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【シロップ】命を愛そう -100年後も人と動物が共に生きる、健全な社会の在り方について話そう-|Players by Genesia.

STORY

「共生」と聴いて、どんなことをイメージするでしょうか。

Wikipediaにはこうあります。「 複数種の生物が相互関係を持ちながら同所的に生活する現象。共に生きること」。他にはどうでしょうか。差別のない世界、公正で健全な価値観、尊重と許容、分かち合い、バリアフリー、心の豊かさ、同じ生き物としてのあるべき姿、「命」についての理解-?

これらは、人類としての社会通念や環境といった大きなしくみによって実現されていくべきことかもしれません。しかし、「共生」の当事者は、ほかでもない私たち自身。他者や他種と共生していない人などいないということを、まず私たちはもっと自分ごととして理解すべきなのかもしれません。

シロップは、「人が動物と共に生きる社会をつくる」をミッションに掲げるスタートアップです。ペットライフメディア『ペトこと』、保護犬猫の里親募集サイト『OMUSUBI(お結び)』、ペットフードD2C『PETOKOTO FOODS』を通して、人と動物を取り巻く大きな課題解決に取り組みながら、その共生の在り方を提案し続けることにチャレンジしています。シロップが見据える当事者は、動物が好きな人、動物が苦手な人を含むすべての人、そして動物(ペット)自身。“誰もの心の中に眠っている”という「共生の理想の未来」を、シロップはどう描いているのでしょうか。シロップの大久保さん、井島さんと、担当キャピタリスト・田島の対談をまとめました。

ずっと、動物が苦手だった

大久保:

僕が多くのペットテックの起業家と大きく違う点は、もともと犬や猫が苦手な側にいたことだと思います。
京都の田舎に生まれ、川や田んぼに行ってはカニやザリガニを捕まえたり、山に行ってはカブトムシやクワガタを捕まえたりしていたので、生き物自体が怖かったわけではありません。実家の近くに住む女友達の家に柴犬の赤ちゃんが産まれて、もらってほしいと言われた時は、両親に「飼いたい」とお願いしたほどです。でも、やんちゃな男三兄弟を抱えて、母親も大変だったのでしょう。「ダメだ」と言われ、飼えずじまいでした。それから、生き物に触る機会はどんどんなくなり、噛まれたわけでも吠えられたわけでもないのですが、6歳から22歳になるまでは、完全に「苦手」でした。
大学生になり、就職活動では“モテたい”という想いだけで、広告代理店やテレビ局、商社といった企業だけを受けていました。内定もいただいていましたが、それらは辞退。ずっとしてきたサッカーを海外でしてみたいという夢を捨てきれずにいたところに、たまたま知り合いを介してロンドン7部のチームを紹介していただいたので、サッカーをしながらユニクロUKのプロモーションチームで働かせていただくことになりました。当時、ユニクロはUK撤退から再展開を図るタイミング。TOPSHOPやH&Mがいる中でどう自社をポジショニングするかということを、マーケティングの観点から学ばさせていただきました。その時に一つの志ができました。それが、「日本から海外でスタンダードになるサービスを生み出したい」というものでした。

株式会社シロップ 代表取締役社長 大久保 泰介
大久保:

その後、三年ほどして、ユニクロUKの人事本部長が当時のグリーUKに転職することになり、僕も紹介していただきました。ITにまったく興味のなかった僕でしたが、東京でグリーの田中さんの講演を聞き、一枚のスライドを見て、グリーに入ることを決めました。そのスライドには、名だたる大企業から優秀な人たちがグリーに集まっていること、そして、「日本のGoogleを作る」と書かれていました。鳥肌が立ち、ここで働きたいと思いました。ITやゲームには本当に興味がなく、もちろん起業なんて頭に浮かぶことすらなかったのですが、グリーに入社して優秀な仲間と出会い、全てが変わりました。グローバルを含む採用マーケティングとファイナンスという事業開発経験を通して、ITが実現する社会変革の大きな可能性に触れました。また、起業してからグリーに来る人やグリーから起業する人、スタートアップの幹部として転職していく人などとの出会いを通して、起業やスタートアップを身近に感じるようにもなりました。そして次第に、友人とアイデアを考えるようになり、グリーの社内公募でいくつも事業を立案していました。今思えば、全くビジネスを考えていない案ばかりでしたが・・。ただ、尊敬できる仲間に出会えたことは本当によかったと思っています。お世話になった上司三人も今、株主になってくれています。

