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【創業の軌跡】Vol.4 BASE/鶴岡 裕太

PODCAST

創業の軌跡、第4回目となる今回は、BASE創業者の鶴岡さんにご出演いただきました。本稿は要約版になりますので、フルver.についてはぜひPodcastで聞いてみてください。

参加者
・BASE/鶴岡裕太
・ジェネシア・ベンチャーズ/鈴木隆宏一戸将未

自己紹介

一戸:

鶴岡さん、まずは自己紹介をお願いします。

鶴岡:

1989年12月生まれで現在31歳です。2012年11月にBASEというサービスを作り、その1ヶ月後の12月に創業しています。現在は約200名のメンバーがいます。
創業前はCAMPFIREという現在家入さんが経営されているクラウドファンディングの会社でインターンをしていて、元々BASEは僕がコードを書いていたのですが、そのエンジニアリングの部分はCAMPFIREで教えていただきました。そして、そこでインターネットの良さや、ロングテールの魅力みたいなものも教えてもらいました。
それから家入さんと色々なサービスを作る中で、BASEを作り始めたのが2012年の夏ぐらいで、その後の11月にローンチしました。

一戸:

現在のBASEの事業ポートフォリオを教えてください。

鶴岡:

創業時から行っているBASEが事業規模としては一番大きく、その他には決済事業や金融事業を行っていて、EC・決済・金融の領域でロングテールのチームをエンパワーメントすることにチャレンジしています。
会社としては「Payment to the People, Power to the People.」というミッションで、人々をどれだけ強くできるかというのが全ての行動の源泉なのですが、その上でもEC・決済・金融を通じてエンパワーメントすることを志しています。

BASEの会社HP

ウェブサービスをつくりたくて起業

一戸:

CAMPFIREには5人目で入られたそうですが、どのような経緯で入られたのですか。

鶴岡:

元々小さい頃からインターネットが好きで、大学もそういった学校(東京工科大学)だったのでずっとインターネットに触れていました。当時Kickstarterという海外のクラウドファンディングのサービスに感銘を受けたのですが、そういった事業を日本で行っているのがCAMPFIREだったのと、それから、家入さんが僕と同じ九州生まれで、当時からインターネットですごく目立っていたので、そういったところに惹かれてCAMPFIREに入りました。

一戸:

あるインタビューで家入さんが「当時は僕のSNSをチェックして居場所を見つけて、そこに合流していたそうです。ですが、それくらいの行動力がありました」と仰っていたのですが、鶴岡さんのその行動力の源泉はどこにありましたか。

鶴岡:

当時家入さんはCAMPFIRE以外にも作りたいサービスがあって、「つるちゃん一緒に作って」みたいな感じでCAMPFIRE以外にも家入さんのプロジェクトを作ることもしていました。CAMPFIREは大好きでできれば入社したかったのですが、当時共同創業をされていた方から「自分たちでやった方が楽しそうだしその方が良いのでは」というアドバイスをいただき、大学を休学していたこともあってずっと家入さんと一緒にいました。笑
家入さんは活動の源泉が個人のエンパワーメントで、そういうカルチャーに触れているのがすごく好きだったのと楽しかったので、普通に遊んでいただけなのですが笑、遊びながらも色々と教えてもらいました。当時はBASE以外にも家入さんが作りたいサービスを何個も作りましたが、ウェブサービスを作る楽しさはそこで学びました。

一戸:

起業に対してはどのような意識を持っていましたか。

鶴岡:

自分で会社を作りたいというよりは、何かウェブサービスを作りたいという思いが強かったので、それを満たす方法にはこだわりはなかったですね。

事業アイデアの着想

一戸:

BASEの事業アイデアはどのように着想しましたか。

鶴岡:

もちろん複数の要因があるのですが、一番大きなきっかけは大分で小売店を営んでいる母親がネットショップを始めたいというので、インターネットに詳しくない僕の母親がネットショップを作りたいと思う時代なんだなと思ったというのと、CAMPFIREや家入さんのプロジェクトには全て決済が入っていて、当時はPayPalを使っていたのですが、PayPalって大学生の僕でも簡単にビジネスができるし決済を民主化していてすごいなと思っていた一方で、これってエンジニアの僕だから使えるけど他の人には導入が難しいよなと思い、誰でも簡単に決済を導入できて商品を販売できるサービスを作れるようにしようとネットショップ作成サービス「BASE」というプロダクトを作りました。

