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【シード調達のリアル #5】”投資委員会” – Finance by Genesia. –

FINANCE

ジェネシア・ベンチャーズの一戸(@ichinohe_GV) です。

昨今、数多くのVCファンドが組成され、数百億円規模の大型ファンドも珍しくなくなってきました。ベンチャーキャピタルの数が増えることはスタートアップエコシステムにとってポジティブな一方で、起業家から見ると、自社の事業ステージや事業領域にどのVCがフィットするかや、実際の資金調達に至るまでのプロセスが見えづらいのが現状だと思います。

その結果、起業家が投資を受けられる可能性の低いVCにアプローチしてしまったり、資金調達に繋がらないコミュニケーションに時間をかけてしまうなど、起業家の貴重な時間を最大限有効活用できていないケースも生じてしまっているように感じています。

そのような想いから、「起業家との出会い」「投資対象や投資基準」「デュー・デリジェンス」「意思決定」「資金調達後のコミュニケーション」といった私たちの投資活動全般についてのリアルを出来る限りお伝えする “Finance by Genesia.” というシリーズを始めました。

第5編となる本稿では、起業家から少し見えづらく、かつ言葉としても身構えてしまう方がいるであろう「投資委員会」について、ジェネシアがどのような投資検討プロセスを敷いており、その中で投資委員会がどういった位置付けなのかを、実際の具体例も紹介しつつご説明していきたいと思います。

形式としての投資委員会は、GPである田島さんとたかさんの2名で投資委員が構成されており、投資の意思決定には2人の合意が必要になるわけですが、ジェネシアでは担当キャピタリストだけでなく、チーム全員で支援先に伴走することを心がけているため、GPの2名に限らず、チーム全員が投資委員会に参加してディスカッションを行っています。

以下では、実際に投資委員会ではどのようなディスカッションが行われているかについても記載しているので、ぜひ最後までお読みいただけたらと思います。

投資検討プロセス

まず、ジェネシアの投資検討プロセスの全体像については以下のような流れになっています。

⓪案件会議
①社内ディスカッション
②投資委員会

もちろん場合によって進め方は異なるものの、基本的にはこのような流れに沿って進めることが多いです(案件会議は必ずしもそのステップを踏む必要はないため⓪にしています)。

例えば、直近で投資が決まった例としては以下のようなスケジュールとなっていました。起業家の方に初めてお会いしてから最終的な意思決定を行うまで丁度2週間と、ジェネシアの中では比較的スピーディーに投資が決まった例です(細かくは記載していませんが、初回面談から最終的な意思決定を行うまでに起業家の方と適宜チャットや数回のミーティングを行っています)。

3月12日(金) 初回面談
3月16日(火) ⓪案件会議
3月22日(月) ①社内ディスカッション
3月26日(金) ②投資委員会&意思決定

初回面談についてはなるたかさんの第二稿をご参考にしていただくとして、以下では⓪~②の位置付けと、各々で我々がどういったことを心がけているのかについてご説明していきたいと思います。

⓪案件会議

「案件会議」については投資検討プロセスの中に明確に組み込まれているというよりは、ジェネシアメンバーが直近お会いしたスタートアップやその他諸々学んだこと&感じたことについて共有する場であり、投資検討する場合は大まかな論点をすり合わせるために活用されています。一方で、上でも記載した通り、案件会議は手続き上必ずしもそのステップを踏む必要はありませんので、次の社内ディスカッションに向けてラフにディスカッションを行う場という位置付けに近いかもしれません。

実際にこの後は正式な社内ディスカッション→投資委員会と進んでいくことになりますが、相良さんの第四稿にも記載されている通り、DDにおいて重要なファクターの1つである「事業領域」について各メンバーがどのように見ており、その中で事業を構築していくために「経営チーム」にはどのような要素が必要で、どういった「戦略」が有望かをディスカッションすることで、投資検討の大まかな論点/方向性を出しています。

特に「事業領域」については、田島さんの第三項にも記載されている通り、以下の項目についてディスカッションしています。

①大きな時代の方向性に沿った事業かどうか
②その事業が持つマーケットポテンシャルの見極め
③社会的意義やソーシャルインパクトの大きさ

①社内ディスカッション

次に社内ディスカッションですが、こちらも基本的には上の相良さんの第四稿に記載されているポイントをジェネシアのメンバーでディスカッションしているに過ぎません。一方で、上の案件会議と異なりこちらは手続き上必ず必要になるステップです。事前に担当キャピタリストが事業内容や市場の見立て、経営チーム、事業戦略、残論点等を記載したものを共有し、そちらをベースにディスカッションしています。

