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【NOMU】Be better!なビバレッジ体験を —ビッグジャイアントを超える可能性を信じる理由|Players by Genesia.

インタビュー

大学時代のゼミで、教官のH先生から「“魂”を英語で表現すると?」というお題を出されたことがあります。

多くの学生が「Spilit」「Soul」「Ghost」などを挙げました。自由回答だったので、正解はなかったのですが、H先生が「Mind」や「Free」「Wind」といった案も挙げてくれて、思考が広がったことをよく覚えています。

―今回、その体験を思い出したのは、魂とは「Culture」ではないかという一つの案が提示されたように思ったからです。

長く続くもの、長く伝えられるもの、長く愛されるものには「魂」が宿っている。それを生み出した人の「Culture」が残り続けているということなのではないかと。

魂≒Cultureの存在を改めて信じてみたいと感じたのと同時に、では「“Culture”を日本語で表現すると?」と新しいお題を出されたように感じた回でした。


NOMUは、「Freedom/自由」を軸に日常の水分補給を再定義するライフスタイルブランドです。リユースカップ式自動販売機型ドリンクマシン『NOMU POD』、同マシンを店舗向けに開発した『NOMU BREW』の開発・提供、そして直営カフェ&ストアの運営を通じて、誰もが自分らしいものを好きに選べる自由な体験を提供しています。

多彩で多様性溢れるメンバーとインベスター、そして、自由で楽しいプロダクトとサービスを創るカルチャーとアイデア。すべてがNOMUのビジネスを形づくっています。

率いるのは、ハッピーなスピリットに溢れる代表のBakuさん。そのバックグラウンド、これまでに見てきた景色、そしてこれからを描くビジョンについて、投資担当の祝が聴きました。

  • デザイン:割石 裕太さん、写真:尾上 恭大さん
  • 聞き手・まとめ:ジェネシア・ベンチャーズ PR Specialist 吉田 愛
  • 以下、敬称略。森國さんの呼称は、私たちが慣れ親しんだ「Baku(さん)」とさせていただきます🍹

今にも繋がる「freedom」の思想を浴びて、ベルリンで育った幼少期

祝:

今日はオープン直前(※取材時)のカフェ&ストア『NOMU Shibuya』にお伺いしています。フードもドリンクもいただいておなかいっぱいでリラックスしちゃってるんですけど、いろいろお話をお伺いしていきたいと思います。Bakuさん、改めてよろしくお願いします!

ようこそ『NOMU Shibuya』へ!よろしくお願いします!

祝:

最初に、Bakuさんの生い立ちみたいなところからお伺いしてもいいですか?

Baku:

僕は、当時まだ東西に分かれていたドイツのベルリンで育ちました。ベルリンを含む西側は自由の世界。一方で、東側は独裁者がいた非常に厳しい世界。そのギャップを目の当たりにしてましたし、アメリカとフランスとイギリスが西側をショーウィンドウ的にマネジしてたので、「自由というものは非常に大事だ」という思想を浴びて育ってきました。NOMUのコンセプトにも「freedom」と「resposibility」を取り入れているあたりに影響があるかなと思います。

祝:

ご両親はなぜベルリンに?

Baku:

父がジャーナリストだったからです。

祝:

生まれも育ちもベルリンなのですよね?

Baku:

そう。学校もドイツのローカルスクールに通ってました。 当時やっぱりアジア人ってそんなにいなかったので、マイノリティな存在でしたけど、普通にアダプトして育ちました。

祝:

小さい頃や学生時代に没頭したこととかすごく時間をかけて頑張ったこととかありますか?

