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私たちは、「感情」とどう向き合うか?【前編】|Players by Genesia.

PLAYERS

はじめに

この時代に必要な「問い(テーマ)」を立てて考え、いち早くアクションする。そんな存在であり続けたい。

そうした想いから、この『プレイヤーズβ(仮)』シリーズを始めました。フォーカスするのは、『Players』シリーズと同様、「人」や「チーム・組織」ですが、もう少し俯瞰的にそれらを眺めます。

私たちが手繰り寄せたいのは、「正解」ではなく、「意思」です。

絶対的な答えや正解のない“今”、さまざまな問いと目線に向き合っていきたいと思います。


私たちは、「感情」とどう向き合うか?

#2のテーマに挙げるのは、「感情」です。

「心の状態が、生きることすべてを司る」・・これは私が常々考えていることです。

心構えや心の状態・あり方によって、言葉も行動も表情も、何もかもが変わる。そんなふうに思います。

だからこそ、なるべくクリアでフラットでオープンな精神状態でいたい、感性は鋭敏に、一方で、感情とは上手に付き合っていたいと願い、努める日々ですが、実際はどうか?そんな「心」「感情」との向き合い方について、ゆるゆると考えてみます。

話し手は、個人向け予約サイト作成サービス『MOSH』を手掛けるMOSH株式会社の代表・籔さんと、ジェネシア・ベンチャーズ Principalの河野(MOSHの投資担当)、Relationship Managerの吉田です。

「自分は何がしたいのか?」を考える

吉田(以下:アイ):

今回は「感情」というテーマを立ててみました。広すぎますかね。

河野:

個人的にもすごく興味深いテーマです。雑談って感じでいいんですよね?

籔:

河野さんが「興味深い」って思うのは、どんなことを考えてるからなんですか?

河野:

最近、自分が心からやりたいことって何だろうとか、心から生きたい人生ってどんな人生なんだろうとか、そういうことを改めて考えてたんです。過去を振り返ってみると、僕はけっこう合理性を軸に物事を考えてきたなって思います。「こういうことをすれば社会的に評価されるだろう」とか。つまり、親や友達が何をどう評価するかっていう、他者の評価軸を重視して生きてきちゃったなと。小さい頃もそうだったんですよね。先生の期待通りに振る舞おうとか。でもそれって、自分の心じゃないんですよね。人の期待に応えようという動き方が染み付いてしまってた。それに気づいて、改めて自分の人生をどうしていきたいのか、自分の心って何なんだろう、ってすごく考えてたんです。
まさに、自分の感情に対する感度というか、自分の感情にちゃんと気づいたり意識したりしてあげることの重要性を最近すごく感じています。加えて、それを怖がらずにちゃんと発言する、他者に伝えることの大切さも感じてます。人と人との関係性も、Soul to Soulですよね。

株式会社ジェネシア・ベンチャーズ Principal 河野 優人(ベトナム事務所に駐在中)
アイ:

そういうことを考えるきっかけはあったんですか?

河野:

やっぱり仕事がきっかけですね。VCという仕事は10年とか、長期でコミットメントする仕事ですから、自分が心からやりたいことが何かを深く理解できていないと本当の意味で責任を持って長期間のコミットメントをすることはできないですよね。これまでも人生で何を成し遂げたいかを考える機会は度々ありましたが、改めてVCという仕事と向き合ったことがきっかけでした。

籔:

それはまさに起業家が向き合うテーマでもありますよ。

河野:

まさにそうですよね。自分の心に正直になって本当にやりたいことを見つけられると、一日一日の気持ちというか、仕事への向き合い方とか、パフォーマンスもコミュニケーションも大きく変わる気がしています。

アイ:

どんな変化ですか?

