STORY
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私たちは、自分の何を評価されたいか?|Players by Genesia.

PLAYERS

はじめに

自律・分散、デザイン・アート思考、多様性、ダイバーシティ&インクルージョン、個のエンパワーメント・・

そんなキーワードが飛び交い、さまざまなモノやコトの意味や価値がアップデートされている。人のあり方、社会やコミュニティとの関係性にも、新しいアプローチで光が当たろうとしている。さまざまなことが移ろいながら、大きく可能性を広げ続けている“今”を、私たちは生きているのではないでしょうか。

その中をただ流されるのではなく、必要な「問い(テーマ)」を立てて考え、いち早くアクションする。そんな存在であり続けたい。

そうした想いから、この『プレイヤーズβ(仮)』シリーズを始めたいと思います。フォーカスするのは、『Players』と同様、「人」や「チーム・組織」ですが、もう少し俯瞰的にそれらを眺めます。

私たちが手繰り寄せたいのは、「正解」ではなく、「意思」です。

絶対的な答えや正解のない“今”、さまざまな問いと目線に向き合っていきたいと思います。


私たちは、自分の何を評価されたいか?

#1のテーマに挙げるのは、「評価(人事評価)」です。

“今”のこの変化の流れの中で、社会に必要とされることも変わりつつある。私たちの価値観も確実に変化しつつある。お互いの存在、そして自分自身に向ける目線も、確実に変わりつつあるはずです。

それらにじっと目を向ける機会。その一片が「評価」ではないでしょうか。

社会や他者から「評価される」目線。
私たち自身の「評価されたい」という目線。
あるいは、何者にも「評価されたくない」という目線・・?

話し手は、ジェネシア・ベンチャーズ General Partnerの鈴木Relationship Managerの吉田です。

『Players』を経て

タカ:

じゃあ進行よろしく。

アイ:

はい。今回は『Players』番外編ということで、よろしくお願いします。
ちょっと前提をお話ししておくと、これまで『Players』シリーズでは、スタートアップの起業家や経営チーム、そして、大企業や投資家の方々などスタートアップを取り巻くエコシステムの中心部にいるPlayers=当事者のみなさんと対話をしてきました。私たちが普段接しているそうした方々って、個人的な印象ですが、どうしようもなく剥き出しというか、力強いパワーにあふれていて、描いたビジョンの実現に向かってとにかく考え抜いてアクションし続けてる。そういう方々だと思うんです。なので、そうした方々の存在や、スタートアップを取り巻くリアルな人や想いの部分をしっかりと広く伝えていく活動を通じて、このエコシステム=プラットフォームに関わる仲間を増やしたいという想いで始めたのが『Players』というプロジェクトです。

タカ:

うんうん、もう20組近く対談やってコンテンツを作ってきたよね。

アイ:

です。期間にしたら初回から2年半くらいかけてやってきたので、決してハイペースではないんですけど、ここまでのプロジェクトを通じて、本当にたくさんのPlayersのお話をじっくりと聴いてきて、私も学んだり気づいたりしたことが本当にたくさんありました。だから、これからはそうして蓄積されたものをアウトプットしていきたいなと思ったっていうのもそうですし、そもそも私たち自身もきっとPlayersのはずだし、私たちのミッションである「アジアで持続可能な産業をうみだすプラットフォーム」の実現を目指すためにも、Playersであり続けなきゃいけないよなっていう想いからも、もっともっと私たちからの発信の幅も広げてみようということで、今回のこの『プレイヤーズβ』の企画に至りました。ネーミングはまだちょっと考え中です。
ただ、コンセプトとしては、何か事実とか正解とかを語るんじゃなくて、私たちが考えていきたいよねと思うテーマで問いを立てて、継続的にみんなで話していこう、その過程も出していこう、みたいなスタイルでやりたいなって考えてます。

タカ:

うん、考えよう考えよう。

アイ:

ということで、初回はタカさんとお話ししてみようかなと。タカさんとは普段からコミュニケーションも多めに取っているかなと思いますし、それこそ正解のないテーマが上がることも多いかなと思うので。で、今日なんですけど、やっぱり『Players』のコンセプトでもある、「人」や「チーム」「組織」みたいなことがいいなと思ったんですよね。タカさんとは普段からそういうお話たくさんしてますし。それで、これからの組織の姿とは?とか、多様性とかダイバーシティについて?とか、いろんなテーマを考えてみてたんですけど、不意にぴょんと思いついたのは、ついこのあいだタカさんから投げかけられた問いだったんです。

タカ:

何だっけ?

