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#29 教育を世界へ届ける!東南アジアで磨いたグローバル事業のつくり方【ゲスト:Manabie CEO 本間 拓也さん、NEULO 代表取締役 船瀬 悠太さん】|Ayo! by Genesia.

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ジェネシア・ベンチャーズが配信する『Ayo! by Genesia.』は、スタートアップの“挑戦の裏側”に光をあてるPodcastです。プレスリリースなどのオフィシャルな情報だけでは伝えきれない、挑戦のプロセスで生まれる想いや葛藤、そしてリアルな学びを、起業家と投資家、それぞれの視点からお届けします。

「Ayo!」はインドネシア語で「Come on!」「Let’s Go!」という意味。スタートアップのチャレンジをリアルにお届けしていきます💁‍♂️💁‍♀️


今回のゲストは、アジアの教育機関のDXを推進するEdTechカンパニーManabie International Pte. Ltd.共同創業者兼CEOの本間 拓也さんと、パフォーマンスフットギアの製造・販売を行うNEULO株式会社 代表取締役の船瀬 悠太さんです。モデレーターは、ジェネシア・ベンチャーズの鈴木が務めます。

目次

  • 週6日はずっと一緒にいるような、仕事に没頭する時期をともにした二人
  • グローバルでデジタライズされた教育を届けたいという想いから、Quipperの立ち上げへ
  • 「自分は何も意思決定をしていない」というもやもや感から、スタートアップの道へ
  • 今回の起業にも活きている学びは、事業立ち上げ時のリクルートの組織マネジメント
  • 「時代が変わるかもしれない」と思わせるストーリーテリングが強いチームをつくる
  • チャレンジの共通点は、1つの製品がユーザーの人生に与える影響が大きいこと
左上:Manabie 本間さん、下中央:NEULO 船瀬さん、右上:ジェネシア・ベンチャーズ 鈴木

週6日はずっと一緒にいるような、仕事に没頭する時期をともにした二人

鈴木:本日はゲストとして、Manabie Internationalの本間さんと、NEULO株式会社の船瀬さんにお越しいただきました。まず、簡単にお二人から自己紹介をお願いします。

本間:Manabie(マナビー)という会社のCEOをやっています、本間です。ManabieはEdTechの会社で、2019年にシンガポールで創業しました。今はシリーズBまで進み、累計で60億円くらい調達しており、ジェネシアさんにはシード期からお付き合いいただいています。

もともと2010年にQuipperという会社をイギリス・ロンドンで創業しました。その会社は2015年にリクルートにM&Aされましたが、それからずっとEdTechに関わっています。今は、日本・東南アジア・フィリピン・ベトナムで事業を展開しています。よろしくお願いします。

船瀬:船瀬です。NEULO(ニューロ)というシューズを作っている会社の代表を務めています。昨年創業し、今年の年明けにシードラウンドで3.5億円の資金調達を実施、製品開発を経て、ようやく9月から先行販売を開始しました。

キャリアの最初は外資系のコンサルティング企業で、その後、本間さんと同じくQuipperにジョインしました。そこで7年間、インドネシアやフィリピンなど海外の事業の立ち上げに大きく携わりました。その経験が原体験となって、もう一度グローバルに展開できる事業をやりたいという思いから、今回、フットウェアという領域でグローバルにチャレンジしようと事業を立ち上げた次第です。スタートアップでの事業開発や立ち上げ、組織拡大などの経験を生かしながら、今回はゼロイチからしっかり会社を大きくしていきたいと思っています。

鈴木:今の話にも出てきた通り、本間さんと船瀬さんはQuipperでご一緒されていて、かつ東南アジアで事業をされていました。僕たちがインドネシアで最初に出会ったのは2015年頃でしたね。当時は僕がサイバーエージェント・ベンチャーズで投資の仕事をしていて、他のEdTechの会社にも出資していた関係で、Quipperメンバーとは「お互いにEdTechを盛り上げていこうよ」という感じで縁が繋がったと記憶しています。Quipper時代のお二人は、東南アジア事業のツートップとして事業と組織を牽引していたと思いますが、当時の事業内容やそれぞれのミッションについてお話しいただけますか?