Baku:

スポーツが好きだったので、フェンシングをしてました。ベルリンでTOP3にはいつも入ってたかな。2000年のシドニーオリンピックでメダルを目指そうという話もあったくらい。ポーランド人のコーチがペンタスロンっていう競技のワールドチャンピオンだったこともあって、スポーツマンシップとスポーツで頑張るってことを学んだと思う。

あとは、けっこう早い時期からソフトウェアの開発にすごく興味を持ってました。当時はまだ WindowsじゃなくDOSで、ハードディスクも30MBが世界のトップみたいな時代。パソコンもソフトウェアもゲームも、テレビのアンテナのケーブルを繋いだりして、全部手作りしてました。 みんなおもしろがって自分でどんどん触ったり作ったりするから、そうなると、学校の先生たちよりも生徒の方がノウハウを持ってる状態だった。つまり、ティーンエイジャーたちが先生よりもスキルやノウハウを持つことができるんだってことをすごく実感しました。それから、友達とグループを作っていろんなものを開発し始めました。

家族のバックグラウンドや周囲の環境から、自然と起業を選ぶ道へ

祝:

最初の起業は大学生の頃なんでしたっけ?

Baku:

ハイスクールの時です。ドイツでは当時から18歳からが大人なので、僕たちも18歳からビジネスを始めました。インターネットはAOLという会社がリードしてた時代。年齢に関係なく、コードを書いてソフトウェアを作って、それでお金を儲けられるのはすごいなって思ってました。

祝:

大学はロンドンの方に行かれていますよね?起業しながら大学に進学したんですか?

Baku:

そうそう。ソフトウェアのビジネスだから、どのみち家からリモートで参加してたし。大学卒業後はまたドイツに戻りましたけどね。

僕たちはずっとC向けのソフトウェアを開発してたんですけど、ISDNっていう技術が出てきて、また世界が一変しました。それこそ、アナログの世界からデジタルの世界に。それから、C向けのサービスに加えて、B向けのソフトウェアも開発するようになったんです。日本だとソフトバンクがパブリッシャーを始めた頃だったかな。それで、ソフトバンクにコンタクトしようかなとかと考えてた時期もありました。

祝:

そのソフトウェアビジネスはどのくらい続けられていたんですか?

Baku:

1998年から、5-6年かな。

祝:

起業という選択肢は、Bakuさんにとっては自然なことだったんですか?

Baku:

そうですね。たぶん一つは、家族のバックグラウンド。父方の家系は医師が多いんだけど、母方の父— つまり僕の祖父は、北九州の小さな町ではちょっと有名なアントレプレナーだったんです。周りに非常に厳しい人だったんだけど、僕にとってはいつも優しいおじいちゃんで、いつも事業のことを教えてくれたし、「本当に社会を変えていくためには、アントレプレナーとして活躍しないといけないよ」って言われてたし、その影響はあったかもしれないな。

あともう一つは、やっぱり僕が育ったヨーロッパの環境。みんながいつも新しいチャレンジをしてた。NOMUに投資してくれてるエンジェルも僕の中高生の頃の友達だったりするんだけど、自分でチャレンジして成功してる人が多いね。Toniは学生時代に一緒に起業したメンバーの一人で、事業の売却後、僕は「一度は大企業も経験したい」って言ってソニーに入ったけど、彼はまた別の会社を立ち上げた。あとはアーティストもいるね。NOMUの初期にデザインのアドバイスをしてくれてたのが、ドイツではけっこう有名なラッパー。

祝:

個人的には、ヨーロッパって日本と少し似ていて保守的なところがあるイメージだったんですけど、Bakuさんの周りには特にそれこそ起業家精神がある人たちやチャレンジャーが多そうですね。

初めてのEXIT後は、大企業・ソニーへ。そこで経験した、“沈みゆく船”の中

祝:

学生時代に起業した会社を閉じた後はソニーに入られましたが、大企業に入ろうと思ったきっかけは何だったんですか?