アイ:

「アイさんって何を評価されたい?」ってやつですね。タカさん曰く、「投資担当(ベンチャーキャピタリスト)の評価制度は仕上がりつつあるんだけど、やっぱりPM(Portfolio Manager)やRM(Relationship Manager=アイさんのポジション)って、オリジナルな職種というか新しい職種というか、参照する事例があんまりないから難しいんだよね」ってことでしたね。「それ私に訊く・・?」って感じだったし、ちょっと考えてみたけどすっごい難しいし、大きな宿題を出されちゃったなって思ってたんですけど・・
でも、考えてみるとすごく理に適っているというか、ごく自然な問いかなとも思ったんです。最近はスタートアップをはじめとして、自律分散型とかフラット型の組織づくりっていうものが目指されていたりとか、個人にも自走力やオリジナリティ・強み、ニューノーマルな働き方への対応力みたいなものがこれまで以上に求められていたりとか、クリエイティビティやアート思考、柔軟な発想力やフラットな組織を運営するプロジェクトマネジメントみたいなキーワードもよく見られるようになってきていたりしますよね。多様性やダイバーシティ、個のエンパワーメントやニューノーマルっていったところは、まさに時代の大きな潮流とも関連していて、不可逆性もあると思います。そういうことが重視されてきている中で、これまでであれば、強いリーダーシップとかロジカルシンキングとか問題解決力とか業務遂行力とか、ある程度は画一的な評価指標があったかなと思うんですけど、でもこれからは必ずしもそうじゃなかったり、それにプラスされる評価のポイントや発揮される個人の価値っていうものもたくさんあったりするんじゃないかな・・いや、きっとあるはずだと思ったんです。
ただ、そういう点にフィットした評価基準や評価制度が作れているチームってまだそんなに多くはないような気もするし、それこそ、その基準はトップダウンで企業側から求められるものだけではなくて、評価者(企業)と被評価者(個人)がお互いに話し合って決めることでもあるかもしれないなと。って考えると、すごくいい問いというか、必要な問いだなと思ったんです。

タカ:

評価制度とはいえ、わかんなかったら本人に訊いちゃった方がいいかなと思ってした質問が、こんなかたちで取り上げられるとはね。

アイ:

でも、実はこれって、当たり前の期待値調整とも言えると思うんですよね。企業と個人(従業員)って、企業側から求められることができなかったらその従業員はクビ!みたいなこともあり得る関係だったかもしれないですけど、そもそも企業側から何が求められていて、個人がそれに応えられるか、応える努力をするのか、強みややりたいことと合っているか、っていうことがすり合わせできている状態が自然ですから、それができていないってことは普通にミスマッチな状態ってことですもんね。だから、すごく必要な対話だと思います。
っていうお話を、GP=マネージャー=上司であるタカさんと、メンバー=部下である私でざっくばらんにできたらおもしろいかなと。一方で、社内では私がリーダーになってタカさんがフォロワーになる、つまり主従が逆転するようなプロジェクトとかもあったりするので、ちょっとおこがましいですけど、お互いがどちらの目線にもなって話せるかなって思った次第です。同世代っていうのもありますし。

タカ:

そうね。

アイ:

タカさんも、今は主にメンバーを評価する立場だと思うんですけど、自分が評価される立場だったら何を評価されたいかって考えてみてください。それぞれ3つずつくらい。

タカ:

僕もか。問われると難しいね。

「タカ」の場合

タカ:

