・事業計画、資金調達などについて、直接ご相談いただけるオフィスアワー『Orbit Office Hour by Genesia.』を担当&テーマ別に四日間をかけて開催いたします!

関心のあるテーマや話してみたい担当者をお選びいただき、以下のフォームよりお申込みください。

▼お申込みフォーム:https://forms.gle/Zd3PZYo6UXg1MkbW7

  • 1/23(火) 13:00〜17:00 河野 優人( Fintech、Web3、マケプレ) 水谷 圭吾(エンタメ、U30) ※終了
  • 1/30(火) 13:00〜17:00 河合 将文(DeepTech、Climate) 黒崎 直樹(SaaS、エンタープライズIT)
  • 2/6(火) 14:00〜18:00 水谷 航己(はじめての資金調達、シード、ユニコーン) 曽我部 崇(若手、学生、DeepTech)
  • 2/13(火) 13:00〜17:00 一戸 将未(既存産業DX、DefenseTech) 祝 煜洲(Fintech、Mobility)

※お一人あたりの相談時間は最大1時間です。お申込み情報を踏まえ、ご参加いただく日時を連絡いたします。

もちろん、ちょこっとお立ち寄りいただくのも大歓迎です!お近くにお越しの際には、ぜひメンバーにご連絡ください。ご参加をお待ちしております!

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