Baku:

いろんなオポチュニティがあった中で、業種という意味でも規模という意味でも、それまでとは全く違う世界に飛び込んでみたかったんです。当時のソニーと言えば、世界のトップ企業。代表の大賀さん(大賀 典雄氏)がベルリンの大学を出ていたというリンクもあって、ベルリンにソニーセンターが作られた時期でもありました。ちょうど2000年かな。そんなすごい大企業の中は一体どうなってるのかなと非常に興味があって、その環境を体験するために、今でいうAppleとかTeslaに入るような気持ちで入社しました。

祝:

結果的にBakuさんのキャリアの中で一番長いのはソニーだと思うんですけど、ソニーで実際に働いてきた中で一番印象に残った事業だったり学びだったりってどんなものがあるんですか?

Baku:

幅広い仕事を経験することができたので、全てにおいて本当にありがたいなと思ってます。その中でも一番の経験は、世界のトップ企業が凋落していくところに立ち会ったこと。僕が入社してから一年くらいまでは間違いなく世界のトップ企業だったのに、そのポジションが一気にドーーーンと崩れていきましたから。

祝:

たしかにちょうどその時期と重なるんですよね。

Baku:

ソニーのトリニトロンと言えば、ブラウン管テレビの世界一の技術だったのに、ものすごいペースでその技術の価値がなくなって、液晶テレビに取って代わられた。工場の価値も、それまで投資した設備の価値も全てなくなって、一気に“トリニトロン=古い技術”というブランドになってしまった。『Interbrand』っていうブランドのランキングも一気に順位が下がった。まさに凋落を目の当たりにしました。そこから毎年の構造改革の費用を見ても、半端じゃなかった。

そこで感じたのは、今インダストリーNo.1の大企業であっても、常に自分たちをReinventしないとそのポジションは全く守れないということ。そして、一つがひっくり返ると、もう追い越せないんですよね。次々に変わっていってしまう。ソニーの場合、始めはテレビ、その後にオーディオ― ディスクウォークマンとミニディスクがMP3プレーヤーに取って代わられて、違法ダウンロードが一気に普及した。それをカウンターするために、ソニーもいっぱいお金をかけてミュージックプラットフォームを作ったんだけど、それもやっぱり全部ダメになりました。なぜかと言えば、ソニーは自分たちでミュージックビジネスを持ってたから。それを守ることしか考えてなかったから、ユーザーが使えない不便なシステムを作ってしまった。技術が変わってユーザーの習慣が変わると、それまで最高の価値を持っていたものも一気に無価値になるんだということを本当に実感しました。あれこそが本当のDisruption。そして、急に全部がライトオフしてしまっても、従業員はたくさんいるし、それまで投資してきたバリュープロポジションがあると、なかなかスイッチの切り替えができない。まさに沈みゆく船の中にいました。

祝:

圧倒されますね。

Baku:

翻って今は、ビッグジャイアントと戦うスタートアップにもチャンスがあると思ってるけどね。Disruptionというのは、最初はゆっくりかもしれないけど、あるタイミングで一気に全てを変える。それを身をもって体験したから。

ビッグジャイアントに挑む。中にいたからこそ信じられる、スタートアップの可能性

祝:

僕たちもVCとしてスタートアップの事業を見るときに、「大企業が競合になり得る」と考えます。でも、「大企業にはイノベーションのジレンマがあるから、新しい技術や生活様式へのスピーディな適応が難しいんじゃないか」とも考えます。Bakuさんはまさにその言葉通りの体験をされたってことですね。しかも、日本の本社よりも海外拠点って崩れるのが早かったんじゃないかと思うんです。リストラとか、よりダイナミックな構造改革も経験されていますよね。新しいプレーヤーにDisruptionされる側の大企業の立場にいたのは、スタートアップの起業家としてなかなかユニークな経歴だと思います。

Baku:

今まさに同じことが車業界なんかでも起こってるし、AIのDisruptionも凄まじいよね。コアのパラダイムが変わると、一つだけじゃなくて本当に全部がひっくり返る光景を、僕は目の当たりにしました。アナログからデジタルの世界に変わって、テレビ、オーディオ、カメラと全部が順番にひっくり返されていった。最後の最後にまだチャンスがあったのはデータセンターだったんだけど、ソニーはそこでも機会損失をしてしまった。大企業って自分たちのデータセンターをあちこちに持ってたんです。ソニーもヨーロッパだけで5つくらい持ってた。でも、それを事業化するなんてことは誰も考えなかったの。クラウドサーバというニーズが出始めの頃だね。その点、Amazonはもともとスタートアップだったから、自社の物流・倉庫運営を支えていたクラウド基盤やデータセンターを外部企業向けのホスティングサービスとして展開する、という発想に至った。

祝:

価値の下がっていく自社技術への対応と、全く新しいイノベーションを起こすことを同時に検討・実行しなければいけない状況は非常に難しいですよね。でも、それをしないと、本当に立ち行かなくなってしまう。

Baku:

あと、ちょうど少し前にソニーがBlu-rayを止めるってニュースが出てたけど、Blu-rayを始めた当初、僕もちょうど日本の本社にいたんだよね。ソニーがBlu-rayを作って、東芝が HD DVDを作って。昔のVHSとベータみたいにフォーマットのバトルが繰り広げられてた。ものすごい金額をかけて、マネジメントは皆そちらにリソースを割いてた。でも、その裏で実は全く違うパラダイムシフトが起きてたんだよね。それが『Netflix』。つまり、ストリーミングへのシフト。それこそMP3からしてストリーミングへのシフトがもう始まってたのに、ソニーはやっぱりまだまだ自分たちの工場をどう資産に替えていくかっていう発想だったから、ここでも巨大な金額とオポチュニティのロスをした。

祝:

歴史ある大企業となると、どうしても刷り込まれたDNAみたいなものがあって、発想が今の延長線上のものになってしまうってことはあると思います。その点、スタートアップはゼロから発想できる。それまで当たり前とされてきたものを純粋に疑える。そこを覆すのはたしかに難しいチャレンジなんだけど、成功すれば取れるパイが本当に大きい。それがスタートアップビジネスの醍醐味ですよね。

Baku:

そのインダストリーに全く関係ない人たちが新しく参入することには、実はものすごいオポチュニティがあるよね。インダストリーが育っていくと、多くのプレイヤーが「何ができる/できない」という“常識のケージ”の中に入ってしまうから。それこそイーロン・マスクみたいに、車やロケットの領域に新しく参入してゼロからチャレンジできるのはやっぱり大きい。僕らも同じだと思ってる。ビバレッジ業界に外部からチャレンジしてるからね。

ソニーを飛び出してNOMUとして挑む、フード&ビバレッジ領域のアップデート

祝:

大企業の中でのご経験があったからこそ、Bakuさんは「スタートアップが新しい発想でトラディショナルな産業をアップグレードしていくことができる」っていうイメージが持てたと思うんですけど、それが今のNOMUの事業にどう繋がってきたのかを伺ってもいいですか?ヨーロッパから日本に戻ってきたときに見えた景色なども含めて。

Baku:

やっぱりドリンクやフードの領域— ビバレッジ業界っていうのは、言ってしまえば昔からのプレイヤーが多い。その時々のトレンドとかでダイナミックに変化する部分もあると思うんだけど、ファンダメンタルな変化はそこまで起こってないのかなと。あと、エクスペリエンスそのものにもアップグレードの余地があると思いました。食べることと飲むことは、何が起きても人間が絶対にしないといけない行為だから、元々非常に興味持ってたインダストリーではあって。DX以上に、本当にパラダイムシフトみたいなことができるんじゃないかなって。

祝:

大企業で20年勤めて、もう一回起業— しかも慣れ親しんだヨーロッパではなくて、日本でスタートすることにしたきっかけや想いはどんなものだったんですか?