僕は今、ベンチャーキャピタルの経営をしている立場から、いろんなステークホルダーがいる前提で、ステークホルダーごとに考えるかな。それでいうと、一つ目は起業家からの評価。起業家に選ばれるかどうかっていうのがとにかく大きなポイント。二つ目は、お金を預けてくださるLPの方々からの評価。お金を預けるに足ると思われる信頼を得られるかっていうのが、経営をする上ですごく重要だよね。優秀な起業家の方々に選んでいただくことと、そんな僕たちを信じて資金を投資し続けてくれる投資家の方々がいること。僕らの仕事はそれによって初めて成立するわけだから。
じゃあ、このステークホルダー二者に絞ったときに自分のどこを評価してもらいたいかって考えると、一つ目は、すっごく体育会系なコメントになるけど、やっぱり「覚悟」があるかどうかかなと。対起業家に関して言うと、やっぱり起業アイデアの段階とか創業時からご一緒させていただくことが多くて、まぁEXIT時には株主ではなくなってしまうものの、その人の起業家としての人生そのものに寄り添う立場なので、EXIT(出口)って実際はなくて、ちゃんと寄り添ったり対峙したり受け止めたりする覚悟があるかどうかっていうのはすごく大事だと思ってる。これは僕に限らず、そういう覚悟がある人が結果的に選ばれてると思う。そういう姿勢って自然と言動にも染み出て、相手にも伝わるしね。覚悟をどうやって評価するねん!っていうのはあるけど・・そういう意味では、自分はけっこう覚悟決まってるって言える。
二つ目は、何だろうな。まぁご存知の通り、僕は歯に衣着せぬ物言いをするタイプではあるんだけどーーー

アイ:

はい。

タカ:

うん。そこって実はけっこう大事だと思ってる。言いづらいこともあえて言っちゃうとか、いい意味で空気読まないとか、いや、空気読んでる上で空気をかき混ぜるような発言をあえてするとか。そういうところを実はすごく大事にしてる。何だろう、もちろん世の中って正論だけでは動かないんだけどあえて正論を吹っ掛けた方がいいときもあるし、あるべき姿とは?本質的に目指すこととは?みたいに視点をムリヤリにでも動かした方がいいときもあるし。

アイ:

空気読まない力というか、振り回す力というか、ストレッチさせる力というか?

タカ:

そうね。あと、三つ目・・何だろうね。「基本的に安定してる」とかじゃないかな。あんまりボラティリティがないと思う。風邪もあんまりひかないし、よく寝るし、寝ると煩わしいことも忘れられるし、浮き沈みがなくて淡々としてるのは、僕の特徴の一つかなって。そういう状態が作れてると、期待値もコントロールできる。

アイ:

コンディショニングされてるってことですよね。変な揺らぎがないというか。その重要性、すごくわかります。単に平坦であるってことじゃなくて、必要なところで必要なパフォーマンスが出せる、その土台がしっかりと作れてるっていうイメージで、すごく重要なスキルだと思います。
これは半ばジョークですけど、例えば「寝る」ってことが、人が安定したりパフォーマンスを出したりするためにめちゃくちゃ大事だってことが証明されたらーーー

タカ:

すでに一定されてるでしょ。

アイ:

そうですね。ただ、それがもう、本気で!マジで!「寝る」を大事にしないとダメ!みたいな世界になっていったら、例えば、全員がFitbitとかを装着してログを提出して、この人はちゃんと質のいい睡眠を取ってる、みたいなことが評価されることもあるかもしれないですよね。しっかり休めている、しっかりセルフコンディショニングができている、肉体と精神の状態が健全である、みたいな。

タカ:

よく寝られてるかどうかは評価対象にはならないと思うけど、パフォーマンスとの相関はあり得そうだよね。期待されるパフォーマンスが出せる状態になっているかってこと。
例えばこれまでは、120点取れるときと20点しか取れないときがある人より、80.90点を取り続けられる人の方が評価されやすい・しやすいっていうこともあったと思う。もちろん、一定の成果が規定されている仕事においてはその方がよかったりするけど、一方で、何かを生み出すクリエイティブな仕事においてはたぶんずっと80.90点じゃダメで、0点もあるけど300点も叩き出せるみたいな、そういう方が断然いいこともあるよね。これは職種とか仕事によって変わってくると思うんだけど。そのあたりは、必ずしも評価って話に紐づくかはわかんないけど、職種とか仕事によって、価値の発揮されるポイントは常にグラデーションで変化するものだって、そういう前提で向き合うことは必要かなとは、漠然とだけど思ってるね。そういう活動全般のバランスっていうかな。

アイ:

別に24時間元気であることが=100点じゃないですよね。そんなことあんまりあり得ないと思いますし。浮き沈み、“そう”と“うつ”、好調と不調、陰と陽、そういうものって誰にでもあると思うので、そういう自分はそのまま認めつつ、そういう状態に振り回されるんじゃなくて、付き合う覚悟や努力ができていることが大事なのかなって。

タカ:

どんなにエネルギッシュな人だって、24時間元気いっぱいなわけじゃないからね。無理してブーストさせるっていうより、自然体でその仕事に最適なパフォーマンスを長続きさせられる方がいいから。

General Partner 鈴木 隆宏(タカ)

「アイ」の場合

タカ:

じゃあ、アイさんはどう?

