講義Vol.3:PMFまでの道のり
ジェネシア・ベンチャーズが主催する、プレシード・シード起業家 / スタートアップ向けの創業支援プログラム『Ignition Academy 2024』。
第三回目の講義のテーマは、「PMFまでの道のり」(PMF:Product Market Fit)。講師には、株式会社Linc 代表取締役CEO 仲思遥氏、MyDearest株式会社 代表取締役CEO 岸上健人氏をお招きしました。
様々なハードシングスを乗り越え、PMFした事業を作るため実際にどのような意思決定を行ってきたのか、その経験から得られた教訓を赤裸々にお話しいただき、アカデミーメンバーにとっても刺激と学びの多い場になったのではないかと思います。
主な講義内容
創業初期に一番大変だった「組織」の話
“カルチャーフィットしていない”優秀人材は、組織崩壊の火種になるケースが多い
スキルセットではなく、ミッション / ビジョンドリブンの採用をするべき
カルチャーとは、自分たちにとって居心地が良い状態のことではなく、お客様の成果の最大化に繋がることが大切。お客様に対して全力でコミットするカルチャーは強い
シリーズA以降で創業メンバーが入れ替わるケースは少なくないが、辞めていく人ほど大切にするべき。退職者が応援者になるよう、誠意をもって送り出す
「本質的なPMF」とは
PMFしたと感じてもその状態が持続しないことがあるので、慎重に見極めることが必要。合わせて、時代の変化と周期性を見間違えないことが大切
事業コンディションには浮き沈みが存在するが、常に意識すべきは、目先の売上だけではなく、時代の変化を見据えた中長期で企業価値の向上に繋がるアセット構築への注力である
事業領域は同じでも、(特にBtoCは)時代や事業フェーズの変化に応じてペルソナが大きく変化することがある。ペルソナが変わると提供価値を見直す必要に迫られ、開発内容やチームメンバーを抜本的に変更する必要があるため、非常に難しい意思決定に直面する
創業初期はリソースが限られるため、その投下先を、意志をもって取捨選択する必要がある。隣の芝は青く見えるが、自分たちの芝をしっかりと評価し、自分たちの強みを最大限生かせる領域で戦うこと
大企業とのパートナーシップについて
大企業とのパートナーシップの締結にあたっては、意思決定までの時間軸や上位レイヤーのコミットメントがどれくらい高いかなど、大企業側の本気度をしっかりと見極めることが大切
大企業は自社のサービスを優先することは自明であるため、双方の事業領域が近すぎると、実はシナジーを生み出しづらい。事業領域の重なりの大きさや範囲をしっかりと把握してからパートナーシップを検討するべき
関係者(部署・人)が非常に多くなるため、綿密な情報共有が大切。事前の期待値調整と、できることとできないことをしっかりと握っておくこと
PMFまでの道のりは、常に資金が足りない状況と向き合わなければならない非常に辛い過程。だが、信じた未来に向けて果敢に挑戦し続ける者が運を引き寄せ、そこに奇跡が訪れる!
参加者からの声
- PMFまでの話を伺いながら、お二人に共通したハードシングスが「お金 < ヒト」に関することが大変興味深かった。何をするかよりも誰とするかがPMFに重要なファクターになると再確認できた。
- 「HARD THINGS」について、特に組織・人材の崩壊について、他人事と思うべきではないということを肝に銘じました(お話にあった通りで本当の意味で刺さり切っている訳では無いのですが、「それ」が起きた時に生き残れる方策だけは立てておきたいと思います)。
- トンネルを抜けない中での採用、モチベーションをあげるための活動(についてもっと聞いてみたい)
実際の講義では、講師のお二人の体験談をかなり赤裸々に語っていただきました。お二人にとってもそれぞれのチームにとっても、痛みを伴う意思決定もあったはずです。悔いもたくさんあるはずです。文字にするとチープにも感じますが、私たちは、その教訓を学びに変えて、万一のときの痛みを軽減できるような意思決定をし続けていけたらと、改めて感じる講義でした。お客様と、そして仲間と、心から確信できるPMFの達成を一緒に目指していきましょう!次回の講義もお楽しみに!