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事業のネタ帳 #2 コールセンターのDX

事業のネタ帳

シード投資は人だ、とはよく言われますが、誰がやるかと同じくらい何をやるかも大事だと思っており、そうであるならば高みの見物をするのではなく、投資アイディアを自ら書き起こすことで同志を募ろうと開始した事業のネタ帳ですが、ありがたいことに初回の記事には複数の起業家・潜在起業家の方からポジティブな反響をいただきました。

二つ目の事業案として、今回はコールセンターのDXを取り上げたいと思います。

目次

  1. 市場仮説
  2. 山の登り方:三つの戦略方針
  3. DXの型
  4. おわりに

市場仮説

まず、マクロで見たコールセンター市場の概観としては、約1兆円の規模で年率5-6%ずつ伸びている緩やかな成長市場です。

出所:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2556

なお、この市場の背後には、人口動態上不可避な労働力不足という普遍的課題と、チャットボットやメールなどのデジタルツールとの境界線が溶けていくマルチチャネル化という不可逆な環境変化が見え隠れしています。

よりミクロな視点で見てみると、コールセンターのオペレーションは大きくインバウンド業務とアウトバウンド業務の二つに分けられます。

前者は携帯キャリアや自動車保険、銀行、クレジットカードなど、ユーザー起点で発生する電話応対業務。対して後者は不動産仲介や生命保険、法人向けソフトウェア事業など、サービス提供者起点で行われる電話を用いた営業活動が該当します。

個人的には、アウトバウンド業務を支援するソフトウェアサービスは既に多く出てきている一方、インバウンドのコールセンター業務におけるテクノロジーの浸透率が低くとどまっている感覚があるため、ここに潜在的な事業機会を見ています。

ちなみに、アウトバウンド業務を支援するサービスとしてはGongMiiTelamptalkなどのセールスイネーブルメントツールがあり、これらは売上を伸ばすためのツールである(ユーザー企業のお財布からお金が出やすい)ことも手伝って、昨今では一大成長市場になりつつあります。

一方のインバウンド業務は、本質的には「業務そのものがなくなる方が良い」性質を持つこともあり(ユーザーからの問い合わせ自体をなくすアプローチとしてはHelpfeelのようなサービスも出てきておりこれはこれで有望な領域と思います)、これまで積極的なIT投資の対象になっていなかったものと思われます。

しかしながら、テクノロジーが十分に浸透していないことの皺寄せが劣悪な顧客体験に帰結してしまっている現状を踏まえると(自動音声ガイドに数分間振り回された挙句オペレーターに繋がらなかったり、受電窓口の担当者から受けた本人確認のQ&Aを数分後に別部門の担当者から全く同じ様式で繰り返されたり、皆さんも一度は負の体験をされているのではないでしょうか…)、逆張りの戦略投資によって最高の電話体験を提供する企業が現れてユーザーからの底堅い支持を得るようになる未来もそう遠くはないと考えます。

また、コールセンターのインバウンド業務はチャットボットによりDXされるのか?という問いに対しては、もちろん部分的には進んでいくものの、電話のインターフェースが残り続ける業務は一定の割合以上で存在するため、マルチチャネルを併用するベストミックスが時間をかけてスタンダードになっていくというのが僕の仮説です。

個人的には、電話というソリューションの持つ「同期性の魔力」にはちょっとやそっとじゃ捨てきれない依存性が認められると思っており、求めている答えに行き着けるかわからない不安を抱えながら情報入力の手間を非同期で幾重にも掛けなくてはならないチャットボットに対する優位性は、今後も引き続き多くの日常シーンにおいて発揮されるように思います。

山の登り方:三つの戦略方針

次に、この市場をいかに切り取るかという戦略=山の登り方に関しては大きく以下三つの方針が考えられます。

1. コールオペレーターの精鋭部隊を内部に抱え、コールセンターサービスとしてクライアント企業からのBPOを請ける(=AI-powered BPO
既存プレイヤー:トランスコスモスTISなど

2. コールオペレーター(を含むコンタクトセンター)向けの業務支援SaaSを提供する
既存プレイヤー:Talkdesk8×8ZendeskTreasure Dataなど

3. コールセンターの受託企業やクライアント企業に対して高精度な音声解析/データ解析ソリューションを提供する 
既存プレイヤー:レトリバなど

上記の内どのアプローチが良いかという点に関しては、創業チームの属性やスキルセット、志向性に依るとしか言えないのですが、1兆円という巨大市場ではあるため、いずれのアプローチにも大きな事業化可能性があると思います。

ただ、どれか一つを選べと言われたら、既存プレイヤーの数や強さ、小さな元手で大きな成果を狙える資本効率などを踏まえて、3のアプローチを採ります。もっと言うと、初手は3で入りつつ、2や1への展開可能性も残すという状況が作れるとベターかなと。

ユーザー視点での導入障壁が比較的低いことに加えて、クライアント企業のリテラシーやシステム環境に依らず音声データを大量に学習、分析できるため成果を生みやすく、言語というローカルバリアがあることで海外勢が一気呵成に普及することが想定しづらいという点も魅力に映ります。

DXの型

ジェネシア・ベンチャーズで事業立ち上げのモジュールとしてストックしているDXの型のうち、この事業アイディアに適用できるものを見ていくと、

上記1のアプローチであれば#4 データアグリゲーション、#5 モノ・時間・空間のROI最大化、#7 半自動、#13 マネージドマーケットプレイスが、上記2&3のアプローチであれば#2 情報探索・選択コストの削減、#4 データアグリゲーション、#7 半自動が各々当てはまるように思います。

#2 情報探索・選択コストの削減

#4 データアグリゲーション

#5 モノ・時間・空間のROI最大化

#7 半自動

#13 マネージドマーケットプレイス

– DXの型 #1-5
– DXの型 #6-9
– DXの型 #10-13

この事業案、または市場/戦略仮説に共感いただいた起業家の方(起業を検討している方)、あるいは別のアプローチの方が筋として良さそうという仮説をお持ちの方(自身の仮説が正しいとか唯一解だとかいう考えは一切持っておりませんmm)、まずはぜひカジュアルに事業ディスカッションさせてください!

著者

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