(・o・)
大久保:

話を戻しますが、生き物との接点については、グリー時代のパートナーが飼っていたトイプードルとの出会いが転機になりました。はじめは、噛まれるのではないかという恐怖心から、一緒にソファに座るのも怖かったのですが、次第に慣れ、好きになっていきました。“触らず嫌い”だったのだと思います。それからペットの飼い主として暮らす中で、インターネットを見ても愛犬に合った情報や商品がわからなかったり、何を信じたらよいのかがわからなかったり、動物病院でも現金決済のみだったり予約ができなかったりと、グリーで見てきたデジタルな要素が、ペットとの生活の中には全く存在していないことに気づきました。また、殺処分問題のことを知り、命が無情に消されてしまう、倫理観が失われた市場に憤りを感じ、「この状況を変えたい」と強く思うようになりました。そして、その変革を人生のミッションにすると決めました。
はじめはグリーの社内新規事業の公募で立案していたのですが、役員から「自分でチャレンジしてみたら?」と提案され、紹介してもらったVCからの投資がとんとん拍子に決まりました。それで一気に起業が現実的になり、投資が決まったその日のうちに上司に会社を辞める連絡をしました。そこから、シロップが始まります。

田島:

社名の由来は何なのでしたっけ?

大久保:

シロップという社名は、会社が木の幹で、サービスが樹液=シロップであり、その木の周りに人や動物、全ての生き物やモノゴトが集い、共創される社会をつくりたいという想いでつけました。・・本当のことを言うと、始まりは、夜な夜な喫茶店で事業立案をしていたときに、たまたまた目に入ったガムシロップのローマ字(SYRUP)の見た目が良かったからなのですが!

株式会社シロップ 執行役員 / 『OMUSUBI』事業部 責任者  井島 七海
井島:

私は大久保とは反対で、物心ついた頃からずっと動物が大好きで、動物と関わる仕事を「将来の夢」に置いてきました。特定の動物に猛烈な探究心を抱くというわけではなく、ただ自分とは異なる姿、生き方、魅力のある動物が、好きなんです。動物は「動く物」と書きますが、本当はもっと別の、その魅力を表現する言葉を見つけたいくらい、魅力的な存在だと思っています。
原体験はいろいろあったと思います。子供の頃はシンプルに、動物たちを「好き!」「素敵!」の対象として関わっていましたが、大人になるにつれ、動物たちを取り巻く多くの問題に目が向くようになりました。ペットと呼ばれる愛玩動物、野生動物、畜産動物・・それぞれに、社会課題として改善すべきことがあるのです。なので、シロップが掲げる「人が動物と共に生きる社会をつくる」というミッションは、私の人生のテーマとイコールだと感じ、まずはインターンとして参画した後、大久保に「事業を加速させたい」と熱のこもった話をされ、正社員としての入社を決めました。

ジェネラル・パートナー 田島 聡一
田島:

私とシロップの出会いは、前職(現:サイバーエージェント・キャピタル)時代ですね。プレシードラウンドで投資していたこともあり、大久保さんとはその頃からのお付き合いでした。私自身が動物好きで、トイプードル二匹と同居していることもあり、シロップが目指す世界観には大きく共感するものがありました。
ただ、既存事業である『ペトこと』と『OMUSUBI』は、大きな社会的意義のあるビジネスではあるものの、スタートアップとして大きく事業をスケールさせていくのは難易度が高いかもしれないという印象も少なからずありました。そこに、シロップがこれまで既存事業で培ってきたブランドやトラフィックなどの事業アセットを活かして、『PETOKOTO FOODS』というヒューマングレードのフレッシュフードのD2C事業へ新規参入するというアイデアを聴き、事業ポテンシャルが大きいことはもちろん、私たちとしても具体的に、日本と東南アジアの両方でアライアンスパートナーの発掘やマーケティングのアシストができると考え、前職につづき現職でも投資を決めました。

大久保:

そうですね、田島さんには前職でも、独立されてからの現職でも応援してもらっていますね。

「シロップが約束すること」として定めたコアバリュー

大久保:

