講義Vol.2:ビジネスモデルを確立する
ジェネシア・ベンチャーズが主催する、プレシード・シード起業家 / スタートアップ向けの創業支援プログラム『Ignition Academy 2024』。
第二回目の講義のテーマは、「ビジネスモデルを確立する」。ジェネシア・ベンチャーズで約6年、20社強のスタートアップにまさに伴走支援を行っており、「シード投資先100社に学ぶシード期経営 虎の巻」の著者でもある、Investment Managerの水谷 航己が講師を務めました。
スタートアップのPMF(Product Market Fit)までの実際の事例を複数挙げ、Academyメンバーにも疑似体験してもらうことを経て、自社の事業がターゲットにしていくペルソナの解像度を高め、また、検証すべきKPIを特定していくためのグループワークショップを開催。Academyメンバーも「自分たちなら」というイメージを持つ機会になったのではないかと思います。
主な講義内容
顧客ニーズを本当に捉えているか
スタートアップが失敗する理由のNo.1 は、市場のニーズをとらえることができないこと。顧客のBurning Needsが存在しないところでプロダクトを創っていないかを常に意識することが重要
Burning Needsを特定するには顧客を深く知り解像度を上げていくこと。単なる属性情報にとどまらず、行動を観察し、アンケートやインタビューだけでは見えない課題欲求をインサイトとして抽出していくこと
まずはN=1から、たった一人の顧客に集中して、価値提供を考えていく。自分や家族、自社が、お金や時間を投じて利用するものであるかという視点から考える
事業仮説をどうやって検証するか
検証によって仮説をファクトに変えていくプロセスと、売上を伸ばすことの二つを、区別することが大事。検証を経ずに仮説の確らしさを持たぬまま、経営資源を売上成長に投下することは、大きな事業リスクを孕む
シード期のスタートアップ経営として、スケールさせる前に、スケールしていく蓋然性を高めていくために必要な仮説を検証していくこと。仮説検証に必要となる時間軸を見込んだ上で、投資家とマイルストーンを握り、兵站を確保することを意識する必要がある
仮説検証の設計に当たって留意したいポイント
検証サイクルの時間軸:初期の検証サイクルを回していく上では、機能選定含む開発から少なくとも半年から一年程度の期間が必要になるため、事業領域ごとの特性を踏まえながら、どの程度の時間軸で何を検証していくかについての見通しを立てる
複数オプションの検証:「選択と集中」ではなく、シード期は意図的な拡散も必要。仮説検証には時間がかかるし思い通りいかないことも多いため、Plan BやPlan Cを並行して検証することが重要。シリーズAで効果的に選択と集中を可能にする
仮設検証の後工程:仮説検証の結果を踏まえた意思決定、及び、意思決定後のチームのエグゼキューションの方がその後の事業成長に大きく影響する。顧客ニーズと事業仮説の検証プロセスの中で、早期からクリアに Yes or No、Go or No Go の二者択一の判断ができるケースはほぼないため、仮説思考を保持しながら、手数を多く繰り出して検証サイクルを回していく体制の構築こそ、シード・スタートアップにおける経営の重要事項
参加者からの声
- シード期に確認すべきKPIの具体事例が大変勉強になりました。KPIの妥当性は非常に納得感があったため、KPI設定に至った思考過程なども含めて多く共有いただけると幸いです。
- 世の中的にはNice to haveに思えるビジネスもたくさんあると思いますので、そういったNice to haveなビジネスアイデア、スタートアップはどうやってPMFし、スケーリングしていったのかということについて、解説が聞きたいです。
- PMFに至るまでに色々と試行錯誤する中での見切り時が一番難しい印象です、その判断のためにKPIの設定が重要なのだと思いつつもそこが肝だとした時の決断のマインドセットなどお聞きできればと思いました!
第二回目も熱量の高い講義になったのではないかと思います。お疲れさまでした! 「講義はもちろん他チームと一緒に行うワークショップや懇親会での情報交換がとても有意義だ」「(Academy)一期生とのつながりもほしい」といったコメントもいただき、より大きなAcademyの輪が出来上がっていくのではと、事務局一同もとても楽しみです。 心から信じ抜ける事業のPMFを一緒に目指していきましょう!次回の講義もお楽しみに!