一戸:

創業当初から決済事業について考えていたのですね。

鶴岡:

そうですね。なので個人的にはPayPalを作っている感覚でした。PayPalにネットショップを加えて、PayPalがいない領域においてPayPalのような価値を提供したいと思っていたので、ECサイトを作っているというよりは決済ソリューション作っている感覚の方が強いです。なのでミッションも「Payment to the People」であって「E-Commerce to the People」ではなく、やはりペイメントが根底にありますね。

一戸:

今回「Pay ID」の統合・刷新がありますが、そのあたりの構想は当時からあったのですね。

鶴岡:

そうですね。やはりインターネット上のショッピング体験を最適化しようとすると、デマンドサイドとサプライサイドの両方を最適化しないといけないなという思いは当時からあって、PayPalやAlipayがイノベーティブだったのはマーチャントとカスタマーを同じ会社で管理している点だと思っています。
クレジットカードネットワークは加盟店を管理している会社と、カードを持っているコンシューマーを管理してる会社が違ったりするので、中間コストがそれなりに発生したり、審査の柔軟性が落ちてたりします。リアルがベースになっている場合は仕方ないですが、消費がインターネット上に移っていく未来においては、PayPalやAlipayみたいに1社で両サイドを見ていることが大切かなと思っています。
ただ、やはり同時にやるのは難しいのでマーチャントに振り切ったのですが、中長期では両サイドやりたい中でマーチャントを活用させてもらいながらコンシューマーサイドのアカウントを集めていて、ようやくそれが一定の規模になったので両サイドに対するサービスの提供を開始しました。

鈴木:

資金調達等の際は議論を集中させるためにも決済の話はあまりしていなかったですか。

鶴岡:

そうですね。当時はペイメントについては投資家さんに理解していただくのは難しいし、ペイメントをやるからといってBASEのグロースを妥協するわけではないので、一旦はECのプラットフォームに集中してお話してました。
購入者アカウントってBASEみたいなストアフロントサービスからするとすごく大事で、グローバルだとShopify等がありますが、基本的には店舗ごとの購入者アカウントがあるのが当たり前じゃないですか。Amazonや楽天はモールの共通アカウントですが。今でこそ「Pay ID」があると購入しやすいとわかっていただけていますが、当時は全くだったので、加盟店さんからは「自分のお店の独自アカウントにさせてほしい」と言われていました。
ただ短期的にはそうした方が大きなマーチャントが来てくれたかもしれないですが、中長期的には両方をエンパワーメントするというのがロングテールをより強くすることに繋がっていると思っていたので、そこはずっとこだわり続けていました。心苦しい時期もたくさんありましたが。

プロダクトづくりの時間軸

一戸:

加盟店さんからは共通アカウントではなく独自アカウントにしたいという声もあったというお話がありましたが、特にBASEはロングテールにフォーカスしているので機能拡張をあえて制御していた側面もあったと思うのですが、一方でこういう機能が欲しいというニーズもたくさんあったと思います。前回のマネーフォワードの辻さん回では、特にC向けサービスは色々な人から色々なニーズが上がってくるから、しっかりとペルソナを決めて、そのペルソナに沿って意思決定を行うというお話があったのですが、BASEの場合はプロダクトの方針とユーザーニーズを汲み上げるバランスはどのように取っていますか。

鶴岡:

基本的にはミッションドリブンです。未だにすごく意識しているのが、短期的には超非合理な一方で、長期では合理的な意思決定というのがたくさんあるなと思っています。EC等は流通総額が一番のKPIになることが多いと思うのですが、そうすると大きい加盟店が欲しくなっちゃうじゃないですか。そうするとずっと大きい加盟店にフォーカスした機能を作り続けることになると思うのですが、BASEはそれをやるために作った会社ではないし、ビジネスとして考えても、短期だとロングテールは微々たるものだと思われがちですが、10年経つとマーケットが大きくなることを理解していただけているかなと思っています。
そういった短期では超非合理な一方で長期では合理的な意思決定みたいなギャップを突いていかないと、僕みたいな学生起業家はどれだけ時間にレバレッジをかけて勝負できるかが大事だと思っているので、未だにそういう意思決定は大事にしています。

