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【創業の軌跡】Vol.14 ELEMENTS/久田 康弘

PODCAST

第一線で活躍している起業家の創業からの歩みについてお話を伺う「創業の軌跡」。第14回目となる今回は、株式会社ELEMENTSの創業者・久田さんをゲストにお迎えしました。本稿は要約版になりますので、フルver.についてはぜひPodcastで聞いてみてください。

証券会社で培われた経営の視点

一戸:

創業の軌跡、第14回目のゲストは、ELEMENTSの久田さんにお越しいただきました。
 久田さん、よろしくお願いします。まずは簡単に会社とご自身のご紹介をお願いできますか?

久田:

ELEMENTSの久田と申します。弊社は、大量に学習した人間のデータを活用するソリューションをさまざまな企業向けに提供している会社です。私は証券会社でクロストレーディング、ベンチャーキャピタルやベンチャー企業のIPO支援コンサルなどを担当して、それから起業しました。

一戸:

久田さんの中に起業しようという想いが芽生えたタイミングやきっかけはあったんでしょうか?

久田:

起業というか、ベンチャー企業を最初に意識したのは高校生のときでした。ちょうどライブドアさんがさまざまな活動を通じて世の中に大きなインパクトをもたらしているのを目の当たりにして、次の時代を作っていくような流れみたいなものを強く感じました。

一戸:

慶應大学の法学部に進学したのはなぜだったんでしょう?

久田:

元々は数学が大好きで、高校時代もすべての試験で満点をとったのは僕だけだと言われていたくらいで自信もあったんですが、いろいろなベンチャー企業の中でも特に憧れていたマイクロソフトのビル・ゲイツさんが法学部出身だったんです。世の中のシステムは法律のもとで動いているので、彼のように、システムと法律の両方を理解できれば僕も大きく成長できるんじゃないかなと考えました。

一戸:

そこから、新卒では証券会社を選ばれた。

久田:

当時、数学を使った仕事って証券会社しか存在していなかったんです。ちょうど僕が卒業するくらいの時期にGPUが出てきたところで、それ以前もCPUで自然言語処理の簡単な機械学習はできていたんですが、それでもパソコンを24時間回しっぱなしという状況で、社会実装には程遠いなという感じでした。数学を使った仕事の中では、金融だとすでにデータが数字に落ちているし、その時代は各証券会社が一番大量の計算資源を持っていたので、魅力を感じていました。

一戸:

証券会社に入社されてから実際に起業されるまで大体5年くらいだったのかなと思うんですが、どういったタイミングから具体的に起業を意識するようになったんですか?

久田:

二週間・・くらいでしょうか。僕が入社したのは大和証券とSMBCのジョイントベンチャーで、新卒を採用し始めたばかりの状況でした。新卒社員が、突撃でサイバーエージェントさんやGREEさんにコンサルしてこいと言われたりしていたんです。そこで経営の視点がすごく鍛えられたのと、やっぱり直接経営者の方とお会いしてみて、すごく魅力的だと感じました。

一戸:

事業アイデアなども考えながら働かれていたんですか?

久田:

そういう提案をしろと言われていたのもあるんですが、僕は純粋なIPOコンサルはほとんどしていなくて、経営者の方と一緒に、どうすれば売上が伸びるんだ?といった話ばかりしていました。その中で、海外のサービスを調べたり、その事例を交えて新規事業の提案をしたりしていたので、自然とそういう習慣がついていったのかもしれません。いろいろなニュースを見るたびに、事業になる可能性をずっと考えていました。

サービスにおける「手数」の少なさの重要性

一戸:

そこからLiquid(リキッド|ELEMENTSの前身)を創業することになると思うんですが、Liquidの最初の事業は何だったんでしょうか?

久田:

最初期は、アルゴリズムを作りながら、生体認証プロダクトを活かして社会実装できるサービスをいろいろと検証していました。日本というよりはアジアやアフリカのマーケットに目を向けていて、最初の大きな実証実験の場所はスリランカでしたし、僕自身もジャカルタやクアラルンプールに住んで、世界を飛び回りながらPMFの場所を探し続けていました。

一戸:

生体認証という構想はどこから生まれてきたんでしょうか?