Baku:

ソニーで日本の部長職になって、ヨーロッパでもシニアレベルになって、キャリアの一つのフェーズを迎えたときに、正直ちょっとその次のステップが見えづらかったんです。やっぱり大企業ってピラミッド型の組織だから、昇格するにしても上のポジションがオープンになるまで待たないといけないし、ビジネスがどんどん広がって新しいポジションができていけばいいけど、事業が縮んでいくとポジションもどんどん少なくなっていく。僕は2021年に日本に来て、 三年くらい日本にステイしていた中で、次のキャリアについて上司とも継続的に話をしてたけど、あんまりやりたいことがなかった。やるなら何か完全に新しいことを始めたいなと思った。それで、NOMUみたいなアイデアをソニーの中で始めようと思ってたんだけど、ソニーの事業とはあんまり関係ないし、会社が「外でやるのはどうか」「インベスターも紹介する」って言ってくれたこともあって、じゃあ自分でもう一度ゼロからチャレンジしてみようかなと。

「カルチャーをスケイラブルにすること」こそ、スタートアップのチャレンジ

祝:

Bakuさんが再チャレンジを決めた当時、そして僕がBakuさんに出会った当時は、まだ日本でもネットワークがほとんどなかったでしょうし、日本とヨーロッパのカルチャーの違いも感じていた中だったと思います。それでもシードで累計7.5億を集めたことは本当に素晴らしいと思う一方で、やっぱり大きなプレッシャーもかかっているんじゃないかと思います。Bakuさんが感じているNOMUへの手応えだったり、創業当初と今で感じている確信の差だったりってあるんでしょうか?

Baku:

元々はサステナビリティなコンセプトとドリンクマシンというプロダクトをメインに考えてたけど、その世界観を作っていくことに対してインベスターからもらったフィードバックは非常に大事だったかなと思ってます。うちの投資家のポートフォリオは非常にDiverseで、彼らがいる地域でこんなビバレッジのオファリングがあるとかこんなブランドやチェインがあるとか、多くのインフルエンスがあって。そうした会話から、新しいアイデアやビューが生まれてきました。

祝:

そうですよね。当初はもうちょっとシンプルに、自動販売機を置き換えていくみたいな方向性でしたけど、今はカフェ&ストアもあって、飲み物屋さんっていうよりは「ドリンクを媒介にした新しいIP プラットフォーム」みたいに進化してきましたよね。オリジナルのボトルにオリジナルのラベルを貼ったり、キャラクターを生み出したり。新しいソーシャルネットワークを作っているような世界観で、僕たちも一層のワクワク感を感じています。だからこそ、ジェネシアも二回リード投資しました。

Baku:

確信を強めるって意味では、会社として、これからもっともっとカルチャーをシェイプしていくことが非常に大事かなと思ってます。ハードウェアとソフトウェアの両方が必要な事業なので、まずリモートワークはあり得ない。プロダクトを触って、食べながら飲みながら作っていくのが大前提。今はすごくクローズドにLike-mindedなチームができたかなと思ってるけど、やっぱりこれからファシリティも店舗も増えていく中で、そのカルチャーをスケールしていくことがすごく大事だなと。その点、大企業はファウンダーのスピリットとカルチャーを継承してスケイラブルに組織を作ってきているから、本当にすごいなと思う。スタートアップのチャレンジも、NOMUでの僕もチャレンジも、自分たちのカルチャーをスケイラブルにすることでもあるかなと思ってる。

『The proof is in the pudding』— ものづくりこそ、やってみなくちゃわからない

祝:

C向けのスタートアップを見ていると、やっぱり会社のカルチャーやDNAの影響力が大きいと感じます。発想を膨らませて、どんどん新しいものを作れる会社が伸びる。いくら経験値があっても、発想が凝り固まってしまっていてはなかなか新しいものは生み出せない。特にC向けのサービスでは、そういった印象がすごくあります。その点、今日この場所を見ていても、NOMUはそこかしこに新しいアイデアが取り入れられてるなって思います。これってどういうカルチャーがベースになっているんでしょう?

