講義Vol.4:起業家の資質とGrowth Phaseの戦略
ジェネシア・ベンチャーズが主催する、プレシード・シード起業家 / スタートアップ向けの創業支援プログラム『Ignition Academy 2024』。
第四回目の講義のテーマは、「起業家の資質とGrowth Phaseの戦略」。講師には、Boost Capital株式会社 代表取締役の小澤 隆生氏をお招きし、壁打ち会を開催しました。
主な講義内容
成功する起業家に必要な資質
成功する起業家に必要な資質は、見極め力、失敗力、そして執着心。事業の本質を見極め、失敗という名の仮説検証を高速で繰り返し、成功に対する強い執着心を持つ人
失敗は成功に不可欠であり、科学の実験と同様、失敗という名の仮説検証を繰り返した先に成功がある。致命的な失敗だけは避けつつ、失敗から学ぶ力が求められる
成功する起業家・経営者は、バイアスやサンクコストに囚われず、朝令暮改を厭わずに、常にフラットな視点で正しい決断を下すことができる
ロイヤリティとカルチャー
創業期の組織作りで最も重要なのは、志を同じくできること。友人や同僚など、志を共有できる人たちと始めること
組織カルチャーの前にロイヤリティが存在する。経営者へのロイヤリティを醸成するためには、まずは成果を出し、組織全体に「勝ち癖」をつけることが必要。その上で、ロイヤリティの方向性に沿ってカルチャーが形成されていく
事業領域について
世の中には無数の課題がある。人が不満に思うこと=課題。例えば、PayPayが解決した一つの課題は、現金でのやりとり(特におつりの受け渡しなど)の不便さや煩わしさをなくすことだった
市場の選定は非常に重要。事業がうまくいかない理由の一つは、市場自体が良くないこと。市場規模の大きさだけではなく、黒字の企業が多く存在する市場を選定することが重要
事業のアクセルを踏むタイミング
事業のセンターピンを見つけるための試行錯誤を、できるだけ最短かつ低コストで実行し、センターピンを見つけたら躊躇なく踏み込むことが成功の鍵となる
※事業のセンターピン:ビジネスモデルや事業計画において、全体の成功に不可欠な要素やアクティビティ
スタートアップの成長戦略の一つにM&Aがある。買収後に明確に企業価値を高められるプロダクトや仕組みを作れている場合は同業のM&Aで成長を加速し、産業特化型の事業の場合は川上と川下の企業を買収してTAMを拡大していくことも考えられる
参加者からの声
- 最高に刺激を受けるセッションでした!日本でもトップクラスの経営者である小澤さんの生の言葉に触れられ、視点を上げ、並行して戦略の解像度を上げていくための沢山の材料を得ることが出来ました。得られた学びを即実践していきたいと思います。
- とても面白かったです。特に全てデータと分析に基づき決断を下されているのが共感できました。基準を少し共有いただいたのも、非常にためになりました。ありがとうございます。
- 少し先のことではありますがM&Aを含めたグロース戦略について、リアルな体験談をお伺いできました。また、質問にもお答えいただき自分の頭でブレイクダウンして考えることの重要性を改めて認識しました。ありがとうございました。
今回は座学の講義というよりは、個社ごとの課題についての壁打ち会というスタイルでの開催となりました。日本を代表する起業家である小澤さんの意見を聞きたいと、ジェネシア・ベンチャーズ投資先のシード起業家や、Academy1期生(2023年に開催した『Entrepreners Academy』卒業生)も参加し、リアルなケーススタディが共有される場となりました。参加者にとってのGrowth Phaseはもう少し先の話かもしれませんが、いつでも思いっきりアクセルを踏み込めるようにシード期の地盤固めに取り組んでいきましょう!次回の講義もお楽しみに!