久田:

大学生のときに犯罪を防止する外部研究機関でインターンをしていたときの経験がきっかけになっています。犯罪が多い国でインタビューをすると「働くよりも盗んだ方がラク」という動機が大きいんです。モノの移転だけで所有者が真になってしまうってすごく問題だなと感じていました。そこに対して、自分自身の情報だけで財物がコントロールできるようなソリューションがあれば、物理的な強盗や窃盗は明らかに減るだろうなと。

一戸:

それを具体的に事業にしようと思ったんですね。
 事前にいろいろな記事などを拝見していたら、最初はデバイス内蔵のカメラを用いたサービスを開発されていたという記載があったのですが、そちらは生体認証サービスの前にやられていたことなんでしょうか?

久田:

そうです。独立して二年くらいのときですね。サラリーマン時代の終わりの頃にスマートフォンが出てきて、当時、Appleさんもインテルさんもリファレンス機を持って売り込みをされてたんです。こういうものを出すからアプリを作ってくれと。でも、それまではiモードが世界No.1の市場だったので、スマートフォンのアプリを作るかiモードで出し続けるかが、当時の日本のIT企業の最大の悩みごとみたいな感じでした。
 ただ、僕自身は「スマートフォンはくる」という確信めいたものを感じていました。まず、キーボードなどの入力のインターフェースがないことで、人々はカメラなどを使ったノンバーバルコミュニケーションに移っていくんじゃないかという仮説がありました。そして、SNSとの相性です。それらが組み合わさることで、ものすごく大きなマーケットができるんじゃないかと。そうなると重要なのはカメラだろうと思いました。その頃ちょうどGPUの性能も少しずつ上がってきていて、機械学習を使った画像解析が研究領域ではホットだったので、それを活用したサービスで起業しようと考えて、いろいろな案件をやりました。

一戸:

久田さんが「スマートフォンはくる」という直感を働かせられた要因といいますか、何かしらの経験が活きたという実感みたいなものはありますか?

久田:

「手数が少ないほどいい」ということが大切だとずっと考えています。ユーザー視点で、覚えることや操作が少なければ少ないほど、そのサービスは流行るという感覚があります。入力しなくていいんだったらみんな入力したくないと思いますし、コミュニケーションに言葉を使わなくていいならみんな言葉を使わないと思っていて、それが本質的というか大きな社会的な力だなと思っているんです。スマートフォンにまさにそれを感じました。

一戸:

今現在、ELEMENTSでは生体認証だけではなく解析のところまで手がけられてると思うんですが、その事業全体の構想は当初からあったものなんでしょうか?

久田:

全体の構想はありました。元々僕自身が生体認証というものをかなり広く捉えていて、指紋や顔のような特定の部位の認証だけではなく、「その人が個たり得るものは何か」「約70億人の人類がそれぞれに自分自身の特徴を見出していくには何ができるか」ということを創業のテーマにしていたんです。そうなると、表面的な生体認証だけではなく、体形や消費行動、思考の特徴などを分析することも構想の中にはありました。あとはタイミング。今はそういった分析にも着手していますが、ベンチャーって基本的には一極集中がセオリーじゃないですか。なので、狭義の生体認証から徐々にサービスを始めてきました。

一戸:

大学時代に犯罪心理学などを学ばれた経験、そして、スマホやカメラとの出会い。それが化学反応を起こして、Liquidの創業に至ったんですね。

アジアでの実証実験の成果で日本企業からの信頼を得る戦略

一戸:

では次により具体的な事業について、まずは最初の顧客獲得とターゲット選定についてお伺いしたいと思います。2013年に創業、2015年に長崎のハウステンボスで生体認証による決済システムの実証実験を開始、2016年2月にイオン銀行のATMで生体認証システムの実証実験を開始、と、大企業を巻き込みながら事業を推進してこられたのにはどういった要因があったんでしょうか?

