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#28 「病気にさせない」を社会実装へ!産官学で挑む予防医療と生体情報AI【ゲスト:株式会社ザ・ファージ 代表取締役CEO 徳永 翔平さん】|Ayo! by Genesia.

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ジェネシア・ベンチャーズが配信する『Ayo! by Genesia.』は、スタートアップの“挑戦の裏側”に光をあてるPodcastです。プレスリリースなどのオフィシャルな情報だけでは伝えきれない、挑戦のプロセスで生まれる想いや葛藤、そしてリアルな学びを、起業家と投資家、それぞれの視点からお届けします。

「Ayo!」はインドネシア語で「Come on!」「Let’s Go!」という意味。スタートアップのチャレンジをリアルにお届けしていきます💁‍♂️💁‍♀️


今回のゲストは前回に引き続き、生体情報と生活行動の解析を通じて、個別化医療・ヘルスケアを実現する、株式会社ザ・ファージ代表取締役CEOの徳永 翔平さん(以下:徳永)です。 モデレーターは、同社の投資担当でもあるジェネシア・ベンチャーズの水谷が務めます。

目次

  • 同じカロリーでも体の反応は違う。AIが個別化する「自分に合った食事」
  • 「病気になる前」のケアへ。東京海上日動と創る新しい保険の形
  • ヨーグルトの効果は人それぞれ?明治・千葉大学との共同論文
  • 世界で3番目のデータ量。福井県との大規模実証が拓いた可能性
  • 日本の医療データを守る。疾患発症を予測する「次世代基盤モデル」への挑戦
  • 医師、エンジニア、規制の専門家まで。学際的なチームで世界へ挑む
左から、ザ・ファージ 徳永さん、ジェネシア・ベンチャーズ水谷

同じカロリーでも体の反応は違う。AIが個別化する「自分に合った食事」

水谷:後編となる今回は、食と健康のスペシャリストである徳永さんが率いる「ザ・ファージ」のチャレンジについて、より詳しくお話を伺っていきたいと思います。改めて、ザ・ファージの事業について教えていただけますか?

徳永:私たちは生体情報とAIで事業を展開しています。まず、一人一人の個人のお客様向けには、その人に合った食事や生活習慣、改善案といったものをAIが自動で解析して提案するアプリケーションなどを提供しています。

水谷:よくある食事管理サービスとの違いは、どういったところにありますか?

徳永:その人の体の情報を元にした提案ができるという点が非常に大きな違いです。今までのアプリやサービスだと、例えば食事の写真を撮ればそのカロリーがわかるといったものがありましたが、カロリーが同じでも個々の体内での反応は全然違ったりするんです。それこそ、同じお蕎麦や唐揚げを食べても、水谷さんだと血糖値スパイクが起こって僕だと全然起こらないとか。その点を踏まえて個別化した提案ができることが強みだと思います。

水谷:ザ・ファージは、そういったパーソナライズをどのように可能にしているのですか?

徳永:僕たちは、生体情報データをいろいろな形で取得できるようにこれまで研究開発を行ってきました。例えば、血糖値の情報取得のためには医療機器のメーカーさんと、初期の段階から積極的にアライアンスを組んできました。そうしたことによって、自社で血糖値や食事のデータを大量に集めるアプリケーションを作ったりすることができています。

水谷:現時点で糖尿病の疾患があるわけではない僕でも、ザ・ファージのサービスはもう実際に使えたりするのですか?

徳永:使えます。この半年くらいで1万1,000人くらいの方に買っていただいています。あとは健保などを経由して、メタボの人向けのサービス活用も進んできています。

水谷:すごいですね。リリースして半年で1万人が使うヘルスケアサービスということですが、これは有料ですか?

徳永:有料です。年間1万円くらいするはずです。

水谷:安くはないですよね。

徳永:はい。ただ、購入者のデータを見ていると、必ずしも健康意識が高い方だけというわけじゃなくて、おそらくは通院+αのケアをされたい方などもいるんだろうなと思います。お医者さんがずっと寄り添ってくれているようなAIになっています。

「病気になる前」のケアへ。東京海上日動とつくる新しい保険の形

水谷:今年に入ってから、ニュースリリースも続いていますよね。まず、今年の3月には、東京海上日動さんとの共創案件としてNEDOに助成金の採択をされています。東京海上日動さんとの取り組みは今後どのように展開していくのでしょうか?