そのような背景もあり、担当者としてはこの前段階で起業家の方とディスカッションを重ねることで、可能な限りチームビルディングや事業戦略についての解像度を高めるように心がけています。そのため、各スタートアップによって初回面談からこの段階までに要する時間も異なり、場合によってはそれなりの時間を要することもありますが、この過程を経ることで起業家の方も我々との相性を推し量ることができるのではないかと考えています。

もう1つ心がけているのが、起業家の方が想定しているサクセスシナリオだけで投資の意思決定を行うのではなく、起業家の方と一緒にブラッシュアップしたサクセスシナリオを加味して投資の意思決定を行うということです。起業家の多くは起業を初めて経験するため、事業戦略はまだしも、組織戦略やファイナンス戦略等はどうしても見えづらい部分があると思います。適宜私たちが伴走しながら事業仮説や組織戦略、ファイナンス戦略等の解像度を高めていく中で、ブラッシュアップしたサクセスシナリオを基に投資の意思決定を行っています。

②投資委員会

そして、事業戦略等について一定程度解像度が高まった段階で投資委員会に臨むことになりますが、わざわざ起業家の方(代表だけでなく基本的には経営チーム全員にご参加いただくことが多いです)のお時間をいただいてまでこちらを行う目的としては以下のようになります。

・起業家の方と我々がお互いの相性を推し量るため
・チームビルディングや事業戦略についての方向性を最終的にすり合わせるため
・創業の経緯や想いを直接伺い、起業家の方のファン/チームの一員となるため
・解決する課題やユーザーについての理解/認識をより一層深めるため
・残論点についてディスカッションするため

以上の目的の下、実際の投資委員会は以下のような段取りで行うことが多いです。

1.各ジェネシアメンバーの自己紹介(約10分)
2.起業家の方の自己紹介(約5~10分)
3.事業説明(約25~30分)
4.ディスカッション(約15~20分)

また、出来るだけ広範なディスカッションを行うためにも、そして、ジェネシアメンバーの雰囲気を感じていただくためにも、ジェネシア側は全メンバーが参加するようにしています。実際に投資委員会の参加メンバーの多さに驚かれる起業家の方も多いです。

初回面談でも基本的には我々が先に会社/ファンド/自己紹介を行うようにしていますが、投資委員会においてもお互いのことをよく知るために、まず始めに我々が自己紹介を行うことで、積極的に自己開示することを心がけています。また、自己紹介の際には自分の人生や生活の中でその事業に関係している(orしていた)ことを話し、実際に事業のどのような点に価値や魅力を感じているのかをお話しさせていただくことが多いです。

そして、次に行う起業家の方の自己紹介や事業説明、ディスカッションでは、チームビルディングや事業戦略についての方向性をすり合わせるだけではなく、解決する課題やユーザーについての理解/認識をより一層深め、さらに、我々も一当事者となって事業を推進していくためにも、起業家の方から創業の経緯や想いを直接伺い、起業家の方のファン/チームの一員となることを目的としています。

従って、ディスカッションの中では、事業に関する具体的な質問以外にも以下のような質問をさせていただくことが多いです。

・どのような組織を作っていきたいか
・どのような社会を実現したいか
・どのような投資家に株主になってもらいたいか

この過程を経ることで上記のような目的が達成され、スタートアップのビジョンの実現、さらには我々のビジョンの実現に向かうスピードと精度が最大化されるのではないかと考えています。

終わりに & おまけ動画

第5編となる本稿では「投資委員会」についてご説明してきましたが、各VCで投資検討プロセスやその中での投資委員会の位置付けについては異なると思われますので、あくまでもジェネシアに限った場合という点のみご留意いただければと思います。

投資委員会はややもすると堅苦しく、馴染みの薄い場と捉えられることが多いかもしれませんが、起業家からすると投資委員会はそのVCの雰囲気を知ることのできる数少ない機会だと思いますので、ぜひそういった視点で有効活用していただけたらと思います。

今後、多くの素晴らしいスタートアップの皆さんと投資委員会でお会いできることを楽しみにしています。

今回のおまけ動画は、一戸と水谷による対談です。投資委員会に臨むときのキャピタリストの心境について、少しだけお話しさせていただきました。もしよければ、動画もぜひ、ご覧ください!

第五稿は以上となります。Finance by Genesia.第六稿は、「着金(クロージング)」について、水谷からお送りします!

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