久田:

順調な話のようですが、それでも創業から二年後とかの話です。その二年間は、伝統的なアルゴリズムベンダーさんと比べられることも多く苦労もありました。でも、とにかく大量のデータ収集と機械学習処理にこだわりました。先述しましたが、先に諸外国での実証実験を始めていて、そちらでは徐々に評価を獲得していました。ハウステンボスさんは海外の実証実験の情報を見ていただいたのがきっかけになりましたし、イオン銀行さんも最初はマレーシアのイオンクレジットサービスさんからお声がけいただいてスタートし、そこから逆輸入的に日本側もご紹介いただきました。アジアから攻めて信頼を得ていくという作戦でした。

一戸:

今振り返ると大成功だと思うんですが、当時はご不安もあったと思います。海外に行くという意思決定の背景について教えてください。

久田:

そもそも創業メンバー全員で、日本企業に売りに行くというよりは海外で成功させるという想いを持っていました。CTOと僕で海外のコンドミニアムに住んでいたのも、そういった経緯です。生体認証って基本的にはサービスなので、人口が多いか人口が成長しているかでマーケットが決まっちゃうんです。日本ももちろん巨大なマーケットではあるものの、人口比や成長率を考えたら東南アジアやアフリカだろうと、そこで成功しようと考えていました。

中長期的に築く優位性から逆算したパートナー選定

一戸:

セキュリティの領域って、信頼性なども踏まえてスタートアップが苦労しやすい領域だと思うんですが、最初の顧客選びはどのようにしましたか?また、相性が良い / 悪い取引相手をどのように見定めましたか?

久田:

まずはちゃんと話を聞いてくれるだけでありがたかったです。その後は、僕らの技術やサービスを評価してくれる真剣さというか、「ジャッジができる企業かどうか」を見ていました。当時は今ほどのベンチャーブームではなかったんですが、徐々にAIブームみたいなものが来て、POCのお話もたくさんいただきました。そのときに、僕らと組むメリットはもちろんのこと、想定される課題や問題、失敗の可能性なども十分にお伝えするんですが、その上で、取れるリスクと取れないリスクの正当なジャッジができる企業は本当に少ないなと感じていました。その点を基準にパートナーを選んでいました。

一戸:

これも事前に拝見していた情報なのですが、ユーザのデータを自分たち(ELEMENTS)が持たせてもらうということが強みというか優位性だというお話がありました。これってものすごく難しいことじゃないですか・・?ましてやスタートアップです。そのあたりはどう突破されたんですか?

久田:

最初は、想いしかなかったです。そもそも大手のSIerさんですらユーザデータを保持していない中で、ベンチャーの自分たちがデータを預かりたいだなんて、当時はほとんど笑い話に近かったです。「え、なんで(笑)」と。ただ、そもそも生体認証には絶対的な正解がなく、基本的に集団の中でしか正解が決まらない。とにかく大量のデータを紐づけて、その中からしっかりと正解を見極めていかないと生体認証の精度は上がっていきません。そういったお話をさせていただきました。また、不正の話もしました。例えば、ユーザデータが分離していると、A銀行で働いた不正が生体認証で特定されていても、B銀行ではキャッチアップできない。生体認証データが共通化されていないので、新しい情報を登録できてしまうんです。そうなると結局は不正の連鎖が続いてしまう。その点、データが共通化されていれば犯罪コストが上がりますよねという話をしていました。そうした想いに賛同してもらえませんか?というアプローチでした。もちろんいろいろな認証や監査にはしっかりと対応するという話もしながら。

一戸:

他社のデータの恩恵は受けたいが自分たちはデータを預けたくないといった主張をする企業もいたのではないかと思います。そうした企業への対応はどうしていたんですか?

久田:

現状ではそういった企業様への対応もしていますが、初期の段階では、僕たちが選べる立場ではないんですが、でもやっぱり賛同いただける企業を優先していました。

一戸:

一つのプラットフォームであることをしっかりと意識していたからこそ、そういった取捨選択ができていたんですね。でも実際には、営業の方からの反発などもあったのでは?

久田:

ありましたね。でも結局は対症療法的にソリューションを出して売上を作ったとしても、永続的な企業にはならないと思うんです。セキュリティという領域の事業であることもそうですし、僕たちが目指すのは永続的に価値提供できる企業なんだと伝え続けました。

PMF≒「必然性」と「合理性」

一戸:

もしかしたら当時は「PMF(Product Market Fit)」という言葉がまだ一般的ではなかったかもしれませんが、PMFを実感した、一気にアクセルを踏めると思ったタイミングなどはありましたか?