シロップのミッションである「人が動物と共に生きる社会をつくる」の「共に生きる」には、特に強い願いを込めています。原体験は、僕がかつてロンドンで見た光景です。LGBTQだけのジムが普通にあったり、ゲイパレートが大通りで開催されたりと、人の多様性をリアルに感じました。また、犬が電車やバスに普通に乗っていたり、公園ではノーリードだったり、店に入ることも普通だったりと、日本では見たことのない光景がたくさんありました。今後はEU離脱により逆の道を歩むでしょうが、現在のイギリスは移民大国だからこそ、社会に隔たりがなく、阻害されることが少なく、多様性が受け入れられやすいのかなと。そして、それが動物への向き合い方にも表れていて、犬や猫を好きな人がいれば、もちろん苦手な人もいるので、犬や猫を好きな人(飼い主)は、苦手な人の命を尊重しているからこそ犬にしつけをきちんとしているし、苦手な人も、犬や猫の命を尊重しているからこそ許容しているのだ、と感じました。今でこそ日本も変わってきましたが、まだまだ環境面では不便と感じることも多いです。

株式会社シロップ コルク
大久保:

ペットライフを豊かにするためには、動物が好きな人、動物が苦手な人、ペット自身、の三者の尊重と許容が大切だと感じ、それが「共に生きる」ということだと定義しています。
例えば、ペットと登山に行ける方法やスポットの情報を知っても、それだけで好き勝手に登ってしまうと、動物が苦手な人の声で同伴登山が禁止されてしまうこともあります。そこで、僕たち『ペトこと』の記事では必ず、動物が苦手な人を意識したマナーの大切さを記載しています。また、その考えは、僕たちの働き方やオフィスにも反映させていて、社員だけでなくペット自身やお客様のことまで考えて設計しているのは、日本では僕たちくらいだと思っています。例えば最近だと、フレックスコアタイムを導入しました。それ自体はよくある制度だと思いますが、ペットの体調やストレスなども考慮した上で、導入に至りました。また、オフィスでは、毛に覆われて人間以上に暑さを感じる犬や猫たちが、冬でも体を冷やせるようなタイルを置くことでストレスなく過ごせる空間を作っています。一方で、動物が苦手な人向けには、動物の匂いが気にならないようエコカラットという素材を壁に貼る対応をしたり、エントランスから会議室まで犬や猫に会わなくて済む導線を作ったり、といった工夫も凝らしています。制度の導入やオフィスの設計には、僕たちの強みである専門家ネットワークから犬や猫に強い建築家に監修いただきました。
「人が動物と共に生きる社会をつくる」というミッションの実現は壮大な夢ですが、このようにまずは自分たちが「共生」や「ペットライフワークバランス」を追求し、体現するようにしています。そして「犬や猫とのペットライフを“家族の在り方”の一つに」することを目指しています。

井島:

私たちは「人が動物と共に生きる社会をつくる」というミッションへの共感による結びつきがとても強いチームだと思っています。全員に何らかの原体験があり、自分の手で動物やペットを取り巻く現状をより良くしていきたいという想いを持ち、事業に取り組んでいます。一方で、メンバーが20名近くなり、全員で全社案件をまわすというスタートアップPhase1の意識や働き方を改め、組織としての機能が求められるタイミングになった感覚がありました。ミッションはすでに浸透していたので、それを実現するための「ステークホルダーへの約束」を言語化し、日々の指針とするため、コアバリューの策定を実施することにしました。全社で「”人が動物と共に生きる社会”とはどんな未来か」「どんな働き方がその未来を実現するか」「何をお客さまに約束すべきか」をブレストし、ジェネシア・ベンチャーズさんにも「シロップに約束してほしいこと」をTEAMシロップとしての目線でお話しいただきましたね。

田島:

投資の理由としてビジネスはもちろんなのですが、シロップが掲げるビジョンやミッション、その世界観の実現は、自分自身がなんとかしたいという想いを持つほどのテーマでした。
その上で今回、すでにTEAMシロップの柱となっていたミッションやビジョンをさらに掘り下げるコアバリューの策定プロジェクトに関われて、本当に良かったと思っています。メンバーのみなさんと直接コミュニケーションする機会では、全員がシロップのミッションを自分自身の言葉で語っている姿を目の当たりにし、その結びつきの強さを感じました。また、動物に比べて立場の強い人間が歩み寄るべきであるという想いや、LGBTQなどの人間同士の多様性と同じ概念で、家族や人生のパートナーにペットという存在を選ぶ人がいる、そうした在り方を当たり前にしたいという想いなどを知るきっかけになったからです。TEAMシロップのメンバーを信じ、これから一緒にそのミッションを実現していきたいと、改めて強く思いました。