河野:

変に悩まなくなるんですかね。自分が心から何を成し遂げたくて、そのために今やっていることがどう繋がるのかがクリアになるイメージです。だからこそ、目の前のことに集中できる。一方で、それがないと、やっぱり悩むんですよね。頭に靄がかかってる状態。・・と、そんな経緯で、感情については最近すごく考えてます。

アイ:

河野さんのお話って、「感情+思考」って感じですよね。私が当初イメージしてた「感情」って、もっとこう、ふっと湧くものというか、割と瞬間的なものでした。ふわー(喜)とか、イラッとか、シュンとか、何かが心に触ったときの一次反応みたいなものかなと。河野さんのお話は、その中の良い反応(感情)を自分の実現したいこととかに結びつけて、ワクワクとかドキドキとか、ポジティブな感情というか感覚を=自分の本当の心や気持ちだって結びつけて、アクションに落とし込んでる、みたいな印象を受けました。反応(感情)を手に入れてから冷静に一作業しているというか。

河野:

そうかもしれないですね。そういう意味では、今回は特に自分の人生における「ビジョン」「ミッション」「バリュー」っていう観点ですごく考えたんですよね。将来的に何を実現したいとか世の中をこう変化させたいとか、そういう中長期的に実現したい世界が「ビジョン」として存在していて、「ミッション」はその実現のためにやること。その「やる」ってところに自分の「やりたい」っていう感情が載っているとのめり込めるって話だと思っていて。日々やっていること(ミッション)が実現したいこと(ビジョン)にちゃんと結びついていて、かつ、それを楽しくやれたり心からやりたいって思える状態が作れたりすると、すごく機能するなと。今回それが少し見えた感じがしたっていう話ですね。

アイ:

野性の河野さんに戻ったということですね。

株式会社ジェネシア・ベンチャーズ Relationship Manager 吉田 愛
籔:

田島さんはたぶん河野さんのそういうところも見出してたんだろうなと思います。河野さんをジェネシア・ベンチャーズの最初のメンバーとしてピックアップしたのは、河野さんのそういう目的志向なフレーバーを見てたんだろうなと。人の評価軸に合わせるだけの人だったら選ばないと思うので。野心みたいなものは感じ取ってたんじゃないかなって。

河野:

たぶんビジョンは持ってたんだと思うんですよね。ただ、そのビジョンに感情をのせたミッションが紐づかないと心がついてこないのかなと。合理的に世の中が進むべき方向から自分が目指す世界を描いても、それだけでは自分がやるべき理由が見えず、そこに本当の熱は宿らないんだなって徐々に気づきました。

籔:

スタートアップも含め、会社でもビジョンやミッションに改めて向き合うプロセスを経て、そこに連動するかたちで、ボードメンバーとか創業者の気持ちや方向性がすっきりするみたいな過程ってあると思うので、その思考はすごくよくわかるというか、めちゃくちゃ納得感がありますね。

「ネガティブな感情の最適化」を考える

籔:

アイさんの立ててくれた「感情」っていうお題に対して、今の河野さんのお話って割とレベルが高いかなと思っていて、もうちょっと一次反応的な話に戻せたらと思うんですけど。そういう幅広い「感情」の取り扱いって、全人類が向き合うべき課題というか、けっこう大変なテーマだと思ってます。先日アイさんといろいろお話しする機会があって、その中でも特に盛り上がったテーマでしたよね。
僕もこのあたりのことはけっこう考えます。ポジティブな感情とネガティブな感情とがあって、ポジティブな感情については、そのまま丁寧に取り扱うってことを昔からあまり変わらずにしてるかなと思うんですけど、ネガティブな感情については、取り扱いを考えたりしっかりケアできるようになったりすることが、ある種“大人になる”ってことなのかなと思ってます。僕、実は日常的にさりげなく涙を流すことがよくあるんですけど、つまり、ポジティブ側の感情にはけっこう触れてるんだと思います。一方で、ネガティブ側の感情は、ダウンサイドリスクじゃないですけど、どう取り扱うかをけっこう試行錯誤してきた感覚があります。でも最近は、そこをやりすぎた結果として、ネガティブな感情についての反応がなくなってきてる気がしてて。人との適切な距離感とかバランスを理解してきて、ここでもある種“大人になる(なってきた)”って感覚があります。これって経営者あるあるかなと思ってるんですけど。

アイ:

ネガティブな感情をそんなに感じなくなってきて、人との距離感やバランスがわかるようになったんですか?