本間:日本で成功していたリクルートの『スタディサプリ』というモデルを、2015年あたりからインドネシアでもQuipperというブランドで本格的に展開していました。船瀬さんとは同じ建物に住んでいたので、ほぼ毎日カフェでミーティングをして、オフィスで一緒に仕事をして、夜はまた一緒にディナーを食べる、みたいな週6くらいずっと一緒にいる生活を4年ほどしていました。役割としては、ダブルカントリーマネージャーという珍しい体制でした。僕がマーケティングやコンテンツ、HRなどを担当して、船瀬さんがセールス全般を担ってくれていました。

船瀬:本当にその通りで、週末も含めて、いい意味で仕事に没頭していた期間だったなと思います。本を読んだりシリコンバレーの情報を集めたりするのもお互いに好きで、インプットも非常に活発でした。それをどう事業に活かすかを議論したり、趣味的な話題でも盛り上がったりと、楽しかったです。

グローバルでデジタライズされた教育を届けたいという想いから、Quipperの立ち上げへ

鈴木: お二人ともグローバルキャリアを歩まれていますが、まず本間さんにお伺いします。そもそも2010年のQuipper創業時にはイギリスにいらっしゃいましたが、なぜあの時代にイギリスへ行こうと決めたのですか?また、Quipperは当初からグローバルで展開を始めた珍しい日本のスタートアップだったかと思いますが、その意思決定の裏側や進出国の選び方についてもお伺いしたいです。

本間:僕は山形県の田舎で生まれ育ちました。高校2年生のときに、「一度海外に行ってみたいな」と思って行ったのが、イギリス・ロンドンでした。そしてロンドンという場所にすごく惹きつけられて、ここで勉強したいと思いました。本当は高校からストレートであちらの大学に行こうと思っていたのですが、先生に「日本の大学に行ってほしい」と言われて、東大に入りました。ただ、東大に入ったときには「2年で辞める」と決めていて、すぐ留学の準備を始めました。そして2年後、半年くらいシリコンバレーに行った後、ロンドンに留学しました。その留学中にアフリカや中国などいろいろな国を回る中で、教育がなかなか行き届いていないと感じ、「グローバルで教育事業をやりたい」と考えるようになりました。

そのとき、たまたま同じロンドンにいたQuipperの創業者の渡辺さんと出会いました。渡辺さんが「こういう事業やりたいんだけど」と、100枚くらいの事業構想冊子みたいなものを持っていたんですが、それが僕がやろうとしていたこととすごく似ていたので、「じゃあ一緒にやりましょう」という形でスタートしたのがQuipperです。

Quipperは、いわゆる“公文式”をデジタルで全世界に提供するようなビジョンで始めたので、当然最初からグローバル展開が前提でした。ではどこの国に注力するかという壮大なリサーチプロジェクトの結果、東南アジアのフィリピン、インドネシア、ベトナム、タイの4か国がいいのではないかとなり、一番若くて動きやすかった僕が行くことになりました。フィリピンでの展開を始めたのが2014年くらいです。

鈴木:フィリピンで1年くらい立ち上げをやって、軌道に乗ってきたタイミングで2015年くらいからインドネシアに来た、という感じでしたよね。

「自分は何も意思決定をしていない」というもやもや感から、スタートアップの道へ

鈴木:続いて船瀬さんにお伺いします。マッキンゼーでコンサルタントをされていたところから、なぜスタートアップへの転身を決めたのですか?コンサル時代の学びがスタートアップでどう活きたか、またQuipperに移ってからのインドネシアでの挑戦でハードシングスやターニングポイントがあれば教えてください。

船瀬:4年くらいのコンサルキャリアの中で、「クライアントに提言はするものの、自分は大きな意思決定をしたことがない」「腹をくくって事業を推進したことがない」というもやもや感をずっと抱えていました。それで、これはやっぱり自分で打席に立たないといけないんじゃないかと考え、変化の激しいスタートアップという環境に興味を持ち始めました。

また、教育領域にもずっと関心がありました。きっかけは、大学院生の頃にカナダへ交換留学に行ったことです。僕が行った大学には、企業インターンシップを強制的にやらせる「コーププログラム」があり、半年勉強して半年インターンというのを繰り返していました。学生はみんなビジネスパーソンのようで、レポートのクオリティがめちゃくちゃ高くて、卒業するときのレベルの差がすごいだろうなと危機感を抱きました。また、東南アジアなどからの留学生たちがみんな英語ペラペラで、日本人が一番英語を話せなかったという課題感もありました。教育システムでこんなに差が生まれるんだなと。その経験もあって、まずグローバルな環境でチャレンジしようとマッキンゼーに行きましたが、教育領域で何かやってみたいという想いはずっと持っていました。