徳永:一人一人の個人に合った生活の改善案などを通じて、次の保険商品とかを作れないかというテーマがあります。これまでの保険はいわゆる“病気になってから保険金を支払う”というものだったと思うのですが、これからは“病気になる前の方たちをケアしてより良い生活を送ってもらう”という視点で、「予防の商品」を一緒に作りに行っています。

水谷:それこそ前編でのお話にも出た「いかに発病させないか」という予防の領域で、保険会社さんも我々と同じ方向を向いているんですね。病気になってしまったら保険金を出さなければいけないというポジションかと思いますので、いかにそれを抑制するのかという。一方で被保険者としても、健康的な生活のために介入してもらえるのであれば支払う保険料を下げていいよねという方向にもなりそうです。そういった新しい保険商品を将来的に開発したいということですね。データAIと保険って非常に相性がいいものだと思うので、本当にイノベーティブでシンボリックな事例だと感じています。

徳永:ありがとうございます。

ヨーグルトの効果は人それぞれ?明治・千葉大学との共同論文

水谷:それから、6月には、食品メーカーの明治さんと千葉大学と共同で論文を発表、有名な国際科学誌にも掲載されたということですが、これはどのような研究成果を出して論文の発表に至ったのでしょうか?

徳永:明治さんも出されていますが、他の食品と同じように乳酸菌飲料が個々の体にもたらす効果というのも少しずつ違ったりするんです。お通じがよくなるとか血糖値が下がるかもしれないとか。そういった効果を多角的に解析することは、これまでできませんでした。そこにウェアラブルデバイス活用して、日常生活のデータと食品のデータを詳細に解析しました。けっこう素晴らしいデータになったと思います。明治さんのIRでも載ったのですごく嬉しかったです。

水谷:特保をはじめとした機能性表示食品は多々発売されていますが、そういった食品を摂取して得られる効果は人によって異なる。そのことを科学的な手法で研究したということですね。具体的には何の食品で研究されたのですか?

徳永:ヨーグルトですね。

水谷:これもやはり、予防に繋がるような研究になってくるのですかね。

徳永:そうなんです。食品領域も変化してきています。これまでは例えば、集中力が続くだとか、普段の暮らしの中でこういう健康効果があるかもねといった効果を謳った存在だったのが、より病気と溶け合ってきているというか、こういう病気を予防できるかもねみたいなところまで入り込んできているのは、すごく大きな変化だと思っています。

水谷:より生活習慣病に近いところで作用する食品群が、しっかりとしたエビデンスをもとに発売されてきているというのがトレンドなのですね。最近だと、それこそ明治さんからも「ヘモグロビンA1Cの低下をサポートする」みたいな、専門用語が掲出された商品が出てきていますよね。

徳永:医薬品と比べて、食品はどれくらいの効果があるかを測るのが難しいんです。医薬品はお医者さんが説明して処方すればいいけど、食品はコンビニで買える。だから、より細かな解析や説明の仕方などはすごく求められていると思います。

世界で3番目のデータ量。福井県との大規模実証が拓いた可能性

水谷:つづいて7月には、福井県との大規模実証結果を公表しています。保険会社さんや食品メーカーさんとは向きの異なるアライアンスパートナーである、行政との取り組みですね。そもそもなぜ福井県とこの取り組みをして、その中でどんな成果が出たのかについても伺えますか?

徳永:福井県って「日本一幸福な県」って言われているのですが、一方で「日本一労働者が足りない県」なんです。もう数十年もずっと人不足。そういった県では、やっぱりAI活用が絶対的に必要になると言われていて、福井県としてまずは病気の予防に資するようなAIを作りたいということで、連携することになりました。

水谷:人手不足という課題先進地域と言ってもいいかと思うのですが、そういったところで技術的にも先進的な取り組みをやっていこうよということなんですね。

徳永:実際に4,000人以上の方々に我々のサービスを使っていただいて大量の血糖値データを集めるという、世界でも類を見ない大規模な研究をしました。

水谷:ものすごい規模ですね。普通、4,000人規模のデータを取ろうとするとめちゃくちゃお金がかかりますよね。

徳永:数十億はかかるんじゃないでしょうか。

水谷:そこを創業間もないスタートアップが担うという意味では、相当大きな打ち手だったのかなと思います。

徳永:行政の方たちと、去年一年間で50超の団体を訪問させていただいた結果、信じられないくらいにご協力をいただけて。たぶん今、我々が世界で3番目くらいにデータを持っていると思います。

水谷:福井県はなぜ我々をパートナーとして選んでくれたのですか?

