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【番外編】シード期のスタートアップが強いチームを創るための要点 for『 Ignition Academy』 |組織創りの羅針盤 by Genesia.

HR-COMPASS

ジェネシア・ベンチャーズでは、創業前~創業期の起業家とスタートアップ向けに、実践型講義や個別メンタリングを組み合わせた創業支援プログラム 『Ignition Academy(イグニッション・アカデミー)』(旧:『Entrepreneurs Academy』)を開催しています。

※2024/6/7まで:『Ignition Academy 2024』は、現在エントリー受付中!

そのカリキュラムの中に必ずセットしているのが、創業期の「組織づくり」にフォーカスした講義です。「組織づくり」は、私たちがシード期の起業家にと経営チームに、特に伝えたいテーマの一つです。

そこで本稿では、『Ignition Academy 2024』の開催にあたり、昨年の同講義のコーディネートを担当したGPの鈴木(タカ)と、今年の講義を担当する黒崎に、そのコンセプトについて聴きました。

※実際のプログラム内の講義は、ゲスト講師の方からのお話をメインに構成しています。ゲスト講師の実体験からの学びや気づきを得たい方は、ぜひ『Ignition Academy』へのエントリーをご検討ください

スピーカー

組織づくりに重きを置くようになったきっかけは?

タカ:学生時代の部活動とボランティア団体での体験

僕は高校生の頃までサッカーをしていたんですが、そこで組織づくりに失敗したという経験があります。人の気持ちを慮るという概念を持っていないキャプテンだったので、メンバー全員から反感を買って、チームを追い出されてしまったんです。その経験があったので、リーダーという役割は大変なだけでめんどくさいものだと思ってました。でも、大学時代になりゆきでボランティア団体の代表を務めることになりました。ある意味、サッカー部にはサッカーをしたいメンバーが集まっていたし、技術の差や勝負の結果といったわかりやすいことで語れる部分もありましたが、インカレのボランティア団体となるとそうはいきませんでした。大学も違う、学部も違う、年次も違う、団体に関わるモチベーションも違う、放っておいたらすぐバラバラになってしまう― そんな団体をどうまとめていくかということを考えたときに、そこに所属する意味づけやビジョンのようなものの存在について考え始めました。リーダーシップをとることには前向きじゃなかったものの、せっかく代表を引き継いだのであれば、その団体をより良くより長く続くものにしたいと思ったからです。

それらの経験が、僕がリーダーシップや組織のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の重要性に目を向ける大きなきっかけになりました。

その後、新卒ではサイバーエージェントに入社。同社がまさに組織づくりを重視する会社だったことが間違いなく僕の意識を形成していますが、営業チームを管掌していた時期などはやっぱり組織づくりに失敗していました。営業チームは数字という成果が全てだったので、一人一人のメンバーの気持ちに寄り添うというよりは、完全に仕組み化するマネジメントをしていて、やっぱり反感を買うことがあったんです。雰囲気は、お世辞にも良いとは言えない状況でした。そこから僕が改めて、組織やリーダーシップに意識を向けるようになったのは、同社が、成果を出していることは大前提として「組織が求める優秀な人材」と「成果だけの人材」というのをはっきりと分けていて、後者は昇進させてもらえない仕組みだったからです。当時の僕は、完全に成果だけにフォーカスしている状態。成果は出しているのになかなか正当な評価やポジションがもらえないと感じていて、経営陣に文句を言ったこともありました。でも徐々に「組織の評価基準ではなく、自分の方が何か違うんだ」ということを理解していきました。

学生時代から、哲学や宗教学を通じて「人はなぜ生きるか」といったテーマに興味を持っていたこともあり、「人が何を信じて生きるか」「何に意味を見出すか」(仕事においては、それが会社のMVVであったり、会社と個人の目指すもののアラインであったり)ということの重要性については、その後は比較的すんなり認識できたかなと思います。

黒崎:リーダーシップを発揮した上での大きな成功と失敗の経験

タカさんのお話との共通点として、僕も大学一年の頃に論語や倫理等のかなり多くの本を読んだ時期があって、やっぱり「正しい生き方」のようなことを考えていました。一方で、違いを挙げると、タカさんのように学生時代からリーダーシップをとるような経験はなくて、どちらかといえば一匹狼タイプ。自分の意志がそれなりに強かったので、自分で決めて自分で実行するのが一番理に適っているという考え方でした。ただ、その後、リーダーシップをとることを決めたタイミングがあって、成功して、失敗して、それらを繰り返しながら今に至るというのがおおまかな流れです。

最初の成功体験は、2011年に新卒で富士通に入社した直後でした。その前月に東日本大震災が起きて、その惨状を目の当たりにしました。富士通は入社式を海浜幕張で行うんですが、あの地域は液状化の被害がとても大きくて・・そこでとにかく何かしなくちゃいけないと思い、当時の自分としてはかなり勇気を出して、イニシアティブをとって社内で募金活動を行うことにしました。新卒の同期だけでも700人近くいたので、この母集団だけでも相当な募金が集まるのではないかと。人事部と交渉して、入社研修のあとに毎日募金を呼び掛ける時間をもらいました。協力してくれる同期を募って40人くらいの仲間も集めました。中には「偽善的だ」と批判する人もいたんですが、向き合ってとことん会話もしてみました。結果的には少なくない金額を集められて被災地に一定程度の貢献できた成功体験になりました。そこで僕が学んだのが、何かをやろう / やり切ろうという“意志”や“情熱”の大切さ。そこに人がついてきて、大きなことが実現できるんだ、ということでした。