鈴木:

スタートアップは短期的な成長を求められがちですが、どの時間軸でその事業を作ろうとしているのかは、起業家にとっても、投資家や社員の方にとっても大事だと思っていて、鶴岡さんはどれぐらいの時間軸で見られていたのですか。

鶴岡:

基本的には1つの事業を作るのに5年から10年程はかかるし、逆にそれぐらいの事業をやらないと勝てないと思っていて、22歳で会社を作った僕がかなりのお金を使う事業や超優秀なメンバーを集めて作る事業を行うのは難しいので、5年から10年かけてプロダクトを形にしていくという意識があります。
それこそジェネシアと共同投資しているMOSHは昔のBASEを見ているような感じがしますが、あまりグロースを焦らないでほしいなと思っています。
BASEはとても株主に恵まれていて、「今月はこれ以上伸びないのが良いんです。これ以上伸ばすと無理した成長になってしまうので、この程度の成長率で良いんです」と言ってくださっていましたし、そういうロングタームで取り組むことを株主の方に信じてもらえていました。

ミッションからKPIを逆算する

一戸:

手数料の収益化のタイミングが2017年の秋だと思うのですが、それまでにかなりの時間を要している中で、逆に言うとそれまで収益化せずにいられたのはやはり株主の存在が大きかったのですね。

鶴岡:

当時はあまり売上や利益を上げたいという思いはなくて、ECはトップラインが伸びればどうにかなるとも思っていたので、基本的にはGMVのディスカッションしかしないと決めていました。
BASEは1店舗当たりの平均単価が上がり過ぎないように意識していて、これが上がってしまうと大きい店舗が入っていてミッションとずれている可能性があるので、目標のGMVをどの程度のアクティブマーチャントで達成するかというのをKPIとして落とし込んでいたのですが、基本的にはGMVと月間売店数の2つでしか会話していませんでした。

KOLの獲得とその位置づけ

一戸:

ミッションに沿ってロングテールの獲得に注力していた一方で、とはいえGMVを拡大する必要があったと思うので、個人やSMBの中でも、所謂KOLのような、一定規模の大きなマーチャントの獲得にフォーカスしていたりしましたか。

鶴岡:

基本的にBASEはオーガニックグロースが強くて、逆にペイドで獲得するのは限界があると最初にわかって、その際に長い戦いになることを覚悟したのですが、やはりBASEにおいては自然増が大事だと思っています。
それで自然増にするには色々な方法があり、その1つがKOLみたいな人に使っていただくことだと思っていて、それこそ株主でもある田村淳さんに使っていただいたりしていたのですが、淳さんに使っていただくこと以上に、淳さんを通じてBASEの価値をお届けしたいと思っていました。

ユーザーとサービスの期待値調整

一戸:

BASEは初期的には集客支援を行っていなかったと思うのですが、それは戦略上そのように決めていたのですか。

鶴岡:

集客を一切しないと決めていましたし、集客を期待するマーチャントがBASEを選んでしまわないようにしていました。
ユーザーとのサービスの期待値調整というのが重要だと思っていて、大手モールとBASEではプラットフォームへの期待値が違うと思うのですが、そういった期待値を正常に保つというのは結構意識していました。
デマンドサイドを集めてくるのはかなり大変ですし、BASEが対象にしている方々と大手ショッピングモールとの相性があまり良くないというのもなんとなくわかっていたので、社内的に割り切るのもそうだし、対外的にもイメージにギャップを持たれないように、集客への期待感をなるべく減らしていただけるようには意識してました。
具体的には、「BASEを使えば売上が上がりますよ」とか、「こういう商品を売った方が良いですよ」とか、「この商品をいくらで売った方が良いですよ」とかを言わないようにしていました。プラットフォーマーが売るものや売り方を指示してしまうと、「それが売れるんじゃないか」という幻想に繋がっていってしまうので。なので、何もしないと売れないし、逆に自分で何かやる人は売れるという意識づくりは頑張っていました。