籔:

深く踏み込まないというか、感情の一次反応があっても一喜一憂しない立ち振る舞いみたいなところが最適化されてきたみたいな感じですかね。

河野:

それによって、人との距離感とかコミュニケーションとかがちょっと遠くなってしまっているってことですか?

籔:

そんなことはないんですけど・・・・僕もまだ探求してる感じですね。
ネガティブな感情についてそれなりの取り扱いができるようになってきたなと思っている一方で、そこに最適化した結果、もしかしたら失ってるものもあるのかもしれない。そういうところが、今僕が探求してるテーマの一つです。これはすごくおこがましい発言なんですけど、スタートアップとかベンチャー企業で創業者やボードメンバーに求められることとして、「自己認識力」ってすごく重要なポイントだと思っていて、経営はそこにレバレッジをかけて勝つゲームだと、僕は思ってるんですよね。自分の苦手なところをいくら補填しても、才能ある人たちがマーケットにはたくさんいるので、あんまり優位性が出ない。なので、採用も組織作りも含めて、ちゃんと自分の得意なところと苦手なところを認識して、それをメンバー同士で相互補完して、自分は自分の強みの部分にちゃんとレバレッジをかけていく。そんなプレーだと思ってます。事業や組織が大きくなっていく中で、いろんな要因によって自分を見失ったり苦手なことをどうしてもやっちゃったりみたいなことが起きてくると、たぶん調子が悪くなってくるんだろうなと思ってて。だから、「自己認識力」ってすごく重要だと思うし、そこを探求していこうとすると、「感情」を突き詰めていくってことになると思います。だから、ネガティブな感情についてはかなり最適化されて取り扱い上手になってきたと思う一方で、もう一段自分のレベルを上げるためには何が必要なのかなって、最近すごく考えてます。もしかしたらそこが自分の苦手なポイントで、探求すべきじゃないって可能性もあるし、でも同時に、ちゃんと改善していくべきところだとも思うし、その見極めも含めて、最近いろんな人たちと話しながらけっこう考えてます。ちょっと抽象的な話なんですけど。

MOSH株式会社 代表取締役 籔 和弥
アイ:

ネガティブな感情を手なずけたって、本当にすごくないですか?

籔:

限りなく慣れてきたってことですかね。もちろん感情のままに熱くなるときもあるんですけど、ある程度はそれを言語化したり冷静に対応したりすることが苦じゃなくなってきてるというか。
河野さんはどうですか?

河野:

僕もそのあたりは得意な方というか、あまり感じなくなってきてますね。

アイ:

私なんかはまだまだ感情に支配されてるかなと思う方なんですけど・・お二人とも、それはどういうプロセスを踏んだんですか?

河野:

やっぱり、感情に向き合いすぎるとつらいんですよ。例えば、失恋とかもつらいじゃないですか。好きな子ができて、でも振られて、めちゃくちゃつらい。あんなに好きだったのに・・みたいな。で、人を好きになるのが怖くなるんですよね。もう傷つきたくない、つらくなりたくない。だから、もうネガティブな感情をそもそも発生させないために自分(の感情)を消すみたいな感じですよね。

籔:

わかります。僕も、感情に向き合う一番最初のきっかけは失恋だったので。中学生のときに大失恋して、かなり気持ちを乱されて、勉強も全く手につかなくて、自分のパフォーマンスが落とされまくって。それがめちゃくちゃストレスだったので、それを防ぎたいって思いました。あとは、同じく中学生のときに、謎の正義感を発揮して周りにすごく迷惑かけたことがあって、それも防ぎたいって思いました。そういう、感情を中心とした意思決定みたいなものが、振り返ったときに良い判断だったことが人生においてけっこう少ないなって。もちろん、感情や感覚を重要なファクターとして意思決定することもあるんですけど、それだけを中心にしちゃうと、その意思決定に後悔しか残らないところがあって。これって自分の中ですごく再現性があるなって、高校生くらいのときに自覚したんです。そのタイミングで、そういうことを発生させないために、河野さんみたいに「自分を消す」じゃないですけど、ネガティブな感情のダウンサイドリスクを踏まえて、取り扱いをすごく気をつけるようになったと思ってます。
あと、自分が感情的になったときに「内にこもる」感覚ってありませんか?何かに固執してしがみつくみたいな感覚。僕は、それを自覚できたらすぐ「開く」ことにしてます。例えば、彼女とケンカして明らかに自分がすねてるときに、初期反応としてそっぽを向くとか突っぱねるとかしちゃうことってあると思うんですけど、それを自覚したタイミングですぐ「開く」。それがめちゃくちゃ効率がいいなということに気付きました。仕事とかでも、その「開く」スタンスを取ることによって、ちゃんと議論ができる。オープンになった方が、めっちゃ合理的っていうことに気付きました。そういう立ち振る舞いというか習性は、自分の中で強く持つようになりましたね。もちろんできないときもあるんですけど。

「感情の最適化の罠」について考える

河野:

加えると、「自分を消す」ってことに繋がるかなと思うのが、「期待するから失望する」みたいなところです。「この人はこうしてくれるだろう」みたいな期待と違ったことをされるとか、裏切られることが、感情を揺り動かす。まさに恋愛とかでも、どんどん期待が強くなっていくんですよ。それで、強くなればなるほど、裏切られたときというか、自分の思った通りにならなかったときにダメージを受ける。なので、期待するのをやめてしまうんですよね。人に期待しないのと、自分にも期待しない。そうすると、失望しないので心が安定するんですよね。

籔:

それがまさに「最適化の罠」だと、最近思ってるんですよね。リスクヘッジというか、分散した心の持ちようってすごく大事だと思う一方で、何かしらのインパクトを残そうとしたときには、そのデメリットも大きいなと思っていて。つまり、心の安定を最適化していくと、やっぱり分散するってことが最適解じゃないですか。でも、起業家とか投資家としての結果の出し方みたいな文脈で言うと、そうやって分散することによってパフォーマンスが出ることって正直あんまりないと思ってます。最適化のバランスとコミットのバランスが難しいというか。伝わります?

河野:

分散っていうのは、どこの分散ですか?

籔:

さっき河野さんが言ってた、「自分にも他者にも期待をしない」ことって、感情のダウンサイドを減らすための最適解だなとは僕も思ってます。少なくとも、感情を最適化しようとしたら、やっぱりその選択になってくると思います。例えば、今のMOSHで言うと、事業が少しずつ立ち上がってきたからといってそのまま現状維持していくと、成長性って今までと似たような感じになる。そうなった時に、「このタイミングで、もっとバランスを崩さないといけない」っていうような感覚がけっこうあって。「リスクを取る」っていう感覚にも近いかもしれないんですけど、そういう感覚は僕の中にかなり大きく存在してます。そして、「リスクを取る」ってことは、何か一つの選択肢に期待するとか強くコミットしていくってことかなと思っていて。なので、それは分散の真逆で、感情的にはUncomfortableになると思うんですよね。でも、そうでないと僕は逆にものすごく危機感がある。それこそさっき河野さんが言ってた「10年これ(VC)やるって決める」ってことも、分散の真逆にあると思うんですけど。

河野:

ニュートラルモードというか、自分の感情を無意識・意識的に抑えこんで、誰も批判しないであろうリスクを取らない選択をし続けることって、心を安定させることだけを考えるとそこに最適化されかねないですが、同時にオリジナリティやユニークさ、論理を超えた熱量が失われてしまいますよね。そういうニュートラル判断システムみたいなものが強化されていくと、そもそも自分の感情が認知できなくなっていく。ニュートラルじゃない判断をするためのトリガーを発見できない状態になっていくわけですね。だからこそ、まずは感情をしっかり認識し、発露したりケアしたりしてあげて、そこから見えてきた根っこにある想いを軸にして、人生の選択をしていけると、人生のオリジナリティが高まるというか、特異点的な成果が出る可能性が高まる感覚がありますね。他者に対してはもちろん、自分自身に対しても素直になることってやっぱり大事だなと。今、僕も努力中です。

アイ:

数値にすると、今、何スナオくらいですか?