ただ、その“意志の力”だけに拠ったリーダーシップには、良い面も悪い面もある。その悪い面が露呈したのが、Sansanに転職してからのマネジメントでした。僕の情熱や意志に「ついてこい」というマネジメントをしたことで、離れていってしまうメンバーもいたし、批判をもらうこともありました。そこで、自分以外の人の意志や感情、欲求に目を向けるようになりました。僕にとっては仕事が人生のメインテーマの一つだけど、そうじゃない人もいる。そういった気づきをたくさん得た時期・経験でした。そこから特にドラッカーの著作などを読み始めて、徐々に組織づくりの大切さをインプットしていた感じです。組織のMVVへのコミットメントは、僕は人一倍強かったと思うんです。それを評価されてもいた。でも、そのノリをメンバーに同じように求めるのではなく、マネジメントとして、メンバーそれぞれの方向性とアラインするようにコミュニケーションを整理するとか、そういった働きが必要なんだということを学んで体験でした。

組織づくりのトレンドや潮目の変化とその要因とは?

タカ:経済の状況と、SNSなどによる多様性の可視化

僕は、経済成長や社会の成熟度と連動していると感じています。軍隊的な会社組織で一人一人がフォーカスされなくても、事業がぐんぐん成長して給与も上がっていくという状況があれば、ほとんどの人がそれで幸せや豊かさを享受できていたんだと思います。SNSもない時代には、多様な価値観というものが表出していなかった。ある意味ですごくシンプルな状態だったのかなと。でも、失われた30年と呼ばれる時代の中で経済は停滞気味。同時にスマートフォンやSNSの普及によって、多様な価値観が広く認識されるようになった。価値観というのは元々多様だったはずなんですが、人々が自分の感覚や意志、他人との違いに“気付きやすくなった”んだと思います。そういう背景から、組織の在り方や一人一人の向き合い方というのも変わらざるを得なくなった。2010年くらいから、現場にもわかりやすく表れてきたのかなと感じています。

黒崎:受けた公的教育のメッセージが混在している状況

Sansanでマネジメントに苦労したタイミングが、まさに2010年代の前半〜中盤なので、タカさんの言うその変化が表出し始めた時期と重なっている気がします。

僕は、教育の変化との関連があるのではないかと感じていました。僕の前後の世代は、それまでの画一的な教育から、ゆとりを持たせたり多様な学びを得る機会を設けたりという教育への過渡期だったと思います。今はさらに多様な学びの場があるはず。そういった、受けた教育のメッセージが違う世代が社会に混在している状況が、人と人との関係性やコミュニケーションの在り方にわかりやすく影響しているのかなと思います。

トレンドに合わせた組織づくりを、スタートアップはどう考えるか?

タカ:あくまでも、チームの「得意」と「成果の最大化」の重なりが最重要

トレンドへの視線は持ちつつも、組織のマネジメントについて考えるとき、本当に多様性を重視すべきかどうかは、組織の性質や目指す方向によると思います。例えば、営利を追求する組織であれば、業績を最優先事項としてまっしぐらに動ける人材が必要。一方で、イノベーションの創出やクリエイティビティの発揮を目指す組織では、個々の能力を最大限に解き放ってもらうことが重要です。特に、急成長を求められるスタートアップにおいては、前者の視点も決して外せません。

また、スタートアップの立ち上げ期においては、起業家や創業チームが不慣れだったり苦手だったりすることを無理に実行しようとすることで失敗するケースもあります。そのため、起業家や創業チームの得手不得手、それまで所属していた環境やバックグラウンド、リーダーシップ経験の有無などに由来する組織づくりの思想などが表れることは、決して間違いではありません。得意であり、最も成果の最大化に繋がりやすい、その両者が重なる方法で組織づくりをするのがよいと思っています。

黒崎:全員の多様性や自律性だけに着目するのも、ある意味では多様性がない

多様性が求められる傾向はたしかにあります。でも、必ずしも全ての人が自律性を持っているわけではないということも認識しておく必要があると思います。人には「自分で考えたい」「自分で決めたい」という欲求があることは間違いないであろう一方で、例えば仕事においては「信じるものがほしい」「指針がほしい」という人もいるはずです。むしろその方がマジョリティかもしれない。組織として同じ方向を向いて成果を出していくためにはやっぱり一定の指針も必要です。

また、組織づくりには「守破離」のようなものがあって、実はその基本的なところは時代を経てもあまり変わっていないのではないかとも思います。その点、完全な多様性が担保されている自律分散型の組織というのは「離」というか応用編に近い感覚。組織の立ち上げ期に実践すべき“基本のキ”としては、みんなで決めたことを一人一人がきちんと遂行する、必要なことはメンバー同士で助け合う、といったこと。そこをすっ飛ばしてしまうと、後々つらい。その基本的な部分が整ったら次のエッセンスを加えていくというように、段階を踏んでいくのがよいのではないかと思います。

お知らせ

「シード期のスタートアップが強いチームを創るための要点」という講義を含む、ジェネシア・ベンチャーズ主催の創業支援プログラム『Ignition Academy 2024』は、6月7日(金) 23:59までエントリー受付中です。

今年の同講義には、株式会社令和トラベルの代表取締役社長・篠塚 孝哉さんをゲストスピーカーとしてお迎えします。

起業や資金調達、事業アイデアのブラッシュアップ、スタートアップ組織の立ち上げなどを検討・準備されている方からのお申し込みをお待ちしています!

※2024/6/7まで:『Ignition Academy 2024』は、現在エントリー受付中!

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