大久保:

たしかに前提として、チームのミッションへの共感はすごく強いと思います。エモさというかハートフルで温かな一面もありつつ、一方で、本気で事業をやること。ここも強くしたいと思って、今回コアバリューを作りました。スピーディーに事業を成長させ続けるためのあるべき行動を全員で共有し、ミッションの実現に向かっていきたいと思っています。

井島:

私もその二面性は感じました。コアバリュー策定の一連の取り組みでは、普段の業務では掘り出せない想いや考えを発表し合う機会の重要性を肌で感じました。それは仲間との想いの疎通であり、心に響くものがあったのと同時に、その仲間に対して、時に「分かっているはず」「もう伝えたから」と、伝えることや認識合わせを放棄してしまうことがありました。仲間だから、でもあるのですが・・しかし、それは怠惰な姿勢だと思い直しました。常に同じ方向を向けるよう、軌道の確認・修正は、事業を推進していく上で、“していかなければいけない”ことだと感じました。そのメリハリの指針として重要なポイントになるコアバリューは、最終的に大久保が三つの言葉に落とし込みました。この三つのバリューが全員の北極星になり、自走する組織になっていけたらと考えています。

拡大する「ペットライフ市場」における、コンシェルジュを目指す

田島:

情熱的な面と冷静な面をバランスよく持ち合わせているお二人、そしてチームですよね。想いだけではなく、しっかりと足もとが見えている。そういう人間が結果的に、しっかりとペットたちや動物たちを幸せにしていける、そのための道筋や戦略を描いていけると思っています。

大久保:

ペットの飼育数は、世界的に増加しています。日本では、15歳以上の子どもの数を上回る、2,000万匹が飼育されています。関連する社会的な側面としては、「晩婚化」が挙げられます。晩婚化の孤独を埋める存在として、ペットを飼う人が増えているのだと思います。もう一つの側面としては、「働き方改革」です。リモートワークなどで働き方が多様になってくること、またAI時代で余暇時間が増えることで、さらなる飼育数の増加も予想されます。また、そうして飼育数が増え、ペットの家族化が進むことで、フードや健康診断、アウトドアレジャーなどを軸に、ペットに関する年間支出額も五年で+45%も増加しています。結果的として、1.5兆円と言われている市場規模は堅調に増加しているだけでなく、関連市場も拡大しています。
僕たちは、これを「ペットライフ市場」と呼んでいます。例えば、旅行市場やアウトドア市場、住宅市場、電力市場、車市場など、ペットライフに関連する市場には大きなポテンシャルがあります。ただ、100種類以上いる犬や猫に関する情報や商品は均一化され、インターネット上に溢れ、選択が困難なのが現状です。それを、例えば一人の人間の人生と同じように、点と点が結ばれていくような体験にしたい。僕たちはペットライフ市場での「ペットライフのコンシェルジュ」を目指しているのです。ペットライフにおけるペインを解消する体験を生み出す、向上させる、その一連のデータを活用し、また新しいペットライフ体験を生み出す。そんな循環を目指しています。

田島:

シロップがつくる、ペットライフのサービス・エコシステムの中に、ペットと共に生きることを選んだ人たちが自然と集まってくるようなイメージが実現できるといいですよね。その条件としては、まずは良質なHow toが最もたくさん集まっている場があること。『ペトこと』はすでに、動物との共生を楽しむたくさんの人が訪れる場となっていますが、より良質なコンテンツを増やしていくことで、そうしたユーザにとって“なくてはならない”場になっていくと思います。『OMUSUBI』は、これから動物と一緒に暮らすことを選ぼうとしている飼い主予備軍がまず一番に集う、ペットショップと並んで『OMUSUBI』が、そんな場になっていくといいなと思っています。そしてもう一つの条件は、飼い主にとっての最適な提案があること、だと思っています。最適な提案には、データが必要です。学びや実りがあり便利に利用できる場でありながら、ユーザ自身も自主的にデータを提供し合うことで参加でき、より良いペットライフに向かってみんなで共創できる、そんな関係性(コミュニティ)もつくれると良いと思います。

「課題解決」とともに、「理想の未来」を提案していく

田島:

飼育数が増え、シンプルに市場が拡大しているというのもそうですが、多様性や共生・共創といった世界観の高まりや広がりを軸に、ペットと人の在り方についての議論にも、社会的に大きな流れがあるように思っています。