Baku:

会社のPrincipleとして、「Day1からBe Betterにどんどん改善していこう」があります。あとは、英語に「The proof is in the pudding(論より証拠)」って言葉があるんだけど、この「やってみないとわからない」ってことも僕たちのスピリットかな。

祝:

実際に食べて飲んで体験するプロダクトですしね。

Baku:

僕は通勤バスの中でいつもアントレプレナーのPodcastを聴いてるんだけど、例えば、『Koenigsegg(ケーニグセグ)』っていうスウェーデンの会社のファウンダーは車のエンジニアじゃないんだけど、本当にすごいスーパーカーを作ってる。共感するところとしては、全部インハウスで作るっていうこと。イーロン・マスクもそう。彼もやっぱり工場が大事だって言ってる。Koenigseggのフィロソフィーは、「Show must go on(幕が上がったら、何があっても最後まで続けなければならない)」だそう。ハードウェアを提供するということは、何かが起きたり崩れたりしたときに、それを直さないといけないってこと。ソフトウェアのアップデートは非常に簡単なものなんだけど、ハードウェアってやっぱり超大変だから、そのメンタリティはやっぱり必要。悩んでても議論しててもわからないから、まずやってみようっていうのが大事だと思ってる。僕は、NIKEの「Just do It」と、Appleの「Think Difference」と、NOMUの「Be Better」を同じくらいのレベルにしたいと考えてる。

「The Factory is the product」— ものづくりにおける工場の大切さを思い出そう

祝:

一緒に中国のマニュファクチュアラーでOEMを探しに行った時は、既製品をちょっと変えて使うことを検討してましたけど、結局は自分たちで全部開発したんですよね。やっぱりゼロからものづくりをすることは難しいし、開発力もコストもものすごくかかると思います。

Baku:

リスクもある。

祝:

僕、知らなかったんですよね(笑) 出張の時に話してたマシンと、実際に「できたよ」って見せられたマシンは全然違うもので。こんな感じになったんだ!ってその時に知りました。結果的に、本当に新しい、これまで見たことがないようなものができたと思うんですけど、当初はびっくりしました。

Baku:

またソニーでの話に戻るんだけど、ブラウン管テレビとアナログの技術がダメになって工場が使えなくなった後から、ソニーはずっと「アセットライト」って言い続けて、工場を全部アウトソースした。直近で、テレビも中国のTCLに売らせることにした。でも、イーロンマスクのPhilosophyでもあるけど、「工場が一番大事」なんだよ。ハードウェアを提供する上では、ものをつくることが一番大事なので、そこをアウトソースするメリットはないの。プロフィットのアウトソーシング契約って、基本的にはメーカーの方でコストコントロールができなくなるってことで、利益は全部アウトソース先にいってしまうんだよ。だからメーカーが利益を上げるためには、トップラインを伸ばすことしかできない。競合の多いマーケットでトップラインが伸ばせなくなると、もう本当にルーズゲームになってしまう。

祝:

今の中国のEVなんかもそんな雰囲気が出てきていますね。

Baku:

どこかのタイミングでテスラが日産を買うんじゃないかって話が出てきた時に、それに対してイーロンマスクが「そんなことは絶対に起きない。なぜかというと、テスラは工場だからだ」というようなことを言ってた。テスラの工場と日産の工場とじゃ全然違うから、そんなのあり得ないよって。「The Factory is the product」だって。

一癖も二癖もあるDiverseなメンバーが集う、TEAM NOMU

祝:

まだまだ初期的なフェーズとはいえ、チームもだいぶ成長してきましたよね。メンバーもめちゃくちゃダイバーシティ。そもそもBakuさんがヨーロッパと日本のハイブリッドみたいな感じだし、最初の開発メンバーは南アフリカとオーストラリアから参加してましたよね。インドの方も。

Baku:

南アフリカ、インド、インドネシア、フィリピン、フランス、スロバキア、アメリカ、ルクセンブルク、ドイツ、ニュージーランド、メキシコ、もう本当に世界中から来てる。

祝:

日本でそのグローバルチームをどうやって作ったんですか?どうやってそういう人たちを引きつけていったの?