久田:

僕らは「必然性」と「合理性」という言葉を使っていました。僕らのソリューションがその企業にとって必然性があって経済合理性があるかということで、PMFに近い概念だと思います。必然性と合理性のマトリクスで優先順位が高いところで一気に勝負しようと。ただ、そこを探すのにすごく時間はかかりました。一番大きなきっかけになったのは、2018年の犯罪収益移転防止法の法改正です。イオン銀行さんでの実証実験を始めてから二年くらいでしょうか。当時のイオン銀行さんって、生体認証を入れているのに口座開設は対面での本人確認が義務付けられていて、結構いびつな構造だったんです。ユーザーの必然性がない状態だった。そこに2018年の法改正があって、ユーザーの必然性というパーツが揃いました。人件費の削減など企業側の経済合理性はもちろんすでにあったので、そのタイミングが一番のアピールのきっかけになり、そのサービスに集中的に投資していくことになりました。

一戸:

合理性は割と計算しやすいと思うんですが、必然性って思い込みの場合もあるじゃないですか。そのあたりはどう見極められたのですか?

久田:

先ほども「手数が少ない方がいい」という話をしましたが、そこにこだわっていました。既存のUXのステップを最初から最後まで書き出して、僕らのサービスの方が手数が減っている=必然性と定義していました。

一戸:

いろいろな要素を削ぎ落して、明確に定義されていたんですね。

マーケットメーカーとしてのプライシング

一戸:

次にプライシングについてお伺いします。どのように価格設定をされたか、ベンチマークをしていたサービスなどがあったのか、このあたりを教えてください。

久田:

僕らはマーケットメーカーの立ち位置だったので、ただ単に合理性が高いというよりは、圧倒的な合理性がないとマーケットは出来上がっていかないと考えていました。なので、企業様からしたら「これなら確実に導入するよね」という水準にこだわって価格設定をしました。

一戸:

自分たちがマーケットを作っていく立場であるからこそ、価格を低く設定してしまうと最終的なその市場の出来上がりを小さくしてしまう可能性もあるじゃないですか。そのバランスはどう考えられたんでしょうか?

久田:

僕らは、小さなマーケットから広げていくことで大きなマーケットが見えると考えていました。認証のストレスがある領域ってものすごく広い。なので、初期のマーケット規模というよりは、裾野が広がっていった先の3年や10年といった軸で考えたときに一番市場が大きくなるような価格設定にしようと。

優秀な人ほどより大きな社会課題に関心が高い

一戸:

次に、組織と採用についてお伺いします。まず、最初の10名の採用について教えていただけますか?

久田:

ほとんど僕の知人や友人です。とにかく最初期はFounderから見て一番優秀な人が採れないと絶対にうまくいかないなと思っていたので、僕の人生の中でも“この人”という人にお声がけをしていました。ポジションは、エンジニア、営業、財務・法務、管理系などさまざまです。

一戸:

採用において工夫されたことってあるんでしょうか?

久田:

僕らが解こうとしている社会課題の大きさと、その課題がまだ解けていないというそのものの問題提起で訴求しました。優秀な方ほど、すでに小さな社会課題を解いて評価されていたりするので、より大きな社会課題に向かう方向にしかモチベーションが湧かないのかなと思っていて、プロトタイプを見せたりマイルストーンを説明したりして、話を聞いてもらっていました。

一戸:

けっこう時間がかかったんじゃないですか?前向きに検討してくださるケースはいいと思うんですが、手ごたえがなく諦めてしまいそうになることもあったのでは?

久田:

引き継ぎの時間なども含めて、平均半年くらいだと思います。諦めずにアプローチしていました。数年越しに採用したメンバーもいますし、辞めるまで待ちますという姿勢で。

組織構築において失敗を予見することの重要性

一戸:

組織文化の構築についてはいかがでしょうか?意識し始めたタイミングなどはあったんでしょうか?