徳永:みんなが幸せに生きていくための条件の中には必ず「健康」が入ってくるので、病気を予防できるような社会を作りたいというビジョンの共鳴が大きかったと思います。あとは、福井県は人口自体が限られている一方で、産官学の連携がすごくしやすい体制があるんです。正直、ここまでご協力いただけるとは思っていなくてびっくりしました。でもおかげさまで、次世代の基盤になるAIモデルを作れたと思います。

日本の医療データを守る。疾患発症を予測する「次世代基盤モデル」への挑戦

水谷:今徳永さんの口から出た、「次世代の基盤モデル」についてもう少し深掘りさせてください。

徳永:大規模言語モデル― いわゆる言葉のデータを大量に溜め込んだデータプールみたいなものから言葉を予測する、というのがChatGPTのアプリケーションです。その仕組みを病気の領域で使えないかなと考えています。我々が大量の血糖値の情報を溜められたら、それこそ、食事や行動、発症前の疾患を予測することなんかができるんじゃないかと。それでまずはデータを大量に溜め込んで、予測する技術を作りました。

水谷:つまり、我々が世界第3位の規模のデータをもって予測しているのは、疾患の発症であると。血糖値を含めた様々バイタルの予測— この人がこの食品を食べたら食後の血糖値がこういう推移をするという短期的な指標の予測から、そうした行動をより中長期で続けていくとこういう疾患を発症していくよねという予測をしようということですね。その予測のモデルが、「次世代基盤モデル」。すごいことですね。

徳永:大切な情報です。だからこそ、ちゃんと医療や予防に使う。悪い方向性も予測できてしまうので、倫理観も問われます。

水谷:そういったデータセットを今この日本で取る意味もそれなりにあるように思うのですが、そこはどのように理解しておけばいいですか?

徳永:誰が病気になるかとか、それでどれくらい損失が起こるかとか、結構マクロにも響くようなデータなので、その基盤は自国で持たなければいけないんです。

水谷:日本でその基盤モデルの構築にチャレンジしてる会社って、ザ・ファージ以外にもあるのですか?

徳永:いや、意外と算入されていないと思います。ザ・ファージのCSOで、千葉大学の教授でもある川上が、これまで医療AIの領域でいろいろな基盤モデルを作ってきたので、それらの統合ができるポジションというのも我々の強みだと思います。

医師、エンジニア、規制の専門家まで。学際的なチームで世界へ挑む

水谷:非常にわくわくする、そして社会的意義も感じる取り組みだなと思いますが、そんなチャレンジをしているザ・ファージには今どんな方が集まってチームを構成されているのでしょうか?

徳永:本当にいろんな専門家がいます。普通にビジネスサイドの人もいますし、お医者さん、管理栄養士さん、ナースさん、あとは規制のスペシャリスト、AIのスペシャリスト、エンジニア、UI/UXのデザイナー・・もう、全然違う人たちの集まりですね。今は少しずつ変わってきましたが、当初はお互いの言葉が通じなかったです。

水谷:僕も一度ザ・ファージの経営合宿に参加させていただいたことがあるのですが、本当にいろんな領域のスペシャリストの方々が集まられていて、非常に学際的なチャレンジをしているんだと感じました。だから、言葉が通じないというのは本当にそのとおりというか。でも、それぞれの持ってるケイパビリティは全然違うんだけど、目指すところへの共感・共有はすごく強くてチャレンジングな組織だなという印象です。今も採用募集中ですか?

徳永:絶賛募集中です!

水谷:世界第3位規模のデータセットを持って、日本独自の生体情報の基盤モデルを作っていくという、非常にポテンシャルがあって意義深いチャレンジをしているザ・ファージ。ぜひご興味のある方はお問い合わせください。というわけで、前後編にわたってザ・ファージ徳永さんのお話を伺いました。ありがとうございました!

徳永:ありがとうございました。Ayo~~~

全編はPodcastでお楽しみください💁‍♂️💁‍♀️:

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