INSIGHTS
INSIGHTS

【PGB活用事例】急成長組織の設計図と戦略《ゲスト:パートナープロップCOO / 金田 美幸さん》

本稿は、ジェネシア・ベンチャーズのPodcastチャンネル『Ayo! by Genesia.』の書き起こし・要約記事です。

ジェネシア・ベンチャーズが投資先スタートアップ向けに提供するHRソリューション『People Growth Builder(以下:PGB)』では、HR Specialistの伊藤を中心に、スタートアップの組織創りにおいて「ナレッジをアクションに繋げる」部分を支援しています。

今回は、株式会社パートナープロップCOOの金田 美幸さんに、『PGB』の活用についてお話を伺いました。半年で組織規模3倍以上に急成長中のスタートアップがどのように組織創りに取り組んでいるのか、そのリアルな現場にもフォーカスします。

  • スピーカー:ジェネシア・ベンチャーズ 水谷 航己(投資担当者)、伊藤 亜樹(HR Specialist)
  • モデレーター:ジェネシア・ベンチャーズ 黒崎 直樹

パートナープロップについて:

パートナープロップは、BtoBのPRMサービス(Partner Relationship Management)を提供するスタートアップです。サービスを提供するベンダーと販売パートナーを共通のプラットフォームでつなぎ、営業管理やパイプライン管理、情報連携、コミュニケーションなどを実現する機能を提供しており、”営業向けのCRMツールのパートナー版”だと説明してくださいました。

金田さんご自身は、新卒でリクルートに入社し、不動産の広告営業を経て新規事業開発室に異動。その後、Airペイなどを扱う部門でアライアンス業務に携わった際に、現パートナープロップCEOの井上さんと出会い、同社を共同創業されました。現在はCOOとして、経営に必要な業務全般を井上さんと分担しつつ、直近では特に組織開発やHR領域を担当されています。

パートナープロップの成長は非常に速く、投資担当の水谷曰く「規格外」とのこと。

2023年の創業当初は4人だったメンバーが、現在(2026年1月)は業務委託も含めると100名近い規模になっています。特にこの半年で3倍以上の成長を遂げた組織をどう構築しているのかを伺いました。

「7割がリファラル」驚異の採用力とスピード感

パートナープロップの採用において特筆すべきは、リファラル(社員紹介)が全体の7割を占めていること。新しく入社したメンバーには、「あなたが知っている優秀な人、三名をぜひ紹介してください」と声をかけているそう。その取り組みが、実際に短期間での組織拡大に直結しているのが驚きです。

『PGB』を主導するHR Specialistの伊藤も「リファラル採用7割は異常値。パートナープロップはとにかく速い。意思決定もアクションも何もかもが速い」とコメント。

金田さんによれば、同社のバリューの一つ「スピード至上主義」のとおり、とにかくスピードを重視する文化があるとのこと。それを一番体現しているのはCEOの井上さんで、「CSのメンバーを一人採用したいな」と発した二週間後、「まだ採用できないの?」と確認してくるほどだそう。外から見ればかなり成功しているように見えますが、内部的にはまだまだ(!!)だと金田さんはおっしゃっています。そういった状況も組織に健全な緊張感とプレッシャーがある証拠ですね、と伊藤や水谷も評価しています。

起こり得る組織課題に先手を打つために『PGB』を活用

金田さんがジェネシア・ベンチャーズの『PGB』活用しようと思ったきっかけは、「(当時も今も)HRの専任担当者がいない」という状況と、創業メンバー全員にスタートアップ経営の経験がないという事実によって、これから来るであろうスタートアップの組織課題(30人の壁など)に対して不安や焦りを感じていたことだったそうで、タイミングよく水谷からの提案があり、まさに”渡りに船”だったとのことでした。