河野:

前はたぶん2-3割とかで、今は5-6割ぐらいまで上がってきた気はしてます。これまでは「社会において自分がどうあるべきか」っていう軸で、あんまり正体がよくわからない「社会」ってものを見てたんですよね。社会とか、周りの人たちがどう自分を評価するか?その中で自分は何者なんだ?みたいな。そういうふわふわしたものに憑りつかれてる感じでした。でも、「社会って何だ!?」って感じですよね。そこから改めて自分のコアに戻ってきて、自分にとって何が大切かとか、どんなときに嬉しいかとか、誰が好きかとか、そういう根源的な感情をもっと大切にしたいと思うようになりました。

「コミュニケーションの中の感情」を考える

河野:

アイさんはどんな感じなんですか?

アイ:

私は、今回「感情」ってテーマで話してみたいなと思ったきっかけは、いつもオープンで穏やかな精神状態でいたいとは思いつつも、やっぱり自分がまだ負の感情に捉われてしまうことも多いし、あとは、そばのいる人の影響を受けやすかったりもするので、そういったことを解消できないか、その糸口があれば知りたい、他の人がどうしている/どう考えているのか知りたい、と思ったからでした。
特に、アドラー心理学で「すべての悩みは対人関係の悩みだ」と言われているように、私も対・人となったときにいろいろな感情に向き合うことが多い気がします。いろいろな人間関係において「自分と相手、そしてみんなが居心地よく過ごせること」とか「そういう環境をどう作るか」みたいなことをずっと考えてる自分に気づいて、自分にできることは何だろうってけっこう常に考えてる感じで。その一歩目が、やっぱり自分自身がいい精神状態で、いろいろな状況を受け止められる状態にあることかなと思って、いつもその「自分を保つ」方法みたいなことをあれこれ模索してます。ただ、やっぱりいつでも安定した状態でいられるわけじゃないし、自分を抑えたり消したりっていうのもちょっと違うかなと思うし、そういうところはずっと悩みというか、私の中のテーマとしてあるなと思ってます。

河野:

アイさんのお話は、他者との関係性とかコミュニケーションの影響がけっこう大きいんですね。そこから来る揺さぶりとか理不尽さとか、さびしさとか?それと、そういう影響を受けちゃう自分への自己嫌悪みたいなものもあるのかなと。
一方で、僕はたぶん、他者からの攻撃みたいなものに強いです。

籔、アイ:

笑!!

河野:

僕はやっぱり、他者に期待しすぎない、一線を引く癖がある気がします。・・いや、ま、でも弱いか。

籔、アイ:

笑!!!!

河野:

ポイントによって強かったり弱かったりですね。自分に自信がなかったり自己嫌悪してたりするポイントを刺された時には弱い。そうじゃないポイントであれば、別に期待もしてないから、何か言った?みたいな感じでかわせます。そういう“かわし”ができないってことなんですかね?

アイ:

人から攻撃されるっていうケースは稀だと思うんですけど、「相手がどう感じているんだろう?(どうも心地よくなさそうだぞ?)」っていうところに私が勝手に敏感になってるのかもしれないですね。持っていかれやすいというか。気にしすぎだと言われることも、自分でそう思うこともあります。一人だったら自由でいいんですけどね。対・人となると、「関係」が生まれて、その人と一緒に作り上げることが大事かなと思うので、やっぱり気になっちゃいます。

籔:

そういうとき、僕は割と言っちゃうタイプですね。「どんな感じ?」って。

アイ:

さっきのお話にあった、「開く」に近いかもしれないですね。個人的にも、「手放す」とか「脇に置く」とか「”受け入れる”ではなく“受け止める”」とかは、キーワードとして大切にしています。自分の中に取り込みすぎない、自分自身の感情や向かうべき問題と切り離す、ってことですね。問題を切り離すというのも、まさにアドラー心理学の受け売りですけど。その上で、反応・対応しようと。お互いに介入しすぎちゃうのも、また、籔さんもおっしゃった通り、感情的になっちゃうことも、結果的にいいことってないですよね。でも、「関係」は続く。その距離感をいつも模索してます。適当なこともありますけど。

籔:

僕が相手に「どんな感じ?」が言えるかどうかのセーフティーネットみたいな話で言うと、僕はいつでも、何かあったら最終的には地元のコンビニでアルバイトすればいいやと思ってるんで。別にここでどういう立ち振る舞いしてもいいかな、嫌われてもいいかな、みたいな。後先あんまり考えないことが僕は多いですね。

河野:

コンプレックスかもしれないですね。

籔:

コンプレックスですか?河野さんのコンプレックスって何ですか?

河野:

今回のテーマで言うと、やっぱり感情をうまく認知できていない気がすることですかね。本当の意味で何がしたいかが、自分でちゃんとわかってないんじゃないかとか。

籔:

じゃあ、「河野さんは何がしたいの?」とか言われるとムカつくみたいな感じですかね。

河野:

ムカつくっていうか、「そうなんだよ~」って思うのと、心が痛い感じですね。
コンプレックスとの付き合い方みたいなことかなと思いました。お二人はどうですか?

アイ:

コンプレックス自体はいっぱいあると思いますね。でも、“コンプレックスと感情”もそうだし、“コンプレックスと人間関係”についても、そこまで結びつけて考えたことはなかったかも。コンプレックスってあくまで自分の中の話だと思ってきました。ちょっと考えてみますね。
籔さんは?

籔:

コンプレックスというか原動力にも近いんですけど、幼少期にすごいイケメンたちに囲まれてたっていうのがありますかね。それで、そういう人たちをどう出し抜くかをけっこう考えた結果、自分が一番最初にリスクを取らないといけないっていう切迫感に捉われてるので、自分が安牌な位置にいるとヤバいっていう感覚になりますね。コンプレックスというか焦燥感に近い感覚ですね。

河野:

おもしろいですね。王道でど真ん中を取りに行くっていう道もあるじゃないですか。

籔:

僕にはないです。自分が王道では勝てないっていうことを人生を通して理解してきたんで。正解があるところで効率化して頑張るみたいなプレーではちょっと勝てる気がしないって思ってます。自分なりのリスクの取り方とか危機感みたいなものとかを考える癖は、もう、保育園ぐらいのときからあります。

アイ:

自己認識力が高いし、歴が長いですね。

河野:

コンプレックスというか、自分の立ち位置を認識して競争戦略として自分が勝てる道を切り拓きにいくってことですよね。ネガティブな見方かもしれないですけど、人生ってどんどん夢を失っていくものでもあると思っていて。例えば子供の頃に夢見ていたサッカー選手や宇宙飛行士にはなれないとか、自分には不可能だと諦める経験がどんどん増えていって、だんだん自分に期待しなくなり、やりたいこと(=夢)がわからなくなるって人は多いんじゃないかなって気がしてます。自分に期待しなくなったことで、自分がやりたいことも考えられなくなっちゃった、みたいな。籔さんはそれを諦めではなくて原動力に変えられているところがすごいですよね。ありのままの自分を受け止めて、丁寧に理解してあげた上で、コンプレックスを原動力に変えていきたいなと思いました。

アイ:

それはすごくいい流れな気がします。

籔:

河野さんとはもう付き合いも長いですけど、河野さんってきれいごとが多いなってずっと思ってて。でも、この5年ぐらいを振り返って、今スナオになった河野さんの成長も感じるし、僕のことをどう見られてきたかも気になるので、その辺を次回もっと話してみたいですね。

ーつづく・・?ー

※こちらは、2022/7/25時点の考えです
▼デザイン:割石 裕太さん、写真:船島 慶志さん、まとめ: 吉田 愛

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