アイ:

私は・・・・・実はまだ全然考え切れてないです。が、それじゃあお話が終わっちゃうので、実際の指標になるかどうかは度外視で、いったん思い浮かんだことをそのまま言っちゃいますね。

一つ目は、ちょっとアホっぽいんですけど、「明るさ」ということかなと。それが何のためかというと、「場づくり」。いい「場」をつくるための明るさだと思ってます。いいコミュニケーションって基本的には、それぞれの心に余裕があって、恐れとか不安なく言いたいことが自由に言えて、それをお互いが楽しめて、柔軟に反応や対応ができる状態じゃないかなと思うんです。誰も嫌な気分にならないことってすごく大事というか。そのためには、やっぱり明るさって大切じゃないかなって。明るい表情や声で話すとか、ちょっとした笑いを作るとか、前向きな言葉を使うとか。そういうことって意識や努力でコントロールできることじゃないかなと思うので、個人的にはけっこう意識してるつもりです。いい「場」って、意図的につくろうとしないとできない。リモートワークになってオンライン中心のコミュニケーションになってから、より一層そう思います。しっかりと努力してつくられた「場」があることによって、話題が膨らんだり新しいアイデアが出たり、気分が前向きになって仕事が捗ったりする。そういうことを私は信じていて、それが実現できるようになりたいと思ってます。もちろん、明るさだけじゃどうしようもないことも、どうしてもテンションが上がらないこともたくさんありますけど、できる限りは意識してるつもりなので、そこが評価されたらうれしいかなと。

タカ:

なるほどね。

アイ:

あと二つ目は、これまたうまく表現できないんですけど、「考え抜いたアウトプットができているか」かなと思いました。単眼的かつ接写的にならないように、複眼的かつ俯瞰的に考えられているかってことですね。いろんな人のいろんな視点・感情・状況、それらを思いやれているか、過去の歴史と未来の展望、マーケットとかの規模、自分たちを取り巻くトレンド、そんな中でのこだわり、目指したいことなどなど・・そういうものを自分ができるだけわかろうとしているか、何か大切な視点を見落としたり置き去りにしたりしていないか、そして、それらを踏まえたアウトプットができているか。あとは、いくら俯瞰的に全体的に見渡しても、最終的な意思決定は主観によると思うので、いろいろ踏まえた上で、じゃあ私はどうしたいのか?っていう意思を持つことも意識してるつもりです。
ただ、あれこれ考えるので、時間はかかりがちなんですよね。すぐ思考してすぐアウトプットできる人もいると思うんですけど、私はたぶん頭のしくみがそういう風にできていなくて。だから、咄嗟に言葉が出てこないこともあります。もちろん、時間をかけてもよさそうなこととすぐに判断した方がよさそうなことは分別してるつもりなんですけど。基本的には、けっこう議論の最初の方は、うー--ん・・って言ってるか、顔が(・∧・)みたいになってることが多いかもです。

タカ:

アイさんが考え中っていうその状況というか、モヤモヤやってる感じ、容易に想像つくね。

アイ:

意思決定や判断ってスピードももちろんすごく大切だと思うんですけど、課題の解き方や壁の乗り越え方って、実はけっこう人それぞれですよね。人に訊くこともできると思うし、何かツールを使うこともできると思うし、とりあえず登るとか壊すって人もいると思うし、逆にそういう人に手を差し伸べたいとか積極的に自分も関わりたいって人もいたりすると思うんですけど、そういう意味では、私はじっくり攻略したい派なのかもしれません。本当に「正解」がないことも多いから、自分の体験と感覚を大切にしながら、いろいろ模索して自分の納得ポイントを探すのが好き。もちろんそれが間違ってたり「考え抜く」って言っても一人の頭の中では限界があったりもするので、早めにアウトプットして他の人の意見を聴いた方がいいこともありますけどね。でも、そういう過程を一つ一つ踏むことが、私のあり方というか、仕事のしかたとか人との関わり方とかにもすごく繋がっているかなとも思うので、できるだけ大切にしたいなと、個人的には思ってます。
しかし、こんなこだわりみたいなものを評価してほしいポイントに挙げるなんて、すっごいわがままですね!・・まぁ、今回のテーマ自体がわがまま前提というか、おそらく一人一人で全く回答が違ってくる問いだと思うので、いったん言いたいことを言っちゃっててもいいか。