それでいろいろと調べていたら、たまたまQuipperの渡辺さんが書いた記事が出てきて、めちゃめちゃおもしろそうなチャレンジだと興味を持ちました。先輩にお願いして繋いでもらい、ランチに行ったんですが、そのときの話もまたすごくおもしろくて。その翌週には有給を取って、イギリスの本社に遊びに行って一週間インターンシップをさせてもらい、そこで拓也(本間)さんにも出会いました。割とすぐに、ここに入ろうと決めました。

鈴木:そのインターンが初めての出会いだったんですね。当時のお互いの印象はどうでしたか?

本間:細かいところまで事業目線でどんどんやられる方だなと感じました。ご一緒したら、きっと力強く事業を推進していただけるんだろうなと。あと、実は共通の知り合いもいて話が盛り上がった記憶がありますね。

船瀬:僕は、拓也さんの記事やインタビュー動画を先に見ていたので、もともと「おもしろい人がいるな」という印象を持っていて、有名人に会いに行くような感覚でした。話してみると、学習アプリのことだけでなくすごくいろいろなことにアンテナが張られていて、やっぱりおもしろかったです。た、当時のQuipperのロンドンオフィスは非常に多国籍で、ヨーロッパ中から人が集まっていました。その多国籍チームを拓也さんがまとめていたので、普通にかっこいいなと思った印象があります。

今回の起業にも活きている学びは、事業立ち上げ時のリクルートの組織マネジメント

鈴木:Quipper時代の立ち上げ経験から、今の起業に生きている学びや、逆にアンラーニングしなければいけなかったポイントがあれば教えてください。

船瀬:当時のQuipperは、一番多いときで600人ぐらいまでメンバーが増えましたが、それはちゃんとスモールチームで施策を試した結果でした。ユーザーを獲得するためのチャネルを5つくらい検証したところ、対面で売るのが一番パフォーマンスが良かったので、そこにベットしようと営業メンバーを増やしたんです。そういった意思決定の方法は学びになったと思います。また、リクルートの組織マネジメントを学んだことも大きな学びでした。例えば『ホットペッパー』の立ち上げ期の話を聞き、それをほぼコピーする形でインドネシアにインストールしたらうまくいったんです。リクルートの組織マネジメントは、当時のQuipperですごく活きたなと思います。

では今のシューズ事業にそのあたりが活きているかというと、正直この1年は製品開発とブランドのコンセプト作りというフェーズだったので、まだ実感はありません。現時点で一番活きているなと感じるのは、知らない人にも会いに行って交渉する突破力。英語も、本当にやっててよかったです。この突破力と英語力がなかったら、NEULOは作れていないと思います。

鈴木:本間さんはEdTechからEdTechへと連続性があると思いますが、Quipper時代の学びはどう活きていますか?

本間:Quipperはイギリスで創業したものの、リクルートさんに買収された後も日本人メインで事業を運営していて、売上も日本が大きかったんです。「From Japan to 東南アジア」という形はあったと思います。その中で、リクルートさんの次世代経営者研修などで、企業やプロジェクトをどうスケールさせるかという真髄はすごく学ばせていただきました。

一方、Manabieはシンガポールからスタートし、日本は後から展開しました。マネジメントメンバーもほとんどが日本人以外ですし、それぞれの国の文化を尊重しながらカントリーマネージャーも各国で採用しています。そのあたりは大きなチャレンジでもあり、楽しいところでもあります。

「時代が変わるかもしれない」と思わせるストーリーテリングが強いチームをつくる

鈴木:お二人を見ていてすごく感じるのは、人をすごく大事にしていることとか、採用に強いこだわりを持っていることです。ManabieもNEULOもチームがポジティブな空気に溢れている印象があります。チームづくりで意識されていることはありますか?