Baku:

僕自身が英語をメインで使っていることが大きい部分もあるけど、やっぱりチャレンジャーが集まってきてると思うんだよね。まず海外から来る人たちは、違う国に行くっていうだけで一つの大きなチャレンジだし。プレシードの頃なんて今みたいなPR活動もしてなかったから、Googleで検索しても出てこないようなWEBサイトしかなかったけど、でも、何件かあった応募を見ているとやっぱりチャレンジャーもいた。

祝:

採用面接をする時に「この人チャレンジャーだな」っていうのはどういうポイントで見極めてるんですか?

Baku:

まず僕たちは今のところ、人材紹介会社などに採用をお願いしない方針を採ってます。さっきの工場の話じゃないけど、自分たちがやるべきことをアウトソーシングするのはそれこそがいわゆる大企業病だと思うから。それに、チャレンジャーなら自分の力でNOMUでのチャレンジに辿り着くだろうと思っているから。その一番始めのステップでここまで来られなかったら、基本的にチャレンジャーじゃないなと。

祝:

なるほど。まずは辿り着くこと。特に初期のメンバーの採用方針としては良さそうですね。

Baku:

昨年プレスリリースを出してからは応募してくれる人もチームもだいぶ変わってきたし、これからストアやグッズを見て興味を持ってくれる人たちも出てくるんじゃないかと思う。

祝:

日本人のメンバーも増えてきたと思うんですけど、社内言語は英語ですか?

Baku:

意外と英語がメインになることが多いね。店舗のバイトさんたちは日本人が多いけど、留学経験があったり海外に興味があったりする人たちが多いから、日本語もありつつ、英語も使う。バイトさんたちの中からも、次のNOMUを支えるタレントが出てくるんじゃないかって期待してる。

『Everything is Awesome』— ポジティブなアクションはポジティブなマインドから

祝:

すでにグローバルかつダイバーな仲間が集まってきてくれてると思うんですけど、これからジョインしてほしい人物像を教えてもらえますか?ハードウェア開発が中心だったところから、リテールでブランドを作っていくフェーズにもなっていく中で。

Baku:

一番大事なポイントは、やっぱりチャレンジャーを集めるということ。ソニーも昔から、学歴だったりをあまり重視せず、とにかくクリエイティブな人材を採用するという方針を掲げてた。そこには共感する部分があります。あとは、今はAIの世界なので、MBAなんかで学んだことも使えなくなるであろう中で、Fixedな考え方だけじゃなくて、柔軟なクリエイティビティと新しいチャレンジに向かうメンタリティ、そしてそこに楽しさや喜びを感じる人が一番かなと思ってます。

祝:

アイデアを実現する=形にする部分はかなりできるようになっている時代なので、大胆に、常識に捉われないような発想を持ってきてくれる人に入ってきてもらいたいですよね。僕自身も、乗り遅れないようにご一緒していけたらと思います。

Baku:

祝さんもチャレンジャー!

祝:

ちなみに、Bakuさんっていつもニコニコ朗らかなイメージがありますけど、意識してることとかありますか?厳しくなる時ももちろんありますよね?

Baku:

厳しい時ももちろんあるけど・・これまでにいろいろなマネージャーを見てきて、厳しく叱りつけることはネガティブスパイラルに繋がると感じた。部下は怒られないようにと、ディフェンシブなアクションを取り出すから。それってすごく時間の無駄だなと。もちろん怒らないといけない時もあるけど、子どもたちと働いてるわけではないので、怒る行為にはあんまり意味がない。僕たちは『Everything is Awesome』というフレーズも掲げていて、スポーツの時もそうだったけど、アクションは頭の中から始まるから、スピリットをポジティブにすると、アクションもポジティブに進むと考えてるよ。

※これは、2026年6月24日時点の情報です

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