伊藤とのセッションでは、まず人員計画から始め、30→50→100人など、組織規模拡大のフェーズで起こり得ることを体系的に整理。その後、MVV(Mission,Vision, Value)の策定や運用、評価制度の構築などについて一つ一つWBS(Work Breakdown Structure)に落とし込み、着手しているものとしていないものをチェックしながら、実行の優先順位をつけていきました。伊藤は「全体像やn年後の姿を一度俯瞰して、そこから逆算して今やるべきことを決めていくという進め方が、パートナープロップのやり方とも合っていた」と振り返ります。初期から両者の間では、組織戦略を一緒に作り上げるための議論が何度も行われ、伊藤が出した原案を元にパートナープロップで応用するにはどうするかという相互のラリーが非常に活発でした。伊藤が提示した汎用的な課題解決の型をパートナープロップ内での議論も踏まえてカスタマイズ、実際に社内で回る仕組みにしていくプロセスが採られました。

起こり得る組織課題を整理し、自分たち仕様に落とし込み、事前にチーム内にもアジェンダとして頭出ししておくことで、それらを「みんなで解決すべき課題」という位置づけにできたことは『PGB』活用の大きな成果だと、金田さんは言ってくださいました。

急成長を支えるカルチャーとMVVの浸透に時間を投資

スタートアップの急成長期の一体感を支えるのが、カルチャーの維持と浸透です。パートナープロップでは、毎月MVVのワークショップを行い、カルチャーの浸透を図っているそうです。

カルチャーを”濃くする”時間として毎月必ず2-3時間を投じているとのことですが、その背景として、「起こり得る組織課題への対策として、”カルチャーに投資する価値がある”と、経営上の判断をした」こと、そして「他社の事例や元々スタートアップで働いていたメンバーの話によると、古参のメンバーよりもこの半年内に入社したメンバーの割合が大きい状況では、カルチャーが薄まってしまうかもしれないという危機感がある」ことを挙げられました。

その成果として、入社たった一ヶ月の社員が「僕たちは創業メンバー。一人一人が当事者意識をもってやっていく!」と全体の前で自分の言葉で語るようになるなど、カルチャーの浸透が進んでいます。また、このワークショップは、部署間のコミュニケーションを促進する副次的効果も生んでいるといいます。

伊藤は「そもそも”認知・理解”とは何か?”浸透”とはどんな状態か?というように、状態目標を確認するところから議論して一つ一つHowに落とし込むというプロセスにも時間をかけたので、こういった結果が見えてきて嬉しい」とコメントしました。

「早い段階でカルチャー作りに投資する」成功のポイント

では、具体的にパートナープロップのカルチャーとは―?

その問いに対して金田さんは「創業メンバーにとって、実は自分たちのカルチャーを言語化するのは難しい。なぜなら始めからそこにいるから」「最近は”パートナープロップのカルチャーが好き”と言って入社してくれたメンバーに言語化してもらったり、他社の同じポジションの人との違いを実感する中で言語化したりしている」そう。『仕事を楽しんでいる』『忖度や政治的な調整がない』などがその一部だということです。

伊藤は「早い段階でカルチャー醸成に投資することで、理想の形でスケールする方向に進んでいく状態ができている」と捉えています。水谷も、複数のスタートアップを創業期から支援してきた経験から「どんなチームにも当てはまるようなありきたりなアウトプットではなく、アイデンティティに直結するようなアクションができていると思うし、チームに一定のプロトコルが生まれている状況を感じる」と、パートナープロップの取り組みを特徴的だとコメントしています。

金田さんは「専門家(今回の場合はジェネシア・ベンチャーズと『PGB』)の知見を借りながら、自分たちは実行の担当者としてコミットしている」「今後もこの役割分担を続けていってもらえたら」と、今後の連携についても意欲を見せてくれました。

おわりに:

スタートアップのアーリーフェーズはどうしても、プロダクト開発やサービス提供といった目の前のテーマに全力を注ぎがちです。一方で、人が集まればそこには何かしらの不協和が発生するのも当たり前のこと。それが、”30人の壁”と呼ばれたりするのでしょう。その”壁”が露見する前に感じる不安や焦りを無視せずに対策を講じることの大切さが、今回のインタビューから伝わってきたのではないかと思います。急成長するスタートアップが、そのスピード感の中で空中分解しないように一体感を支えるものが、カルチャー。その言語化や浸透に早期から投資し、専門家の知見を取り入れながら、自分たちでやり切る実行力。パートナープロップの事例は、スタートアップの組織創りの一つのロールモデルになるのではないでしょうか。

インタビューの詳細は、ぜひPodcastでご確認ください!

BACK TO LIST