本間:僕自身がだいぶオプティミスティックな人間なので、逆にちゃんとそれをスーパーバイズしてくれる人が必要だなと思っています。船瀬さんとQuipperをやっていたときは、そのバランスが取れていました。船瀬さんもポジティブな方ですが、ちゃんとガバナンスを効かせてくれていました。Manabieに関して言うと、教育という事業自体が非常に社会性が高いので、ポジティブで社会貢献したいという人たちが集まりやすいのだと思います。ただ一方で、教育をちゃんとスケールさせて届けていくというビジネス的な側面がないと難しい。教育に寄りすぎると理想論になって事業とのバランスが取れなくなり、逆にビジネスに寄りすぎると学習者や保護者にフォーカスできなくなる。そのバランスが非常に重要で、今はそういうチームが作れているのではないかと思います。

鈴木:船瀬さんはどうですか?

船瀬:シューズ事業に対して「おもしろいからやりたい」というメンバーが集まっているのがすごく大きいと思います。Quipperのときも、圧倒的に楽しそうな渡辺さんと拓也さんがいた。難しいチャレンジを乗り越えていくことを楽しんで、いろいろな課題にポジティブに向き合える方々が周りにいたことが原体験になっています。あと、渡辺さんも拓也さんも「時代が変わるかもしれない」と思わせる力を持っているストーリーテラーなんです。Quipper入社当時、私はカチッとした説明をすることが多かったんですが、渡辺さんから「おもしろくない」とよく言われました。いかにストーリーをおもしろくエキサイティングに伝えるかを学ばせてもらって、その経験がすごく活きていると思います。

本間:あとは、『スタディサプリ』という事業を一緒に見ていたことも大きいと思います。スタディサプリは普通のSaaSよりもはるかに速いスピードで成長した、いわゆるメガスタートアップです。ARR100億円を超えるような事業と組織に、あの時期にあのスピード感で関わったという経験は大きいんじゃないかと思います。

チャレンジの共通点は、1つの製品がユーザーの人生に与える影響が大きいこと

鈴木:最後に、なぜ今の事業領域を選んだのかをお伺いします。まず、本間さんがManabieで今チャレンジしている理由を教えてください。

本間:僕は山形の田舎で育ち、日本ですら教育の格差がまだまだあると感じていました。東南アジアだとさらにです。そういう課題意識から、教育へのアクセスをインターネットで届けていくというビジョンを描いてスタートしました。そして今、生成AIが出てきて、教育はもっとガラッと変わっていくだろうなと思っています。AI時代の教育、AIネイティブな大学・学校・学習塾って何だろうと、常にAIと会話しながら妄想しています。こういった世の中になっていくだろうということを自分の中に腹落ちさせて、会社もプロダクトも世の中も大きくそちらに舵を切っていけたらと思っているので、今非常に楽しいです。これまで考えていたことよりもはるかに大きく、多くのことができるようになってきていると感じています。

鈴木:船瀬さんはなぜシューズだったのですか?

船瀬:潜在意識の中にあった「おもしろい」「やりたい」という気持ちに従いました。それに気づくまで、そして「難しいだろう」というバイアスを取っ払うのには数年かかった感じですが、もう一度グローバルでチャレンジしたいと思っていた中で、ブランドや信頼性のある日本のものづくりを世界に届けるという方向性はずっと頭の片隅にありました。

ランニングが好きで、シューズのレビューをよく調べていた中でふと、「自分で作ったらどうなるんだろう」という問いが立ったタイミングがあり、リサーチが止まらなくなりました。難しいだけ参入障壁もあるし、やる価値があるなと感じて、「一足作ってみよう」と思ったのが最初でした。実際には思ったよりも資金が必要だったり、うまくいかないこともたくさんあったりしましたが、それらをようやく乗り越えて製品ローンチに至ったので、これからもっともっとこのシューズに向き合っていきたいと思っています。

あと、教育領域との共通点で言うと、1つの製品がユーザーさんの人生に与える影響が大きいと思っています。塾に行けなかった子が進学できるようになって人生を切り開くように、良いシューズによって1日が楽しくなったり、歩く距離が増えたり見える景色が変わったりします。そういう人生に対するインパクトという観点で、教育と同じくらいおもしろいんじゃないかと思って、毎日取り組んでいます。

鈴木:2010年代からグローバルにチャレンジされていたお二人の話は、非常に貴重でした。次回もさらに深掘りしていければと思います。前編は以上です。

本間、船瀬:ありがとうございました。Ayo!

全編はPodcastでお楽しみください💁‍♂️💁‍♀️:

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