一戸:

逆に言うと、BASEに対して集客のニーズが強いマーチャントは離れていってしまいますよね。

鶴岡:

そうですね。大きなマーチャントに対して価値を提供できていない場合は「他のプラットフォームの方が良いですよ」と言うこともありましたし、プラットフォームが歪まないようするのは常に意識しています。

スタートアップ同士のM&A

一戸:

決済事業を始めるにあたってピュレカ(現PAY)社をM&Aしていますが、自社で起ち上げるのではなくM&Aを行った背景を教えていただけますか。

鶴岡:

PAY代表の高野が、僕がCAMPFIREにいた時、同じオフィスの中にあったバンドルカードのカンムでインターンをしていたのでその頃から知り合いで、超優秀エンジニアでした。
高野も決済事業をやりたいと思っていたのですが、アプローチとしてBASEはECプラットフォームとして見せていて、高野の場合はStripeっぽく見せていて、将来的に辿り着きたいところは同じだと知っていたのですが、やり方が異なっていて、それはそれで面白いなと思っていました。それからBASEの方が先に立ち上がってBizDev的な交渉力もBASEの方が経験値として持っていたので、一緒にやることを提案しM&Aするに至りました。

最初の10名

一戸:

BASEの最初の10名はどのように採用しましたか。

鶴岡:

最初は家入さんの周りにいる人かTwitterで繋がった人だったと思います。それっぽいツイートをしている人には全員DMを送っていました。最初は基本的にエンジニアで、カスタマーサポートも必要だったので何人かいました。
現在の経営陣の多くは30人程から100人弱までの間に入ってきました。

組織の壁

一戸:

鶴岡さんが組織作りを意識したタイミングはいつでしたか。

鶴岡:

伝えたいメッセージがメンバーに伝わらなくなるタイミングで、50名を超えたぐらいからコミュニケーションが薄くなっていってしまい、何をやりたいと考えているのかわからないという声もあったのですが、それぐらいから意識し始めました。辞めていくメンバーもいて、辛そうにしているメンバーもいたので、とても申し訳なかったなと思います。
それからミッションを作ったりしたのですが、当初は「一緒にいるし伝わるでしょ」と思っていたところから、そういう壁にぶつかって、その辺を意識し始めました。

一戸:

とあるインタビューで鶴岡さんは「組織に関する問題点は、どんな問題よりも先に解決にコミットする」と仰っていたのですが、それはなぜですか。

鶴岡:

それはメルカリからもらったカルチャーかなと思っていて、小泉さんや(山田)進太郎さんが採用や組織に最もコミットすべきとお話していて、最初は見よう見まねだったのですが、日が経つごとにその言葉の重みがわかるようになってきました。

一戸:

組織づくりを意識したタイミングでミッション作りも行ったということですが、それ以前から言葉として原型となるようなものはありましたか。

鶴岡:

ありませんでした。基本的には空気感みたいなもので、インタビューで答えていく中で出てきたりはしていましが、言語化されていませんでした。

組織構築において重要な責任と権限

一戸:

これまでの組織課題を経て、現在採用で意識していることはありますか。

鶴岡:

メンバーの責任や権限、何をしてもらうかを正確にお伝えすることが大事だと思っています。色々な組織図を試しているフェーズではありますが、適切に責任と権限が上がっていったり下がっていったりするのを常に認識しておかないと、やはり仕事は飽きてしまいますし、常に組織がスケールし続けていないと責任や権限ってなかなか変わらないと思うので、その辺は意識しています。

次回のゲストとお知らせ

次回のゲストは鶴岡さんにご紹介いただいたクラウドワークス創業者の吉田さんです。皆さん、ぜひ楽しみにしていてください。

また、BASEは現在積極的に採用活動を行っております。ご興味のある方はぜひこちらからチェックしてみてください。

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