タカ:

アイさんの仕事で、かつクリエイティブな領域だったらっていうのはあるかもね。
スピード感はもちろん大事なんだけど、たしかに、周りも見守るというか、そういう受容力をお互いに持ったチームであろうってことかもしれないね。けっこうハードル高い気がするけど。

アイ:

基本的には、ミッションやタスクの達成度とか組織への貢献度とか、「結果」や「成果」が評価の対象になるというか、それが一番大切なんですけど、そこに向かうためのチーム内での協力や共創はもちろんのこと、精神的な成長とか経験値の向上とかをお互いに見守ったり応援し合ったり、ということもできるといいなと思ったりします。方向性とか目指すところはみんなで合わせておくべきだと思いますけど、時間軸とかスタイルとかは人それぞれだったりもすると思うので、そういうところはお互いに認識した上で、お互いにいい方向に活かし合えると理想的だななんて。

タカ:

個が活きる・個がエンパワーメントされるってことは、もちろんその個人が強みを活かしてがんばったり一人でできることを増やしたりするって意味でもあるけど、チームで何かをする上では、その人を活かす周囲の環境づくりというか、個人を活かす組織やチームであることも大事だからね。そうなるとつまり、一人じゃない=相手がいる=コミュニケーションが不可欠だから、伝わる・響く・反応がある・行動変容がある、みたいな打てば響く状態であることも本当に大前提だよね。アイさんの言う、「応援し合う」というかね。そういうことって本当に基礎中の基礎だとは思うんだけど、個って言いすぎるとお互いがドライになりがちだったり、リモートワークになったり付き合いが長くなってきたりすると雑にもなりがちだから、そのあたりは改めて考えたいよね。

前提の「信頼関係」をつくるもの

タカ:

これからもまた仲間を増やしていくじゃない?

アイ:

そうですね。私たち、採用プロジェクトチームでもありますね。

タカ:

ずっと話し合ってることではあるけど、改めて、どんな人がうち(ジェネシア・ベンチャーズ)っぽいかね?

アイ:

つまり、うちではどんな人が評価されるかってことでもありますよね。・・まだちょっと言語化しきれていないかも。確実にあるんですけどね。
うーーーん。(カメラマンの)尾上さんから見てどうですか?それこそもう2年半くらい、私たちの写真を撮り続けてくださってるわけですけど。

尾上:

僕ですか・・!?そうですねーー、本当にいい意味で、気を遣わないってところですかね。普通はこうして撮影のお仕事をさせていただく相手は、当然ですけど、クライアントさんって感じなんですけど、ジェネシアの皆さんはいい意味でそういう感じじゃないっていうか、フラットっていうか。僕からしたらうれしいことです。唯一、田島さんとはちょっと時間かかりましたけど。

タカ:

田島さんは人見知りだから。

アイ:

そうですか?

尾上:

田島さんと僕、実は誕生日が同じだったことが発覚したのと、実は僕の叔母と田島さんが知り合いだったことが発覚したのと、そういうことをきっかけに徐々に打ち解けられたかなという感じですね。

アイ:

今やすっかり仲良しですよね。

タカ:

そういう意味で言えば、またチームの話だけど、たぶん“共通の何か”ってすごい大事だと思うんだよね。共通の体験を持つとか共通の本を読むとか共通の何かを観るとか、そういうことの積み重ねで暗黙知の幅が広がるというか。暗黙知っていきなり始めからは作れないから、同じような経験を通じて、それぞれお互いがどう感じたのかを共有して、「あぁ、あなたはそういう感性なのね」っていうコミュニケーションを繰り返していくことが必要だよね。同じ本を読むにしても、読んだ後でどこがポイントだったかってことを共有して、それが同じとか似たようなポイントであれば感性も近いのかなってわかるし、違うポイントだったらそれはそれで「あぁ、そうなのね」「そこ響くんだね」っていうのがわかるし。そういう積み重ねが暗黙知を拡げる。やっぱりいきなりはわかんないから、「わかってよ」って言っても無理な話で。だからこそ、共通の体験とか話題とか、同じものを観るとか、そういうことで暗黙知を作っていくのがチームなのかなって。
田島さんと僕ももう10年以上の付き合いだからさ、それは、暗黙知いっぱいあるよね。でも、それも始めからあったわけじゃない。今でも人一倍コミュニケーションを取ってるしね。だから、お互いの意思決定に違和感とかツッコミどころがないのかなって思う。それはこれからチーム全体でも積み重ねていきたいと思ってるけど、すごく当たり前のことのようで、けっこう難しいよね。