井島:

そのとおりだと思います。
2019年に動物愛護管理法の改正があり、虐待の厳罰化、各種数値規制、幼齢の犬猫の販売を規制する八週齢規制、マイクロチップの義務化などが成立しました。行政による殺処分や不適切な繁殖・飼育を行う繁殖業者(ブリーダー)の適正化を望む、世間の声が高まってきている一つの表れだと思っています。また、分野を問わずですが、SDGsやサステナビリティ、エシカルを、個人や企業が重要視する流れも生まれています。
シロップでは、自社のサービスはもちろん、ペット産業の現場の方々との繋がりや専門家との共同プロジェクトを通じて、独自の知見・基盤が固まりつつあります。その強みを活かし、これからより多くの人、企業とも協働していくことで、今のこの大きな社会の流れを受け止めたい、また、自分たちで流れを作り出せる存在でありたい、と考えています。
例えば、シロップでは、保護犬猫のマッチングサイト『OMUSUBI』を運営していますが、私たちは譲渡促進にとどまらず、流通市場全体の改革を目指しています。本来、家族を迎え、一緒に生きていくことはとてもポジティブなできごとのはず。現存する殺処分という社会課題を理由に、長期的な共生の道すら否定してしまうのは、とても極端で残念なことだと思います。犬猫と私たちの出会い、暮らしにとって何が適切なのか。本質的かつ持続可能な解決策を追求したいと思っています。市場を健全に適性化することで、業界の正しい盛り上がりを実現したいです。

大久保:

SDGsの流れは大きいです。僕たちもペットライフ市場を通して、持続可能な社会の実現を目指していきたいです。もちろんフードロスや環境問題など、世界規模で人間に降りかかってくるリスクも見つめ直していく必要はありますが、より顕在的に未だ持続可能性が果たされていない市場がペット市場だと考えています。
例えば生体流通では、資本主義経済により顔が可愛い子だけが買われ、その裏では需要を大きく上回る繁殖が行われています。法的に管理されていないため、売れない子はB級品扱いで捨てられたりしています。また、ペットショップでお金を払えば簡単に連れて帰ることができてしまうため、飼い主は飼い主としての責任と覚悟が不十分なこともあります。また、種ごとの性質・特徴を理解していないためにミスマッチが起こり、飼育放棄も起こります。そのような背景も、保護犬猫が生まれる大きな要因です。今が、これらの問題を抜本的に見つめ直していくタイミングです。
僕たちは、まずは飼い主のQOLを上げてソフトでもハードでも命を考える環境を整えながら、最終的には、動物が苦手な人や社会自体を、命を愛せるマインドや空間に変えていきたいと思っています。ロボット市場も隆盛ですが、やはり命があるものとの違いは明確にあると考えています。犬や猫は縄文時代から人間と共に暮らしてきたので、100年後も変わらず共に暮らし続けているでしょうし、それが本来なのですが、命はきっと今よりも明確に同列になっていると思います。

井島:

私たちが目指すのは「人が動物と共に生きる社会」です。その社会とは、これまでマイノリティの枠であったペットが、家族の在り方の一つとして許容され、人間が動物たちに自由と責任を約束するシステムが成り立つ社会だと、私たちは考えています。「課題の解決」ももちろんですが、それだけではなく、理想的な在り方を提案することで、動物が好きな人と苦手な人がお互いに正しい知識をもってお互いを許容する。そんな社会を実現したいと考えています。
大久保は、「100年後も変わらず共に暮らし続けている」と言いましたが、もしこのまま環境破壊が進んでいけば、100年後にはもしかしたら、ペットとの共生を目指す余裕すらなくなっているかもしれません。しかし、じゃあ動物を無視して良いのかと言えばそんなことはなく、どんなに動物が苦手な人でも、畜産動物や実験動物にまで広げれば、動物に依存していない人はいません。どんな状況においても、やはり人と動物の関係を断ち切ることは難しいからこそ、今から持続可能で健全な業界・世界を目指していかなければいけないと思います。
シロップは、社会の潮流を意識しながら、人の心に眠る顕在化されていない「理想の未来」を提案し、挑戦を繰り返せるチームを目指したいです。

(デザイン:割石 裕太さん、写真:尾上 恭大さん、聞き手/まとめ:ジェネシア・ベンチャーズ 吉田)

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