久田:

あまり参考にならないかもしれませんが・・創業時の話の中でも触れたように、僕として「その人たり得るとは何か」というテーマを持っていて、それは組織についても重要視していました。『攻殻機動隊』というアニメがあって、創業メンバーもみんなそれが好きなんですが、その中で描かれているチーム像って「スタンドプレーの先にチームプレーがある」というものなんです。そこから僕も「スタンドプレーができないやつはチームプレーもできない」「単なるチームプレーだけだとお互いに打ち消し合ってしまうこともある」と考えていて、それぞれが自走しているんだけど俯瞰的にみると同じ方向に向かっているという組織像を大切に考えてきました。

一戸:

全員が同じ方向を向くために意識していたことはありますか?

久田:

やっぱり入り口の選定だと思います。採用の時点で僕らのミッションや目指しているところに本当に共感してもらえているかということが一番重要だと思っています。そこに真の共感があれば、それぞれがスタンドプレーしていても組織の体幹みたいなものがブレない。僕らも失敗したことがあるんですが、そこが合わないまま採用してしまうと、離反などが起こります。

一戸:

きっと採用の重要さはずっと意識されていたと思うんですが、それでも失敗した。その点についてはどう振り返っていますか?

一戸:

まさに、絶対に失敗するなと思いながら失敗した感じでした。サービスを大きくしていくときに、社会課題やビジョンといったコアの部分ではなくて、サービスを大きくするためのスキルセットの比重を大きくして採用してしまったということですね。

一戸:

そういった失敗も踏まえて、今もう一度創業期に戻れるとしたらより強く意識しようと思うことなどはありますか?

久田:

失敗しない会社ってないと思うんです。いろいろな起業家の方とお話ししても、まずない。新陳代謝という言葉は適切ではないかもしれませんが、やっぱりいろいろな多様性を受け入れて、失敗して・・ということを繰り返していった先に、本当の意味で多様性を受け入れられる組織ができると思うんです。だから逆に、失敗していないと単一的な組織になってしまうはずだし、その方がさらに大きな失敗を生むかもしれない。

一戸:

「絶対に失敗するなと思いながら失敗した」というコメントがありました。僕もよく投資先と話すんですが、失敗の仮説立てってすごく重要だと思うんです。想定していないかつクリティカルな失敗が一番怖いですよね。そのクリティカルな失敗をしないために心がけていたことなどはありますか?

久田:

経営メンバーだけには、これくらいの時期にこういう風に失敗すると思う、ということを伝えていました。その落とし穴に想定通りに落ちたので、安心感はあったと思います。まさに、予見できなかった失敗は組織全体に動揺や恐怖を生んでしまうと思うので、失敗のリスクは常に意識していました。

一戸:

そのアンテナはどこで仕入れてきたんですか?

久田:

経営者同士の会話や、証券会社時代の担当企業の事例からでしょうか。担当先が30社くらいあったんですが、ほぼ絶対と言っていいほどに組織関連の話でみんな失敗するんですよね。その経験から、組織への意識はかなり高まっていたと思います。

水のような社会的なインフラをつくる

一戸:

では最後に、久田さんご自身について伺わせてください。まず、創業期にベンチマークしていた企業や経営者などはいらっしゃいますか?

久田:

よくお話ししていたのは、イオン創業者の岡田卓也さんです。食品小売って、値上げをすれば当然会社には利益が出ます。でも、消費者は苦しいし社会のバランスにも影響を及ぼす。値上げされても買わざるを得ないという点で、水みたいなものですよね。僕らもその水のような社会的なインフラになりたくてLiquidという社名をつけていたので、そういったバランスについてや組織についての考え方などをすごく勉強させていただきました。

一戸:

経営者としてのご自身のセンスを磨いたり視座を高めたりするために意識していることなどはありますか?

久田:

全世界的な社会課題にも目を向けていきたいと考えているので、国際情勢なども含めていろいろな勉強会に参加したりして視座を高めています。あとは、大学の先生と積極的にお話しするようにしています。アカデミックの領域で起きている課題や先生方の方向性などはかなり意識しています。

一戸:

久田さん、貴重なお話をありがとうございました!

次回のゲストとお知らせ

ELEMENTSは現在積極的に採用活動を行っております。ご興味のある方はぜひこちらからチェックしてみてください。

※こちらは、Podcast公開時の情報です

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