アイ:

判断基準や価値観が近いってことは、一緒に何かをする上では大前提になると思いますけど、最初からぴったり合うことなんてまず無理だし、すり合わせのための取り組みをしないで「なんか合わない」って判断するのも違うし、「合ってるよね」「大丈夫だよね」って錯覚してすり合わせを止めちゃうっていうのもやっぱり違うのかなって思いますね。そもそも一人一人が違う人間だし、考え方や価値観も変わっていくものだから、そういう変化も含めてすり合わせをし続けることはしていかなくちゃいけないんだなと思います。自戒も込めて。
私たちもまだスモールチームだし現在進行形でがんばってますけど、スタートアップやベンチャー企業でも、規模に関わらずオープンな取り組みをするところが増えてきてますよね。経営会議の内容や財務情報、採用情報とか、これまでは経営チームしか触れられなかったような情報を社内にオープンに公開するとか、それこそ社内の情報を社外にまで広く公開するとか、そういうケースもありますよね。ああいった取り組みも、情報共有の手間や情報格差をなくすっていう意図だけじゃなくて、同じ景色を観るというか、同じ問いやテーマに向かう経験を共有するっていう、一つのすり合わせの姿勢なのかなって思ったりもします。

タカ:

そうだね、意思決定のプロセスを見せるだけじゃなくて追体験させる意図もあるかもね。
ただ一方で、個人的には、話しすぎたり説明しすぎたりするのもちょっと違うかなとは思ってる。原因と結果とそのプロセスについて、「こういう課題があって、それをこう解決したいから、こういう意思決定をした」っていうのはもちろん伝えるべきだと思うんだけど、実際にはその背景にいろんなパターンとか分岐があるわけだよね。それらを説明しすぎると、受け手が自分の頭で考えなくなっちゃうような気もしてる。同じテーマだとしても、意思決定ってその時々の環境とか状況とかによって変わるケースもあるから、理路整然と整理して言語化しすぎると、そのときのニュアンスがニュアンスじゃなくなって陳腐化しちゃったり、再現性を求めすぎちゃったりするよね。

アイ:

型化するってことですね。

タカ:

型にして効率化したり再現性を持たせたりすることって大事なんだけど、そういう表現ができないこともあるから、その背景を考える想像力を持つっていうこともまた大事だよね。

アイ:

そういう局面ってけっこういろんなところにあると思います。自分が意思決定者じゃないときに他の誰か、つまり仲間とかリーダーとかが何かしらの意思決定をしたときに、もちろん、見落とされていることとかちょっと変わった視点とかを補うこととかは必要だと思いますけど、基本的には「その決定の意思や背景を汲もう」「その決定を正解にしていこう」っていうような姿勢でいたいなって、個人的にも思ってます。人の意思決定に従えばいい、何も考えない、ってわけではなく、責任を丸投げする、ってわけでもなく、大前提で信頼し合える関係でいたいなと。難しいかもしれないですけど、諦めずに育んでいきたいですよね。

Relationship Manager 吉田 愛(アイ)

「変化」とどう付き合うか

タカ:

0か100かの条件分岐で物事が進んでいく世界ではないし、組織でも戦略でも、生き物っていうかナマモノだしね。答えのない問いばっかりの中で、それを許せるかどうかって大事。あとは、最短距離で走ろうとするのはいいんだけど、効率的に答えを探そうとしすぎるともったいない部分もあるなと思う。回り道とか間違いとか苦しみの中で経験できたかもしれないことをすっ飛ばしちゃうっていうか。もちろん経験しなくていいこともあるんだけど、回り道とか試行錯誤とか、そういう経験が軽視されちゃうのは、ちょっと熟成されない感じがするよね。しょっぱいだけのぬか漬けと、旨味があるぬか漬けの違いっていうか。

アイ:

ぬか漬け・・ RPGで、攻略本を読んで最短で進むか、ひたすら寄り道するか、みたいな?前例とか先人の経験の中に答えを探してそれを辿るか、まずは自分で考えて自分で決めて進んでみるか、っていう違いなんでしょうか。

タカ:

特にシードVCのキャピタリストに向いてるのは、後者かもしれないね。日々向き合うのは答えのない問いがほとんどだから、参考書とか攻略本を読んで学ぶとか、ロジカルに問題を解くとか、そういうことではないから。攻略本を見たとしても、そこに書いてないこともあるから、自分で考える力が大事だよね。あとは、田島さんも最近よく言ってるけど、過去の経験とか知識のデータベースを叩きに行くのも一つの答えなんだけど、でも、データベースって既知のものだよね。そこから生まれるアイデアもあるけど、そこばっかり参照してても結果的にあんまりジャンプアップして何かを生み出すことってできないんだよね。参照した情報をどう組み合わせてどうクリエイティブを発揮していくかって方に脳味噌を使えるようにならないと、答えのない問いと向き合うのは難しいと思う。「変化に強い」とか「変化を楽しむ」にも近いかも。

アイ:

「変化に強い」ってけっこうよく聞くフレーズだと思うんですけど、具体的には「動じない心」みたいな感じでしょうか。

タカ:

「不意打ちへの耐性」とか「立て直し力」とかにも近いかもね。変化って予測しきれないことも当然あるし、備えすら陳腐化する可能性もあるから、そういう変化の波っていうものをしっかり受け止めたり回避したり、逆にそれを後押しにしたりするアイデアを持つだったり、そういうことをいかに考え切れるかってことじゃないかね。

アイ:

組織づくりっていうのも、変化の連続ですよね。特に、スタートアップや私たちみたいなスモールチームだと、新しいメンバーが一人入ってきたときのインパクトも大きいですし。「変化」や、もしかしたら「違和感」とも言えるかもしれない、そういうものを常に受け止めていかないといけないですよね。

タカ:

酢豚にパイナップル、みたいなね。めちゃくちゃ違和感あるように感じるけど、一緒に炒めることで肉が柔らかくなるしおいしい。それと一緒で、組織づくりもセンスなんじゃないかな。

アイ:

酢豚・・ 食べ物の例えが多いですね。

タカ:

一見合わなそうなんだけど、何か絶妙な化学反応が起きることってあるから、そういうところが組織づくりのおもしろみかなって意味でね。そういうことはやっぱり実際あるからね。あと、そこで大事だなと思ってるのは、化学反応を起こし得る人を採用できるかってこともそうなんだけど、そういう人が入ってきたときに、すでにいるメンバーがその変化を受け入れて一緒に変化できるかってことだね。変化に自然と乗っかれる力みたいな。

アイ:

ドラゴンボールの孫悟空的な。「おめぇ、おもしれーヤツだな」っていう?

タカ:

アイさんの例えも独特だよね。

※モニターの画像には意味はありません

強い個と、強いチーム

アイ:

今、私たちも実際に採用プロジェクトを動かしてますけど、事前に100%うまくいくとかマッチする確信なんて持てないし、相手にとっても人生を懸けた決断をしてもらうわけだから責任も重たいですし、楽しみ半分・不安半分って感じですよね。本当に一つ一つの決断が難しい。

タカ:

そういう意味では、「何を評価されたいか?」っていう今日のトークテーマとも通ずると思うんだけど、採用っていうのは、強みの自己認識と他己認識のすり合わせって話だよね。自分と相手の認識が合えばそれがその人の強みだし、逆のパターンならそうじゃないってこと。
あと個人的には、弱みをつぶしたり弱みを強みに変えていく仕事の仕方ってたぶん無理だと思ってる。なぜなら、特に仕事においての強み・弱みってその人の人生の積み重ねの結果だから、改善はできると思うけど、弱みを完全になくしたり強みに変化させるのは、たぶん無理。さっきの、80.90点を取り続けるか、0点も300点も取るかっていう話にも通ずると思うけど、後者をイメージするなら、たぶん強みをとことん伸ばした方がいいよね。強みが伸びると、結果的にその周りにある他のスキルもついてきて伸びると思うから。逆に、弱みを改善して、スキルのチャートで全体的にキレイな五角形みたいに仕上がってもあんまり意味ない気がする。だから、自分が考える強みと、他人から見た強みをちゃんと理解して自分のものにするっていうのはすごい大事だと思うね。

アイ:

その上で、その強みが組織やチームにとって価値を発揮し得るかって話ですよね。そこがマッチしたら、「一緒にやりましょう」=採用とか協業っていうかたちになって、それから、それをモニタリングしていくのが、まさに今日のテーマの「評価」という。

タカ:

そうだね。ビジネスっていうのは、成果の定義はいろいろであるにせよ、永続的に成果を出し続けるってことだから、もちろん個人の強みとかやりたいことは大事なんだけど、成果を出し続けるためにどの強みを活かして仕事をしていくかってことなんだよね。あくまで、その業界・会社・組織・チームとかいくつかのフィールドがあると思うんだけど、それぞれのフィールドにおけるミッションに対して成果を出すために、どの強みを使うか・使えるかってこと。

アイ:

採用の時は、スキルマッチとカルチャーマッチを見ましょうって言いますけど、それはつまり、その人の強みと、それを用いる方向性やビジョン、それがチームにとっての成果に繋がるか、そういうところが合っているかを確認しようってことですよね。すごく難しいわけなんですけど。だから失敗も多くて、企業側の「合わない人を採用してしまった」とか、社員側の「がんばってるのに評価されない」とか、チーム全体としてうまく回っていない、みたいな話はやっぱり出てくる。それはたしかに言葉どおりの意味で相手に問題があるケースもあるかもしれないですけど、実は、お互いの期待値や時間軸のすり合わせがきちんとできていないミスマッチから発生してる可能性はあると思います。だからこそ、企業側もビジョン・ミッションやカルチャー、事業やチームづくりの方向性を、個人も自分の強みやビジョンを、そして「一緒にやる意味」を、しっかりと言語化して伝え合う必要があって、だからやっぱり、それらを継続的にすり合わせていくために「評価」というテーマで話し合う場を持つことは大切かもしれませんね。

タカ:

あと、僕が最近考えてるのは、リスクマネジメントとリスクテイクって話で。特にシード投資ってまず百発百中ってことはあり得ないし、組織を運営していく上でも、洗い出せばいろんなリスクが想定されるんだけど、それらをリスクマネジメントって言って管理しちゃうと動けなくなっちゃうんだよね。だからこそ、どちらかというとリスクテイク思考で、「こういうリスクはあるかもしれないけど、それをクリアしたらすごく大きな突破口になるよね」とか「逆に弾み車になるよね」とか、そういう対話をしたい。スタートアップなんてそれこそ、今までにない市場とか規制のもとで勝負するわけだし。

ただ、そういう答えのない問いに向き合える人ってまだまだ少ないなって感じる。だから、まだまだ時代の過渡期なのかなって思う。さっきのRPGの話にも近いかもしれないけど、リスクマネジメント思考だと、やっぱり明確な答えを求める人が多い。一方で、その答えを作りに行ってやろうとか、むしろ問いの側を作りたいみたいな人って、リスクテイク思考が強いのかなって。スタートアップの起業家でも、どんな組織に所属してる人でも、やっぱり新しい何かを生み出したりチャレンジができたりする人ってリスクテイク思考なんじゃないかな。

アイ:

チャレンジやブレイクスルーみたいなキーワードは、どんな立場やポジションにおいても、自分たちが答えや問いを作っていこうとする上では、やっぱり重要になりそうですよね。
チームや組織でも、従来型のピラミッド型の組織や働き方に対して、最近はスタートアップでも自律分散型とかフラット型って言われるような組織のスタイルを目指すチームも増えてると思うんですけど、それもリスクテイクの動きなのかなってちょっと繋がりそうなイメージが湧きました。ただ、評価方法も含め、成功事例ってまだそんなに多くはないのかなと思います。私たち自身もそうですけど、まだまだ本当にチャレンジの真っ最中かなと。その中で思うのは、自律分散と同時に結びつきも大切になるというか、個の強みを存分に発揮できる自由さと、チーム・組織として掛け算で力を発揮できる繋がりのバランスが、より必要かつ大切になるんじゃないかなということです。本当にそういうところを目指していくんだとしたら、個も、組織やチームも、強くあり続けられる、成長し続けられるようなしくみが欠かせないはず。チームで目指すもの、それに合った組織のかたち、個とチームを育てるしくみ。そして、社会や人の役に立ち続けられるしくみやそういうものを生み出し続けられるマインドセット。これらは私自身がずっと向き合っていきたいテーマでもあります。たくさん考えて、みんなでアクションし続けられるといいなと思います。

ーつづく・・?ー

※こちらは、2022/2/16時点の考えです
▼デザイン:割石 裕太さん、写真:尾上 恭大さん、まとめ: 吉田 愛

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